くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「万能鑑定士Qの事件簿」7

2014-04-30 05:44:18 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 このシリーズは夫の本なんですが、読んでいるうちに、犯人たちがいわゆる「愉快犯」のような気がしてきます。その行動の目的が、なんだか意味不明といいますか、読者を煙に巻くための手段のような感じといいますか。
 まあ、トリッキーな事象を後半で鮮やかに回収するための力業なので仕方ないのでしょうか。
 夫が言うには、夢中になって読むのだけれど、一定数でちょっと飽きがくるそうです。そういいつつ、全巻所有していますけどね。
 七巻まで読みました。読んだそばから結構忘れてしまうわたし……。今回は女性誌編集部と偽金の延棒の話です。莉子は、マルサの依頼でカリスマ編集長の第二秘書として潜伏調査。そんななか、富豪から借りたネックレスが行方不明に……。
 前回雨森華蓮に託された猫のヨゾラが、莉子のもとで暮らしているのでほっとしました。
 前回といえば、松島に高台までどのくらいの距離があるかという標識のことは、知りませんでした。松島には先月も行ったのになあ。
 電子書籍の写真差し替えのスリリングなやりとりがおもしろかったと思います。
 早いペースで読んではいますが、フィナーレまではまだ遠い。連休なので読む本があるにこしたことはないですけどね。

「万能鑑定士Qの事件簿」6

2014-04-29 08:34:29 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 さくさくと、六冊めです。
 娘がインフルエンザにかかってしまい、今日は部活を休みにしました。なんと、娘は11連休です! とほほ……。
 さて、「最大のライバル現る」といいながらあっさり服役の雨森華蓮。警察から「万能贋作者」と呼ばれているそうですが……
 「贋作」なの? これ。
 わたしのイメージする「贋作」という言葉と、本作での扱いに隔たりがあるように感じました。
 てっきり絵画関連のストーリーだと思って読み始めたら、華蓮が詐欺に使うのはレディース装飾品(カットソーとかバッグ)のブランドコピーなんですよね。五億もの売り上げがプールされているほどなので、相当の腕前なんでしょうが、倒産寸前の町工場を騙して縫製させ、できばえは鑑定士にチェックさせて、見込みがなければ廃棄する。
 騙すことに充実を感じるタイプってことのようです。
 鎌倉のお屋敷に招かれて、よく理解できないこともやらされ、へとへとになった莉子でしたが、最後に起死回生の推理が。
 しかし、悠斗のダメダメな豆知識(?)に、本当にマスコミの人なのか疑問が。キヤノンの件で名誉回復しますが、編集長が彼を閑職扱いするのもわかります。(スクープも期待しているようですけど)
 キヤノン、わたしでも知っているメジャーな社名理由なのに、誰も信じてくれないのも彼の人徳(?)ですかね。
 
 

「給食のおにいさん」遠藤彩見

2014-04-28 05:01:34 | 文芸・エンターテイメント
 先日、ビブリオバトルに取り上げるとしたらどんな本を選ぼうかと考えたんですが、今なら断然これですね。語りたくて仕方ないです。
 「給食のおにいさん」(幻冬舎文庫)。学校、食べ物、成長もの、とわたしの好きなジャンルが大鍋でじっくり煮込まれたようなおもしろさ。いや、給食だからじっくりは無理かもしれませんが。(時間制限あるからね)
 主人公の佐々目宗は、様々な料理コンクールで優勝した料理人。でも、人間関係がうまくいかず、独立しようとしたら店が火事に。
 自転車で二十分の小学校で、給食調理員の職を得ますが、自分の料理人としての立場にゆらぎを感じるように。
 保健室登校の一年生。毎日給食の残りをもらいにくる男の子。給食委員会のメンバー。シェフ給食の企画で現れた昔の彼女。
 そして、なにやらひっかかりがある管理栄養士の毛利。
 目的のためならば佐々目に蹴りを入れるのも平気。チワワみたいな顔をして、結構頑固。なぜ彼は給食の残りを児童に渡すのか。食に関わっていくことにものすごく力を注ぐのに、自分の食事には無頓着。(手洗いの習慣をつけようと、自作の劇を披露したり手品を習ったり)
 頑なな中に策士の一面もあります。
 わたしが気になるのは、家庭科の専科を持っている深津先生。男性です! 担任なのに専科なのはちょっと謎ですが。大学のときも、家庭科の資格をとる男性は彼一人だったとか。(わたしの知人には、女性で技術科という先生はいますよ)
 これに保健室の由比先生を加えて、佐々目の周囲がにぎやかになっていきます。
 若手料理人としての視点が、子どもたちや先生方と過ごすうちに変化していく様子がおもしろいんです。これまで見えていなかったものに気づくところが。
 チーズスフレの回が好きです。太ってしまった子役の女の子に、自分でできる料理を教える。でも、最初からうまくいくわけではありません。彼女は自分の真剣さが足りなかったことにはっとする。
 料理人だから、このままでは失敗することを、佐々目は知っていたはすです。でも、スー・シェフとしての立場を守って、いいタイミングで導いてくれた。
 大人と子どものふっとした違いや、見守るなかでできることに、わたしも気づかされたように思います。
 遠藤彩見さん、「冷蔵庫探偵」の方なんですね。持ってます。
 この続編も今月出版したばかりだそうですから、早速買いにいきますねー。

