世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

台北近郊の九份は雨の夕方に訪れるとノスタルジックかもしれません(台湾)

2014-05-18 08:00:00 | 世界の町並み
 フランス南部の美しい村々は、すべて小高い丘の上にあって周りの眺望も美しいものでした。一方、お隣の台湾の台北の近くには、小高い山の中腹の斜面にノスタルジックな町並みがへばり着くように広がっています。今回は、台湾映画「悲情城市」のロケ地や日本の映画の「千と千尋の神隠し」のモデルにもなった九份を紹介します。

 九份は、台北から北東方向に、列車で40分ほどの瑞芳からバスで15分ほど山登りをしたところにあります。7年ほど前に行った時に公共輸送機関を利用するルートはこれだけのようでしたが、現在は台北からバスが直行していて本数も多いようです。7年前には、瑞芳駅近くのバス停で(バス停もはっきりした表示が無かった)いつ来るか判らないバスをひたすら待った記憶があります。

 
   
 
 町並みはT字型に伸びていて、往路のバスはTの左肩で下車をします。横方向にお土産屋や飲食店なのた町並みが伸びていて、Tの縦棒部分は階段で、やはり飲食店などが密集しています。通常は、帰路は階段を下りた先にあるバス停からバスに乗ることになります。階段の続く町並みは、ちょっと日本の伊香保温泉にも似ていますが、階段が細くてまっすぐでないので受ける印象が違います。この狭い階段の両側には、古めかしい建物が多く、店先に下がった赤いちょうちんも加わって郷愁を誘う風景を形作っています。

 
 飲食店の中には茶芸館がいくつかあって、美味しい台湾茶を飲ませてくれます。台湾でも中国でも、日本の喫茶店の感覚で茶芸館があり、コーヒーの代わりに烏龍茶などとお茶受けを出してくれます。茶という字にこだわるならば、日本でコーヒーしか出してくれない店は喫珈琲店とでも標記するべきかもしれません。日本茶にもたくさんの種類がありますが、中国茶には産地、収穫時期、発酵の度合い、形や付加する物の差異などで、一説には数千を超えるお茶が飲まれているといわれています。筆者は、台湾産で発酵度が浅く香りの良い凍頂烏龍茶が好きですが、後発酵まで加えて真っ黒で独特の香りがする普洱茶とは、同じお茶の葉を原料としてこんなにも違うものかと思います。

 
 九份へは、7年間に加えて昨年に2度目の訪問をしました。バスの本数も増えて便利になっていましたが、その裏返しで通りは観光客だらけ、日本人の姿も数多く見かけます。パッケージツアーの団体で観光バスでドッと押しかけた感じです。原宿や銀座と変わらず、ノスタルジーを感じている暇もありません。7年前は、雨の降る夕方に訪れたので、さらに観光客が少なかったのかもしれません。写真のうち人の多いのが昨年、ほとんど人が写っていないのが7年前です。

 雨模様の風景を楽しむには、天候をコントロールするのは難しいことが多いので、九份には夕方に出かけるのもいいかもしれません。ただ、最近は夕方4時頃に出発するバスツアーもあるらしく、以前のようなちょっと感傷的な風情を楽しむのは無理なのかもしれません。

 お茶の渋みは、茶葉に含まれているカテキンなどのタンニンのためです。ワインに含まれるポリフェノールやブルーベリーのアントシアニンも同類で、強い抗酸化作用がある食品とされています。このタンニンは意外な場面で役立とうとされ、海水中のウラン元素を吸着し分離する研究が進んでいるようです。海水中にはほとんどの元素が存在していますが、それを分離して利用できるようにするのがするのが難しく、タンニンを使う技術はその解決の一手法だそうです。IT分野で使われるシリコンも、地球上でありふれた元素ですが、こちらの場合は純度を100%近くまで精製しなければならない困難さがありました。原発の停止でウランへの風当たりはあまり良くはありませんが、海水中に潤沢にあるウランを精製できれば、エネルーの供給に明るい材料ではないでしょうか。