世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

三渓園の塔の他に3つの塔めぐりも楽しい横浜

2006-10-08 14:01:14 | 日本の町並み
 今年の中秋の名月は10月6日でおとといでした、今夜は立待ちの月。お月見というとお団子と秋の七草のススキですが、このススキは七草の中で最も地味ですが秋を感じる草花ではないでしょうか。横浜の三渓園でススキと池と建物とが美しく調和をしていました。三渓園に入るとすぐに目にとびこむのが燈明寺から移築された三重塔ですが、

横浜港の散歩で目立つ3つの塔を含めて紹介します。

 ススキはイネ科の植物で、お月見の頃に見るススキは花ではなく、その実を見ていて、花はもっと暑い頃に咲き終わっているのだそうです。派手さの少ない、「これから枯葉の季節になるんだよー」と予告をしているような感じがする草のようです。ただ、このススキも箱根の仙石原など一面がススキの海になり、秋の陽光にキラキラと輝くと、それなりの派手さと自己主張を感じます。

三渓園のススキは内苑に他の秋の七草とともに植えられたもので、臨春閣と前庭の池とを背景にして秋のやわらかい光線の中で輝いています。

 三渓園は生糸で財を成した実業家、原富太郎が造園をした庭園で、当地の地名の三之谷から富太郎が三渓と号したことから園の名前となったようです。園内には、全国から古建築が集められ重要文化財だけでも10棟もあります。中でも目立つ建物は、門を入って池の向こうの小高い丘に建つ旧燈明寺の三重塔で、三渓園のシンボル的存在です。燈明寺は京都府の南端、JR関西線の加茂駅の近くにあった廃寺で、台風で壊れた本堂も三渓園に移築復元されています。三重塔は塔身が太くてずんぐりしたものが多いのですが、旧燈明寺のものはなかなかバランスが良くって見栄えがします。

一方の横浜港の近くの3つの塔は、かつて港に出入りをした船から目印となったようです。おのおのキング、クイーン、ジャックとニックネームで呼ばれ、個性的な形をしています。

 キングと呼ばれる塔は神奈川県庁のもので、

赤レンガの庁舎の上にどっしりと構える姿はキングの風格を感じます。

 次のクイーンは横浜税関の建物にそびえる塔で、

屋根が丸く、色合いも柔らかで女性的な優しさを感じます。ところが、裏話があって、当初の設計では県庁の塔より低かったものを、設計変更で4mほどかさましされたようです。やはり女王様は強いんですね。

 そして最後のジャックは横浜開港記念開館の角に建つ塔を指していて、

角張った細身の塔は天を突く感じから王子や召使をイメージします。細身で高く見えますが、他の塔の2/3程度で、身分相応なのでしょうか。

 最初にこのネーミングをした人はなかなかセンスがおありだったとお見受けします。

 キング、クイーン、ジャックといえばトランプですが、実はこのトランプという呼び名日本では常識ですが、本来は切り札を意味する言葉です。またカードの枚数はジョーカを除いて52枚が日本では常識ですが、スイスの氷河急行の車内で買ったものは36枚でした。これはヤスと呼ばれる遊びに使うもので2~5のカードが欠けています。日本での常識が、外国では当てはまらないのですね。10数年前日本でISDNによるディジタルファクスがようやく普及し始めた頃に、ヨーロッパの通信の展示会に参加する機会がありました。展示会のあちこちのブースでDigital FAXの表示があったので、ヨーロッパもデジタルに突入か!と思いました。ところが、これがとんでもない誤解でした。彼らの新製品というのは、符号化デジタル、回線アナログのもので、日本ではなんら目新しいものではないアナログの範疇の商品でした。漢字の国で文字の符号化に出遅れた日本は、逆に2次元情報をFAXで送るという技術で、世界の常識の先を行っていたんですね。