世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

特徴の少ない顔をしたマンハイムですが、宮殿と駅舎は再建とは思えない華やかな建物です(ドイツ)

2015-01-11 08:00:00 | 世界の町並み
 上海から高速鉄道で2時間足らずの揚子江のそばにある鎮江には、お寺の建築に混じってレンガや石造りの町並みが残っていました。この鎮江と姉妹都市を結んでいる都市の一つがドイツのマンハイムです。今回は、ドイツの商都フランクフルトの南、ライン川の右岸に位置する学園都市のマンハイムを紹介します。

 マンハイムは、フランクフルトから南に50kmほど、やはり学園都市のハイデルベルグの北西15kmほどのところにあります。同じようにフランクフルトの近くで、ライン川とマイン川の合流点にマインツがあり、ライン川とネッカー川の合流点に有るマンハイムとは名前も地理的環境も都市の規模も似ていて混同します。ただ、町歩きをすると、都市の顔は随分と違って、マンハイムはどことなく平凡で、どこにでもある都市といった印象を受けます。

 ただ、町の中心にあるマンハイム宮殿は、ヴェルサイユに次ぐ広さだそうで、中央駅も日本のどこの地方都市の駅より堂々として歴史を感じます。ただ、この駅舎は、戦後に再建されたそうなのですが、旧来のデザインを踏襲したそうです。新しいデザインでも、フランスのストラスブールのようなデザインなら美しいのですが、古い駅舎を何の迷いもなく破壊して、無機質で画一的な建物にしてしまう東洋の国の無神経さにはがっかりです。この国では、駅舎だけでなく、役所などの公共の建物も、再開発の名の下にまだ使えそうなものを破壊して、面白くない建物にしてしまう伝統があるようです。

 
 
 町の中心部に位置するバロック建築のマンハイム宮殿も、世界大戦で破壊をされて簡易版で再建された建物のようですが、その後にドイツを代表するソフト会社の寄付によって、外観は元の姿に近い形に修復されたそうです。内部は大学の施設としても利用され、一部が宮殿博物館として公開されていますが、階段や天井画など、修復とは思えない見事さですし、シャンデリアも綺麗です。宮殿の前には、カール・フリードリッヒの銅像が建っています。

 
 宮殿の近くにはイエズス教会があり、葱坊主のような鐘楼とドームが目立ちます。内部も白を基調として清楚な感じがします。

 
 このあたりは、川沿いに緑が広がっている場所ですが、路面電車で駅のほうに戻ると、その突き当りにも緑の多い公園があります。

 
 フリードリッヒ公園という名前ですが、噴水のある広場のそばには、大きな給水塔が建っています。1889年に建てられて、高さが60mもあるのだそうですが、東京の用賀や中野に建っている給水塔とどこか似ているように思いますが、東京のものがこの塔などのデザインを引用したのかもしれません。

 マンハイムで18世紀に創設された音楽集団のマンハイム楽派は、それまでは通奏低音であった伴奏を、現代のオーケストレーションに通じるメロディラインを装飾するスタイルに変革した集団と言われています。美しいハーモニーを作る音は、簡単な分数で表される周波数の組み合わせから構成されるものです。しかし、現代のピアノなどでは、音階の周波数を12乗根という無理数を使う平均律では、厳密には綺麗なハーモニーは得られません。ただ、平均律の概念が発明されないと、ピアノの鍵盤の数が数倍と実用に耐えられない数になっていた可能性があります。彫刻や絵画の分野での黄金分割など、芸術と数学とは不可分な関係なのかもしれません。