世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

温泉天国の別府ですが、レトロな町並みの散歩もお勧めです

2018-10-14 08:00:00 | 日本の町並み
 かつての武庫離宮は現在須磨離宮公園となって神戸市民の憩いの場になっていますが、この武庫離宮は大谷光瑞の別邸の一つを買い上げて離宮としたものでした。大谷光瑞は、浄土真宗大谷派22代法主でしたが、宗教活動以外にもいろいろな面で活躍し、政治面にも手を染め戦後はソ連に抑留、帰国後も公職追放され、翌年に別府で没しました。その屋敷跡は、鉄輪温泉にあり現在は大谷公園となっているようです。今回は、温泉だけでない別府の顔を紹介したいと思います。

 
 
 
 別府はご存知、大分県の県庁所在地の大分市の北隣の温泉都市です。町の至る所に温泉が湧いていて2,300か所以上の泉源は全国の泉源数の1/10を占め一日の湯量12万㎘㎘も日本一を誇っています。別府に行くと地獄巡りのツアーバスがありますが、この観光バスを初めて運行したのが油屋熊八で、別府駅の正面に銅像が建っています。別府地獄めぐりは、間欠泉の龍巻地獄を初め血の池地獄、坊主地獄、山地獄、明礬地獄などを回るようです。別府の地獄は、作り物が多くて、何とはなしに不自然という評判もありますが、種類の違う泉源を見て回れるのは悪くないとも思います。観光バスの訪れる対象ではありませんが、市内には多くの共同浴場があって、なかなかレトロな風合いを残しています。

 レトロと言えば町中にレトロな雰囲気が残り散歩コースは大きく2種類あり、JRの線路の西側と東側に分かれています。山側の西側は山の手レトロ散歩、海側の東側は路地裏散歩というような名称で呼ばれているようです。

 
 
 
 山の手のコースのスタートは京大地球熱学研究施設です。大正年間に建てられたレンガ色の建物で、中央の塔に時計があれば京大本部の時計台記念館と似ています。京大地球熱学研究施設と道路を挟んで建っているのがB-CONプラザのグローバルタワーで、他ではあまり見かけないデザインのタワーです。巨大なジェットコースターの一部を切り取ったようにも見えます。このプラザのしきアルゲリッチ・ハウスで毎年開催されるのがアルゲリッチ音楽祭で、世界的なピアニストの名前を冠したコンサートです。ビーコンプラザの竣工時に別府市長が「世界に発信する場を」と伊藤京子を経由して呼びかけたのが始まりだったようです。そこから別府公園の西を南に、野口原五輪塔群、報国丸マストの遺構の南には聴潮閣がありますが、現在は閉館中で門などが見られるだけです。

 
 
 ここから東に向かうと公会堂の裏にでます。公会堂は昭和初期の建物で、途中でいろいろと手が加えられたようですが、2014年に当初のデザインに復元され、添乗の伝統や、廊下の突き当りのステンドグラスなどが目を楽しませてくれます。ここから、北に曲がり、駅の西口からの通りを横切って行くと旧野口病院本館です。大正年間に建てられた木造モルタルの2階建てで、東側の中央に赤いとんがり屋根の陶冶があります。現在病院は、他の場所に移転して、この建物は管理棟として使われているようですが、とても病院とは思えない素敵な建物です。

 
 
 一方の路地裏散歩は、別府駅の東口をスタートです。東口を海岸方向に少し行くと右手に駅前高等温泉があり、大正時代に建てられたレトロな建物が目に入ります。銭湯というより、小さなホテルかレストランのような感じです。さらに、海方向に歩き、海岸沿いの国道10号の近で南に入ると竹瓦温泉で、昭和初期に建てられたからは封を持つ堂々たる建物です。どこか、道後温泉の温泉本館の建物にも似ているような気がします。南に行くと、日本最古のアーケードの一つである竹瓦小路アーケードがありますが、行った時はシャッター通りの状態でした。

 
 
 
 
 アーケードを通り抜けて西に行くと松下金物店の看板建築があり、少し戻って南に折れると旅館の建物を転用した隠れ家カフェのアホロートルが古風なたたずまいを見せています。さらに南に行き一筋西の道には長寿味噌の昔風の店屋があり、筋向いには電話局を転用したレンガ色の児童館があります。旧電話局の角を西に入ると別府カソリック教会の建物があります。現在の聖堂は、フランスのルルドにある教会を模して1950年に建てられ、ステンドグラスも美しい教会です。庭には岩の祠にマリアの像があり、ルルドでマリアの出現があったことを象徴しているのでしょうか。

 温泉には、お湯だけでなく噴出ガスがつきものです。炭酸ガスだけでなく硫黄系の亜硫酸ガスや硫化水素が噴き出ている温泉も多いのですが、これらのガスは人体に有害なだけでなく、電子機器にも有害なのです。金属類が、これらのガスに触れると錆びてしまって、接触不良だけでなく電子回路が乗っている基盤を壊してしまいます。携帯やスマホなどが短時間にこれらのガスに触れるだけでは問題は無いのでしょうが、温泉地の住宅に置かれた電子機器では問題になることもあるようです。電子回路だけでなく、人間にもよくないと思うのですが、有毒ガスの濃度を検出するのも電子技術のセンサなのです。


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