くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「三月はきみの嘘」

2017-09-28 05:32:37 | YA・児童書
 読書感想文の季節です。
 そろそろ原稿依頼なんですが、五クラス十四人選ぶのに難航しております。できるところから頼まないとならないのに、本を読んでからでないと指導できないような気持ちになってしまう自分……。
 で、一冊読みました。
 いぬじゅん「三月はきみの嘘」(スターツ出版)。


 ……いぬじゅん……。
 ……スターツ出版……。
 これまでわたしの本棚にはなかった傾向……。
 大体感想文にライトノベル系列で書いてくるなと言ってきたわたしなのですが、原稿の中で最も説得力があるのです。
 でも、「ちょっとその本読むから貸して」とは、とても言えない。

 買いました。で、すぐ読みまして、すぐ読めました。
 子どもだましかな? と訝りながら読んだうえ、あらすじはわかっていたのでサラッと。 
 思ったよりも目が潤んでしまったので、これはネタバレしないで読みたかったなーと思う反面、でも、こういう機会がなかったら絶対読まないと思うので、まあありかもしれないと思い直しました。
 昨年は本屋でそれらしき文庫本を「これなら感想文書けると思う」と選び出して、実際県大会目前まで残った作品を書いた生徒なので、今回はきっと「これが書きたい!」と思ったのではないかと思います。

 あらすじはですね……。
 両親の離婚で、昔住んでいた浜松に戻ってきた文香。家族のことをごまかすために嘘をつくのが癖になっていました。
 そんな彼女の嘘を見破ったのが、近くの席の拓海。普段はぶっきらぼうの彼ですが、旧校舎の図書室で会うときは優しいのです。
 だけど、教室の拓海と、図書室の拓海は違う人みたい……?
 文香は図書室でアドバイスされたことをきっかけに自分を変えていきます。 
 夏休みには、旧校舎は取り壊される。それまでに過去の自分を思い出したいのです。
 なぜ、嘘をつくようになったのか。幼なじみが昔の文香の話題を避けるのはどうしてなのか。
 
 今日から少し頑張ります。

能町みね子いろいろ

2017-09-27 05:43:00 | エッセイ・ルポルタージュ
 能町さんが気になってならないわたしは、図書館で著作を検索しました。
 そしたら、「能スポ」は貸出中だし他の本は検索した場所にない。
 別の図書館では在庫が別館(公民館とか……)にしかなくて、しかもどちらにも「オカマだけどOLやってます」はなかった。
 わたしはこの単行本(雑誌広告で見た)読んでみたかったのですが、近場ではみつからず、当時からずっとどこかに引っかかっていたのです。
 買いましたよ。「オカマだけどOLやってます 完全版」(文春文庫)。読み始める前に古本屋で発見したことは、とりあえずなかったことにしておきます。
 能町さん、東大卒なんですねー。著者紹介には書いていないんですが、文中で「美容師になるために大学をやめて専門学校に入り直したい」と思って、それを実家に相談したらずいぶんショックを与えてしまったという場面があったのです。
 た、確かに東大やめるなんて言われたら何としても止めますよね……。
 まあ、そのときは思いとどまって、卒業後専門学校へ。そして、男性として就職したものの、職場環境が合わずに退職。(本が手元にないので、もしかしたら少し違うかも)
 紆余曲折の末、OLとして入社。誰からも男性であることを悟られないまま働くことになるのです。
 当時はまだ肉体的には男性。
 もともと中性的で、高校時代は女装させられるなどの立ち位置だったため、久しぶりに友人に会っても、ほとんど変わっていないと言われていたとか。
 
 あと、もう一度図書館で探したら見つかった「ことば尻とらえ隊」(文春文庫)がすっごくおもしろくて、これはいつの日か自分で買わなければと思いました。
 時事ネタって、絶版になることが多いでしょ。世相を切り取るエッセイって、なかなか好みのものに出会えないので、この本は貴重でした。
 本当は新刊のとき、買おうとしたんですよ。ことば関連の本が好きなんで。
 でも、表紙カバーが本当に尻のイラストですからね……。
 娘に「何読んでるの……っ?!」と、言われてしまいました。
 「能スポ」も借りてきたので、ちまちま読もうと思います。

