世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

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スコタイの仏教遺跡は、木造の仏教寺院を見慣れた日本人には特異に感じます(タイ)

2016-11-13 08:00:00 | 世界遺産
 世界最古の現役の木造建築である法隆寺は、インドで興った仏教が到達した東の端でした。日本では、この仏教のカテゴリーを大乗仏教と呼び、南に伝わったものを小乗仏教といって、やや蔑視したところがありました。しかしながら、筆者としては、小乗と呼ばれる仏教のほうが、釈迦の唱えた原始仏教に近いと考えています。今回は、現在も出家僧が数多く、生活の一部として仏教が生きているタイの仏教遺跡の一つ、スコタイを紹介します。なお、東南アジアの仏教国では、小乗とは呼ばず上座部仏教と呼んでいます。

 
 
 
 スコタイは、タイの首都バンコックから北へ250kmほど、最寄りの空港は東隣の県のピサヌローク空港になります。13世紀から15世紀にかけてタイ族によって興されたスコタイ王朝の首都の遺跡で、およそ2km四方の城壁に囲まれた旧市街が遺跡の中心です。みどりの中に、池があり、川があり、そして数多くの石塔が並んでいます。この石塔は、円錐形で頂点がとんがっているものと、円筒の頂上部にお椀を載せたような形のものがあります。円錐形の物は、インドネシアのボロブドゥールの頂上部分にある石塔にちょっと似てる感じもします。一方の、円筒形の石塔は、巨大なトウモロコシです。日本で見慣れた、お寺のお堂らしきものは、全くありませんし、塔も五重塔とは全く違います。あえて、似ているとすれば、東京の築地本願寺や各地の多宝塔くらいでしょうか。

 
 これらの石塔の前には、石仏が置かれていますが、薄手の衣をまとっているだけで、きわめてシンプルな形です。仏教では、釈迦が偶像は作るなと言い残したのでしばらくは作られませんでしたが、ギリシャ文化の影響などから、ガンダーラなどで作られ、東や南東に伝わってきたわけです。東のはずれが日本とすれば、東南のはずれに近い国がタイかもしれません。日本の仏像が、ヒンドゥーや中国思想の影響で、生身の人間とは違った形をとるものが多いのに比べて、スコタイの仏像は生身の人間そのもので、親しみを感じます。

 日本に伝わった仏教は、大乗などと言っていますが、釈迦本来の教えである原始仏教の哲学から、迷信まがいの呪文宗教になってしまっているように思います。勿論、それによって心の安らぎを得る方々いることは事実ですが、多くの宗教家と呼ばれる人の中には、権力を得る手段に使っているように見受けられます。釈迦の教えは、「4つの苦から逃れるためには、執着心を捨てなさい」ときわめてシンプルなものです。権力を握るということとは、真逆なのです。ただ、かつての研究者としては、執着心を捨ててしまうと、研究は難しい、ITの新しい技術は執着心から生まれたのではないかと、悩んでしまいます。


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