くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

二月・「太郎が恋を…」続けて

2009-02-28 19:58:52 | 〈企画〉
ひじょーに不思議なのです。
amazonで「太郎が恋をする頃までには……」のカスタマーレビューを読んでみました。すると、このラストについて怒っているかたが何人かいらっしゃるんですね。
理由① 離婚することは結局差別問題に敗れたということになる。「破戒」の時代から社会風潮が変わっていない、問題がそれほど根強いことを読者に認識させるだけではないのか。
理由② 現実とは異なるエンディングでは納得がいかない。ドラマチックではなくともいいから、本当のことを書いてほしい。
という感じなのですが、わたしは②のかたに疑問を感じるのです。
なんで、現実と異なると嫌なのでしょう。エッセイでもない、れっきとした小説です。文中に「私小説」を依頼されるシーンがあるからでしょうか。
一人称の作品にはよくあることですが、「私=作者」と読んでしまうのですよね。でも、作品は作者から切り離されたテキストとして読むべきだとわたしは考えるので、「五十嵐今日子=私=栗原美和子」と考えるのは賛成できません。
重松清が書いた一人称小説がすべて彼の生活とイコールではないように。
この作品はかえって現実は「違う」ということを知ることで、読者をホッとさせるような面も持っているのではないかと思うのです。
また、②のように考えるかた、このあとのことを想像してほしいのです。
この作品には、「母と子」の結びつきに関わる描写が多く、実際今日子はハジメよりも母を選ばざるを得ないのですが。
今日子はお腹の中の子供との結びつきに、「太郎が恋をする頃までには……」と決意をしています。それは、親との縁を切っても出産しようという決意の現れではないでしょうか。
今日子は生まれてくる子供の未来に、赤ん坊のハジメがデモ行進に参加したときのことを思い描いていると思うのです。それは、実際に子供を連れて歩くということではなく、海地小夜子が母として自分の子供を育ててきたように生きることを示唆しているのだと思うのです。
この話には、故意に語られていないことがあります。そのひとつは、小夜子の出自です。彼女が出身かどうかはどこにも触れられていません。しかし、生まれた息子を連れてデモに加わるくらいですから、夫と同じ意識を持っている人と見ていいでしょう。
今日子は、母として小夜子のように生きる決意をしたのだと私は思うのです。

と、読み終わってからもかなり考えてしまう「太郎が恋をする頃までには……」が、二月に読んだ本の中でも印象的な作品だったと思います。
あとは、やっぱり「お母さんは勉強を教えないで」がすばらしいです!
そして「テンペスト」と「ふたりのイーダ」かな。まんがでは「神南火」(星野宣之)おもしろかった。二月は二十冊読みました。

「お母さんは勉強を教えないで」見尾三保子

2009-02-28 05:50:10 | 社会科学・教育
うををを、すごい本に巡り会いました! 見尾三保子「お母さんは勉強を教えないで」(新潮文庫)です。おもしろいっ! 単行本が出たとき多分買うかどうか悩んだんだけど、大幅改稿ということなので、この形で巡り会えてよかったということでしょう。
もともとは国語の教師なのに、見尾先生の教えてくれるのは数学。基本のイロハの積み重ねを組み合わせていくことで、複雑な応用問題も解けていく。子供の頭を「能率のよい電卓」にしてしまうことの危険性。論理的に考えていくことで、子供から「引き出す」ことの大切さをこの本は繰り返し説いていきます。
学ぶことに喜びを感じるようになると、子供たちは意欲的に勉強に取り組むようになります。信じて任せること。見尾先生は彼らが自分で考えて答えを出せるまで待っています。ヒントを出し、基本をつかませ、答えにたどりつけるまでサポートしていくのです。簡単そうに見えるかもしれないけれど、ヒントを出すためにはその問題を咀嚼していなければなりません。ひらめく頭を作るという目標に向け、周到に計画し一人ひとりを導くことは、手がかかる仕事です。
何よりも、日本語が貧弱であるということは、貧弱なことしか考えられない、国語の力を伸ばすということは、少しでも豊かにものを考えられるようになるという考えには感服致しました。わたしも見尾塾に通いたいくらいです。
そして、「あとがきにかえて」。本文が終わったので、つい油断していました……。学習に関する本で感極まって泣く自分が信じられません。それは、見尾先生が塾を開くことになったきっかけについての文章です。
ここまで、娘さんのことはよく書かれているのに、旦那さんの影がないと思っていたのです。もうひとりの指導者は弟さんだというし。
旦那さんのことが、わずか一ページ半、書かれていました。この塾を続けてきた見尾先生の気持ちが伝わってくるような気がして、じわり、と涙が浮かんだのだと思うのです。
この本とてもいい本なんです。できれば日本中すべてのご家庭で読んでいただきたい! そして、子供たちがのびのびと授業に取り組むことができるような、よきコーチになりたいものですね。