「コーヒーが冷めないうちに」

2017-09-26 05:58:14 | 文芸・エンターテイメント
 第一印象から、これは売れるけどわたしには必要ではない本だと思いました。
 「四回泣ける!」みたいに感動を煽る本は好きになれないのです。
 でも、本屋大賞にノミネートされているし、図書館でどうしても何か借りないといけない状況だったので、手に取りました。
 川口俊和「コーヒーが冷めないうちに」(サンマーク出版)。
 結論から言います。
 この作者、仙台は田舎だと思っているんでしょうか。唖然としました。
 作中人物の平井は、三十歳。仙台の老舗旅館(七夕会場から車で十分の場所らしい)の娘ですが、跡を継ぐのを嫌って東京でスナックをやっています。
 彼女になんとか戻ってきてもらいたい妹の久美は、何度も説得にやってきます。
 その日も、平井の行きつけの喫茶店フニクリフニクラで手紙を書いた久美は、姉に渡してくれるように言伝てて帰っていきました。その帰路で事故にあい、帰らぬ人となったのです。
 フニクリフニクラは、とある条件のもと、ある席に座ると過去に戻ることができます。でも、運命は変わるわけではない。
 それを知っていても、平井は久美に会いたいと思って席につくのでした……。

 仙台東京間、新幹線なら二時間でいけるんですが、何故この姉妹は車を使うのでしょう? 久美は居眠り運転のトラックに突っ込まれて亡くなります。運転していたのは、なんと軽自動車! 旅館の若女将として多忙な毎日の中、休みを使って姉を説得に来るのに、軽自動車?
 妹の死を告げられてタクシーで五時間もかけて帰った平井。(料金は十五万だそうです)
 口もきいてくれない両親に居場所を見つけられず、喪服のまま帰ってきたといいます。
 平井にとって久美は、忙しい母親に代わって自分が育てたようなもの。
 小学校に入ると妹を背中にくくりつけて学校へ通った……っ? 嘘でしょう。今三十なら、もう世の中平成です!
 しかも、「田舎の学校だったから、教師たちも協力的で」って……。
 あーのー、仙台七夕会場から車で十分なら、かなりの市街地なんですが……。
 乳飲み子を連れてこられても、学校でお世話なんてできないでしょう? この子は登校にあたってほ乳瓶だの粉ミルクだのおむつだのを教科書とともに持ってくるのですか? 暇な教員なんていないんですけど、誰が面倒みるの? ぐずったときには授業を抜け出してあやしたりしたともあるけど、まさか廊下に置き去り?
 
 筆者の年齢をみると、わたしとほぼ同世代。
 こんなことありえないとは思わないのでしょうか。
 わたしは、小説はディテールだと思うので、こういう穴があきまくった話は気になって没頭できません。
 もともと舞台だったそうだから? 舞台ってたまに荒唐無稽なことをしても気になりませんよね。
 しかし、本当にみんなこれよんで泣いたんですかね? 泣く要素が見つからないのですが。
 だいたいもう旧姓で呼ぶなと言っている人物を、いつまでもしつこく旧姓で呼んでる地の文もどうよ?

「結婚はつらいよ」今村三菜

2017-09-25 05:51:24 | エッセイ・ルポルタージュ
 平野レミさんの妹さんの娘さんだそうです。
 発売当時書店で見かけたのですが、なにしろタイトルが「結婚はつらいよ」(幻冬舎)だったので、自宅に置くのをためらいました。
 さらっと立ち読みした感じだと、前の旦那さんとは離婚、今は別の人と結婚しているよう。
 いつか機会があったら、と思っていたので、図書館で借りてきました。
 エッセイとしておもしろいと思います。語り口も。
 お爺さんは仏文学者平野威馬雄。レミさんや和田さんのエッセイもこれまで読んできているので、なんとなくイメージがわきます。
 その奥様(筆者の祖母)の晩年は、静岡の今村家で過ごされたのだとか。若い頃の話や、UFOに惹かれた平野威馬雄が「空飛ぶ円盤の会」を結成し、息子のお嫁さんがそこの会員と浮気しているのを察知した話は、インパクトがありました。
 ちなみにこの会員男性「今もご活躍の『日本の超上現象の権威、某氏』」と紹介されております。
 さらに、奥さんを奪われた伯父の話(この奥さんとは再婚で、その後再々婚)があり、そこで今村さんが旦那さんと喧嘩して家を飛び出したエピソードが語られます。
 旦那さんは北陸出身。親族のお葬式には「よく幽霊がつけている、白い三角のアレ」をつける土地柄で、今も土葬の文化が残り、お雑煮は味噌味で丸餅が入っていて砂糖もたっぷり。
 さらにこの旦那さんのエピソード、なんだかやたらと下に関わるものが多かったのです。痔の写真を撮るとか……。
 「老後の下の世話は任せておけ」という話もあったので、まあそういう関係なのだなと思っていたら……。
 なんと、最終は「夫の浮気」! 伯父さんの家に行った、あのときの喧嘩は、旦那さんが水商売の女性にいれあげて朝帰りをしたからの出来事だったのでした!

