つい先日リライト版を読んだところなのですが、つい興味を感じて借りてみました。
小野不由美「悪霊になりたくない!」(講談社X文庫)。「ゴーストハント⑤鮮血の迷宮」の元版です。
どこがどう違うのか。
それを確かめながら読んでみました。小野さんはどういう点を直したかったのか。
まず全体的な傾向としては、「」が消えていますね(笑)。「ありがとう」「はぁい」「開けて」という台詞があるけど、リライトでは取ってある。これは具体的なマークであることもありますが、物語全面が少女向きから一般向けに訂正されているからでしょう。
同様に台詞も直してあります。元版では「あれ?」とひっかかるような表現が何回かあったので新版を見ると訂正してある。今回の一番は大橋さんかな。政治家のもとで働く人にしては
「部屋はここでよろしかったでしょうか」
とレストランのマニュアル敬語みたいな変なことを言う。
そう思って新版を確かめたら、
「部屋はこちらで事足りますでしょうか」となっていました。
ぼーさんと安原さんがゲームについて語る場面もカットされています。安原さんは「DQ」か「FF」の新作が出ていたら大学に受からなかったかもなんて言ってる。
林さんが香港出身ってところは、「中国の方ですか」「そのうち中国に戻りますね」「香港のご出身?」「ええ」となっています。言われてみれば、香港が中国に返還されていなかった頃なのですね。今の知識で読むと齟齬が出そうな気がします。
ちょっと見ただけでも、あちらこちら直してあります。二十年の歳月で、やっぱりものの見方が変わっているのでしょうね。現在の視点で二十年前のことを語るのと、当時の視点でそのとき現在を描くのは、やはり違うのだと感じました。
そうそう、仏教系大学についての話題もおもしろいですねー。これはリライト版にもありますが、花祭りの日に学食では甘茶が出る等、実際にそういう大学に在籍したから出るネタだなーと感心しました。
井村さんの読経は高野山での修行によるものではないとか、三橋氏は中国の導師のような扮装をしていた人だとか、そういう霊能力者にまつわるエピソードは、リライトでずいぶん増えています。
さらに、元版では「二笑邸」となっていたものが、「二笑亭」に直っています。わたしの借りた文庫は三刷ですが、誰かが鉛筆で誤字を訂正している……。
「二笑亭」について、気になったので調べてみたら、東京に昔あった「いきあたりばったりに近い増改築を繰り返した家」なんですってね。ウィンチェスター家は観光名所になっているという話も聞きました。
では、旧版から削除されたものはというと、建物の廊下が傾斜している場面ですね。五度、二十メートルに及ぶ長さだそうです。麻衣たちは水準測定器で計るのかとげんなりしていますね。
あと、慈善病院のほかの施設。まどかがこう報告しています。
「養老院や孤児院、結核療養患者のサナトリウムなんかがあったそうよ」
もっと細かく見ればいろいろあるのでしょうが、一言一句比べるのもどうかと思うのでこんなところで。
もう一冊借りてきているのですが、そのリライト版をまだ持っていないので、買いに行かなくては。
小野不由美「悪霊になりたくない!」(講談社X文庫)。「ゴーストハント⑤鮮血の迷宮」の元版です。
どこがどう違うのか。
それを確かめながら読んでみました。小野さんはどういう点を直したかったのか。
まず全体的な傾向としては、「」が消えていますね(笑)。「ありがとう」「はぁい」「開けて」という台詞があるけど、リライトでは取ってある。これは具体的なマークであることもありますが、物語全面が少女向きから一般向けに訂正されているからでしょう。
同様に台詞も直してあります。元版では「あれ?」とひっかかるような表現が何回かあったので新版を見ると訂正してある。今回の一番は大橋さんかな。政治家のもとで働く人にしては
「部屋はここでよろしかったでしょうか」
とレストランのマニュアル敬語みたいな変なことを言う。
そう思って新版を確かめたら、
「部屋はこちらで事足りますでしょうか」となっていました。
ぼーさんと安原さんがゲームについて語る場面もカットされています。安原さんは「DQ」か「FF」の新作が出ていたら大学に受からなかったかもなんて言ってる。
林さんが香港出身ってところは、「中国の方ですか」「そのうち中国に戻りますね」「香港のご出身?」「ええ」となっています。言われてみれば、香港が中国に返還されていなかった頃なのですね。今の知識で読むと齟齬が出そうな気がします。
ちょっと見ただけでも、あちらこちら直してあります。二十年の歳月で、やっぱりものの見方が変わっているのでしょうね。現在の視点で二十年前のことを語るのと、当時の視点でそのとき現在を描くのは、やはり違うのだと感じました。
そうそう、仏教系大学についての話題もおもしろいですねー。これはリライト版にもありますが、花祭りの日に学食では甘茶が出る等、実際にそういう大学に在籍したから出るネタだなーと感心しました。
井村さんの読経は高野山での修行によるものではないとか、三橋氏は中国の導師のような扮装をしていた人だとか、そういう霊能力者にまつわるエピソードは、リライトでずいぶん増えています。
さらに、元版では「二笑邸」となっていたものが、「二笑亭」に直っています。わたしの借りた文庫は三刷ですが、誰かが鉛筆で誤字を訂正している……。
「二笑亭」について、気になったので調べてみたら、東京に昔あった「いきあたりばったりに近い増改築を繰り返した家」なんですってね。ウィンチェスター家は観光名所になっているという話も聞きました。
では、旧版から削除されたものはというと、建物の廊下が傾斜している場面ですね。五度、二十メートルに及ぶ長さだそうです。麻衣たちは水準測定器で計るのかとげんなりしていますね。
あと、慈善病院のほかの施設。まどかがこう報告しています。
「養老院や孤児院、結核療養患者のサナトリウムなんかがあったそうよ」
もっと細かく見ればいろいろあるのでしょうが、一言一句比べるのもどうかと思うのでこんなところで。
もう一冊借りてきているのですが、そのリライト版をまだ持っていないので、買いに行かなくては。