くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

図書室経営あれこれ

2017-12-31 14:53:02 | 〈企画〉



写真をつけるつもりだったのに忘れていたので、何枚か。
ガラス絵の具でモビール。下にあるガラスの飾りには線が薄くてはれなかったものを四角く切って糸でつなぎました。

クリスマスの飾り。
紹介したのは、赤木かん子セレクションの「クリスマス」、ダヤンの本、佐藤多佳子「聖夜」、手塚治虫の「聖書」。

ガラス絵の具の窓飾り。
生徒も手伝ってくれました。夜に撮ったら室内が映り込んでしまいました。

お正月飾り。
あと二ヶ所くらいあるので、それはまた後日。  

2017年ベスト

2017-12-31 11:09:23 | 〈企画〉
 怒涛の一年も終わりますねぇ。いろいろあったので、ちょっと語り尽くせませんが、今年読んだ本を振り返ってみます。

1 「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」川上和人
 とにかく、今年のNo.1です。すごくおもしろくて、借りた本を返すや否や単行本を買いました。そして、試験が終わるのを待って息子に渡したところ、彼にもいたく気に入ってもらい、続々と川上本を買ってしまいました。息子は、学校の宿題「オススメ本」にもこれを紹介していました。

2 「学校図書館のアイデア&テクニック」秋田倫子
 まさにわたしの待っていた一冊。おかげさまで革命的に図書室をリニューアルできました。ガラス絵の具とかワイヤー展示とか御守りとかしおりづくりとか、やってみたいことがいっぱいあって、楽しかった。
 イベントをしかけてみると、手伝ってくれる生徒も結構いて、嬉しい驚きでした。(写真はガラス絵の具です)


3「身体のいいなり」内澤旬子
 函館で購入した思い出本。内澤さんの語りがすごく好きで、見つけると読んでしまいます。イラストも精密なので、時間かかるのですが。大病しているのに、それを吹っ切ったかのように積極的に動きまわる姿が美しい。ただ、わたしは最初に最新刊で「漂うままに島に着き」を読んでいるので、彼女の仕事を先に把握してしまっているのです。もっと驚きたかった……。

4 「筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない」
 キャラクターシリーズは結構読んでいるのですが、今年の一押しはこれ。
 人間嫌いの清一郎が、美咲に心を開いていくのがかわいい。
 特集本に並べておいたら、三年生の女の子が読んでくれて「この本ほしいです! でも、売ってないんです!」と言われたので、三冊セットで貸しました。
 「最近図書室かわいいですね」と言われたので、気をよくしています。

5 「ハッピーエンドではじめよう」本山理咲
 古本屋で購入。時期的に忙しくて感想書いていませんが、すごく良かった。
 不慮の死をとげた人々が、一週間だけ猫として地上に留まることができる。その人の心残りを実感します。
 漫画家としてデビューして二十年目の初単行本だそうです! 1と書いてあるけど、2は出てないような……。
 「いじめ 心の中がのぞけたら」の2と3も出たと聞いて注文しました。本山さんの作品、すごくいいので、たくさんの方に読んでほしい!

6 「これは経費で落ちません!」青木裕子
 クールで合理的なOLの森若さんがとてもキュートでおもしろいのです。太陽くんとの仲や、職場でのトラブルシューティングが気になりますね。
7 「戦力外捜査官3 ゼロの日に叫ぶ」似鳥鶏
 今年は似鳥さんの十周年イベントがあったため、出た本は全部買いました。年始は「ホームズ」シリーズ、夏休みは「君のために青く光る」を持って旅行にいき、新幹線で読みふけりましたよ。
 この本を選んだのは、携帯電話のパニックが秀逸だったから。わたしのは古いタイプなので、電池外せますけどね。

8 「古書カフェすみれ屋と本のソムリエ」里見蘭
 この古書カフェ行きたい! それにつきます。
 二冊目に出てきた料理本も図書館で見つけて読みました。

9 「ゆきうさぎのお品書き」小湊悠貴
 これの感想も書いていなかったんだなあ、と今気づきました。
 今二冊目読んでます。続編も買ってあります。店主の大樹くんとバイトの碧ちゃんの関わりがかわいい。
 この店も行ってみたい。