「アホウドリが復活する日」国松俊英

2009-02-27 05:43:28 | エッセイ・ルポルタージュ
国松俊英「アホウドリが復活する日 絶滅を宣言された鳥の保護につくした人々」(くもん出版)を読みました。
国松さんには「最後のトキ ニッポニア・ニッポン」(金の星社)という作品もあり、絶滅の危機にある鳥類のドキュメンタリーを興味深く読んだものです。
アホウドリに関しては、鳥島で繁殖していたものが濫獲にあって絶滅したと思われていたこと、それを長谷川博さんが中心になって新しいコロニーを形成し、現在二千羽近い個体数まで増えたことなどは知っていました。
この本には濫獲の実際も詳しく説明してあります。明治時代、玉置商会という会社が島に開拓の許可を得て入って来るのですが、彼らはもともとアホウドリを商売にしようと目論んでいたそうです。こん棒を持って鳥を追い回し、一日で一人百羽から二百羽ほどを捕えました。それを運ぶためにトロッコを走らせ、年間二百万羽以上ものアホウドリを捕まえたというのです。
アホウドリの羽毛は輸出され、骨は砕かれて肥料になりました。さらには明治三十五年の火山の噴火があり、棲息に適した環境が変化しました。昭和八年には禁猟区に指定されるも、直前まで大量に殺されたせいで、一度は絶滅が宣言されました。
しかし、人が近づくことの難しい地域で、彼らは生きていたのです。もちろん、絶滅の危機にさらされていることに違いはありません。なんとか、この鳥を救いたい。長谷川さんの熱意で、島が少しずつ改良されていきます。
わたし、去年絶滅動物に関わる本を数冊読んだので、個体数が百を切るとその種は絶滅に向けてのスピードを急速にあげるというのを知っていたのです。ところが、この時期のアホウドリは63羽しかいないというのですね。ひなにいたっては11羽。これで絶滅するなというのは難しい。長谷川さんがいかに悪戦苦闘したかがわかります。
アホウドリの卵はニワトリの卵の六倍の大きさ。重さは370グラムくらい。抱卵期は65日もあるそう。
ススキが少なくなったことで、卵が巣から転がり落ちたり、孵化してもひなが育たなかったりということがわかり、まずススキを植えることから始めました。さらには砂防工事。長谷川さんは奮闘します。
と、ここでバードカービングの内山さんが登場します。内山さんは鳥島にアホウドリを復活させようという話を聞き、自分も何かしたいとアホウドリのデコイを作ることにしたのです。デコイというのは実物そっくりの模型。これに鳴き声の録音を組み合わせると、格段に鳥を呼び寄せることができるというんですね。
ところが、苦心して作ったのに、発砲スチロールを切っただけでも鳥は来るといわれたり予算がないといわれたり……。
でもこのデコイのおかげで、新しいコロニーが作られていくのです! すばらしい。

それから、記事としてはほんとうに小さなものでしたが、鳥島にはかつてオーストンウミツバメという海鳥が棲息していたのに、人間がもってきた荷物とともに運ばれたクマネズミによって滅ぼされたことも書いてありました。
人間の手が介入することで絶滅した動物はたくさんいます。今、絶滅しかけている種を救うことも、人間にはできるかもしれません。そのためにわたしたちに残された方法を、少しでも模索しなければいけないと思うのです。

