くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「きみスキ」梨屋アリエ

2016-01-31 06:39:05 | YA・児童書
 高校生を視点にしたショートストーリーが入っていると聞いて、借りてきました。梨屋アリエ「きみスキ」(ポプラ社)。
 とても読みやすい。朝読書向きです。
 七人の高校一年生が、クラスメイトとしてお互いを向き合う。でも、それぞれの思いは見事にすれ違っていて。
 中学時代から一途に寺崎を思い続ける恵。その恋を応援しつつ、バレーに夢中になる美希。中学時代の親友夏海からも、寺崎が気になると告げられ、複雑です。
 今ではギャルとして振る舞う夏海は、同じようにメイクしている未莉亜と一緒にいます。さらに、同級生の近藤から熱烈アプローチ。
 かわいくて続きが気になる展開は、中高生にはおもしろいと思います。
 でも、家で続きを読もうとしたものの、どうしても読めない!
 なぜでしょう。学校だとすいすい読めたのですが。
 で、翌日ラストまで読みました。
 もどかしいです。こんなところで終わるのはすっきりしないなあ。
 恋愛に本気になれないのに彼氏がいないのはつまらない未莉亜が、イケメンの今西くんと付き合うことになります。
 美希は今西くんへの思いに気づいて……。
 
 カップルがまとまるからというラストではないのは、おそらく梨屋さんの意図でしょう。でも、なんか中途半端な感じか残るのが、もやもやします。
 ひそかにもてている寺崎くんが、結構とんでもない奴なのでびっくりします。
 あの週刊誌を買うために自分に借金しながらも、教室のゴミ箱に投げ捨てる。そんな男でも愛想尽きないのか恵ちゃん!
 とりあえず、冒頭の文化祭準備の場面が、時間的にはいちばん最後ですよね?

「まちの本屋」田口幹人

2016-01-30 06:15:07 | 書評・ブックガイド
 ああっ、秋田から帰ってくるとき、盛岡で途中下車すりゃよかったよ!
 盛岡駅ビルの「さわや書店フェザン店」の店長、田口幹人さんの本です。発売したときTSUTAYAに平積みになっていて、非常に気になったのですが、このところ買いすぎ借りすぎでじっくり読まないままの本も多いので購入は控えました。
 「まちの本屋 知を編み、血を継ぎ、地を耕す」(ポプラ社)。
 一関図書館の新刊棚で発見し、小躍りして借りてきたのです。
 そしたら。
 田口さんがお世話になったという、前さわや書店本店の伊藤清彦さんが、この図書館の副館長さんだというではないですか! えぇっ、そうなの? 今度きょろきょろしてみます!(フロアにいらっしゃるかどうか分かりませんが……) 館長さんは及川和男さんですし、なんかゴージャスだったのね、この図書館。
 さわや書店さんには、多分十数年前に盛岡に行ったとき寄ったことがあるように思います。
 田口さんは、はじめ近隣にあった別の本屋さんで働き、郷里に戻って実家の書店を継ぎ、やがて経営に行き詰まってしまうのですが、伊藤さんの誘いでさわや書店に勤めるようになります。

 まちの本屋というだけに、お客さんの顔が見える。そして、本を提示するための仕掛けを考えていく情熱がまぶしいのです。
 ああっ、「身近な雑草のふしぎ」! わたしも買いましたよっ。しかも、それを知らない夫が先月もう一冊買ってきましたよ……。
 「これからの誕生日」! 田口さんいいセンスです。おすすめに従ってわたしも「震える牛」とか「おもかげ修復師」とか読んでみようと思いました。
 田口さんは、本屋の中心になる本が何かをきちんと見据えなければならないと考えているそうです。ベストセラーやら売れ筋商品は必要ですが、それだけあればいいわけではない。
 さわや書店の核は「郷土」。何らかのつながりがある本を集めて、テーマによって展示も変わる、
 おもしろい、と思いました。
 書店には三日とあけずに通うわたしではありますが、実際に働いたことはありません。でも、図書室の仕事をしているから、共通する面はあるのです。
 ポップを作ったり中学校で出前授業という機会も増えているそうです。国語の先生と話していると、読解教育が中心で読書教育はできていないと感じることも(「国語課」と書いてあるんですけど、岩手ではそうなの? と不思議に感じました。うちは「国語科」です)。
 子どもと本との出会い、仕掛けていくことが必要だと思います。
 読んでいる間、これまで訪ねた様々な書店を思い出していました。学生時代雑誌を買いに行った本屋さん、波津彬子さんのまんがに出会わせてくれた本屋さん、大型スーパーにあった本屋さん……。
 一度しか訪れたことのない店、一時は頻繁に通った店、思い出は尽きません。出版不況にあえぐお店も多いかもしれませんが、まちの本屋さんにはそこにいてほしいのです。
 盛岡、行きたくなってきました。新幹線を使えば内緒で行って来られますかねぇ。