「万能鑑定士Qの事件簿」5

2014-04-27 11:01:43 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 いいですねー、フランス。
 なかなか莉子の変化に気づかない、担任の喜屋武先生がついてきちゃいます。宿泊先は同級生だった楚辺くんのアパート。いやいや、それはないでしょう、と思うのですが、まあ、楽しく読みました。
 楚辺くんはフランスの伝統あるフォアグラの店で働いております。
 莉子たちが着いたその日、店で集団食中毒が!
 
 シリーズも五冊読むと加速度がつきますね。 
 小笠原くんや葉山さんといったレギュラー陣はあまり出てきませんでしたが、途中で「ダ・ヴィンチ・コード」に関わる豆知識で笑ってしまいました。うーん、でも、社長に電話をかけさせるというのは不思議な行動のような。
 ルーヴルの学芸員さん、続編で登場するのでしょうね。楽しみです。

「万能鑑定士Qの事件簿」4

2014-04-26 20:43:42 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 十年くらい前に、野外活動合宿に行った帰り、バスで「催眠」のビデオを見たのです。主演稲垣吾郎、宇津井健、菅野美穂。音に関わる連続事件で、高音域の音に反応して自分の命を絶ってしまう。終盤、オーケストラの息詰まるシーン、トライアングルを鳴らす寸前で学校に着いてしまい、そりゃもう、気になって気になって。
 買いに行きましたよ、松岡圭祐「催眠」を。映画とは違うストーリーでしたが、以来このシリーズを追いかけました。
 当然のように、わたしにとって嵯峨敏也は稲垣吾郎の顔をしています。(松岡さんも文中で、稲垣吾郎に似ていると書いていたよなあ)
 ですからいや、もう、見事にひっかかりました。途中で「あれ?」と思う部分もないわけではなかったんですが。
 この一冊自体が結構トリックです。あらすじとか前口上も含めてね。
 3にがっくりしていたのですが、これはよかった。このあとの巻を読む気になりました(笑)。

「校閲ガール」宮木あや子

2014-04-24 21:25:59 | 文芸・エンターテイメント
 校閲に興味あります。
 「校閲ガール」(角川書店)。図書館の新着図書として展示されていたので借りてきました。が、なかなか読み始められないまま返却日を迎え、延長してもらいました。
 主人公は河野悦子。ファッション雑誌の編集を希望して景凡社に入りますが、配属先は校閲部。エリンギのような上司、フェミニンな同僚(男)、使えない編集。頑張ればいつの日か目的のファッション雑誌にかわることができるのでは、と奮闘します。
 あまりの格好よさに一目惚れしたのが、アフロヘアの是枝。彼は覆面作家なのです。しかもモデルもしている。
 堅苦しい編集者藤岩。ファッション雑誌編集の森尾。お嬢さんの今井。三人の女性たちもコミカルでした。
 途中でベテラン作家の失踪事件もあり、これを抜群の記憶力で解き明かします。(今月のダ・ヴィンチにもスピンアウトが載っていました)
 悦子はミステリには興味ないので、純粋に文章の間違いを指摘できるのだそう。かえってのめり込みすぎると厳しいのかもしれません。
 ルビの打ち方とか、細かいフォントの名称とかおもしろかった。
 しかし、ときどき、校閲前のものらしい原稿が紹介されますが、さらっと読んでもわたしには直せそうにないんです。相当読み飛ばしています。
 多分、手書き原稿なら直せると思うんですが。

「万能鑑定士Qの事件簿」3

2014-04-24 03:49:01 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 どう考えても小室哲哉がモデルとしか思えない有名音楽家が、音を使って詐欺事件を起こすのですが、それを莉子たちが阻むお話。
 うーん、この計画がずいぶん前から計画されたのでなければ、この西園寺響氏はかなりその場しのぎの行動をする人に思えます。
 ホテルの貴重品ボックスからもわかるように、犯罪がらみの行動は昔からなのです。でも、結構平気で公安からの周波数確定依頼の相談にのったりしている。
 何件かの店を恐喝するための音楽を提供したり、違法なヒアリングができるサイトも運営。配信は無料だといいます。
 これ、情報料金もらえば、借金のたしになるんじゃないの?
 本当に詐欺行為が突飛すぎて、びっくりしますよー。お金持ちのファンにCD借りてこさせるよりも、自分のプロデュースする曲を買ってもらう方が、お金かからないのでは? 倉庫を借りたり海外で医療の慈善をする必要もないのでは?
 と思うんですが、読者にはこのくらい個性的な話のほうが受けがいいのでしょうね。書店でフェアしているし。
 日本料理の汁椀、今度確認してみます。