「子育てしない男には女のスゴさがわからない」山脇由貴子

2009-02-26 05:53:21 | 社会科学・教育
「教室の悪魔」「モンスターペアレントの真実」の山脇由貴子さんが書いた「子育てしない男には女のスゴさがわからない」(ポプラ社)を読みました。
山脇さんのストレートな考えが出ている本だと思います。
冒頭、子育てに悩んでいる母親の負担を少しでも軽くしたいと、彼女の夫の会社に電話をする様子が紹介されます。しかし、全く聞く耳を持たず電話は切られてしまうのです。
旦那さんが少しでも協力的になれば、家族のありかたは変わる。山脇さんは、様々な事例を通して、子供たちの現状や母親たちの苦悩を紹介します。それはなんら特別な問題ではなく、わたしたちにとってありうべきことなのかもしれません。
上手な叱り方がどういうものかも書かれています。
① なぜ叱っているのか、その理由をはっきりさせる。
② 感情的にどなったり、叩いたりしない。
③ 気持ちを理解してあげる。
④ 「おしまい」を作る。
⑤ 「おしまい」のあとは愛情表現。
うーん、怒っているときは冷静に話しているつもりでも、感情的になっているものですよね。叱るのって難しいです。
あと、成程と思ったのは、幼児期の子供は「自分はなんでもできる」という気持ちを持っていますが、これは親の力によるところが大きいのですって。だから、「できる自分」でいるためには、外の世界の軋轢が邪魔なわけ。なんでもやってくれる親がいないと、何もできないのです。当然、自立なんてできません。
自立できない自分は、親によって「支配」されていたのだと思った子供が、今度は腕力によって親を支配しようとする。家庭内暴力や引きこもりにつながることも少なくないそうです。
そして、最後に語られるのは対人関係にはパターンがあるということ。殴る男と付き合っている友達をやっと別れさせたのに、しばらくして彼女が付き合うのは、またしても殴る男。
考えさせられます。
カウンセラーとして、たくさんの家庭の問題を見つめてきた山脇さん。言いたいこと、伝えたいことはほかにもたくさんあると思うのです。
この本は、近著と比べると「講演」の要素が強いように感じました。
わたしの同僚は彼女の講演会に行ったことがあるのですが、話したいことがありすぎて、早口になってしまいがちなのでは、と言っていました。
「モンスター」は、ちょっと読んだのですが、返却期日がきて返してしまったので、またいつか借りようと思います。

「太郎が恋をする頃までには」栗原美和子

2009-02-25 05:47:27 | 文芸・エンターテイメント
普段はテレビを見ないわたしですが、時々夢中になる番組に出会うことがあります。
もうずいぶん前、「ムコ殿」というドラマにはまりました。主演は長瀬智也。マネージャー役に段田安則、妻は竹内結子、その家族に秋吉久美子、鈴木杏樹、篠田涼子、宇津井健、等々豪華なキャスティングだったのです。
わたしは段田さん目当てに見始めたのですが、人気スターが一般家庭にムコ入りしたことでおこるどたばたがおもしろくて、夜十時からというのに見たものです。
ただ、キャストも脚本もなかなかなのに、演出がくどいんですよー。無理矢理泣かせようとする姿勢を感じるというか。
このドラマのプロデューサーが、栗原美和子さんだと聞きました。合っていますか?
で、「太郎が恋をする頃までには……」(幻冬舎)を読みました。
本屋で平積みになっていたのを見て、読みたかったのですが、何しろ「泣かせの栗原」ですからね。泣けないとシナリオを直させるとか、テロップの名前にハートマークつけていたとか、「ムコ殿」のパート2は全然おもしろくなかったとか、いろんなことが去来して、買えませんでした。
以前、「被差別の青春」(角岡伸彦 講談社文庫)を読んでいたので、気になって仕方ないのですが、ううーん、この文体の熱さは苦手なのよ~と、手に取っては戻し。
ダ・ヴィンチのインタビュー(2009年1月号)を読んではどうするべきか悩んだのですね。
結論からいいます。
この本は読むべきものだと思います。
確かに文体もキャラクターも熱くてどうしよう! とは思うのですが、それは慣れれば大丈夫。こういう人たちなのです。
ハジメさん泣きすぎだとか今日子さんエキセントリックすぎとか気になるポイントはいくつもあります。こんなに感情の起伏が激しい人たちと付き合うのはわたしならごめんです。
でも、おもしろいのです。結末の予想はついていたのですが(インタビュー記事で、現実とは違う結末と紹介されていましたからね)、納得のラスト。そして、祈らずにはいられません。「太郎が恋をする頃までには……」。
海地ハジメが少年時代に気づいた、差別されるだけでなく自分たちよりも下のものを作って差別をする構造に目を開かされる思いがしました。
あ、でも栗原さん、これをドラマにはしないでね。
読んだあと、なぜ作者がこの写真を表紙に選んだかがわかり、しみじみしました。ナルシストなのかと思っていた自分に「反省!」

