くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「ぼくはアホウドリの親になる」南俊夫

2018-12-04 04:35:04 | 自然科学
 図書館の新着コーナーにあったのに、出版は三年前。その後、ユキちゃんとイチロー君にひなは生まれたのかしら?

 南俊夫「ぼくはアホウドリの親になる 写真記 ひな70羽引っこし大作戦」(偕成社)、監修は山階鳥類研究所です。
 南さんはわたしと同年代。ダイビングと写真をされているそうです。聟島にアホウドリを移送する計画があることを知り、自分自身でひなを育て、飼育の様子を記録して本にまとめたいと参加しました。
 聟島にひなを運んで、そこで繁殖させていく。一言で言うと簡単そうでしょうか。
 でも、親鳥はいないので、人の手で育てるしかないのです。餌は魚をすりつぶしたもの。くちばしを広げて、そこからチューブのように流し込みます。保定しようとすれば攻撃されるし、なかなか難しいのです。
 そんななかでつがいになったのが、イチロー君とユキちゃん。
 イチロー君は聟島で育ったひな。しかも、足環の番号はY-1です。ユキちゃんは他の島で生まれたようですが、聟島にやってきました。
 だけど、暖め続けた卵は無精卵だったのです。

 アホウドリといえば、長谷川博さんの本が思い浮かびます。南さんも、長谷川さんの本を読まれたり、出版にあたって写真を提供してもらったりしたそうです。
 かつて長谷川さんの本で読んだ聟島への移転計画が、こうして実を結ぶ姿を知ることができておもしろいと思いました。

絶滅動物関連

2018-09-28 05:58:30 | 自然科学
 この夏、絶滅動物に関する本を三冊買いました。
 「わけあって絶滅しました。」(ダイヤモンド社)。「ざんねんないきもの事典」の系列です。(よく見たら出版社は違います)
 滅んでしまった動物の一人語りで、絶滅の理由が紹介されています。
 リョコウバトだと、こんな感じ。

 ヤッホー☆平和のシンボル、ハトだよ!(中略)
 数が多すぎたせいで、てきとうに撃っても何羽かかならず当たってしまったの。それで肉や羽毛目当てに、一日に20万羽も狩られるようになっちゃった!
 うちらも増えすぎたと思うけど、人間もやりすぎだよねー。

 小中学生には親しみやすいかもしれません。(レポートの参考にするには幼いかな)

 「絶滅生物図鑑」(雷鳥社)。美麗なイラストと分かりやすい説明に心引かれます。
 取り上げられる動物はかなり重複しているのですが、絵のタッチや説明がグッと一般的になってくるので、この二冊を抽出して読んだら違和感があるかもしれません。
 再び、リョコウバトは、こんな感じ。

 リョコウバトは鳥類史上、もっとも多くの個体数ーなんと推定50億羽ーを誇っていた鳥です。北米大陸の北東部から南部へと、大群となって移動を繰り返していました。(中略)
 大量虐殺は50年以上続きます。1850年を境に個体数は激減し、1904年野生種が絶滅。(後略)

 さらに、ブックオフにて「地球 絶滅動物記」(竹書房)を発見。
 今泉吉典監修! 今泉忠明著! 四千円するけど、これは買いでしょう!
 発行が二十年も前で相当古いですが。じっくり読んでいきたいと思っております。