 まさに、青天の霹靂……。
 ほのぼの家族エピソードエッセイが一転です。まさに「結婚はつらいよ」。びっくりしました。

「ブッポウソウは忘れない」鳥飼否宇

2017-09-24 08:54:01 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 川上和人さんがおもしろかったので、予定通り「鳥類学者だからって(以下略)」を購入し、息子のテスト明けを待って渡したところ非常に気に入ってくれたため、本は贈呈しました。
 「そもそも島に進化あり」(技術評論社)を借りてきましたが、語り口はともかくぐっと専門書っぽいです。
 島と鳥とは密接な関係にあり、島という漢字が集まった中に鳥の字が入っていたら発見しづらいとか(笑)、進化や外来種、絶滅などについて描かれています。
 島に対しての言葉はメインランド。植物も動物も、メインランドよりも島は無防備で、とげがなかったり飛べなくなったりしています。均一種も多いので(血液型に例えれば、A型しかいない感じ)、病気が流行ると次々倒れてしまう。
 外来種を撲滅するための方策もいろいろ試されていて、一時話題だったヤギなどはもう心配ないそうです。
 でも、今度は今までヤギに食べられていた草がどんどん広がってしまい、別の問題がおきてしまうのだそうです。

 ……おかしい。わたしは、川上さんの話題は枕で、このあと鳥のムックを買ってしまったとか、鳥飼否宇の「ブッポウソウは忘れない 翼の謎解きフィールドノート」(ポプラ社)を読んだとつなげてそちらをメインに書くつもりだったのです。
 大体「そもそも島に進化あり」も、息子に貸したし、半分くらい斜め読みだったのに、意外なほど覚えている……。
 ただ、外来種の撲滅のための方策が意外で、その内容がどうしても思い出せなくていらいらします。(ヤギは銃で打つそうです。そっちは覚えているのてすが……)

 では、「ブッポウソウ」の方を。
 大学で鳥の研究をしている「僕」(宗像翼)は、先輩の春香に思いを寄せています。
 しかし、母親の体調がよくないと実家に帰ってしまった彼女との連絡は途絶えがち。しかも、同級生のみやこから、春香は妊娠しているのではないかと言われて愕然。密かに彼女の家を訪ねたものの、確かに赤ん坊を抱いている春香を見かけてショックは倍増です。
 オオルリの巣に托卵したジュウイチのひなを殺したのはどの猫か。みやこが片思いをしているのは誰か。ミミズクをモデルに作られたヘッドギアは何を目論んでいるのか。助教の九千沢さんが首を絞められたとき、オウムが叫んだ「トミーノハンコー」の意味は?
 研究室の面々が個性的で、宝満教授をはじめ、先輩の古賀さんや門司さんたちもいきいきしていました。
 ちょっと翼は思い込みが強すぎると思わないでもないですが(だって春香さんの一件は読者には容易に連想できますよ
ね)
 ……どう考えても、表題より川上さんの話題の方が長い! す、すみません……。 
 気になって仕方がないので、駆除の部分を今、読んできました。虫に限るようですが、不妊状態の虫を大量に放つのだそうです。繁殖を防ぐのですね。
 あと、ヤギに付け足し。発信機をつけたヤギを群に戻して居場所を特定するのだとか。そのため、このヤギは「ユダゴート」と呼ばれているそうです。
 

