世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

「にごりえ」の舞台になった古い色街は再開発という名の暴力につぶれましたが、白山神社のアジサイ祭りは健在です

2020-10-11 08:00:00 | 日本の町並み
 地名の由来になる神石白石が地下で仙台まで伸びているとの伝説があるのが宮城県の白石でした。白い石というのは全国にあるらしく、白石という地名は北海道から九州まで分布しています。ただ読み方はシロイシとシライシとがあるようです。一方、雪が積もった白い山も各地にあるで、白山の地名は石川県の白山市を筆頭に100を超えるハクサンの、いやタクサンの白山があるようです。読み方はハクサンだけのようで、シロヤマやシラヤマというのは人名にはあっても地名には見当たらないようです。今回は、これらの白山の中から、東京の白山神社のおひざ元の白山の街並みを紹介します。

 
 
 
 白山は東京都文京区の小石川植物園の東側に南北に延びる白山通りの両側に広がる町並みです。白山神社は、石川県の白山神社の勧進を受けて10世紀に現在の小石川植物園のあたりに創建され、17世紀に後の将軍綱吉の館林藩邸が建てられることになり、東に移動して現在地に引越ししたそうです。白山通りと旧白山通りが分岐する三角形の、やや小高い場所に建ち、境内には富士塚もあります。富士塚というのは、神社やお寺の境内に小山を作り富士山に見立てたもので、富士山に登るのは大変なので、富士塚で行ったつもりにしたものです。東京には江戸七富士と呼ばれる富士塚が残り、そのうちの三か所が重要有形民俗文化財になっています。ただ、白山神社の富士塚はこの七つには入っていませんが、境内や富士塚を取り巻くアジサイは見事で、毎年6月に開催される文京アジサイ祭りでは三千株のアジサイの花が境内一面を飾ります。

 
 旧白山通りを」東に渡ったあたりにある円乗寺には八百屋お七の墓があります。西鶴の好色五人女によれば天和の大火で実家の八百屋が全焼し、菩提寺の円乗寺に避難、そこに出会った小姓と恋仲になったが、実家が再建されて戻るも、火事があれば小姓と再会できると放火したとされています。このお七の墓が菩提寺にあるというわけですが、西鶴の描いたお七は、あくまで創作で、史実はほとんど解らず、実家が八百屋であったという証拠どころか、彼女の実在も怪しいのだそうです。ただ、お七はその後の演劇界、文学界、最近では歌まで登場するくらいその存在に影響力をもったようです。似たような迷惑事件が谷中五重塔放火心事件で、幸田露伴の五重塔のモデルとなった塔が不倫の清算のための放火心中で全焼したもので、こちらは演劇にはなってなさそうです。

 
 
 
 
 円乗寺のある白山1丁目を旧白山通りの東の裏通りを南に行くと旧花街で、樋口一葉の「にごりえ」の舞台となった町並みがあります。ただ、筆者が訪問した13年前には元の待合の「松泉」や古めかしい床屋などの建物がのp凝っていましたが、この辺りは再開発が進んで町並みの様相はずいぶんと変わってしまったようです。せっかく繊細に合わずに生き残った町並みだったようなんですが、まだまだわが国では古民家の美しさに価値観を見出す人は少ないのでしょうか、美しさより銭勘定なのかもしれません。

 アジサイの色は、植えている土のpH地に左右されるといわれます。酸性土壌では、土の中のアルミイオンが溶けてアジサイに取り込まれ花色が青色になります。一方、アルカリ性だとアルミが溶け込まず花は赤色になります。もちろんアジサイの品種に左右されますが、品種の色合いにあったpH値の土に植えると鮮やかな色になります。アルミニュウムは、地球上の元素の中で酸素、ケイ素に次いで3番目に多い元素で、電気、電子分野でもよく使われる元素の一つです。銅に次ぐ伝導率を利用した電線や電子回路に欠かせないコンデンサーのアルミ箔、スマホなどに欠かせないリチュウム電池のケースは、その軽さからアルミが大勢を占めるようになっています。これだけ有用なアルミですが、アルミイオンは認知症の発症の原因の一つではないかとも言われています。