「みやぎ昔ばなし百選」佐々木徳夫

2016-01-29 05:43:45 | 社会科学・教育
 二十年くらい前、佐々木徳夫さんのお話を伺ったことがあります。
 佐々木さんは、わたしの初任校近くのご出身で、郷里に講演にきてくださったのですね。あのときにも一冊買ったのですが、何度かの転勤で紛失してしまいました。
 
 「みやぎ昔ばなし百選 『月の夜ざらし』ほか」(本の森)。
 佐々木さんの本は図書館に結構あるので、地域の昔ばなしを知りたいと思って借りてきました。
 というのも、山田野里夫「宮城の民話」を買って読んでいたら、聞き覚えのあるものがたくさんあって、わたしが読んできたものは「地域のものが中心だった」のか「世の中には類似のものが多い」のか悩んでしまったのですね。
 とりあえず県北の語り手さんの部分に絞って読みました。
 一迫の佐藤玲子さん。地元では有名な方で、お話を語られるのを聞いたことがあります。「宝手拭い」は、ぼろぼろのなりをしたお坊さんに親切をした娘が、お礼にもらった手拭いで顔を拭いたら美しくなったという話。
 「大根舟」は、馬鹿な聟がものすごく大きい大根を育ててしまい、四国から買いにくる。その大根で舟を二艘作って漕いでいくうちに、いい具合に海水がしみて食べごろになる(笑)。
 前者はよく聞くパターンですが、後者は初めて知りました。四国から見えるほど大きい大根!
 
 「瓜子姫」や「絵姿女房」「かも取り権兵衛」といったポピュラーなものもありますし、「六枚のおふだ」は「三枚のおふだ」のバリエーションですよね。(同じ内容を二回繰り返す感じです)
 サルが地蔵と間違っておじいさんを運ぶ話は、「宮城の民話」に採取されたものと似ていると思いました。
 小学生のとき、昔ばなしの本はよく読んだものです。だから、いろいろな類型が記憶に残ってはいる。物語の匿名性のようなものを感じます。
 子どもが小さいころ、わたしも「昔コ」語ってやれば良かったな。

「図書館ごよみ&イラスト1200」

2016-01-28 05:27:04 | 総記・図書館学
 これ、ほしいですー。「図書館ごよみ&イラスト1200」(SLA)。全国学校図書館協議会が編集した一冊。
 毎日の記念日紹介あり、ピックアップしたものや偉人紹介あり、テーマ関連の記載あり。企画展示の写真とか掲示のアイデアとかもあって、これ一冊あれば、毎月図書館だよりが出せるくらいのクオリティです。
 わたしも月のこよみを見て、「今日は何の日」カレンダーを更新しようと頑張りました。一週間かけて付け足しましたよ!
 しかし。
 こよみで困るのは、旧暦をどう扱うかだと思います。生没にしろ出来事にしろ、どちらを採用するのがよいのか。
 例えば、夏目漱石。旧暦1月5日生まれですが、現在の感覚なら2月の上旬のはず。新暦生まれの岸田衿子や安房直子と同じ日でいいのか。
 この本は旧暦の日付を採用しているので、漱石は1月に記載されています。
 「古事記」が完成したり川中島の合戦があったり芭蕉が「おくのほそ道」の旅に出発したり、なんか季節感がずれているような。
 といいつつ、新旧とりまぜて書いてしまいました。なんか誕生日が2ヶ月連続している有名人もいるような気がする……。
 
 こちらに紹介されている記事やイラストは、登録してダウンロード可能だそうです。
 展示アイデアに協力している学校さんの写真を見て、わたしも自分の活動を記録しておこうと思いました。天井の活用もおもしろいですね。
 定価三千円です。ほ、ほしい……

