くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「トオリヌケキンシ」加納朋子

2015-01-05 05:40:50 | 文芸・エンターテイメント
 連作短編集です。加納朋子「トオリヌケキンシ」(文藝春秋)。
 ボーイミーツーガールもの(プラスちょっと不思議)で、さくっと読めます。
 「トオリヌケキンシ」の札を無視して路地に入った陽は、近くにあった一軒家が、同じクラスのあずさの家だと知ります。その日、授業で分からないことを宿題に出された陽が答えを尋ねると、あずさは「おもいどおり」「おこらせ」「おもさ」と答えます。
 でもこれ、太陽と影の問題なんですよ!
 「たいようをおこらせるとかげができる」
 そう回答して恥をかいた陽ですが、やがてあずさと一緒に犬を飼うことになります。
 二人で一生懸命考えた名前は、ポチ。あー、わたしも小学校三年のとき、もらった犬にそう名づけましたよ! 懐かしいなー。
 こういうほのぼのから一転、引っ越した陽は……。
 「平穏で平凡で、幸福な人生」が好き。似たようなものの中から特定のものを選び出す能力に秀でた澤木さんのひたむきでパワフルな物語です。クールな葉山先生がすてき。
 「座敷童と兎と亀と」も、コミカルでおもしろい。もっと続きがあるような。ほんの一場面しか出てこない兎野さんの長男と旦那さんとか、気になります!
 こうやってまた加納さんの本が読めるのは嬉しいですね。