これ、集めるのに苦労しました。「大江戸妖怪かわら版」。まだ一冊見つからないんですけどね。近隣の図書館にはないし、問屋さんには最新の二冊しかないし。本屋でも古本屋でも一回しか見かけません。注文をかけて購入。でも、重版はしているようですね。
香月日輪「異界から落ち来る者あり」(理論社)上下巻。
大江戸は妖たちが住む町。人間界のパラレルワールドです。猫や狸は立ち上がってしゃべり、ろくろ首や河童が町を歩き、絵師と擦師は八本の手を使って仕事をします。
彼らはまっとうに働き、子供を育て、誰かの役に立つ生き方をしている。
そんな中にいるただ一人の人間。それが雀です。殺伐とした生活を送っていた彼は、自分でこの世界に留まることを決めた。
かわら版屋として働く彼のもとに預けられたのは、同様に「落ち」てきたらしい女の子小枝(さえ)。両親に厳しく育てられたためか、なかなか帰るとは言い出さない。
人間界と妖怪の世界との差異に目をみはり、うれしそうにはしゃぐ小枝。雀のもとに残りたいと口にします。
始めは雀と結婚すると言ったのに、その日のうちに、父親だったらいいのになんて言う。
人間の住む世界と、この大江戸とでは時間の感覚が違う。小枝が家で目を覚ます頃には、もとの時よりも一年が経っている。こちらの世界で過ごしたのが三日程でも、そんなに違うのかと驚きました。もしかして、アイディアの根源は「浦島太郎」?
ただ、小枝が実際江戸期の商家の娘ならば、雀とは生きていた時代が異なりますよね。
彼の事情は下巻で明らかにされますが、時系列に沿って書くよりも、たしかにこの方が効果的です。
だって、雀の思考はどう見ても現代人。カタカナも日常に溶け込んでいます。おばけ絵師に「キュー太」と名付ける段階で、あのまんがを知っているのだろうと予測はしたのですが。
ただ江戸大店の娘である小枝が「ケェキ」にはしゃぐのはどうでしょう。鎖国だしかなり厳しく育てられている状態では、名詞としても知らないのではないかと思うのですが。
もしかすると、この物語でいう人間の世界もちょっとパラレルワールドなのかも。異世界だけど動植物や食べ物は同じって、不思議ですよね(笑)。
後半には蘭秋という美形の大夫が出てきますが、このあたりを読んでいてものすごい違和感を覚えていたのです。その理由はといえば、芝居といえば女形としかわたしには思えなくて。でも、雀はやたらと肩入れしているし、八丁堀の百雷に片思いとかいうし。パラレルワールドだから歌舞伎とは違う発展の仕方をしたのかしらと考えていたのですが。
ははは、そういうオチでしたか。(ネタバレ・蘭秋はやっぱり女形なのでした。でも、この世界には女役者さんもいるようです)
また続けて読んでみます。
香月日輪「異界から落ち来る者あり」(理論社)上下巻。
大江戸は妖たちが住む町。人間界のパラレルワールドです。猫や狸は立ち上がってしゃべり、ろくろ首や河童が町を歩き、絵師と擦師は八本の手を使って仕事をします。
彼らはまっとうに働き、子供を育て、誰かの役に立つ生き方をしている。
そんな中にいるただ一人の人間。それが雀です。殺伐とした生活を送っていた彼は、自分でこの世界に留まることを決めた。
かわら版屋として働く彼のもとに預けられたのは、同様に「落ち」てきたらしい女の子小枝(さえ)。両親に厳しく育てられたためか、なかなか帰るとは言い出さない。
人間界と妖怪の世界との差異に目をみはり、うれしそうにはしゃぐ小枝。雀のもとに残りたいと口にします。
始めは雀と結婚すると言ったのに、その日のうちに、父親だったらいいのになんて言う。
人間の住む世界と、この大江戸とでは時間の感覚が違う。小枝が家で目を覚ます頃には、もとの時よりも一年が経っている。こちらの世界で過ごしたのが三日程でも、そんなに違うのかと驚きました。もしかして、アイディアの根源は「浦島太郎」?
ただ、小枝が実際江戸期の商家の娘ならば、雀とは生きていた時代が異なりますよね。
彼の事情は下巻で明らかにされますが、時系列に沿って書くよりも、たしかにこの方が効果的です。
だって、雀の思考はどう見ても現代人。カタカナも日常に溶け込んでいます。おばけ絵師に「キュー太」と名付ける段階で、あのまんがを知っているのだろうと予測はしたのですが。
ただ江戸大店の娘である小枝が「ケェキ」にはしゃぐのはどうでしょう。鎖国だしかなり厳しく育てられている状態では、名詞としても知らないのではないかと思うのですが。
もしかすると、この物語でいう人間の世界もちょっとパラレルワールドなのかも。異世界だけど動植物や食べ物は同じって、不思議ですよね(笑)。
後半には蘭秋という美形の大夫が出てきますが、このあたりを読んでいてものすごい違和感を覚えていたのです。その理由はといえば、芝居といえば女形としかわたしには思えなくて。でも、雀はやたらと肩入れしているし、八丁堀の百雷に片思いとかいうし。パラレルワールドだから歌舞伎とは違う発展の仕方をしたのかしらと考えていたのですが。
ははは、そういうオチでしたか。(ネタバレ・蘭秋はやっぱり女形なのでした。でも、この世界には女役者さんもいるようです)
また続けて読んでみます。