「トリノトリビア」川上和人

2018-09-19 06:52:15 | 自然科学
 仙台出張のバス待ち時間で購入。川上先生の新刊「トリノトリビア」(西東社)です!
 マツダユカさんの四コマと解説の見開きセット。最近売れてる「ざんねんな」シリーズの土壌を狙っているのでしょうか。
 ところが、川上先生らしい文体じゃないページも結構あって、少し児童向けに書いているのかなーと思ったら。
 いやー、川上先生の執筆は三分の一で、あとお二人担当されている方がいました。まぁ、全文書いてたら時間足りないでしょうからね。
 ちょうど授業でスズメの減少について扱う題材を扱っているため、野鳥のトリビアはおもしろいです。スズメのほっぺのあの黒字丸は、大きいほどモテるらしいよ! 水浴びのあとに砂を浴びるっていうのは、なんか見覚えがあります。砂を消化に使うのも、聞いたことが。
 カラスも時には絶滅するとか、ハヤブサはタカよりもインコに近縁とか、いろいろな雑学が入っていました。
 駅ナカ書店では初版ミニファイルつき! と宣伝があって、こちらで買うべきだったか! と衝撃を受けましたが、わたしの買った本にもついていました。よかった。
 

「スイカのタネはなぜ散らばっているのか」

2018-08-28 07:40:41 | 自然科学
 8月上旬、息子の三者面談がありました。
 階段を上って踊り場で足を止めると、図書室のインフォメーションがあります。
 春先は「本屋大賞」の歴代図書が司書さんのコメント入りで紹介されていました。
 司書さんは、息子の友達のお母さん。今回は、新着図書情報でした。
 そのなかでわたしが読みたいと思ったのが、「スイカのタネはなぜ散らばっているのか タネたちのすごい戦略」(草思社)。稲垣栄洋、絵・西本眞理子。
 さっそく図書館で借りてきました。
 タネというのは、とにかく自分のエリアを広げて芽吹く使命があるのだなと思わされました。
 栄養分にあたる部分が、それぞれの植物で違う。米、大豆、林檎の例が印象的です。
 南瓜の果肉が残っていると、発芽が制限されてしまうというのも驚きました。
 だって、南瓜なんて畑の端っこにも自然に生えてくるものでしょう?
 果肉に、発芽を妨げる物質があるのだそうです。
 その他にも、種の外側を硬い殻が包んでいるもの(梅とかアーモンドとか)も多いと感じました。
 意外だったのは、みかん。接ぎ木で増やすので、タネが入っているのは、他の柑橘類と受精したものだそうです。
 わたし、給食に出たみかんを植木鉢に埋めたら芽を出したことがあるけど、こういうの新種なんですかね?(十五センチくらいで枯れました)
 子孫を残すために植物が工夫していることがよく分かりました。
 息子にもおすすめしておきたいと思います。わたしはもう返したので、学校から借りてきてね。

「気がつけば動物学者三代」

2018-08-26 11:36:56 | 自然科学
 書店で見つけてたら買うのに! 先に図書館で見つけたので借りてきました。
 今泉忠明「気がつけば動物学者三代」(講談社)。 
 お父さん(吉典さん)の研究の手伝いをしているうちに、様々なプロジェクトに参加して「イリオモテヤマネコ」や「ニホンカワウソ」の写真を撮ったり生態を調査したりするようになります。
 読んでいて印象が強かったのは、標本づくりの大切さです。
 今はカツオブシムシを使ってつくるという話がおもしろかった。
 科学博物館にある標本は、世界のものと比べると数が少ないそうです。 
 アメリカでハイウェイを走っているとき、余りにもひかれた動物の死骸が多かったので標本にしたいと思ったものの、頭蓋骨が破壊されていることから断念したといいます。
 おもしろいんですが、読んでいるうちになんだかこのエピソード知ってるんだけど……というものが多くて。
 冷静に考えると、以前同じコンセプトの本を読みましたよね。「ボクの先生は動物たち」。 
 さすがに本書ではお父さんのことを隠していません(笑)。
 最近監修の仕事も多くてそのために勉強をしているとか、七十過ぎても現役でフィールドワークに出かけていくというお話も、わくわくしますね。
 

