くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「正しいパンツのたたみ方」

2015-01-17 18:38:19 | 工業・家庭
 スカイランタンに参加しました。朝井リョウさんの作品「世界地図の下書き」で読んでから、ずっと気になっていたんですよね。
 会場は結構混んでいて、受付もずいぶん並んでいました。初めはただ見るだけのつもりだったのですが、打ち上げ開始直後でふわふわ浮かび上がっていくランタンが幻想的で、つい飛ばしてみたくなりまして。
 ランタンは下部にひもでくくったダンボールがついている感じ。ただライター持って行かなかったので困っていたら、ボランティアスタッフさんが手伝ってくれました。
 風が強くてなかなか膨らまず、いったん手を離してみたら地面すれすれにしか動かない。(だから、結構危険なんです)
 低い位置で押さえる方が膨らみやすいと教えてもらって、なんとか飛ばせましたー。
 その後風がまた強くなって一時中断してましたが。
 
 で、この日の夜ご飯は、作っておいたカレーと春巻きの皮ピザ。トッピングは子どもたちにしてもらいました。
 なんとなーくでも、小学生あたりから食事づくりにかかわることは必要と思うので時々参加型調理にはしてます。本当にちょっとなんですけど。

 で、わたしはというと、家庭科は大の苦手でした。通知票の評価なんて惨憺たるものです。まあ、パジャマのボタンホール逆につけたりしたので仕方ないんですが……。
 でも、大人になると手芸も料理もそれなりにはできるようになりました。その下地は、やはり家庭科の授業にあると思います。実技教科大切ですよ。

 ということで、岩波ジュニア新書「正しいパンツのたたみ方 新しい家庭科勉強法」です。著者は、大阪で家庭科教師をされている南野忠晴先生。
 このタイトル、結構気になりますよね。でも、岩波ジュニアではかなり上位のベストセラーなのです。

 南野先生の同僚が、洗濯物をたたむと、奥さんからパンツのたたみ方が違うと文句を言われるそうなんです。
 ずぼらなわたしからいえば、別にどんなたたみ方でも、ちゃんとしてくれるんだからいいじゃない? と思うんですが、結構こういうことでしこりになるカップルもいるんでしょうね。
 南野先生がこの本で語る授業テーマは、家族です。
 家族について学びながら、コミュニケーションツールを学びます。
 家族は、小さな社会。同じ教室にいながら、求めるものはずいぶん違うはず。
 
 授業はグループワークを行ったりして、すごくおもしろいです。
 ランキングが楽しそう! 多数決をしない、納得いくまで話し合うって、コミュニケーションでは大事ですよね。
 わたしも道徳などに活用してみます。

「迷宮ヶ丘六丁目」日本児童文学者協会・編

2015-01-17 05:05:14 | YA・児童書
 児童向けの怖い話「迷宮ヶ丘」シリーズ(偕成社)。六丁目は「不自然な街」。
 濱野京子「しあわせな家族」は、通学路の途中にある空き家に惹かれる女の子の物語です。姉はアキナ、妹はハルナ、真ん中の自分だけミユウ。外見も二人とは違う美優は、がさつな家族が嫌だと感じています。ピアノも習いたいのに反対されて、不満を溜め込んでいるのです。
 ふと空き家に行ってみたら、いつの間にか素敵な家族が住んでいて……。
 伏線がしっかりしていて、「兄」である拓哉の悔恨が伝わってくるのがいい。家族のことを思い切ったはずなのに、四年経ってそのような思いをさせたくはないと思ったのでしょう。

 伊藤美香「不自然な街」。カバーには電車のシートに坐る市松人形が描かれます。目が青く澄んで、ガラス玉なのだろうと予想するのですが、中を開くと彼女の目に瞳がある。
 人形は、電車で試合に向かっているはずの耕也に語りかけてきますが……。
 救いがないのが、怖い。
 お好み焼きを作る人形が楽しそうであっけらかんとしているのがまた怖い。

 如月かずさ「教科書の精」は、読み聞かせで盛り上がりそうな話ですよね。教科書に落書きをしたものが、次の日には消えている。ムキムキの紫式部もサングラスの聖徳太子も、きれいに消されています。
 意地になってボールペンで書いてみると、なんと「呪うぞ」と書かれ……。
 実はこの教科書、ミラクルな力があったのです。
 明るいエンディングにふふっと笑ってしまいます。

 次郎丸忍「奇跡の子」。これ、好きです。他の人からの視線や囁きにつらい思いをしている「わたし」。何度となく危険な状況を回避していることから「奇跡の子」と噂されるのです。
 窓から落ちてきた花瓶や、ガラスに当たったボール、登校中靴ひもを結んでいるうちに突っ込んできたワンボックスカー……。
 彼女を守っているものとは? 夢で車の運転をしている理由は? 何かが起こりそうだけれど友人を守りたいと思う「わたし」は社会科見学に参加します。
 少女のひたむきさが素敵です。

 そして!
 眉村卓「決めるのは本人だ」。ベテランの味です。すごくドキドキします。大御所なのに、今の子どもたちにも近い世界を描き出せるのはすごい。
 苦手な同級生の言葉に苛立った一輝は、シャープペンを彼の背中に突き立てます。怒った彼が出したナイフが、胸に刺さったとき、異星人のテレパシーが聞こえてきます。
 危険に遭遇した生物個体の考えを知るために、今から様々な世界に放り込む。どの世界にいるのを選ぶのか。決めるのは本人だ。
 まず、「ボエーボエー」とほえるバズラに追いかけられるスリンになる世界。
 バズラにしてもスリンにしても、説明がほとんどないのに伝わってくる。
 次は二重太陽の世界で、砂漠に放置されたエルルミオン族の男が、自分が処刑されるきっかけとなった第一王女のことを思います。
 とにかくすごいイメージ喚起力。このドラマをちゃんとした短編で読みたいよ! (子どもたちならゲームですかね)
 観念的な部分もありますが、さすがと唸りました。

 スカイエマさんの挿絵に惹かれて借りてきたんです。満足いたしました。
 でもエマさん、バズラの絵まで描いちゃうのは驚きでした。こちらも、さすがです!