くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「動物の死はかなしい?」あべ弘士

2015-01-30 05:27:40 | 自然科学
 哲学的な本だと思っていました。
 いや、哲学的ではありますよ。でも、もっと自然科学的です。
 あべ弘士さんは独特の絵で人気の絵本作家さん。「あらしのよるに」などが有名ですよね。(映画化でやたらとかわいいキャラクターデザインになったのはショックでしたよ)
 「動物の死はかなしい? 元動物園飼育係が伝える命のはなし」(河出書房新社)。「14歳の世渡り術」のシリーズです。
 わたしはあべさんの文章は初めてですが、本文にも登場する小菅さんの本はちょこちょこ読んでいたので、旭山動物園の様子に親近感がありました。
 
 あべさんが飼育係になったとき、初めからスキルがあったわけではないんです。それまで動物関係の仕事をしていたこともない。親戚の鉄工所で働いていたそうです。
 なんていうか、自分の人生を振り返るあべさんの文章はすごくスピーディーで、どの時期でもいつも楽しそうなんです。
 つらいことだってあったでしょうに、リズミカルでいきいきしている。
 動物園というのは、当たり前ですが死と隣り合わせ。あべさんは死んだ動物を解剖することもあったそうです。死に至る要因を探るためには大切なこと。
 飼育係の仕事がうまくいかずに死を迎えてしまう動物もいるそうです。
 人気のある動物が死んだときには、新聞にも記事が載る。
 動物園、割とあちこち行ったり、本を読んだりしているのですが、目にするのは健康な動物ですからね。あまり死を意識したことはなかったように思います。
 歯医者で読み始めたら、あっという間に読んでしまいました。旭山動物園、行ってみたーい!

「異人館画廊」谷瑞江

2015-01-29 19:17:54 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 集英社オレンジ文庫、創刊。
 創刊ラインナップのトップを飾るのが「異人館画廊 贋作師とまぼろしの絵」です。シリーズ第二作。
 だから、一冊めとカバー装丁が若干違う! 本棚に並べるとちょっとかなしい……。

 でも、千景のツンデレぶり健在なのに、透真との距離がなんだか近づいていて、やっぱりおもしろかった。
 なんとっ、透真の元カノ登場!
 ということで、複雑な心境の千景なのです。しかも、その志津香さんがいい人で、千景は彼女に好意を持っています。
 
 今回のモチーフは贋作なのです。「ダンス・マカブル」と呼ばれる死神の絵が思わせぶりです。しかも、千景に脅迫状が届くわ、人混みで服を切られるわ、サスペンスフル。
 また、ある女性画家や不調の有名画家、よくない噂の画廊、自殺現場に残った赤く塗られた絵なども登場。
 小道具が秀逸な作品って、おもしろいんですよ。
 少し近くなった二人。自作ではもっと距離感詰まるかな。
 「青春と読書」に谷さんのインタビューも載っていました。
 贋作事件などを調べておもしろかったそうです。千景のことは「何よりもまず、普通の女の子じゃない女の子にしようと思いました。」とのことで、非常に納得です。
 でも、「予想を裏切るようなエンディングに挑戦してみたい」って、なんか怖いです(笑)。

「三人寄れば、物語のことを」上橋・荻原・佐藤

2015-01-28 05:28:21 | 書評・ブックガイド
 すごくおもしろかった。この本で三人の文学研究がずいぶん進むんじゃないかと思いました。
 上橋菜穂子・荻原規子・佐藤多佳子「三人寄れば、物語のことを」(青土社)。
 三人とも人気作家で、しかもものすごく親しい。会えばおしゃべりが止まらないという関係。それはこの鼎談からもすごく伝わってきます。
 
 上橋さんの「守り人」シリーズ文庫企画で行われたものと、荻原さんの「レッドデータガール」完結を記念したもの、さらに佐藤さんの新作を語り下ろして一冊にするという豪華な本です。
 ちょうど「シロガラス」を読んだあとだったので、上橋さんと荻原さんはそういうシーンが好きなのかー、とか、ハットリ(猫)が受けてる! とか、佐藤さんにとってはそういう感じなのかーと思いながら読みました。
 美音と有沙のシーンが「最初はまったく考えてなかった」というのも驚き。
 
