どうしてこの本が売れたのでしょうか。著者が安東みきえでなければ、わたしなら手に取らないかもしれません。
「頭のうちどころが悪かった熊の話」(理論社)。寓話的な物語なんですが、このところアトリーだのファージョンだの読んでいたので、あんまりおもしろいと思えず……。安東さん、もっといい話いっぱいあるのに、どうしてこういう本で名前があがるのでしょう。
なんだかやたらと売れていて、図書館には本がなく、しかも続編っぽい「アルマジロ」の本も出ている。帯は梨木香歩さんの推薦で「ずっと短編集が出版されるのを心待ちにしていた」と書いてあります。この年の四月に朝日新聞に出た書評からの引用だそうですが、奥付によると八月時点でもう七刷。
梨木さん、どの作品を読まれたのでしょうか。「胸のすくような思いと驚きは忘れられない」とのことです。この本に収められた作品かどうかはわからないのですが。
というのも、わたしがイメージする安東作品と、この大人の寓話ともいえる作品との間に多少のギャップがあるように思ったからです。
こういう教訓的な話が、嫌いなわけではありません。哲学的な思考で、誰かに紹介したくなるような物語だと思います。音読をしてもストレートに伝わりそうです。カラスが木のすきまをシラサギだと思いこみ、実際にやってきたシラサギと友達になったにも関わらず口が悪くてなかなか素直になれない「ないものねだりのカラス」や、ヤゴとオタマジャクシとの友情を描く「池の中の王様」なんか楽しく読めました。
ただそこに「マグノリア」や「星の花が降るころに」のような繊細さとは違う世界がある。わたしは安東さんのこのデリケートなきらめきが好きなので、どちらかというと類型的でどちらかというとどっしりとしたこの物語に違和感を覚えるのです。
同じ作者なんですよね。
わたしはレディベアと暮らし続けるこの熊、かなりものすごいと思いました……。
「頭のうちどころが悪かった熊の話」(理論社)。寓話的な物語なんですが、このところアトリーだのファージョンだの読んでいたので、あんまりおもしろいと思えず……。安東さん、もっといい話いっぱいあるのに、どうしてこういう本で名前があがるのでしょう。
なんだかやたらと売れていて、図書館には本がなく、しかも続編っぽい「アルマジロ」の本も出ている。帯は梨木香歩さんの推薦で「ずっと短編集が出版されるのを心待ちにしていた」と書いてあります。この年の四月に朝日新聞に出た書評からの引用だそうですが、奥付によると八月時点でもう七刷。
梨木さん、どの作品を読まれたのでしょうか。「胸のすくような思いと驚きは忘れられない」とのことです。この本に収められた作品かどうかはわからないのですが。
というのも、わたしがイメージする安東作品と、この大人の寓話ともいえる作品との間に多少のギャップがあるように思ったからです。
こういう教訓的な話が、嫌いなわけではありません。哲学的な思考で、誰かに紹介したくなるような物語だと思います。音読をしてもストレートに伝わりそうです。カラスが木のすきまをシラサギだと思いこみ、実際にやってきたシラサギと友達になったにも関わらず口が悪くてなかなか素直になれない「ないものねだりのカラス」や、ヤゴとオタマジャクシとの友情を描く「池の中の王様」なんか楽しく読めました。
ただそこに「マグノリア」や「星の花が降るころに」のような繊細さとは違う世界がある。わたしは安東さんのこのデリケートなきらめきが好きなので、どちらかというと類型的でどちらかというとどっしりとしたこの物語に違和感を覚えるのです。
同じ作者なんですよね。
わたしはレディベアと暮らし続けるこの熊、かなりものすごいと思いました……。