くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「オリンピックの世紀」

2023-11-11 14:37:40 | 芸術・芸能・スポーツ
人どれだけ自分を信じることができるのか。才能があっても能力を発揮できる場をことごとく奪われたら?
世界選手権銀メダルの母(堀江方子)の影響でバレーをはじめた陽子は、長身セッターとして注目され、中村高校を2年で国体優勝、6部だった早稲田を2部で優勝させるチームに導く。
彼女の夢は、オリンピック。
しかし、当時全日本選出は実業団に所属する選手のみというルールがあった。
父の母国の国籍を取れば、アメリカ代表としてプレーできる。ヨーコ・ゼッターランドとして
バルセロナ五輪に出場し銅メダルを取ったが、「ヨーコが出た日本戦で勝っていれば銀メダルだった」「控えの経験がない選手を温存するよりも、ヨーコをピンチで使いたい」といった心ない言葉に傷つく。
セッターはゲームを作るポジション。発想の転換や斬新なアイディアで敵の裏をかくこともできるのが面白い。
アトランタ五輪では逆転の転機となったヨーコ。

第6回Vリーグから、女子は外国人選手枠を撤廃したことに関するコラムもあり。

「大学スポーツ図鑑」

2023-11-05 13:14:55 | 芸術・芸能・スポーツ
40種目のスポーツ強豪大学を「強さ」と「偏差値」の座標軸で示している。
バレーの右上は早稲田。「圧倒的強さを誇る! インカレ4連覇中!!!」
強さで並ぶのは東海と日体(男女とも)。
筑波、順天、日女体なども上位です。
21年出版で22年の動向を占っているのです。
だから、過ぎ去った今読むと勢力図は変化していることが分かる。
日体のエースとして藍くんがあげられているけど、前年度からイタリア行ってますし。
この年は、東海が春季と東日本、筑波が国体とインカレを制しました。秋は中央。 
更に1年経って、今年は早稲田が四冠を狙える位置にあります。
勢力図は入れ替わる。だから、こういう形で記録が残るのは面白いですね。

ちなみに座標化されているのは24校。(平成国際が入ってる!)
バレーは関東メインですが、スキー、新体操、ボート等の強豪は結構全国に分布してます。

「人はデータでは動かない」渡辺啓太

2023-07-09 18:41:26 | 芸術・芸能・スポーツ
「いまの女子バレーボール界のなかで、誰よりも世界の現状を知っているのは君だ」
北京五輪後、眞鍋監督に求められて全日本女子のアナリストを続投することになった渡辺啓太さんの、プレゼンについての本。

「ゴールが決まっていれば、迷ったときに戻る場所があります」
渡辺さんにとっての「初プレゼン」は、専修大学入試でのアプローチ。
当時2部だったバレー部に入って、サブマネになり、アナリストとして活躍していく辺りのところは、もっと読みたい。
「データを武器にする」ためにどのような工夫をしてきたか。
「指導者は選手の未来に触れている」
まさに先駆者。

バレーボール本 「外国人指導者の教え」

2023-06-06 19:33:41 | 芸術・芸能・スポーツ
「奇跡のレッスン」

これ、画像を見たいですねぇ。
ブラジルのレルバッシ監督(マルキーニョス)が、東京の中学生に一週間の熱血指導!
「バレーボールをもっと楽しもう、明日、またコートに帰ってきたいと思わせるようなレッスンにしたい」
オーバーハンドパスの徹底、プレーは連続性を考えて、常に実戦を意識せよ!
いいチームとは、単純なミスをしないチームのこと。
自分はチームのために何をすべきか、次のプレーをする仲間がやりやすいようにボールをつなぐ意識を持つこと。それが思いやり。
感情が豊かになれば集中力も高まる。
「短い時間で技術を向上させるのは難しい。私が変えられるのは、子どもたちの技術ではなく、心。子どもは、心に変化が生まれれば、勝手に成長していくもの」(大意)
サレジオと練習試合までしてます!
「何となく」バレー部に入ったという部員たちが変わっていく!