「外来生物図鑑」加藤英明

2018-08-05 17:12:28 | 自然科学
 「鉄腕ダッシュ」のコーナー「グリル厄介」に登場する加藤先生、個性的ですよね。
 ネットで「学研の外来生物図鑑」を検索したら、関連性本として加藤先生の「危険SOS 外来生物図鑑 知る! 見る! 捕まえる!」(世界文化社)が紹介されていたので、書店で購入致しました。対象年齢はどう考えても小学生(男子)なんでしょうが、仕方ない。わたしは絶滅関係の書籍をコレクションしているので、買わざるを得ません。
 どきどき入る加藤先生の捕獲エピソードはいらないかな……。「ハンター加藤」あんまり似てないし(ごめんなさい)。多分、テレビなら動きがあっておもしろいのでしょうが、まんがなので同じように感じてしまうのです。

 「ダッシュ」に出てきたプレコやクララ、グリーティングイグアナ、タウナギ、ウシガエル。
 ニュースで取り上げられていたヌートリア。
 話題にのぼるオオクチバス、ミシシッピアカガメ、フイリマングース、ヒアリといった外来生物が、危険度やデータ、クイズなどで紹介されています。
 加藤先生が「捕まえる」の専門家のためか、他の図鑑とは一味違う「ハンターレベル」というのも。レベルが4段階で表示されているのですが(例えば、プレコはレベル2、クララはレベル3)、レベル4は個人での捕獲が禁止されているものです。
 鳥獣保護法や、毒、狂暴な性質などによります。
 ヌートリアは、このレベル4にあたります。ニュースでは市役所の職員の方を取材していたような記憶がありますが、トンネルを掘る性質があるので、川の近くの建築物件はいつの間にか地下が空洞になっていて、いつ陥没するかわからないと伝えていました。
 外来生物については、五箇公一「外来生物ずかん」(ほるぷ出版)も読みました。
 固有種(例えばニホンイタチ)が島嶼部に持ち込まれるのも問題になっているそうです。
 

「生物部な日々」枡太一

2018-07-03 20:25:33 | 自然科学
 高校生になった息子が、科学部に入りました。
 同級生は三人。何をやっといるのか詳しく聞いていませんが、先日はジオパークの職員の方にお話を聞いたり、地区の総合文化祭に出席したりしていました。地学、化学、生物、物理に別れて活動するらしいです。
 わたしなら断然生物! なのですが。
 ということで、昨年買ったまま職場に置き去りにしていたこの本、息子の部活の参考にならないかなーと読みはじめたら、おもしろくて、つい最後まで一気読みです。
 「理系アナ枡太一の生物部な日々」(岩波ジュニア新書)。
 枡アナ、東京湾でアサリの研究していたの、知ってます!(「鉄腕ダッシュ」で知りました。この番組についても文中で触れられています)
 中高生だったときは、西表島に行ったり、学校近くの公園の標本調査をしたり、文化祭でジオラマ作ったりしていたそうです。
 好きなのは、蝶!
 ヘッセの「少年の日の思い出」の描写が心に残っているとか。
 文学好きで数学が苦手。でも、東大の理系にすすみます。
 樹脂標本を作るエピソードがなんか好きです。
 枡さんは、自分が研究者として活動するよりも、それを伝える仕事をしたいと考えてメディアの世界に入ったそうです。
 その楽しさ、ばっちり伝わってきましたよ。
 ということで、息子にこの本渡してきました。何か手がかりがみつかるといいなあ。