10 「小説の言葉尻を捉えてみた」飯間浩明
 この世界観がおもしろい! 同じコンセプトの本、もっと読みたい。

 もう一冊。「ご本、出しときますね?」若林正恭
 オードリーの若林さんが、作家の皆さんとトークする番組の様子を収録した対談本。これも感想書いていない……。
 若林さんの懐の深さを感じて、テレビで注目するようになりました。(春日さんの顔が好きなので、これまで気にしていなかった……)
 こうやってみると、今年は読んだのに感想を書けないままだった本が多いかもです。あれ? やっぱり忙しかったんだなー。
 来年も慌ただしいような予感がします。よろしくお願いします。

「お手がみください」高森美由紀

2017-12-30 18:56:29 | 文芸・エンターテイメント
 高森さん、集英社オレンジのノベル大賞とられたんですねぇ。
 ということで、図書館から借りてきました。「お手がみください」(産業編集センター)。
 家の光の読書エッセイをもとにして書かれた作品だそうです。
 主人公の眞子は、勤め先の倒産で職を失います。仕事人間だった両親には知られたくない。
 でも、家をリフォームするから手伝うように言われて帰省したところ、曾祖母の部屋の片づけを申しつけられます。
 曾祖母の「かず」は、眞子にとって大切な存在でした。
 眞子が小学校二年生だった一年の生活が描かれています。
 かずが冬休みの初日に亡くなることはわかっているので、切なかったのですが、授業参観にきて眞子を守ろうとするところとか、一緒にお蕎麦を作る場面とか、あったかくて。
 わたしはこの本、免許書き換えと娘の病院(胃腸炎になったのです)の付き添いで読んだのですが。
 ラスト、薬局で泣きそうになりました……。(部屋だったらぼろ泣きしたことでしょう)
 高森さんの本、大賞受賞作を含めて二冊買ってあるので、年末年始に読むつもり。
 いつも心に沁みる作品を描かれるので、たくさんの方に読んでほしいのです。
 デビュー作の「ジャパン・ディグニティ」をやっぱり買っておけばよかった!

「ランチ酒」原田ひ香

2017-12-28 20:18:11 | 文芸・エンターテイメント
 年末、免許書き換えに行ったら悪天候で、視界は不良だし雪道滑るし、大変でした。
 夫は、仙台から帰るのに六時間かかって、夜中にやっと戻ってきました……。
 そんな日に読んでいたのは、原田ひ香「ランチ酒」(祥伝社)。
 「見守り屋」という仕事をしている犬森祥子、三十一歳。夜間、ただ見守るのです。
 一人で過ごさなければならない、熱を出した子ども。認知症気味のお母さん。自己肯定できない漫画家。妻に先立たれた男性。金持ちのぼんぼん。祖母と母の介護を引き受ける若い娘。
 腹が立つことも寂しくなることもあります。
 祥子は仕事を終えると、よく吟味して「ランチ」の店を選ぶのです。ネットの口コミも参考に、店の雰囲気を観察して。
 夜は仕事で起きていることになる祥子にとって、ランチは一日の中心になる食事です。そこで、お酒も飲む。
 理解のない店もあるようですが、作中ではほとんどおいしく飲んでいます。わたしはあまり飲まない方ですが、読んでいると飲みたくなる。隠し持っている「獺祭」をあけようかなあ、と思いました。

 肉丼とか中華屋のオムライス、手放した家族とのフランス料理、房総の海鮮丼、鰻丼などなど、本当においしそう!
 料理と物語とのバランスもちょうどよく、一話また一話と読んでしまいます。
 祥子がこの仕事を通して、傷ついた自分を日常に戻していくことにほっとさせられるのです。
 

「殺意の対談」藤崎翔

2017-12-18 21:10:37 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 とあるエンタメ系雑誌で、女優の井出夏希と作家の山中怜子が対談をしています。
 山中原作の映画で、主役を演じたのが夏希だったのです。
 お互いに不満をもちながら、表面上は和やかに話し続ける二人。しかし、彼女たちにはそれぞれに殺人の過去があったのでした……。