マルキーニョスさんは、その後上尾で女子監督、グレベアで男子コーチと、日本チームでの指導にも力を尽くしてくださいました。

「青春サプリ。」バレー関連2作

2023-05-14 09:55:10 | 芸術・芸能・スポーツ
「あきらめなければ夢はかなう」

清風高校バレー部! 表紙中央は古藤くん(VC長野)、右は西川くん(パナ)ですね✨(左は富士通の高橋太くんか)
ネフローゼに苦しむ古藤くんが、自分の夢を諦めない姿。
プレーに自信がなかった西川くんがめきめき上達する様子。
支えてくれる山口先生。
スカウトしたい人たちに次々断られたエピソードは、笑ってしまいました。

IHで「西田のいる海星」に敗れたものの、春高はシード外から決勝へ!(対戦相手として出てきたのは大塚くん)
それから、大阪予選では際立っていた「常翔学園のエース」(←現グレベアの亀山拓巳くん)など、選手間のつながりも胸震えます。

「負けず嫌いのセッター」
金蘭会高校時代の中川つかささんが主人公。
159㎝の中川さんが憧れていたのは「世界最小最強セッター」竹下佳江さん。
先輩たちと成し遂げた春高優勝も嬉しいけれど、自分たちの代でも勝ちたい!
ライバルだった下北沢成徳が、準決勝敗退でショックを受けたけれど、次は絶対に負けられない決勝戦!

日本一を達成した中川さんが、コートにしゃがみこむシーンでは、大学で四冠を決めたあとに藤井先生のもとに駆け寄る姿が重なって、切なかったです。
Vリーグのトップチームからはスカウトがなく、東海に進学したあとのことも書かれていて、とてもよかった。

「ブラジルバレーを最強にした「人」と「システム」米虫紀子」

2023-05-04 18:47:06 | 芸術・芸能・スポーツ
初期段階では「バレーを楽しいと感じ、好きになること」が大事。
恐怖心が先に立つと、のびのびとプレーできなくなる。気長に、遊びの一環として、楽しく。しかるのではなくて、励ましながら伸ばしていく。
ポジションは決めず、グローバルに育成。15.6歳くらいからでよい。

優勝するチームに必要なことの一つは、しっかりと練習を積み、チームを完成させること。そしてもう一つは、選手同士がお互いを信頼すること。その信頼関係のもと、チームが一丸となってすすまなくてはいけない。

ブラジルバレーは日本から学んだことが始まり。代表監督ベルナルド・レゼンド氏(ブルーノの父)
「猫田さんはバレーを変えた革命児だと思います。あの、スピードがあり、相手に手の内を見せないトスは、画期的でした」

リベロはチームの心だ

偉大なチャンピオンというのは、困難を挑戦に変えられる。

日本男子には波があった。清水邦広、越川優、福澤達哉らは有望だと思う。
自分たちのプレーに自信を持てば、よりよい選手に育つのでは。
日本はいつまでも70年代の栄光にしがみついているんじゃないか。どうして新しいことを取り入れないんだろう?
融通がきかず、選手の芽を摘んでしまっているのでは。15~16歳、17~19歳が一番大事。この時期に何を得たかによって、彼らのその先が決まる。

マルキーニョ
ハングリー精神を! 精神を鍛えられていないと、上のレベルに上がっていくのは難しい。

日本は器用さやディフェンス面では優れている。それにパワーを加えるという大事なことを忘れている。
「君が今日することは、明日結果として表れる。今日いいことをすれば、明日はいい実を収穫できる。でも何もしなければ、何の結果も得られない」(父)

選手は、ソリストではなく、オーケストラの一員。一人でも「僕は特別だ」と思ってしまったら、もうダメなのです。レゼンデ

バレー選手がブラジルでよく言われることは、「一日一頭のライオンを倒せ」ジバ

バレーボールだけでなく、「人を育てる」ことを考えさせられる本。
マルキーニョスさんは、その後日本で監督をされており、今は東京グレートベアーズのコーチです。

名将・小川良樹②

2023-03-30 06:59:31 | 芸術・芸能・スポーツ
下北沢成徳の小川良樹先生がご勇退されます。
先生が取り上げられている本を、何冊か紹介しましょう。

