くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「僕はお父さんを訴えます」友井羊

2015-01-18 05:54:04 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 単行本が出たとき、気になった一冊でした。
 友井羊「僕はお父さんを訴えます」(宝島文庫)。表紙カバーが印象深かったんですよね。でも、なんか自分でイメージできてしまって、そのときは読みませんでした。
 「スープ屋しずく」がおもしろかったので、他の作品も読みたくて。東京の八重洲ブックセンターで購入。近くの本屋でもむろん売っているのに! でも後悔はしない。

 中学生の光一は、同級生の沙紗(さーしゃ)から愛犬が瀕死の重体であると連絡を受け、その場に駆けつけます。
 急いで獣医さんに担ぎ込みますが、その甲斐なく死んでしまう。その死因は暴力だと言われ、光一は父のゴルフセットを思い出します。
 動物を殺しても器物破損。そのことを知っていた光一は、父を刑事事件で告訴すると決意するのです。

 司法試験を目指している敦さんがいい味を出しています。
 光一にしろ沙紗にしろ、ジュブナイルにはよくあるキャラクターだと思いますが、この敦さんと義母の真季さんはかなり独特ですよね。
 お母さんが失踪して、お父さんと二人暮らしの光一。だから、真季さんのような立場の人が現れたのは驚きました。
 こんな若い人と再婚したんだから、お父さんもかなり魅力のある人なのでしょう。ゴルフもするし、趣味は古書集めって、やっぱりかなり独特な気がしますが。
 
 常に中学生と接してはいますが、光一タイプはいそうでいない感じがします。先のことまで考えて動ける子、いいですよね。
 友井さんの作品、とても気に入りました。