 三人の話でちょっとおかしかったのは、男女が出てくると「みんなくっついてほしがる」と上橋さんが話すところですね。
 バルサとタンダ、新二と若菜ちゃん、泉水子と深行(これ読んでないけど)。
 あ、ネーミングの話も。「バルサがキャロラインだと絶対だめでしょ?」というところ、笑っちゃいますね。

 時期を変えて行われた鼎談ですが、同じようなことを言っていることもあるし、話しているうちに新しい発見も。
 三人の関係性も話しぶりから感じられます。
 とにかく上橋さんがよく喋る。
 ちょっとしたところに笑いを含むのは、やはり学生の前で話すことに慣れているからでしょう。
 そして、本の細かいところまでしっかり読んでいるのがわかります。
 佐藤さんはちょっとクール。荻原さんは穏やかな感じがします。
 物語に対しての思いや、自分の愛読した本、それぞれの作品を語るスタンスが、非常におもしろかったのです。

「桃のひこばえ」梶よう子

2015-01-27 02:13:33 | 時代小説
 待望の「御薬園同心水上草介」第二弾です。「桃のひこばえ」(集英社)。
 わたしが梶さんの作品を最初に知ったのが、前作「柿のへた」でした。
 御薬園同心という仕事、小石川養生所の人々、剣術に邁進する千歳という娘。こういうエッセンスがすごくおもしろくて、続きが出ないか楽しみにしていました。
 いやはや、この展開、驚きました。残り数ページで、千歳の縁談がすすむし、角造はやたらと柔らかくなっていてびっくり。水上さんのんきすぎです! と思っていたけど、きちんと構成されたドラマで、満足でした。

 ちなみに「ひこばえ」というのは脇芽のことのようです。
 御薬園の桃の木が倒れて、切り株から小さな芽が出た。それを選定して新しい木の命をつなぐのです。
 御薬園にやってきた見習い同心の吉沢角造。四角四面で融通のきかない彼を、園丁たちは「堅造」とあだ名します。そう、水上を「水草」と呼ぶように。
 何事にもきっちりしていて、相手にも厳しい吉沢ですが、アカザの影響を見抜いたり、ダイエットの相談にきた男に親身になってやったり、だんだん味が出てきます。
 妹の美鈴もいい。おっちょこちょいですが、明るくてさっぱりしている。二人の兄妹の絆を描いたのが「桃のひこばえ」なんです。

 蘭医の河島の旧友が現れる「清正の人参」もおもしろい。
 清正人参というのは、セロリのことだそう。加藤清正が騙されて持ち込んだといういわれがあるんですって。
 「あすぱらぐゅす」にも笑ってしまいました。「土筆のような形状をし、マツバウド、西洋ウドと呼ばれている」。
 小石川の御薬園、西洋から持ち込まれた植物もたくさんあるんですね。ローズマリーのようなハーブもあるそうです。
 
 とにかく心惹かれて仕方がないはさみを入手。誰彼となく自慢して、それなのに朝起きたらみつからなくておろおろする「くららの苦味」 、後添いとしてやってきた女の本心を感じさせる「相思の花」もおもしろかった。
 第三巻はあるのでしょうか。

「私の命はあなたの命より軽い」近藤史恵

2015-01-26 05:27:41 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 「私の命はあなたの命より軽い」(講談社)。
 軽い、というのは背後に重さを抱いていると思います。
 怖かった……。近藤さんらしい秘密を隠した緊張感のある物語です。

 出産を控えた遼子は、夫の克哉から海外赴任の話を聞かされます。半年ほどの予定ですが、子どもが生まれるときには日本にはいない。
 一人でその日を迎えることに不満を伝えると、大阪の家族のもとに戻って出産したらよいのではないかと言われる。連絡するとどうも母の歯切れが悪い。
 確かに遼子も、新築した大阪の家に好ましさを感じてはいません。
 帰ってからもなんとなくぎすぎすしたものが家族の間にあることを感じるようになります。
 特に妹の美和。高校生の彼女は、両親から愛され、素直で優しかったのに、不穏な雰囲気を見せることが気になります。
 家族が隠している秘密。自殺したという美和の親友。家について囁かれる噂。遼子を無視する旧友。

 そして、遼子は真実を知ることになります。美和は、中学生で妊娠し、堕胎していたのです。
 「命」について、遼子は思いまどいます。自分のお腹にいる子どもと、何が違うのか。
 両親は、自慢の娘だった美和を、育て方を間違えたと語ります。
 憤慨する遼子。なんとか美和を救いたいと思いうのですが、それでもまだ隠された事実が……。