小川良樹監修「バレーボール 監督・コーチ入門」

印象に残るキャプテンは二人。「監督が叱らないなら私が叱る、監督が叱るなら私がかばう」という方。それから、控え選手だけどすごく周りを見て動けるという方。チームも質が高かったとのこと。
キャプテンとマネジャーは、選手たちで決めるそう。
球出しの呼吸が合わないと、骨折することもある。何度もミスする選手に、マネジャーが監督より先にボールをぶつけて怒鳴ったというエピソードも。
大山加奈さんは、「考える力を鍛えてくれる」とコメントしてます。
自分が何を目指して練習しているか、ちゃんと分かっているのは大事ですね。

戦中、外来語を漢語調に言い直すという記事を見たんです。
発球者→サーバー
網入り→ネットイン
度数超過→オーバータイムス
内→イン
連打→ドリブル
保球→ホールディング
度数超過→フォア・ヒット
連打→ダブル・コンタクト
保球→キャッチ・ボール
更に、コート「競技場」、ネットタッチ「触網」。

でも説明するには、用語が古い! 私も古い方に馴染みが……。
こういうときは、「うまくなる! バレーボール」(西東社)。用語解説が役立ちます。
アウト・オブ・ポジションって、今「ポジショナル・フォールト」っていうのか! 
オーバーネットは「ペネトレーション・フォールト」。
練習方法やトレーニング、テーピング、ルールの他、スコアの取り方もあり。

荒木絵里香さんが「人生を変えた経験」という本で(対談)いちばん苦しかったことを聞かれ、アテネ五輪後代表に選ばれたものの、自分の役割に悩んだとき、恩師から
「大事なものはなんだ、価値を考えなさい」と言われて道が開けたというエピソード、素敵なんですが、これも小川先生です✨

今後もバレー指導の本を出版していただきたいです!(熱望)

バレーボール本「ミュンヘンオリンピック」②

2022-10-16 22:35:26 | 芸術・芸能・スポーツ
「嵐と太陽 バレーボール『松平一家』の愛と執念の記録」

アニメドキュメント「ミュンヘンへの道」の原作。
選手の苦悩やバレーへの思いが描かれているけど、恋愛問題まで率直なので驚く。
「愛……その結末」という話にはある選手の学生時代の彼女ジュンからの手紙が。
プライバシーって??

黒川克行「指導者の条件」

ミュンヘン五輪監督松平康隆氏が取り上げられている。
「お前としたことが……」叱責

母から教えられた「負けてたまるか」をモットーに、金メダル目指して奮闘する姿。

「松平サーカス」とも呼ばれたアクロバティックな練習は、空中での身体の使い方を身につけるため。

チームの要となる南将之を徹底的にしごきながら、「世界でただ一人松平さんの言うことだけは聞く」と言わしめ、「ミュンヘンへの道」は金メダル獲得を前提に放映。「半ば電波を私物化」!
能力を引き出すには褒めること、とも。
正直、昔は苦手な方でしたが、バレーに対する思いを感じます。


「人生負け勝ち」柳本晶一

「勝ち負け」ではなく、「負け勝ち」。人生では負けることの方が圧倒的に多い。
ミュンヘンで金メダルをとったメンバーは、次のオリンピックで負けたときにモチベーションを保てなかった。
勝利の中にも負けの芽は潜む。勝つためには何が必要なのかを考える一冊。