「え、なんでまた?」宮藤官九郎

2016-01-27 02:18:07 | エッセイ・ルポルタージュ
 複雑です。
 宮藤が連載を始めた頃と前後して、大好きだった高島俊男先生の「お言葉ですが」が終了してしまった。週刊文春、どういうつもりだ! と憤ったものです。だから、どうしてもわだかまりがある。
 「え、なんでまた?」(文藝春秋)を読みました。ちなみに、一冊めの「いまなんつった?」は読んでいません。図書館で、震災のあとに実家に連絡した話題(「せめて受かるといいですね」)を立ち読みして、借りてみました。蔵書点検のためにしばらく休館だというし。
 
 この本、どうしてこういう構成にしたのか……。
 発表順ではなく「テレビ」とか「映画」とかテーマ別になっているのです。でも、娘さんが、さっき小学生になると書いていたのが「五才」に戻ったり、震災前だったりあとだったり、時間が行ったり来たりするのが煩雑なんです。

 地元ですので、お身内の方を知っています。宮藤官九郎コーナーも見たことあります。内緒で原稿引き受けるっていうのは、結局言い出し兼ねて自分で書いたと噂のPTA広報のこと?
 東京でお母さんのお祝いをした話がおもしろかった。櫻井くんやHIROが好き(お父さんの若い頃に似ている?)なんだって。
 あと、「なった気」もウケました。わかるわかる! 確かによそでは言わないかも知れません。
 同級生からサインを求められたりちやほやされたりって話も、その会に出席した知人から聞きました。
 わたしのように特定の話題に反応してしまう読者は、「地元」のコーナーだけ読んでも可でしょうか。

「ハクチョウ水べに生きる」

2016-01-26 20:00:04 | 自然科学
 朝から頭痛がひどくて困っています。
 こういうときは、根をつめない緩やかな本を。「ハクチョウ水べに生きる」(小峰書店)。文/嶋田哲郎、写真/伊藤利喜雄。「つながってるよ いのちのWA!」の二冊めです。
 舞台は宮城県栗原市・登米市。地元ですから、親しみをもって読みました。

 わたしにとって、伊豆沼・内沼、そして迫川は幼い頃からハクチョウを見に行った場所。冬にはハクチョウやガンが渡ってくるのは当たり前のことでした。
 授業中にも鳴きながら飛んでいく姿が見える。子どもが生まれてからは一緒に沼まで行ったこともあります。友達の娘さんが、意外に大きいハクチョウに怯えて泣いちゃったり。
 この本にもありますが、首を伸ばしたハクチョウは思った以上に巨大なんですよ。普段は少し離れた場所から見るからそうとは気づかないんですけどね。

 ハクチョウは沼や田んぼにえさを取りにいきますが、日によって向かう場所が違う。それはなぜか。嶋田さんは毎日観察して、その理由を解き明かします。水田に行く日は、雨で水位が上がるために採食できるというように分析できるからだそうです。ハクチョウは「こしとり」という食べ方をするのでかわいたところでは難しいのだとか。
 沼ではレンコンをを食べます。沼底にあるのでハクチョウにしか食べられない。ハスは増えすぎると沼水を汚す原因になるので、管理に役立ってくれているというのもなるほどと思いました。
 驚いたのは、ハクチョウが食べる野生のハスはピンクの花が咲き、食用ハスは白い花が咲くとのこと。そうなのか! はす祭りではピンクの花の中を舟が移動するイメージが強いので、やっぱり伊豆沼は野生ハスが中心なのですね。
 
 ハクチョウの生活、興味深く読みました。
 同じシリーズのコウノトリもおもしろかった。豊岡のコウノトリ、全国で目撃されているのですね。地域の方々が復活を目指して努力する様子が感じられました。
 わたしはコウノトリにはもともと関心があったのですが、地元のハクチョウの話題を読んで、環境を大切にしなければならないのは同じだと感じました。
 