 この小説、非常にセンシティブですよね。
「私の命」というのは、文脈からみて「私=美和」だと考えられます。
 同じように妊娠しながらも、姉は周囲から祝福を受け、自分は恋人を失います。さらに、信じていた両親や親友も。
 幼さゆえではありますが、彼女が抱える理不尽さが怒りに変わっていく。
 また、親友のみのりにしても、同級生の平原(弟)にしても、思考が幼いですね。
 「まだ希望も未来も具体的に思い描けない。小さな幸福の数々も知らない。だから簡単に絶望してしまうのだ」
 という考察がありました。自分の壁を乗り越えられない。彼ら自身にとっては過酷な状況ですが、周囲はさらにその被害を受けてしまうように思います。

 エンディングはさらに衝撃的な状況が知らされます。救いのあとにこれですか近藤さん! 
 克哉のことがなかなか語られないな、遼子にとって彼はもう視界の外なのかしら、と思ったときだったので非常にショッキングでした。
 瀬戸際のときに、ただひとり自分を信じ、助けてくれた姉。そんな彼女に裏切りともいえる行動をするのは普通ならば考えられないことです。
 「私の命はあなたの命より軽い」、その思いが美和から消えないのかもしれません。
 でも、わたしは思うんです。やっぱり、両親は育て方を間違えたのだ、と。

「少年の日の思い出」ヘッセ

2015-01-25 10:49:10 | 外国文学
 ヘルマン・ヘッセ、高橋健二訳「少年の日の思い出」。
 東京書籍国語教科書中学一年版です。教材として扱うのは三回めですが、読めば読むほど深みが感じられる作品ですよね。
 教科書展示会で他社の教材も読みましたが、ちょっと驚いたことに、同じ高橋健二さんの訳でも、表現が違うところが何カ所かあるんですよ。
 東京書籍は、全部「チョウ」で統一してあるのです。が、A社は数カ所「チョウチョ」になってる。「僕」と「ぼく」、「粉々」と「こなごな」のような表記も違います。
 まあ、たいしたことではないんですが。でも、与えるイメージは違いますよね。
 さて、今回読んでみて、「僕」にとって「チョウ=宝」である比喩が全体に散りばめられていることに、改めて気づかされました。もう自明のことなんでしょうけど、比喩として書かれる部分は全部チョウかエーミールを表現しています。
 わたしは後半から少年の気持ちを想像していって、最後に前半の伏線を読む授業をしているのですが、ほかのチョウではなくワモンキシタバを手にとっているところからも、クジャクヤママユを彷彿としたのではないかと感じました。
 ところで、図書室の蔵書に「おもしろ国語学習法」()という本を発見。パラパラめくっていたら、「少年の日の思い出」についてふれてあったのです。そこには、「ふうさんが」と……。
 ふうさんって、何者? なんか緊張感に欠けるんだけど、と一瞬考えてしまったわたし……。もともとは「クジャクヤママユ」ではなく「ふうさん蛾」だったってことですよね。

 ……ここまで、昨年書いてすっかり忘れていました。
 今年も一年生を担当しているので、同じようにやっていますが、生徒によって少しずつ提示の仕方は違うなと感じています。
 わたしは短篇小説は書かれていない部分をどう読みとらせるかを教えなければならないと思っているので、「僕」の家族構成とかエーミールの家を訪ねるときの気持ちとか考える時間をとります。
 コムラサキを見せにいくとき、エーミールから羨ましいと思われたいと読む子もいます。
 今年感心したのは、「僕」の話を背後で聞き続けている「私」の存在を読み取った子ですね。わたしは後半から授業をすすめるので、なおさら気づきにくいところです。
 短篇は細かいところからバックボーンを読み取らせなくてはならないのですが、わたし自身なかなか精読できずに終わってしまうこともあります。この作品は、読み重ねるほどに新しい発見があって、おもしろいと思います。