バレーボール本 「ミュンヘンオリンピック」①

2022-10-15 21:16:50 | 芸術・芸能・スポーツ
「勝利の神髄 1928ー2016」

オリンピックメダリストの項目、ミュンヘンで取り上げられているのは「マツダイラ・サーカス」

フライングレシーブを取り入れたのは、バレーボールを拾う技術はフットワークだという定説に疑問を持ったから。
スパイクのスピードを計測すると、秒速28mあった。
コート通過時間は、約0.3秒。人間の全身反応時間も同じ0.3秒のため、男子はコート内でほとんど動けない。
徹底的に合理性を追及した結果、打球の落下予測地点の上、地上20センチで片腕を突きだしてボールを受け、その後タ、ターンのリズムで腕立て伏せをする練習を始めたそうです。(顎割れ続出💧)

「101個の金メダル」
2000年発行。アムステルダムから長野五輪までの金メダリストを、当時の新聞記事も交えて紹介。
バレーからは、東京「東洋の魔女」、ミュンヘン「松平サーカス」、モントリオール「新魔女」が。松平さんのインタビューもあり。時間差攻撃は「犠牲的精神」なんだそうです……

「信頼と情熱」

オリンピックエピソードを描く5冊シリーズ。
取り上げられているのはミュンヘン金メダルチーム。
この前読んだ本とほぼ同じエピソードだった……(参考文献が同じなのでしょう)
松平さんの「バレーボールを一部の人の楽しみにしたくない」という思いにじわっときました。

「オリンピック裏話」

2013年発行
「今も元気な“東洋の魔女”たちの皆さん」
2004年の写真展に登場した選手たちが語る大松監督のエピソード
○「厳しいのは練習のときだけ」
宮本は「先生を父のようにも、恋人のようにも親っていた」(「慕う」の誤)
○息抜きがしたくなると、合宿所の新聞の映画↓欄に赤鉛筆でマーク。監督が西部劇(時代を感じますね!)に連れて行ってくれ、夕食もご馳走してくれる
○ソビエト戦の日は、テレビを見ないように指示されていたが、皆で柔道の試合を見た。神永×へーシンク!
「神永さんが負けたのでショックを受けた」

「松平康隆氏の死は日本スポーツ界の損失」↓
○日本チームの先頭を歩くのは、常に小柄な松平さんで、その後ろを長身の選手たちがついて歩いていた
○モスクワをボイコットする案件に、最後まで反対した
○政界入りをすすめられたが、「私はバレーボール、スポーツ界の松平だ」と言って断ったと言われている

筆者は、オリンピック評論家とのこと。

バレーボール本 メンタル向上①

2022-10-08 16:03:41 | 芸術・芸能・スポーツ
「夢をかなえるスポーツノート活用術」

部活ノートをつけている生徒、多いですよね。
「ノートに書いたことを頭にインプットして活かす」として、ジェイテクトの酒井大祐コーチのノートが紹介されています。
JTで仲のよかった先輩(MB)が、相手チームの分析ノートをつけていたことがきっかけとか。
ノートはあとで見返して、自分の成長をかみしめたり、その気づきが新たな成長に繋がるのが魅力だとのこと。保管もしやすい。
ちなみに選手時代のノートは移籍するときに捨てたけど、コーチになってからのノートはバレー教室に活かすなど、未来への大事な財産になっているそうです。

「部活お悩み相談室」

人間関係、チームの方針、トレーニング、試合といった部門別に、考え方を変えてみるアドバイスとまんががついています。
出版が2006年なので少し古い回答もありますが……(「坊主が嫌」→個性はプレーで示すもの、とか)
昔から悩みのスタイルって変わらないのかも……

中高生のアンケートより
○所属
サッカー、ソフトテニス、野球(バレーは6位)
○入部動機
面白そう、前からやっていた、楽しい
○不満
休日練習(休みがない)、朝練がいや、坊主刈り
○うれしいこと
試合に勝つ、ほめられる、できるようになる
○楽しいこと
仲間との活動、上達を実感、練習すべて
○部活自慢
強い、楽しい、気持ちは負けないなどに混じって「元日本代表の監督に教わっている」
バレーだと、雄物川、誠桜、福井、名電、東山、大村工、宮崎東、鎮西(女子)といったところでしょうか。(もっといる気もする……)