世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

コスモスの咲く花の国のある横須賀はペリーの頃から新しいものに縁のある町

2006-10-22 13:58:07 | 日本の町並み
 秋の青空にはピンク色のコスモスが似合います。コスモスは群生で栽培され、花も面的に広がって咲いているのが絵になるように思います。コスモス畑は首都圏にも数多くありますが、今回はこれらの中から久里浜の「はなのくに」とその周辺を紹介します。

 通常コスモスはピンク色のものを思い浮かべますが、久里浜の花の国にはキバナコスモスの方が多く咲いていています。

黄色というよりオレンジ色の花は、かなり派手で目立ち、ピンク色で可憐な感じの通常のコスモスとは勝手が違います。コスモスというと、さだまさしの作詞作曲で山口百恵が歌った秋桜(こすもす)を思い出しますが、この歌に歌われたコスモスはやはりピンクの少しひ弱げな花ではないかと思います。そういえば、山口百恵は久里浜のある横須賀市の出身でした。

 横須賀は遠くはペリーが来航した地であり、かつての日本海軍や現在の米海軍の基地など、軍艦とゆかりのある土地のようです。日露戦争の戦艦三笠も横須賀の三笠公園に保存係留されています。首都の東京に海からアクセスする門戸に位置するという土地柄なのでしょうか。久里浜の東、かつてペリーが来航したという浦賀には、2003年まで浦賀ドックという100年の歴史のある造船所がありました。現在は閉鎖され、レンガ積みの塀や、つたの絡まった建て屋が歴史を物語っているようですが、ちょっと寂しい感じがします。

旧浦賀ドックのすぐ近くに京急の浦賀駅があります。現在の京急は三崎口へ行く路線が人口も増えて、快特の運転本数も多いので本線のように思いますが、実は浦賀への線路が本線なのですね。

 この浦賀湾に、これまた歴史の長い渡し舟があります。なんと280年前の江戸時代から続いているそうで、現在は横須賀市営の渡し舟が運行しています。

久里浜の花の国から東に行くと、この渡し舟の西側の乗り場に到着します。一艘の船が往復していて、船がいない時はブザーで呼べば対岸から来てくれます。ほんの3~4分の船旅ですが、視点が変わってなかなか面白いものです。船で浦賀湾を渡った後に北進すると旧浦賀ドックのレンガ塀に至るという散歩コースになります。

 横須賀市は米軍の基地だけではなく、自衛隊の基地やその研究機関があり、さらに最近はYRPに数多くの研究機関が集まっていることもあって、市民の博士号保有率はつくば市と並んで全国有数なのではと思います。YRPの前身ともいえる電気通信研究所は、通信衛星の研究のため、首都圏に近くて、地上のマイクロ波の中経路が通っていない場所ということで建てられたようです。衛星で使われる電波の周波数がマイクロ波のものと近かったため影響を避けたのだそうです。

 東京から横須賀に向かうと陽光もさんさんとして、冬でも暖かいような感じがします。京浜急行が高速で走るせいもあって時間的な距離もさほど感じないようにも思います。研究機関が集中したのも、このような環境に支えられたのかもしれません。ただ最近の研究機関は、サービス分野のものも多く、都心から離れた良すぎる研究環境では、そのサービスを利用する環境とは乖離して、利用者にとって使いづらい成果を生んでいるのではないかと心配するのは筆者だけでしょうか。