「便利屋寺岡の夏」「昔話法廷」

2017-09-23 21:51:05 | YA・児童書
 児童文学二冊。
 「便利屋寺岡の夏」。小学生の寺岡美舟は、尾道で祖母、両親と暮らしています。
 ただ、父はふらりといなくなってしまううえ、自由業(画家)のため、母が便利屋を始めました。
 犬の散歩、庭の草取り、番台、話し相手、などなど。
 従業員として雇っているのは若い男性一人だけで、あとは家庭内でやりくりしている状態です。
 美舟は、友人からおばあちゃんのお風呂について相談を受けます。
 もうすぐ施設に入るおばあちゃんに、元気な頃によく行ったお風呂屋さんの思い出を残したい。介護サービスの入浴では味気ないというのです。
 そこで考えた作戦は?
 お父さんと友人のエピソードもおもしろかったですよ。

 「昔話法廷」は、ブックカタログで見て気になっていた一冊。
 「三匹のこぶた」は、殺人か過失死か? 「白雪姫」の女王には殺意があったのか? それとも姫と王子が共謀して陥れる計画だったのか? 「かちかち山」のうさぎの復讐は、過剰ではないのか。
 陪審員たちは頭を悩ませます。
 同趣向の作品を読んだことはありますが、これは弁護士と検察の駆け引きとか、結論を出す前に放り出されるようなリドルストーリーがおもしろいと思いました。
 NHKで放映されたものの書籍化なのでしょうか。映像も見たいように思います。

思い出としょかん

2017-09-08 05:42:26 | 〈企画〉
 「昭和こども図書館」にインスパイアされて、自分の思い出本を選んでみます。この本では、好きだった作品だけでなくなんだかもやもやとしたものが残っていたり、好きになれなかった本も「懐かしい」という観点で取り上げているので、それは踏襲しますね。
 幼少期の本の記憶で最も古いのは絵本「ももたろう」です。同じようなシリーズで「したきりすずめ」もあった。祖母に読み聞かせてもらいました。
 昔話や民話が好きだったため、「日本のこわい話」や「とんち話」などずいぶん読みました。特に好きだったのは、古い家に泊まると昔の道具のおばけ(今気づいたけど、これつくも神ですよね)が出てきて怯えさせようとする。
「きへんにはるの字、ていていこぼし」(?)というのがいちばんの親玉で、正体は椿の木で作った杵だったような……。
 小学校三年生で図書室に行けるようになり、初めて借りたのは「日本の神話」。内容は「古事記」ですね。
 当時人気だった「やまねずみロッキー・チャック」や「ムーミン」のシリーズがよく読まれていたように思います。
 少女向けの外国文学が好きだったのは、前回書いた通り。
 おじさんが入学祝いに送ってくれた本も結構読みました。「片足ダチョウのエルフ」「きかんしゃやえもん」「くまのこウーフ」……。
 ウーフの挿絵井上洋介さんが好き。当時からさねとうあきらさんの絵本が大好きで、井上さんの絵とセットで思い出します。
 「おこんじょうるり」「かっぱのめだま」「おにんべわらし」そして、「なたねおりひめ」です。
 飢饉の村を救うために人柱にされた姉と、美しい妹の物語だと記憶しています。
 実家では一時、県図書館の委託をうけて地域文庫をしていたのですね。何ヶ月かに一度、行李に入った本が百冊届くのです。貸出をしていました。まあ、家にあるのだから読み放題です。
 これに「なたねおりひめ」が入っていて、何度となく読みました。でも、大人になって手にいれたくともどこにもない! 県図書館で借りて、コピーをとりましたが、何度か引っ越すうちになくなってしまいました。
 中には同じ出会いで購入できた本もあります。カイ・ニールセンの「太陽の東、月の西」とか。イラストが美麗で! 
 妹が歯医者さんかどこかで読んで魅了されてきた安房直子「鳥にさらわれた娘」。この絵は味戸ケイコさんでした。
 安房さんの、寂しさのある透明感。「銀のくじゃく」や「だれにも見えないベランダ」を読みました。
 同じような印象を小川未明に感じるのですが、いかがでしょう。「金の輪」や「赤い蝋燭と人魚」……。 
 死が日常に近いような気がしてくるのです。
 
