世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

近鉄奈良駅のすぐそばにある奈良女子大の記念館はレトロでかわいい建物が残されていました

2019-06-09 08:00:00 | 日本の町並み
 前回は初代天皇という神武帝が東国に向けて船出をしたという宮崎の美々津を紹介しました。向かった先は近畿地方の大和、奈良と思われますが、現在の橿原神宮のあたりでしょうか。天皇の祖先が九州からということから、邪馬台国との関連がどうなるのかですが、その邪馬台国を治めたのは女性の卑弥呼です。今回は、奈良と女性つながりで、奈良女子大の記念館を紹介します。

 奈良女子大は、近鉄奈良駅の北300mほどの所にあり、全国で2校しかない国立の女子大として東京のお茶の水と並ぶ存在です。1908年に女子高等師範学校として創設され、翌年に建てられた本館は現在は記念館として資料などが展示され、この記念館と守衛室および正門が重要文化財に指定されています。女子大ゆえに気軽には学舎を見学することはできませんが、春と秋に1週間ずつ公開され記念館の内部に入り、筆者が訪問した時には百年ピアノの演奏も聞くことができました。

 
 
 
 
 本館記念館は木造の2階建てで、表に面した柱の面を見せるハーフティンバー様式で、明治から大正にかけて各地で建てられた学校建築では、下見板張りと並んでよく見かける様式です。正面に妻面を見せる玄関部分や、屋上のとんがり屋根の塔も、どこかで見たように思います。内部はレトロな意匠が一杯で、天井を飾る模様も凝っていますし、下がっている照明も部屋ごとに違っています。廊下に置かれていた、スタンドもなかなかのものでした。

 
 2階は元は講堂として使われていたそうで、ステージの前には百年ピアノが置かれていました。ヤマハ(当時は山葉の表記だったようです)製で、大卒初任給の20倍ほどの価格だったそうですが、メンテナンスがよく、現在でも美しい響きを保っています。

 
 一方の守衛室も、本館と同じようなトーンで、八角形を3つと正方形を1つを組み合わせた、ちょっと複雑な平面構造をしています。卑弥呼の墓とされるものは諸説ありますが、そのうちの一つが奈良県桜井市にある前方後円墳の箸墓古墳ですが、守衛室の平面図はどこか前方後円墳に似ている?かもしれません。また、正門は本館や守衛室と同じような色合いの門柱の上に、切妻の赤い屋根が乗っていて、その上には丸っこい電球も付いています。大学の門というより、遊園地のゲートのような感じもして、なんともかわいらしい雰囲気です。

 ピアノは1年に1回は調律をする必要があると言われていますし、可動部分が多くあちこちが摩耗などして壊れる消耗品とも言われています。おそらく、百年ピアノもいくつかの部品を保守で交換されているのではないかと思います。ピアノの調律というのは、各弦の高さだけでなく、響き具合や鍵盤のタッチの調整など、奥が深いようです。数十年前まで叔父が調律の仕事をしていましたが、調律師になるための研修は大変厳しいものだそうでした。音の高さの基準は鍵盤中央のAの音、かつて放送の時報で使われていた440Hzの音叉が使われてきましたが、現在では使い勝手の良い電子式の発振器が使われるようです。ただ、ITが進んでも、鳴りの良さや鍵盤のタッチなどは、当分の間は人間ではないと判断できないでしょうね。