 となると、なんだかありがちっぽいのですが、その後のサッカー選手の対談や男女三人組ユニットバンド、ホームドラマの出演者たちの鼎談と続き、やがてそれぞれが響き合い破滅的な結末へ……という展開に驚きました。
 インタビュアーが同じ人だとは気づいていたのですが。
 根っからの残虐趣味のある女性の存在が、全体的なアクセントになっていると思います。
 わたしは対談を読むのが好きなので、あまり読みにくくはなかったです。
 
 あとは「〆切本2」を流し読み。
 ドストエフスキーや白秋、深沢七郎、松本清張、赤塚不二夫、三浦しをんなどなど、すごいラインナップです。
 野坂昭如失踪事件とか高橋留美子のエッセイまんがとかいろいろあるのですが、わたしが最も心引かれたのは向田邦子です。
 眠くてたまらない、という話。
 お風呂や洗面所でつい眠ってしまう。
 会議でうとうとして、違う局で描いているドラマについて話してしまう。 
 向田さんのテンポのよい語りが、やっぱり好きだなと思いました

「小説の言葉尻をとらえてみた」飯間浩明

2017-12-16 19:44:33 | 言語
 「三省堂国語辞典のひみつ」の方なのですね! 飯間浩明「小説の言葉尻をとらえてみた」(光文社新書)。
 「桐島、部活やめるってよ」「風が強く吹いている」「残穢」「オレたちバブル入行組」「チッチと子」「桜ほうさら」「横道世之介」「猫を抱いて象と泳ぐ」「マチネの終わりに」「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」「八日目の蝉」「阪急電車」「グラスホッパー」「ギケイキ 千年の流転」「チョコレートコスモス」の十五作を、辞書にはない言葉を中心に語る一冊です。
 例えば、伊坂幸太郎は「ささめく」という古語を愛用し、朝井リョウは高校生に方言混じりの若者言葉をしゃべらせるけど、「ら抜き言葉」は使わない。
 平野啓一郎は「割り込み感動詞」を使うというのもおもしろい。
 「え、洋子さんって……」ではなく、「洋子さんって、え、……」という語順で、驚きを示す。言葉遣いがリアルな感じがしますね。

 飯間さんの書き方がまた独創的で、彼自身が本の中に入り込んで登場人物に話しかけたり、地の文がどこからともなく聞こえてきたり、紛らわしい読み仮名は聞こえにくかったりします。
 そして、「言葉尻をとらえ」といいながらも、決してその言葉を否定しない。
 わたしは言葉に関する本が好きであれこれ読んできましたが、否定する系統のものが多かったので、なんだかこの本は懐が深いような気がします。
 辞書編集は例語収集が重要ですから、普段は古典といえるような作品を読まれているそうです。
 三浦哲郎さんの作品も、二作引き合いに出されていました。
 「忍ぶ川」に、「T字路」という表現がある。これは、「俺妹」がラノベなのに意外と古風な言葉遣いだという例。「丁字路」とこちらでは言っていたそうですよ。
 また、「海の道」では、「容易ならない」という表現(本来なら「容易ならぬ」「容易ではない」)の例として引かれています。(恩田陸が「穏やかならない」という使い方をしていたため)
 
 表現の特徴には、作家自身も気づいていないものがあるのかもしれません。朝井リョウの「体操座り」や有川浩の「お幼稚」は、本人の生育歴で獲得した語が自然に出てきた感じですね。おそらくわたしは、自分の馴染み言葉に置き換えて読んだと思われます。
 それに対して小川洋子は、「綿菓子」圏内で育っているのに「綿飴」と書く。
 三浦しをんが、マイクテストで使った「メーデーメーデー」は、飯間さんにとっても知らなかった言葉だそうです。
 うーん、わたしもここに紹介されたものの半分は読んだはずなのですが……。あんまり言葉に着目しないですね。かなり飛ばし読みしている気がしてきました。
 「ギケイキ」読もうかな。確かに「姉歯の松」あたりを彼は通りそう。近くに住んでいても、どこにあるのかよくわからないわたし。同じものを見てひっかかることって、それぞれ違うのかもしれませんね。