「だんだん」森脇京子・青木邦子

2009-02-24 05:44:30 | 文芸・エンターテイメント
わたしは普段、テレビを見ません。家族がついているのを脇から眺めているくらいです。クイズ番組はわりと好きですが、見なきゃ見ないで済んでしまう。茶の間で本読みを禁じられているので、まあ、ついていれば見ます。
あんまり連続ドラマに興味ないんですが、あらすじくらいつかみたいと思うこともあるのです。筆頭がNHK連続テレビ小説。
という訳で今回は「だんだん 上」(原作・森脇京子 ノベライズ・青木邦子 NHK出版)を読んでみました。
たまにすごい勢いではまるドラマもあるんです。例えば、「ふたりっ子」。おもしろかった! マナカナちゃんはそこの子役で活躍していたしていましたよねー。その二人が今度はヒロイン。さらにNHK得意の歌唱もの!
ドラマの方は今、あっという間に歌手をやめてしまった二人がそれぞれの道を探していますが(かな? 週いちしか見ないので、新聞の粗筋で予測ですー)、そこに至るまでのストーリーが何となくつかめました。
わたしが知りたかったのは、嘉子と忠の結婚のいきさつ。そうかぁ、幼なじみなのだね。嘉子の視点で見ていくと、苦しい思いが多いのではないかと感じました。
また、テレビでは実際に役者さんが動いているのでそうでもないんですが、松江の仲間うちの皆さんは必要な人物なの? とも。ヘルン先生と高林さんの関係はまだ明かされないんですか?
わたし、石橋さんは結構重要な役割だと思っていたので、「こんなに嫌な奴だった?」と不思議に思います。めぐみとのぞみが好きになる人とは思えないー。久乃さんだって、これじゃ冷たい人の部分が強調されすぎのような。
ドラマを見た場面については映像が浮かぶからよいのですが、主人公二人と忠以外は余り存在感がないというか。あ、美香さんと涼乃さんはテレビよりクローズアップしているかも。
複雑な表情を「微苦笑」と表現するところが数ヶ所あり、わたしも微苦笑です。
でも、続きは気になるのでまた下巻を借りることでしょう。
このドラマの肝はやっぱり「歌」だと思います。下巻、SJのアイドル時代のことが綴られると思いますが、映像で見ておきたい場面かもしれないですね。

