世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

お隣の世界遺産ヴィスマールとは好対照で華やかさがあるロストック(ドイツ)

2010-10-24 08:00:00 | 世界の町並み
 砂漠を旅する隊商にとって港のような存在で中継基地となるのがオアシスであり、そのオアシスの様子が味わえる場所のひとつがチュニジアのクサール・ギレンでした。一方、海を旅する商人の組織であったハンザ同盟の中継基地の港は北ドイツに数多くありますが、それらの中でロストックは旧東ドイツ最大の港湾都市ですが日本人にはあまり馴染みの少ない町の一つのようです。

 ロストックは、ドイツの東北部のバルト海に面した人口20万ほどの都市です。ロストックの南西で列車で70分ほどのヴィスマールは、世界遺産に登録されたハンザ都市ですが、人口減少が激しくって眠ったような町でしたが、ロストックはヴィスマールとは好対照です。世界遺産には登録されていないのですが、町の中にはトラムが走っていて人通りも多く活気があります。ピンク色の市役所の前を青と白のトラムが走っていくのは絵になります。この市庁舎から西に延びる通りが歩行者天国のクレぺりーナ通りで、通りに面してカラフルなファサードが美しい家並みが続いています。現在は活気に満ちているロストックですが、第二次大戦では空爆の目標となり、町の大部分が破壊され、クレぺりーナ通りの家並みも大部分は戦後に建てられたものだのだそうです。

 主な見所は、クレペリーナ通りの周辺にあり、通りの西端近くには、ドイツのバルト海沿岸では初の大学となるロストック大学が建っていて、建物のレンガ色と前の芝生とが美しい対比を見せています。にぎやかな通りを市役所のほうに戻る途中の北側にあるのが聖マリエン教会で、13世紀から400年かかって建設されたため、各時代の様式が混在する建物と言われていますが、専門家ではない筆者はどこがどの様式なのか識別はできませんでした。ただ、様式が混在しているという違和感のようなものは感じませんでした。

 
教会の祭壇裏には、リューベックの教会でも見た巨大な天文時計がはめ込まれていました。こちらの天文時計も教会の主張する天動説を可視化する目的で設置されたのでしょうか。

 
 旧市街は東西に長い楕円形をしていて、クレペリーナ通りはその長径のあたりということになります。この楕円の旧市街を囲む市壁が存在し、現在も1/3程度が残っています。ロクトック駅からトラムに乗って市役所方向に向かうと、残されている城門の一つのシュタイン門のそばを通ります。門といってもタワーのような形で、他の都市の城門も、横幅より圧倒的な高さのあるものが多かったようです。門の上部が望楼になっていたのでしょうか。門の向こうには市壁の一部が残っているのが見えます。

 ドイツのある程度の規模の都市の大部分にはトラムが普及しています。ドイツはアウトバーンが発達し車社会のようにも思えますが、大都市の中央部を車を尻目に低床のトラムがさっそうと走り抜けていきます。一方、日本では一部の都市でトラムの見直しがあるようですが、大部分の都市では、相変わらず地下を掘ったり、高架にしたり、おまけにITの国のためかどうかは知りませんが、運転を含めて無人の自動化に血道をあげているように見えます。人件費が高いと目の敵にしますが、都市部での交通機関では、運転などにかかる人件費の運賃に占める額はたいしたことはないようにも思います。ほとんどのコストは穴掘りなどの土木コストではないでしょうか。乗降に地下にもぐったり高架に上ったり、自動化や無人化によりお客に余計な手続きを押し付けてきたりの都市交通システムの流れは、この辺でリセットして欲しいものです。


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