 頭痛は、結局鎮痛剤を飲みました。
 わたし、結構丈夫なので(点滴打ったこともない)体調崩すとつらいですね。今はすっきりしております。

「みんなの秘密」畑野智美

2016-01-25 05:31:29 | 文芸・エンターテイメント
 イマドキの中学生って……
 と言いたいところですが、わたしも毎日中学生と付き合っている身、こういう人ばかりじゃないですよねと思うわけです。
 思春期のひりひりした、落ち着かない、刺激を求める、短絡的な、といった面はよくわかります。
 でも、この中学校、すごい変!
 まともかな、と思う人が誰もいません。万引きするし、友達からお金盗んでも平然と付き合うし、自転車盗むし、その持ち主を殴るし、部室で人生ゲームするし、美術の先生は生徒と付き合っているうえに……。
 読後感がよくないのは、わたしが教員だから?
 畑野智美「みんなの秘密」(新潮社)。
 主人公の「わたし」(美羽)は、奈々ちゃん(あ、この子はまともかな)と紗弥ちゃんという友達がいる中学二年生。同級生の村瀬くんがいじめにあっている場面を目撃します。
 また、紗弥ちゃんに紹介されたクラスの中心的女子たちと万引きをしてしまう。彼女たちと別れてから罪悪感に苛まれますが、通りかかった浜崎くん(ちょっと憧れている近所の男子)に声をかけられて気持ちが変わります。
 浜崎くん、家まで距離があるからといって駐輪場の自転車を無断拝借。二人乗りして帰ることでさらに気分は高揚します。
 ところが、それは浜崎くんの自転車で、彼自身が二人のことを見ていたというのです。
 なんだか書いているうちに、これは中心のあらすじじゃないのでは、という気になってきました。
 どちらかといえば、女の子たちのかかわりの方が重点的な感じです。
 なんだか、生きていくのが大変そう……。
 同僚が高校のパンフレットを見て、今の女の子たちは周囲に合わせて同じように振る舞わなきゃいけないみたいで(服装とかも)、自分だったらやっていけないかもと言っていましたが、そんな感じ。
 世の中が豊かになると、簡単にほしいものが手に入ります。その代償なのか、脆弱な部分が見えるように感じるのです。つまらないことを嫌がり、悪いとわかっていても付き合ってしまうのは、大人の目から見ると幼さを感じずにはいられないのですが。

「果てしなき渇き」深町秋生

2016-01-24 18:47:16 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 映画化しましたよね。
 そのときあらすじを聞いて読んでみたいと思ったのですが、なんだか文庫なのに踏ん切りがつかない。
 そしたら、いつも行く図書館に単行本があることについ先日気づきました。
 借りてきてからも十日くらいほうっておいたのですが、日曜日に読まないとこのボリューム読み切れまいと腹をくくって持ってきました。
 その割に、今日は朝からクドカン読んでみたり。
 はっと気づいて読み始めましたが、あぁもう、何度止めてしまおうと思ったことか!

 深町秋生「果てしなき渇き」(宝島社)。このミス大賞第三回の大賞作品だそうです。
 読んでいる間考えてしまったのは、誰がそれほどまでに渇いているのか、ということなんですが。
 主人公は元刑事の藤島。妻だった桐子から、娘の加奈子が姿を消したとの連絡を受けます。
 わたしはこういう展開に非常に弱い。身内の失踪、否応なしに事件に引っ張り込まれる主人公、深まる謎、みたいなのが。
 ありていにいえばよくあるパターンってことです。
 藤島は仕事を休んで加奈子を探し始めるのですが……。
 
 で、す、が。
 ここからどんどん嫌な気分になってきます。なにしろ藤島がすごい嫌な奴で、読んでいるうちに見方が変わってくるかしら、と思っていたけど最後まで嫌な奴でした。
 娘娘といってる割に、覚醒剤のためなのか幼児を母親の目の前で殺そうとするし。(小山内に、殺しが好きなんだろうと言うんですが、それは藤島自身のことのように感じました)
 娘を守ろうとする母親に、整形してまで近づくし。
 なんといっても、加奈子の心の大きな穴の原因になったのはあんただろうよ! と、その身勝手さに腹が立って仕方ない。自分で買っていたら速攻古本屋です!
 チョウさんはどこに加奈子がいると思っていたのかな?