 あとはコバルト文庫かなー。「クララ白書」「ジャパネスク」「あたしの中の……」「星へ行く船」「これがオシュートメさんだ」なんか、懐かしい。
 もうこのへんまでくると、児童小説から少女小説に移っていますね。
 古典の児童翻訳ものも好きでした。「里見八犬伝」で感想画を描きましたが、結局抄訳しか読んでないなあ。「落窪物語」がとにかく好きだったので、何回も借りた覚えがあります。
 子どもの頃に読んだ話を今読み直すと、感覚が変わっていることが多いのですよね。
 本は読んでいる方ですが、定番といわれる児童文学を読んでいないことも結構あります。エンデとかゴッティンとかランサムとかケストナーとか。中学の図書室になかったのかな?

「昭和こども図書館」初見健一

2017-09-07 05:12:06 | 書評・ブックガイド
 なーつーかーしーっ、と叫びたくなる児童書が七十冊以上。
 初見健一「昭和こども図書館 今でも読める思い出の児童書ガイド」(大空出版)。
 幼いときに読んだり見かけたりした本がたくさん紹介されています。
 「ちいさいももちゃん」「いやいやえん」「イシダイしまごろう」「なぜなに学習図鑑」「モチモチの木」など、次々に書影が思い浮かびますよ。
 子どもが生まれてから読み聞かせた「からすのパンやさん」「ぐりとぐら」。児童書は長く読まれていくので、まだ手にとれる本もたくさんあります。
 筆者の初見さんはわたしと二つ違いなので、重なる記憶がなんだかおもしろい。
 で、ご本人おっしゃるように、取り上げるジャンルにオカルトが多い(笑)。
 「ノストラダムスの大予言」「ジュニアチャンピオンコース」「狐狗狸さんの秘密」等々。中岡俊哉、聞き覚えがあるような……。
 この世代は、「戦後民主主義」と「オカルト」の申し子みたいな傾向があるとの分析、なんかわかります!
 そうだよねー、「ゴーストハント」だって「陰陽師」だって、その影響あるもの。
 さらに、「白い影法師」や高階良子の作品にも狐狗狸さんが描かれていると紹介されます。
 わたしの本拠地(?)学校図書館には古い図書も結構残っています。
 なかなか本屋さんでは見かけないような本も、ときにはあります。今では新装版になっているものもありますね。
 光村の「教科書ライブラリー」や「科学のアルバム」は今度再読しようと思います。
 タイトルを知っていても、結局読んでいない本もたくさんあります……。
 「ツバメ号とアマゾン号」「くまのプーさん」「荒野に猫は生き抜いて」など、小学生のうちに読んでおきたかったな。今読むのとは、やっぱり感じ方が違うと思うんですよね。どこの図書館にもある本だから余計そう思うのかも。

 ところで、滝平二郎さんの切り絵について、「日常のなかにあるアート」という表現があるんですよね。
 そういうものが最近なくなってきたという考察も、なるほどと思いました。なんだか寂しいですね。
 音楽もそうかも。クラシックで身近な曲が、三十年くらい前はもっとあったように思います。
 
 わたしだったら同じコンセプトでどんな選書をするでしょう。「家なき娘」や「小公女」が大好きだったのですが、出版社によってパッケージが違いますよね。
 児童書は装丁も含めて、記憶されているように思うのです。
 「愛の妖精」や「秘密の花園」は、濃いピンクのカバー、「小公女」や「ニルスの不思議な旅」は新書版のカバーなし、「椿姫」「阿Q正伝」は緑のハードカバー(だけどカバーなし)が印象的です。当時は出版社気にしていなかったので、どこなのか検索した結果、ピンクカバーは岩崎書店の世界少女文学全集。新書版は岩波少年文庫の旧版かな? 緑のもやっぱり岩崎書店のものです。
 書影を見ていたらカバーがかかっている状態なので、ちょっと判断に迷います。学校なので、カバーは最初から外していたのかも。
 あと集英社版の世界名作全集も懐かしい。わたしは「ああ無情」を持っていました。
 ……ん?
 全集なのにことごとく単品しか持っていなかったんですね。
 あかね書房の推理全集も懐かしいです。
 アイリッシュの「見えない殺人犯」! のちに「コカイン」という作品の翻案だと知ったのですが、読み比べても「見えない殺人犯」のほうが好きでした。
 機会を改めて、自分の思い出本もリストアップしてみたいと思いました。
 初見さんは今も入手可能なものを中心に選んでいるのですよね。その制約は結構難しいかも。

