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最上川の河口に回船問屋の栄光の遺構を残す酒田

2007-11-18 10:19:33 | 日本の町並み
 これまで二回にわたり三角形にゆかりの場所を紹介しましたが、3にこだわって3回目の三角形です。今回は三角形の屋根の連なりが面白い山居倉庫のある酒田市を紹介します。

 酒田市は山形県の北の端の日本海に面した最上川の河口に港町として発展した町です。さきの山居倉庫も、明治期に米の流通に伴い保管のために造られたものです。

山居倉庫の近くには、江戸時代に年貢米の運搬を一手に引き受けた回船問屋、旧鐙屋の屋敷の一部が残され公開されており、往時の繁栄振りを垣間見れます。かなりの広さがありますが、現役の頃は現在の数倍の広さの敷地があったそうです。その繁栄振りは井原西鶴の「日本永代蔵」にも描かれているようです。

 繁栄といえば、かつての豪商・本間家の邸宅と別荘も残されていて、別荘については、酒田の迎賓館として利用された後に、現在は美術館として公開されています。

回遊式の庭園と京風の和風建築はそれ自体が美術品としての価値があるように思います。本間家の繁栄振りは、「本間様にはおよびもせぬが、せめてなりたや殿様に」と言われ、殿様より羽振りがよかったということのようです。

 豪商の勢いを象徴する事件が、明治初期に起こった相馬屋事件で、料亭に集まった酒田の政財界トップクラスが宮中御宴と称する新年会を行って不敬罪に問われたものです。不敬罪に問われた理由は、集まったメンバが天皇、皇后、大臣に仮装し、菊の紋章を染め抜いた幕を張って宮中を模したということです。いったんは、酒田を代表する有力者のほとんどが投獄されましたが、証拠不十分ということで放免されたとのことです。事件の舞台になった相馬屋は、再建されて真っ赤な塀が華やかな相馬楼というお茶屋さんになっていて、舞娘の踊りを鑑賞しながらお茶が飲める場所になっています。

 山居倉庫は12棟もの倉庫が連なっていて壮観ですが、情報伝達に手間のかかった当時の流通の仕組みでは、無駄な貯蔵も多かったのではないでしょうか。米のように、生産時期が集中する場合には、消費との時間差を吸収するために、どこかで貯蔵する必要があるのはやむを得ないと思います。しかし、生産量をコントロールできる製品では、POSのように消費量をリアルタイムで把握するシステムを利用して、倉庫のスペースを極力少なくして、コスト削減が行なえるようです。


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