世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

お茶の水女子大は敷居が高く登録文化財の本館まで近づけませんでした

2019-06-23 08:00:00 | 日本の町並み
 国立大学の中で2つしかない女子大の一つが奈良女子大でした。今回はもう一つのお茶の水女子大を紹介します。どちらの大学も、周りを住宅やビルに取り囲まれて町並みの中に埋もれてしまいそうなキャンパスという共通性がありました。筆者は大学構内に新しくできた国際交流留学生プラザの解説記念の講演会に参加し、正門は入れましたが、門のすぐ右手のプラザへしか行けず、正門の奥にある本館などには近寄れませんでした。


 お茶の水女子大は1875年に開設された東京女子師範学校がその起源で、奈良女よりも33年も古い歴史があります。開校した場所が湯島聖堂のそばであることからお茶の水の名称がつけられましたが、関東大震災で焼失し、お茶の水界隈の敷地が手狭になったことから現在の茗荷谷に移転をしましたが、名称は旧来のものを引き続き使いました。新制大学となったのは奈良女と同じ年で1949年で、新制のお茶の水女子大学となりました。地下鉄丸ノ内線を茗荷谷で下車し、春日通を大塚方向に400~500mほど行くと左手に正門が見えてきます。右手の奥には筑波大の東京キャンパスがありますが、この地はもともと教育大があった場所で、教育大の前身の東京師範学校の頃は、お茶大の前身は東京師範学校の女子部だったようです。



 
 正門を入って正面の奥にあるのが、茗荷谷へ移転後すぐに建てられた本館で、登録有形文化財になっています。本館以外に、講堂、付属幼稚園の園舎そして通ってきた正門も有形文化財になっています。正門から本館までは、およそ100mほどですが、これが近づけません。本館の左手奥にある幼稚園は存在すら確認できません。コンクリート造り3階建てで、外壁にスクラッチ・タイルを張った本館の建物は茂った木々の間からかろうじて見える程度です。お茶大と言えば、付属の小学校で事件があったばかりなので、ガードが固くなったのかもしれません。

 
 
 本館を紹介できませんので、代わりに正門を入ってすぐ右側の国際交流留学生プラザについて紹介しましょう。隈研吾氏の設計ですが木製ではなくコンクリート造りの4階建ての建物で、今年の4月に完成しました。表参道にあるサニーヒルズの木製の格子をもっと細かくしたような、細長い外販が取り付けられていて、ちょっと普通の建物とは違った印象です。建物内には3つのパブリック・アートが飾られ芸大の日比野さんと子供たちによるタイル画や多数のイルカが円錐状に立ち上がるモニュメントなどが見られます。一階にはオープンカフェも作られ、外来者も利用できるようです。

 お茶大の前身は師範学校、つまり先生を養成する学校でしたが、現在ではIT企業などに数多くの卒業生を送り出しているのだそうです。どうもお茶大は理系女の一大生産拠点の一つなのかもしれません。そういえば、研究所に居た頃に先輩でお茶大を卒業した通信のトラフィックのオーソリティの方がいらっしゃいました。研究の内容だけでなく、人柄も素敵で、尊敬できる先輩の一人でした。一方の奈良女も理系でならしているようで、高校の数学の先生は奈良女で、テンポの良い授業で好きな先生の一人でした。どうも、理系女は理系男子(なぜか理系男っては言わないようですが)の中で勉強するより、女子ばかりの環境で勉強するほうがいいのかもしれません。