「機長、事件です」秋吉理香子

2017-09-06 05:37:39 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 パリ就航の四日間を、四つの短編で描いた「機長、事件です! 空飛ぶ探偵の謎解きフライト」(角川書店)を読みました。
 イヤミスともいわれる秋吉さんですが、帯にもあるようにポップなトラベル小説です。
 国際線で副操縦士として初の搭乗となった間宮治郎は、友人から機長の氷室翼の悪評を聞かされます。冷たく、効率重視で細かい指示が多い。さらに、技術をひけらかすような行動がある。
 びくびくしながら出勤したら、初っ端からガツンとやられます。
 氷室は、まだまだ珍しい女性機長で、ハーバード卒業のエリートですが、メディアに取り上げられるのを嫌い、誰に対しても容赦がないので、世の中に疎い彼は知らなかったのですが、「氷の女王」の異名を取るクールな存在だったのです。
 また、今回は十二時間の長旅とあって、もう一人の機長が同乗しています。幸村操雄機長は、チャラチャラしているけど優しくて頼りになる男性。CAの多岐川は気配り上手なお嬢さま。(氷室が言うには「こち亀」の麗子クラスのお嬢さまだそうです。「こち亀」、読んでるんだ……)
 この四人が、往路では婚約指輪の盗難事件、パリの蚤の市では警察も絡む事件、さらにモン・サン・ミシェルで殺人事件! と次々にハードな事件に巻き込まれます。
 初めは苦手だと思っていた氷室が、鮮やかに謎を解く姿に、治郎は心を引かれていきます。
 さらに、帰路ではピアノコンクールの優勝候補の女性が倒れる事件が!
 推理のサポートをした治郎に、氷室が嬉しい一言を。
 シリーズ化したらいいなあー。ラストまで伏せられていた幸村のプロフィールにはびっくりしましたが、彼のことももっと知りたいですね。
 秋吉さんはご両親とお姉さんがパイロットなんですって。すごいエリート家族なんですねぇ。
 

「婚活探偵」大門剛明

2017-09-05 02:18:24 | 文芸・エンターテイメント
 立て続けに結婚相談所の話ですね。大門剛明「婚活探偵」(双葉社)。
 この表紙にインパクトを感じて借りたもの、二週間車に積んだまま返してしまったのです。
 で、次に行ったとき返却コーナーにあったので再び手に取りました。
 他称ハードボイルド、自称は草食系の「私」こと黒崎竜司は、ウインドミル探偵事務所の有能な探偵。元々は刑事で、立てこもり犯の説得など有名事件でも活躍していたのですが、ある疑惑のために退職し、所長の風見に拾われました。
 彼を慕う部下の八神とともに、人探しや浮気調査、盗聴器の探索などを行い、次々と依頼を解決していきます。
 ……でも、これは探偵メインじゃないんです。
 タイトル通り、黒崎が婚活し、それが次々失敗していくというコメディものです。
 ある「お願い」をする女性や、パーティーで一番人気の美人、「女鬼平」(!)の異名を取る検事、さらには大会社のお嬢さんやメイドカフェで働く女の子など、たくさんの女性が黒崎のそばに来ては別れていく。これまで女っ気がなかった彼は、入会した「縁 Enishi」のアドバイザー木戸まどかに教えられて、生活も大分変わっていくのです。
 黒崎がラストで出した答えとは……。

 個人的に「女鬼平」の沢木さん、カープ女子穂乃果さんが好みでした。それから、事務員でありながら黒崎以上の名探偵と思われる安田さん。かっこいい!
 それにしても黒崎、都合悪くなると人の話を聞かずに逃走するのはどうかと思います……。