「美しい鳥 ヘンテコな鳥」

2017-11-03 22:26:49 | 自然科学
 「美しい鳥 ヘンテコな鳥」(笠島出版社)というタイトルだけでも、なんだか川上さんらしいと思いません?
 書店で見つけて購入してしまいました。つい先日まで鳥には特に関心があったわけでもないのですが。(絶滅関連のアホウドリ、コウノトリ、トキなどの本は読んでいました)
 川上さんって、ほんの百字程度の文章でも本当に彼らしいのですよね。標題もまたおかしい。最初のシロアジサシなんて「威嚇しても可愛いだけだぞ」。ワライカワセミ「目は全然笑ってないね」。ヒメヤマセミ「この短足は長所ですから」。
 そして、「サミーって知らないかな」に、げらげら笑ってしまいました。アオカケス! しかも、解説文には「市街地から山地まで広く分布し、人々に親しまれている。メジャーリーグのトロント・ブルージェイズは、まさにこの鳥の名を冠している。他の鳥の鳴きまねもうまい賢い鳥である」とあって、一切「サミー」に触れてはいません。
 サミー、知ってます? 「やまねずみロッキー・チャック」に出てくるおしゃべりなカケスです。
 一応夫(四才上)に聞いてみましたが、覚えていないとのこと。
 川上さん、やっぱり面白い。
 著作をネット注文してしまいました。でも、多分息子に貸したまま彼の本棚に並ぶのだろうなと思うのでした。
 先に読むのはわたしだけどね。

「外来鳥ハンドブック」

2017-10-23 05:57:13 | 自然科学
 なぜ今までこの本に気づかなかったのか。絶滅動物に関心のあるわたしとしては、外来種問題にも幅を広げて読んできたのですが。
 この本、欲しいです。「外来鳥ハンドブック」(文一総合出版)。文・川上和人!、写真・叶内拓哉。
 こんなハンドブックでも、川上先生絶好調(舌好調?)! 
 扉を開いて二ページめのタイトルは「外来鳥とは? 外来鳥ですが、それが何か?」。
 ニワトリでは「首なしチキンのマイク」の話題、ヤマドリでは「日本の国鳥の座をキジと争った歴史があるが、『桃太郎』によって有名になったキジに軍配が上がりあえなく落選。『山鳥』という特徴のない名前も悪かったのではないだろうか」、隣ページのコウライキジでも「桃太郎」のネタが続いていて「絵本では在来キジではなく、本種を連れていることがたまにある」とあります。
 ハンドブックとは思えない記載でしょう?
 様々な鳥が紹介されています。その外来種がどこで確認されたかを日本地図にマークしてあるのですが、結構宮城県にも飛来しています。キタキンランチョウ、ベニスズメ、ガビチョウ、カササギ、バリケン……。
 宮城にはラムサール条約の伊豆沼・内沼、蕪栗沼などがあることも関わりがあるでしょうか。そろそろ冬の渡りの時期。見に行ってみようかなー。
 鳥インフルエンザなどの理由から、しばらく沼には行かなかったのですが、鳥がこんなに気になるのは、間違いなく川上先生の影響です。
 図鑑「ムーブ」の鳥の監修も川上先生らしいです。か、買うべきでしょうか。

「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」

2017-09-04 22:31:20 | 自然科学
 新潮社さん、よくこんな人みつけてきましたね。
しかも、「新潮45」に一年間連載していたらしいです。
 絶妙の語り口、そのうえ自然に鳥や生物学に詳しくなれる一冊です。もう、明日にでも本屋に走って買い求めたい!
 最初に目に入ったのは、夏休み序盤に仙台に行ったときなんですが、おもしろそうだけど(帯のコピーも秀逸でした)、なにしろ専門的な本は高い。
 でも、地元図書館で新刊棚にあったので借りてきたんです。
 川上和人「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」。小笠原諸島をフィールドワークする鳥類学者の視点と、文章にちりばめられた表現のおもしろさ。
 新種発見のチャンスを手にしながら、つい後回しにしたために他国に先を越されたり。
 島の生態系を観察する上陸のために自転車通勤したり。
 リアルキョロちゃんの考察や、カールチーズ味を愛する日々もおもしろい。
 吸血カラスを大発見! と思ったのに、農業分野では常識だったり。
 随所に様々なメディアからの引用(シェイクスピアからJポップまで!)があり、くすくす笑ってしまいます。
 理科好きの息子に読ませたい! でも、息子は風邪で発熱中です。早くよくなれー。