「ときどき旅に出るカフェ」近藤史恵

2017-12-12 18:55:20 | 文芸・エンターテイメント
 こういうカフェ行きたーい!
 なかなか理想的な店に巡り会えませんよね。
 好きなカフェはいつも混んでいて、駐車場いっぱいだし。
 近藤さんが描くこの「カフェ・ルーズ」、店主の円があちこちを旅行して見つけた料理を出してくれるのです。
 苺のスープ、ロシア風のチーズケーキ「ツップフクーヘン」、生クリームを添えたザッハトルテなどが紹介されていますが、これらを盛り合わせたプレート「カフェ・グルマン」、わたしも注文したい!
 それから、世界各地のカレーもおいしそうなんです。
 
 円の知人女性が嫌なあだなで呼んでくるエピソードもあります。
 人事の仕事で、強迫的研修をしなければならないそうですが、自分のストレスから他の人を攻撃してはいけないと感じました。
 このデザートもおいしそうです。ゆるく泡立てた生クリームにコンデンスミルクを混ぜて、砕いたビスケットと交互に重ね合わせるんだって。食べてみたい!
 泡立て苦手でホイップクリームを買うわたしには、ハードル高いかも。

秋山輝吉講演会

2017-12-11 05:47:38 | 〈企画〉
 息子の学校で教育講演会がありました。講師は宮城県警察本部の秋山輝吉さん。
 リオデジャネイロオリンピックの射撃代表の方です!
 ワールドカップ優勝の記事を見て以来応援していた秋山さん。オリンピック中は町内に応援の上り旗が立っていました。
 当時は機動隊勤務でしたが、現在は射撃訓練の指導をされているそうです。
 映像を交えてのお話は、世界のトップ選手としての実力が感じられます。直径11センチの的に、四秒で五発撃って命中率を競う(四セット実施)のですが、このときは全部命中の場面が多くて、生徒たちからも歓声があがりました。
 「癖」「壁」「璧」の三字をあげて、いいことを口癖にすること、越えられない壁に悩んだら少し離れて見ることなどを話されていました。
 選手村の様子では、田中理恵さんや猫ひろしさん、錦織圭さんと撮った写真も見せてくださいました。
 サッカーの岡崎選手とのやりとりで、「よかれと思っても受け取る側が欲していなければプラスにならない」といわれたとのこと。準備ができていなければ受け止められないのだな、と感じました。
 その前に「準備こそ成功の鍵である。これが結果に表れる」とおっしゃられたからだと思います。
 また、「成功に必要なかきくけこ」が印象的でした。
 「感謝・気配り・くじけない・献身・向上心」。わかっていてもなかなか実践できないことですよね。意識したいと思います。
 
 秋山さんが射撃の選手になったのは、高校卒業後警察官になってから。射撃訓練で的中率が高かったので、県で10人くらいが選出されて国体に出場したことがきっかけだそうです。
 世界レベルで活躍する選手って、ごく幼少期に競技を始めることが多いように思うのですが、秋山さんは社会人になってから。(以前聞いたのですが、高校ではソフトテニスをしていたそうです)
 勤務の合間にブルガリアに単身練習にいくように命じられたり(ブルガリア人のコーチとのやりとりは英語)、目の病気にかかったときのことなど、様々なエピソードをお話しくださいました。なんといっても秋山さんは声がいい!
 ワールドカップ決勝では、リオの上位選手たちを抑えて勝ったのですね。世界を狙える方だと思いました。オリンピックには魔物が住んでいるって、本当だな。

 ところで、わたしがちょっと遅れて校舎に入るとき、すれ違った先生が車を誘導していたのです。
 もしや、あの車は秋山さんでは?