「シロガラス」1~3 佐藤多佳子

2015-01-23 21:16:22 | YA・児童書
 書店で初めて本を見たとき、なんだかガラス職人を目指す集団なのかと思ってしまいました。
 白烏、なんですね。作中にアルビノのカラス、フォーマルファウトも登場します。それに、舞台は白烏神社。
 中心になるのは、千里・星司・美音・礼生・有沙・数斗の六人。白烏神社の神事である子ども神楽をすることになっています。
 千里と星司はいとこ同士で、祖父は白烏神社の宮司。古武術の達人でもあります。美音は神社のごく近くに住む幼なじみ。
 礼生は千里とライバル関係にある男子。有沙は毒舌、数斗は勉強はできるけど音楽や運動が苦手です。
 雷の鳴る日、彼らが境内の「星明石」に触れたとき、謎の青い光に打たれて気を失ったことを皮きりに、どうやら超能力のようなものが発揮されるようになります。
 テレポーテーション、テレパシー、動物の気持ちが分かる、相手に言うことを聞かせる、頭の回転が早くなる、超能力をブロックできる。それぞれの能力は違いますが、力を使ったあと脱力してものすごく疲れることは共通している。
 誰かに触ると心の声が聞こえてくることに耐えられない美音。普通に勉強したいのに、そうできなくて困る数斗。
 そんなとき、フォーマルファウトの体をかりた「雪気」というオバケが現れて……。

 佐藤さんがファンタジーを描くとこうなんだなー、と思いました。
六人の子どもたちが思いがけない超能力に右往左往して、仲間としての絆を深めていく。
 戦隊ヒーローものを彷彿とするような場面もあり、
 さらに、この六人、ある人物の子孫としてこの力を目覚めさせたのですが、千里と星司の身内である真典と真行の兄弟にもその力があるような感じです。(彼らは自覚していませんが)
 三巻のラストで、なんとこの伝統ある神社に携わっていた祖先が○○○であることが判明! い、いいんですか、佐藤さん! あとどのくらいでエンディングを迎えるのですか? わたしにとっては、結構衝撃の事実でした……。
 まだ明かされないミズキさんと雪花の失踪、気になります。
 真行が舞うところ、篳篥を奏でるシーンがすごくかっこいい。あと、おじいさんもすてきなんですよ。
 六人のなかでは数斗が好きです。芯がしっかりしている。
 三巻までは続けて出版されましたが、続きはいつになるのでしょうね。

「吸血鬼のおはなし」八百板洋子

2015-01-20 05:24:59 | 雑誌
 月に一度、市立図書館から学校用に本の貸し出しサービスを受けています。わたし自身だと目を向けないような作品もあって、参考になります。
 今回の五十冊の中にあったのがこれ。八百板洋子・文\齋藤芽生・絵「吸血鬼のおはなし」(月間たくさんのふしぎ2009年3月号・福音館書店)
 繊細な挿絵と「吸血鬼」というモチーフに、何気なく読み始めたのですが、すごくおもしろい。
 八百板さんがブルガリアのソフィア大学で学んだときに耳にした「吸血鬼」の物語を紹介しています。

 トランシルバニアのドラクル候。領土を巡る戦いから、敵方に恐れられていたことが伝説化していく。
 これは、同じ大学にトランシルバニア出身の人がいて、ヴラド四世は英雄だと教えてもらったのだそうです。
 また、「青い炎の館」という物語も話してくれました。この吸血鬼は、自分の恋した人を守るために彼女から十字架を受け取り、自分の仲間たちにかざす。
 命を捧げてしまう吸血鬼の物語に、八百板さんは驚きます。
 美しい愛だけでなく、思いを寄せた娘の家を揺るがす死者もいます。屋根の上に乗って暴れるぶよぶよの革袋。孤独のまま死んだ若者の魂が、この世の愛を求めるのだろうと、語ったおばあさん。
 吸血鬼に恋した娘、ペストを患って亡くなっても母親のために妹を迎えにいく男、旅から帰った恋人が冷たい身体をしていてもそりに乗ってついていく娘……。
 吸血鬼の伝説は、蘇る死者として捉えられ、語られ続けているのです。
 そこに、「愛のおなはし」という側面を八百板さんは見いだします。

 怖さの中にもロマンチックな再話で、こういうタッチの本は好きです。自分でも持っていたい。
 ただ、「たくさんのふしぎ」って小学生くらいが対象だと思っていたので、ずいぶん大人っぽいようには感じました。