「α」「+α」くらもちふさこ

2009-02-23 05:52:51 | コミック
「駅から5分」(集英社)読みました?
すっごくおもしろかったので、くらもちふさこのオムニバスものが読みたくて読みたくて。
となると、「チープスリル」かなーと探しまわったのですが、文庫は「天然コケッコー」しか売ってないし、古本屋でマーガレットコミックス三冊中①と③だけやっとみつけたのですが、どこにも②がないんですよー。
今回、「α」「+α」を読んでみて、かなり満足しました。さすがです。
くらもちさんは、カットバックが上手く、演出もすばらしいのですが、この作品の舞台は芸能界。非常に映画的に仕上がっています。「α」は、メインキャラクターを同じ俳優が演じるというシリーズもの。さらに「+α」は、そこに登場した俳優たちの姿が描かれます。
中心になるのは、「天水キリ」というブルークラウン優秀賞受賞の人気実力ともに備えた俳優です。共演するうちにキリにひかれていく三神妃子の視点で物語は展開します。妃子は大物俳優の一人娘。自分は七光りでしかないと思いこむところがあります。
シリーズがすすむうちに、「α」で必要とされているのはもうひとりの女優山本耀ではないかと彼女は悩むのです。
実は彼らは同じ劇団に所属し、以前は妃子の付き人だった、新人生田理一とともに活動していた仲間でした。三人に受け入れられたいと望む妃子は演技や関係作りを頑張ります。その中でしらされた、とある真実--。
劇中とバックステージとがシンクロし、すばらしい効果をあげています。
この二つ、どちらが先に描かれたの? と思い、初出を見たところ、「α」が2001年3月号からの隔月連載、半年ほど間をおいて 2002年9月号から「+α」が始まったようです。単行本発売も文庫も二冊一緒に出ています。これは、同時に読むことでこの世界がより堪能できるという企画なんですね。短編としての魅力はもちろん、現実と虚構との混沌としたドラマの力が、立ち上がってきます。
ちょっと考えて、「α」を#2まで読んだあと「+α」を読み、また「α」に戻ってみました。
わたしは「α」の#2と#6が好きです。#6は、「+α」との呼応がより楽しめますよー。

「先生と生徒の恋愛問題」宮 淑子

2009-02-22 06:10:58 | エッセイ・ルポルタージュ
ずっと気になっていた話題です。宮 淑子「先生と生徒の恋愛問題」(新潮新書)。
何年か前、地元新聞の若者向けコーナーに、先生を好きになってしまい、告白するかどうか迷っているという投書がありました。
しかも驚いたことに、数週後、「ミスターK」なる人物から反響があったのです。
彼が言うには、自分は教師で教え子だった女の子と付き合っている。はじめに告白されたときは、断ったけど、だんだん好きになって結局自分から交際を申し込んだというのですね。
おじさんくさくならないようにしよう、なんてことに気を配っているとも言っていたかな。しかも、自分のこの励ましでも不安だったら、「ミスターKの彼女に意見を聞いてみたら?」なんて言っていて、ごめん、わたしは唖然としました。
ミスターK、文面から判断するとわたしと同年代です。教え子を彼女にできることも、こんな投書をしちゃう心境もさっぱり理解できませんでした。
数年後、ある中学校の教師が教え子の女子と関係をもったことで訴えられました。もう社会人になっているとのことですが、「知人」が当時中学生だったのにそんなことがあったということで腹を立てているというんですね。
「当時は恋愛感情があったけれど、今では先生のしたことを疑問に思う」とコメントしていました。
そりゃねー。いくら「恋人」だと思っていても、中学生だよ? いかんだろう。
なんとなくひっかかって、たまに考えてしまう、そんな話題なのです。
このことについては、本書でも繰り返し出てきます。ある人は、人間はもともと性愛的な存在なのだから、年齢なんて関係ないと言い、またある人は在学中は交際するべきではないという。
価値観はそれぞれ違うので一概にどうこう言えませんが、少女というのは大人にのぼせ上がることがあるものです。それを憧れと捉えるか恋情と捉えるかは、少し経ってみないとわからないかもしれません。
少なくとも、性に関するハードルは少年よりも大人の方が低いと思うので、そこは考えてほしい。
破局した例、結婚した例、離婚した例など、いろいろなパターンを調べていて読みごたえがあります。
裁判に訴えられた、免職してまで家庭を持ったのに、子供をおいて妻が失踪したなんていう話を聞くと、なんとも切ないですね。
女性教師と結婚した教え子が、「教師と生徒との恋愛はありうるわけです。が、僕のモラルからすれば、絶対あってはいけないことだと思います」と語るのが印象的でした。