「うたう百物語」佐藤弓生

2016-01-23 05:17:14 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 「YAブックガイド150」で、かなり興味を引かれたのがこれ。佐藤弓生「うたう百物語」(メディアファクトリー)。
 仙台で在庫検索をかけたら、ミステリ関連のコーナーにあるとのことだったので、三往復くらいして丹念に探したのですが、そこにはありませんでした……。
 数日後、図書館にあることがわかったのですが、なぜか閉架図書。そんなに古い本でもないのに。
 
 百人の短歌から派生した掌編が百篇。見開きに五百字くらいのショートストーリー、左端に短歌というフォーマットで続くのですが。
 わたし、開眼しました。短歌を読んでから本文を読むのがわかりやすい。創作の過程がわかるような感じがします。
 中には感性が強すぎて理解できないものもありますが、それはそれで受け取るのがいいと思うのですよ。
 印象的だったのは、まず【八】。奥さんが亡くした悲しみから少し落ち着きを取り戻した男性が、箪笥からサイズの全く違う上着を見つける。こうやって書くとあっさりまとまってしまいますが……やはり、「語り」の魅力だと思います。
 【十六】雪の日、白いコートを買ったばかりの娘が姿を消してしまう。
 【三十六】燃えてしまった家に戻った夫を見つめる女性。この作品の文章の美しさ! やっぱり韻文を書く方の言葉の選び方は鋭いと思いました。
 【四十五】山中で道に迷った夫婦。時間が経過しているのに、太陽の位置が変わらない。
 【四十九】「あかねさすむらさきのゆき……」と呟く母、意地悪をする兄。
 【五十二】信号脇の花束。赤信号を渡りそうになって、姉に止められる。
 【七十一】怪獣好きな彼は、恋人を踏み潰されるという悲劇にみまわれます。だから、恋人がいる状態は想像のままがいい。
 【七十二】タクシードライバーが乗せた客。いつの間にか二人に。
 【八十五】花の降りしきる老女の映像を撮ったのは……
 なんか自分の文章力にがっかりしてきますが、ストーリーとしては完結しているんですよ。こういう感じで連載されていたら、毎回読むのが楽しみだろうと思いました。
 短歌も少し書いておきます。まず、佐藤りえさん。ますます歌集が気になる。「かくはやく流れる川を眺めおり 向こう岸から手を振らないで」
 千葉聡さん「知は叫ぶ 百科事典の背表紙に『あーあん』『いーうぅ』『うぇーえん』とある」(んは小さい字)
 「死ぬまへに孔雀を食はむと言ひ出でし大雪の夜の父を怖るる」は小池光さんの有名な歌ですが……
 先日、「宮城謎解き散歩」で知った大沼さんが孔雀を食べると言い出した本人ですか?!
 まあ、作品イコール作者の体験とは言い難いと思いますが。
 有名歌人の句はもちろんですか、鴎外とか中勘助とか、文人の句もあります。茂吉は「あまのはら冷ゆらむときにおのづから柘榴は割れてそのくれなゐよ」。
 

「ニセ科学を見抜くセンス」左巻健男

2016-01-22 02:54:56 | 自然科学
 山本弘さんのニセ科学検証ものがおもしろかったので、類似作品を借りてきました。左巻健男「ニセ科学を見抜くセンス」(新日本出版社)。
 ちょっと本を借りすぎていて(呆れ)、全部読んではいないのですが。
 中でも印象深いのは、ズバリ「EM」です!

 知ってます? 「EM」。
 わたしは以前利用していた美容院の待合コーナーにあったパンフレットで知ったのですが、消臭効果があると聞いて養護教諭が分けてもらったのですよ。
 トイレで使ってみたのですが……。
 二回めをもらってはきませんでした。
 で、この本を読んで納得しました。左巻さんは、EMは新興宗教団体が関係した微生物資材(農業用)であると書いています。そうそう! 薬効のある物質というよりは、確かに宗教的側面があるのは感じます。なるほどねー。万能薬をうたうっていうのは、胡散臭い感じですよね。
 と思っていたら、ギョッとするようなことが書いてありました。
 国会議員の超党派でEMを推進する連盟が結成されている。さらに開発者は「EM生活をすることを国民の義務にすることを狙っています」って、えええーっ。
 ちなみにEM団子などを環境改善だと信じて、川などに投げ込む活動をした学校もあるそうです。
 
 「水からの伝言」関連でTOSSの批判があり、向山洋一氏が原子力肯定の考えであるという話題も衝撃的でした。
 わたしもそれなりにTOSS活動は読んできたので。
 まあ、確かに「我流」を戒めているけれど、その追試のもとになるものはじゃあどこからくるのか、というのがわたしには謎だったので、わかるように思います。
 ニセ科学は、意外と教育界に浸透しているのかもしれないと思いました。考えて生きていかないとならないですね。