「万能鑑定士Qの事件簿」1・2 松岡圭祐

2014-04-21 20:55:42 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 まんが版を読んだら2巻が欠けていて、気になって仕方がない。そんな訳で、夫の本棚を漁ってみました。「万能鑑定士Qの事件簿」(角川文庫)。
 すみません、ずっと鑑定士軍団(?)だと思っていました。Aから順にいっぱいいるんだろうと。(なにしろ、Qまでに十数人かかりますからね……)
 そうですか、Qは「クイーン」なんですか。じゃあやっぱりKとかJとかが……?
 まあ、ふざけるのはほどほどにして。(高橋尚子が何故「Qちゃん」なのかの考察がおかしいんですよー。「尚」の字がオバQに似ているからではないかなんて、笑ってしまいました)
 記憶に関わる話題がおもしろい。感受性やにおいが記憶と結びつくとか、四割くらい忘れた頃に復習するとよいとか、三つずつのパーツに分けて覚えると効果的だとか、なるほどなあ、と肯かされます。
 成績が低空飛行だった莉子が、ものの数ヶ月でめきめきと力をつけていくのは、ちょっとありえないとも思いますが、それが松岡圭祐らしいといえなくもない。
 ハイパーインフレを企てるより、地道に商売に励む方がいいと思うのですが(謝花兄弟やシール、冷凍車の経費も馬鹿にならないはず)、それは凡人の浅はかさなのでしょうか。何も話題にのぼるシールなら力士じゃなくてもいいよなあ。
 でも、現在三冊めを読んでおります。

「僕と先生」坂木司

2014-04-19 18:45:23 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 「先生と僕」の続編、「僕と先生」(双葉社)。今回の方がおもしろいと思いました。
 二葉さんが隼人くんに振り回されているのは相変わらずなんですが、なんだか隼人くんも二葉さんのまっとうなところを評価していることが伝わってきました。
 ラーメンだけは抜群においしい(トッピングやチャーシューはかなり残念)店とか、河原でのバーベキュー(ステーキ肉とかトマト串とか)、そして二千円もするチョコレート! と目でも味わえるお料理がチャーミングなんです。
 挿絵のコラボレートも、いたずら心があって楽しい。
 坂木さんの単行本カバーがイラストに組み込まれているのです。こうやってみると、わたし、結構読んでいるなあ、と思いました。
 この本棚みたいなイラストは、これまた全体が本の形をしていることも、凝っていますね。
 文中に出てきた「マ行の黒蜥蜴」(三島由紀夫?)と「長谷敏司」が気になっています。
 隼人くんのお父さんが登場し、女子の就職についてのフェミニズムっぽい考察を一蹴してしまうところと、相手から察してもらうのを期待しないできちんと会話すべきだと語るラストの話がよかった。
 

「ビブリオバトルを楽しもう」谷口忠大・粕谷亮美

2014-04-18 21:00:42 | 書評・ブックガイド
 昨年からよく話題に上るビブリオバトル。やってみたいなあ、と思いながら新書も買ったのに、なかなか解説本を読まずにいました。
 図書館で借りてみたのが「ビブリオバトルを楽しもう ゲームで広がる読書の輪」(さ・え・ら書房)。
 ルールが見出しになっています。わかりやすい。
 ①オススメの本を持って集まる
 ②時間制限は五分
 ③三分間のディスカッション
 ④チャンプ本を決める
 特に、実践している中学校の話題が参考になりました。図書委員が司会をして、グループで予選をしたあと全体でチャンプを決めるそうです。
 グループ学習なので、あちこちから声が聞こえてくるからよく聞こえないこともあるとか。今、読みたい本を選ぶのだから、少したどたどしくても興味を引けばチャンプになることもあるんですって。
 結構、スピーチの題材としてやってみてもおもしろいかもしれません。ブックトークとはまた違う雰囲気ですね。
 うーん、わたしがバトルをやるとしたら、何の本を選びましょう。
 提案者の谷口さんは、自分はやらないのに生徒にやらせようとするのは本質を見失ってしまうことが多いように思うとおっしゃっていて、なんとなくわかるような気がしました。
 楽しく本について喋る。そんな輪が広がるといいですね。