世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

琵琶湖の北東部は新しいものと古いものとが混在した観光地です

2007-10-07 10:30:30 | 日本の町並み
 天王山は、秀吉が光秀をやぶって天下取りを確実にした場所ですが、秀吉の後の天下を取り損ねた三成が秀吉に初めて会ったのは、秀吉が長浜城主の頃、長浜の北の木之本であったといわれています。今回は長浜から木之本にかけて琵琶湖の北東岸を紹介します。

 長浜は北陸線の駅として、かつては交流電化区間に属していましたが、京阪神のベッドタウン化が進み、京阪神からの新快速が乗り入れるため、直流電化区間に組み込まれています。また、長浜駅の琵琶湖岸寄りにはかつての長浜駅舎が保存され、現存最古の駅舎として鉄道記念物となっています。この駅舎は、連絡船との乗換駅として使われたもので、かつての東海道線や北陸線は長浜が終着で、大津との間を琵琶湖を走る連絡船で大阪方面と結んでいました。

 駅から数分のところに、かつての北国街道の名残の町並みが残っていて、その中の百三銀行長浜支店の跡を中心にガラス工房が集まった黒壁スクエアなる場所が出現してずいぶんとなります。

銀行の建物が黒の漆喰造りであったことからきた命名のようですが、全ての建物が黒漆喰というわけではありません。日本中何処に行ってもガラスの土産物屋が溢れている現在では、長浜とガラスという必然性もよくわかりません。ただ、なぜかこの一帯は観光客で溢れていることだけは事実のようです。

 黒壁スクエアは観光客でごった返していますが、それ以外の湖北地方は静かな農村地帯が広がっていて、あまり人影も見ないように思います。ところが、こんな所にこんな仏様がと思うような観音像が残されているのもこのあたりです。もっとも有名なものが高月町、渡岸寺(どうがんじ)の国宝十一面観音像で、平安時代の木造仏です戦乱の時代には農家や地中に埋めて守られたという言い伝えもある、土地の信仰と根付いた仏様だったようです。頭上の10面の化仏がかなり大きく造られていて、表情もはっきり見て取れるので、仏像に興味のある方は必見の仏です。

 渡岸寺以外にも、村はずれのお堂の中などに十一面観音や千手観音などの仏像が安置されているお寺やお堂がかなりの数残っています。十数年前にこの地方を訪れた時には、お堂の中の仏像を拝観するのに、その月の当番のお家に連絡をして鍵を開けてもらった記憶があります。入り口で拝観料を払って、説明のパンフレット片手に、収蔵庫に収まった仏像と対面するのとは、ずいぶんと異なった環境でしたが、観光ブームの昨今、今はどのようになっているでしょうか。

 十一面観音の11のお顔は、怒っているもの笑っているものなどもあって、仏様を作った仏師のデザインの見事さに引き込まれます。面が11あるということは頭脳も11あるわけですから、通常の仏様の11倍の処理速度があるのではないでしょうか。スーパコンピュータの中には、演算装置を数多く並べて、処理能力を高めているものがありますが、この基本構造は十一面観音にヒントを得たかもしれません。


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