「おいしいベランダ。」竹岡葉月

2017-12-10 09:05:48 | YA・児童書
 月曜日、近隣の図書館は軒並み休館なのですが、H図書館だけは開館しております。(水曜日が休館)
 ここは妙に少女小説が充実していて、ついつい借りてしまうのですよね。
 今回も、書店で毎回買うかどうか迷って結局買わない(ひどい……)本を見つけて小躍りしました。
 それが、「おいしいベランダ。」(富士見L文庫)。三冊とも一気に読みました。
 わたしは結構農業に関わってきたので、野菜ものが気になっていたのですが、うーん、なぜ買えずにいたかはこのシチュエーションが好みじゃないからなのかも。
 主人公の栗坂まもり、十八歳。相手役の亜潟葉二、二十九歳……。年の差カップルですね。しかも、まもり、未成年なのにへべれけに酔っ払うのはどうなのか?

 いやいや、この調子だと誤解させそうですね。おもしろかったのですよ。
 「午前1時のお隣ごはん」では、ストーカーに狙われたまもりが、マンションの隣人・葉二に助けを求めます。すごいイケメンで、仕事も忙しそうな葉二は、警察に付き添ってくれ、自室のベランダから野菜をとってきて食事まで作ってくれます。海鮮サラダ丼、味噌汁、蕪とミニキャロットの蒸籠蒸し。
 それを食べながら葉二は、会社を辞めてきたと宣言。フリーランスのグラフィックデザイナーとしてやっていくというのでした。
 会社に勤めているときのスーツ姿と、自宅にいるときのジャージに瓶底眼鏡のギャップ。沼にはまるように野菜づくり(とそれを使った料理)を続けるオタクぶり。
 さらに、ムキムキだけどオトメチックな志織さん(園芸店経営)や、葉二の元彼女の千鶴さん(イチジク農家。わたしはイチジク大好きなので、食べたくてたまらない)、友人の湊ちゃんなと、いきいきとしたキャラクターで楽しいですよ。
 「2人の相性とトマトシチュー」では、つきあうことになったものの、なかなか気持ちに応えてくれない葉二への苛立ちと、誕生日のサプライズ。
 「3月の桜を待つテーブル」(話の時期は年末年始ですが)では、まもりの家族に葉二のことが発覚してしまうてんやわんやです。

「雪には雪のなりたい白さがある」

2017-12-06 20:16:58 | 文芸・エンターテイメント
 いい本だと聞いて注文しました。
 瀬那和章「雪には雪のなりたい白さがある」(東京創元社)。
 公園を舞台にした四つの短編。わたしが行ったことのあるのは、港の見える丘公園くらいですが。
 「雨上がりに傘を差すように」は、横浜に憧れて進学したけれど、大学で友達を見つけることができない果歩が、雨の公園で鳶職だった男性と言葉を交わす物語です。
 「スイッチョねこ」は本当にある絵本なのかしら。文学館行ってみたい。
「体温計は嘘をつかない」は、その後ムーミンが気になってくるお話。この公園(あけぼの子どもの森公園)を企画した人の発想力がすごいですね。
 現在は「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」と改称したそうです。
 嫌いになったわけではないのに、別れなければならなかった二人。息子の姿がいじらしいです。

 「メタセコイアを探してください」は、石神井公園を舞台に、集団に溶け込まない高校生男子が憧れの人と接触する話。
 メタセコイア、前に勤めた学校にありましたねぇ。
 
 「雪には雪のなりたい白さがある」は、中学生のときの初恋の男の子が忘れられず、同級会に出席した瑞希が、航空公園で思い出したことを描いています。
 その場にやってくると、当時のことが鮮やかに浮かび上がってくるというのが、すごくよくわかります。
 特別の存在になりたい。
 全体の中に埋もれたくない。
 例えば青い雪だったなら、舞い落ちる雪の中からすぐに見つけてもらえるのに。
 彼の現在と別れ際の台詞が、瑞希の自立心をかきたてるラストが素敵です。タイトルがいいよね。この話がいちばん好き。
 そういえば、瀬那さんは、この本を読んで実際に公園に行ってみたというお手紙をもらったと「花魁さんと書道ガール」に書いてらっしゃいました。

 読んでいる間、ちょうどテレビでは「ハルさん」のドラマを放映していました。懐かしい。結構展開を覚えていますね。