「根に持つタイプ」岸本佐知子

2009-02-21 06:41:13 | 文芸・エンターテイメント
岸本佐知子「ねにもつタイプ」(筑摩書房)をご紹介しましょう。Yahoo!知恵袋でおもしろいエッセイとして推薦していた人がいたので、図書館で借りてきました。
でもこれは「エッセイ」ではないよね? 「△△山の思い出」や「くだ」「日記より」を読むと、これは現実とは思えないので、わたしはシュールなショートショートとして読んだのです。
平行して読んだ恩田陸「朝日のようにさわやかに」よりもシュールさで勝っていると思います。毎回三ページにこんな話が書けるとは!
でも図書館の整備番号は914・6。エッセイ。あとがきで本人は「文章」といっているけど。
△△山に本当にロープウェイ風呂があるとか思っちゃいませんよね? しかも透明な。
個人的にいちばん気にいっているのは「魅惑の髪型」ちょんまげ考です。
読んだのはもうずいぶん前なのですが、インパクト大ですよー。
その後、もう一冊「気になる部分」(白水社)も読みましたが、こちらはエッセイ色が強かったです(笑)

小学一年生入学準備号

2009-02-20 03:42:31 | 雑誌
先日、小学校の一日入学に行って参りまして。現在算数セットの名前シール貼りに情熱を燃やしております。こういうちまちましたこと好きなんですよー。
でも、あんまりやりすぎると飽きるので、少しずつやっています。今回は、おはじき用のシールを買ってよかったですよー。でも、保育所に入れるときに買っておくものですよね、こういうのは。まだたくさんあるシールを活用する場面はあるのでしょうか。ある、よね、きっと……。
かなり前に夫が買ってきた小学一年生入学準備号に、親向けの冊子がついていました。
ぺらぺらめくっていたら、モンスターペアレンツになる可能性があるかどうかチェックするページがあったのです。
これについて書こうと思うのですが、何故かどこかにしまいこんだらしく、見つけられないのです。だから、記憶で紹介しますね。ニュアンスは合っていると思うのですが。
こういうチェックものは、慣れるとパターンがわかってくるものです。
選択肢が四つあるのですが、過保護型・放任型・要注意型・バランス型のように別れているのですよ。
その中の気になる質問。「子供同士がけんかをして軽い擦り傷をつけてきました。どうしますか」というようなのがあって、わたしは「保健室での処置ですむようなけがならほうっておく」なんですけど……。それは放任型で、バランスがとれているのは、どんな小さいケガでも保護者同士で連絡をとりあうんだって。でも、保健室って治療はできないんだから、そんなに大袈裟にしなくてもいいのでは? 病院ならしかたないけど。
まあ、それは程度によるのでいいでしょう。わたしが納得いかないのは次です。「月に一度、弁当の日があります。あなたならどうしますか。」
過保護型「みんなに自慢できるような豪華な弁当を張り切って作る」
放任型「コンビニなどで好きなものを買うようにお金を渡す」
要注意型「面倒なので弁当を廃止するよう、保護者で話し合って学校に申し出る」
バランス型「保護者間で連絡を取り合い、栄養価の高い弁当を作る」
えーと……栄養価の高い弁当には賛成なんですが、どうして保護者間の連絡が必要なのかがさっぱりわかりません。弁当ひとつ作るのに、情報収集って必要なの? うちは今、毎日弁当だけど、よその家がどんな弁当作るのか聞いたことないんだけど。(家の基本ルールがあるので、多分聞いても合わない場合は却下)
きっと、保護者同士で教育力を高めていこうということなんだと思うけど、なんだか困惑してしまいました。例えば相談した結果、放任型に近い答えが返ってくることもあると思うのですよ。学年があがるとさらに顕著になると思うのですが。弁当だけでなく、携帯電話問題とかいろいろあるはず。地域や環境によっても違うとは思うし、要注意型にはなるなということなんでしょうが。
ピカピカの一年生。波風はあると思うのですが、六年間でしっかり成長してほしいと思うのです。がんばれ~。
わたしも親業頑張ります。