長井勝一漫画美術館に行く

2015-01-19 01:11:37 | 〈企画〉
 以前行こうとしたら月曜日休みの日だったので断念した長井勝一漫画美術館に行きました。塩竈市の生涯学習センターの一室です。
 確か「金魚屋古書店」で紹介されていたんですよね。
 白土三平とか長嶋慎二とか原画がたくさんありました。展示してあるものもあれば引き出しの中にあるものもある。林晴一とか近藤ようこの画がきれい。
 わたしは杉浦日向子の作品を見たかったので、うちわに描いたイラストに感激しました。
 また、年賀状も展示されていて、親交の深さが感じられます。
 杉浦さんは、1985年の年賀状に牛の上に乗る女の人を描いていました。「呑々草紙」のころみたいです。生活に大きな変化があったというような私信があります。 
 やりとりをしたお二人が、今はもうこの世にいないというのが、なんだか時間を切り取って目前にあるようで、不思議な感じがします。
 まんがに関わる本もたくさんあり、息子は「カムイ外伝」を読み始めていて、ちょっと意外。
 新しい本の挿絵が南伸坊さんで、長井さんを紹介するページにはまさにそこにある大きなポップ(?)そのものの絵があります。
 鬼太郎の人形や豆本もありました。

 そのあと有名な「すし哲」でお昼。わたし、読んでみたいと思いつつまだ手にとってないんですよ、「塩竈 すし哲物語」(レジ前で文庫売ってましたが言えませんでした……)
 メニューをみると、「すし哲物語」は3980円(だったと思います)。息子はまぐろ大好きなんですが、「まぐろ三昧」は六千円超えるよ! とても手が出ません。娘はいくらを3つ頼み、わたしたちの注文から好きそうなところを分けました。
 えびの澄まし汁もおいしかった! で、わたし、ふだんは好きじゃないうにがすごーくおいしくて、感激しましたよ。トロッとして。
 今度は子どもに分けずに心ゆくまで自分で食べたいと思ってしまいました(笑)。

 塩釜神社も行きましたよ。ちょうど神社が舞台の小説を読んでいたので(佐藤多佳子「シロガラス」)、ついあちこちに目が向いてしまいます。狛犬とか社殿とか。
 おみくじは「吉」でした。
 正面からだと石段を上るのは大変そうです。わたしたちは駐車場からだったのですぐでしたが、帰りに道路から見たら結構急なんですよね。

 あとはマリンゲートでわかめとか塩を買って帰ってきました。
 地方都市を歩くのが好きなのでおもしろかった。
 塩竈の駅を見て、数年前にバドミントンの県大会に来たことを思い出しました。懐かしな。
  「塩竈 すし哲物語」、探して読みたいと思います。「まんぷく仙台」にも載っていたはず……。どこにしまいこんだのでしょう。

「僕はお父さんを訴えます」友井羊

2015-01-18 05:54:04 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 単行本が出たとき、気になった一冊でした。
 友井羊「僕はお父さんを訴えます」(宝島文庫)。表紙カバーが印象深かったんですよね。でも、なんか自分でイメージできてしまって、そのときは読みませんでした。
 「スープ屋しずく」がおもしろかったので、他の作品も読みたくて。東京の八重洲ブックセンターで購入。近くの本屋でもむろん売っているのに! でも後悔はしない。

 中学生の光一は、同級生の沙紗(さーしゃ)から愛犬が瀕死の重体であると連絡を受け、その場に駆けつけます。
 急いで獣医さんに担ぎ込みますが、その甲斐なく死んでしまう。その死因は暴力だと言われ、光一は父のゴルフセットを思い出します。
 動物を殺しても器物破損。そのことを知っていた光一は、父を刑事事件で告訴すると決意するのです。

 司法試験を目指している敦さんがいい味を出しています。
 光一にしろ沙紗にしろ、ジュブナイルにはよくあるキャラクターだと思いますが、この敦さんと義母の真季さんはかなり独特ですよね。
 お母さんが失踪して、お父さんと二人暮らしの光一。だから、真季さんのような立場の人が現れたのは驚きました。
 こんな若い人と再婚したんだから、お父さんもかなり魅力のある人なのでしょう。ゴルフもするし、趣味は古書集めって、やっぱりかなり独特な気がしますが。
 
 常に中学生と接してはいますが、光一タイプはいそうでいない感じがします。先のことまで考えて動ける子、いいですよね。
 友井さんの作品、とても気に入りました。