ものすごい本でした……。タイトルや帯から想像したような内容からは奇妙なほどにずれているのがまた怖いというか。
だって、どう思います? タイトル「隠れた薬害? 精神分裂病」。帯キャッチコピー「精神分裂病のレッテルを貼られた人間に社会復帰の道はあるのか?」。漢字にはルビつき。
「はじめに」(この標題で三ページしかないのに「第一章」です……)を見たところ、このルビは「言葉遊びが隠されているから」で、解法のヒントは前に書いた本に紹介されている、つまり今回の本だけでは全くわからない。しかも、その本のタイトルはというと「平成忍者の時間留学」……。
この時点で、怪しさ満点です。
でも、社会に警鐘を鳴らすような本なんだろうなと思いながら読んでいったのですが、なんだかどんどん袋小路に踏み込んでいくというか。あれあれ、なんで新興宗教の教祖みたいなことになってるの? この小説めいた文章は本気で書いてるの? と、ちょっと失礼なことしか頭に浮かばないような状況になっていきます。
鹿児島育ちの筆者は、東大医学部を卒業後大学病院に残ることにします。そこで研修医として研鑽を積み、やがては神経細胞の研究がしたいと考えていたのです。
まず内科で研修をしようと考えます。その科では何歳か年上のオーベンがマンツーマンで指導してくれるのがポイント。彼の指導はよその大学から移ってきたI先生という女性。美人ですが、評判は余りよろしくはないようでした。
ものすごく忙しい毎日を過ごすうちに、I先生の独り言が気になってきます。そこで、彼女が思いを寄せる相手に妻子がいるらしいと知るのですが、数日後に「結婚してあげようか」と突然言われる。
そういう付き合いをしてきたわけではないし、I先生は好みのタイプではなかったのでそっけない態度をとるうちに、周囲からあれこれ言われ出して敬遠され、とうとう退職せざるを得なくなりました。
これは自分を追い込んだI先生が悪いと、電話で話しあいを申し込むも断られ、父親にその件を訴えても相手にされなかったために逆上。警察に連れていかれ、精神病院に入れられてしまうのです。
このI先生、昔のアイドル歌手と同姓同名なんだそうで、筆者がいくらこうなったのも彼女のせいなんだと言っても誰も信じてくれない。
だから、この本を書いた目的は「何とか皆さんに、強力精神安定剤とはどういう薬か調べていただきたいという点と、私にとって全てのはじまりであった、第二章に書いたI先生という人が本当にいて、平成元年にあの事件があったという私の指摘を確かめていただきたいという二点です」だそうです。
この本は、前者についてまとめるべきだったのでは? 薬を飲み続けることによってレセプターが増加し、ドーパミン過多になってしまうために神経系統が混乱を起こすという主張は、考えさせられるものがあります。強制入院していたときの様子をもっと詳しく、周囲のことなども含めて書いてある方が、きっと充実した内容になったと思うのです。
だって、どう思います? タイトル「隠れた薬害? 精神分裂病」。帯キャッチコピー「精神分裂病のレッテルを貼られた人間に社会復帰の道はあるのか?」。漢字にはルビつき。
「はじめに」(この標題で三ページしかないのに「第一章」です……)を見たところ、このルビは「言葉遊びが隠されているから」で、解法のヒントは前に書いた本に紹介されている、つまり今回の本だけでは全くわからない。しかも、その本のタイトルはというと「平成忍者の時間留学」……。
この時点で、怪しさ満点です。
でも、社会に警鐘を鳴らすような本なんだろうなと思いながら読んでいったのですが、なんだかどんどん袋小路に踏み込んでいくというか。あれあれ、なんで新興宗教の教祖みたいなことになってるの? この小説めいた文章は本気で書いてるの? と、ちょっと失礼なことしか頭に浮かばないような状況になっていきます。
鹿児島育ちの筆者は、東大医学部を卒業後大学病院に残ることにします。そこで研修医として研鑽を積み、やがては神経細胞の研究がしたいと考えていたのです。
まず内科で研修をしようと考えます。その科では何歳か年上のオーベンがマンツーマンで指導してくれるのがポイント。彼の指導はよその大学から移ってきたI先生という女性。美人ですが、評判は余りよろしくはないようでした。
ものすごく忙しい毎日を過ごすうちに、I先生の独り言が気になってきます。そこで、彼女が思いを寄せる相手に妻子がいるらしいと知るのですが、数日後に「結婚してあげようか」と突然言われる。
そういう付き合いをしてきたわけではないし、I先生は好みのタイプではなかったのでそっけない態度をとるうちに、周囲からあれこれ言われ出して敬遠され、とうとう退職せざるを得なくなりました。
これは自分を追い込んだI先生が悪いと、電話で話しあいを申し込むも断られ、父親にその件を訴えても相手にされなかったために逆上。警察に連れていかれ、精神病院に入れられてしまうのです。
このI先生、昔のアイドル歌手と同姓同名なんだそうで、筆者がいくらこうなったのも彼女のせいなんだと言っても誰も信じてくれない。
だから、この本を書いた目的は「何とか皆さんに、強力精神安定剤とはどういう薬か調べていただきたいという点と、私にとって全てのはじまりであった、第二章に書いたI先生という人が本当にいて、平成元年にあの事件があったという私の指摘を確かめていただきたいという二点です」だそうです。
この本は、前者についてまとめるべきだったのでは? 薬を飲み続けることによってレセプターが増加し、ドーパミン過多になってしまうために神経系統が混乱を起こすという主張は、考えさせられるものがあります。強制入院していたときの様子をもっと詳しく、周囲のことなども含めて書いてある方が、きっと充実した内容になったと思うのです。