くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「天国からの道」星新一

2015-01-11 20:17:39 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 息子に星新一を勧めようと思って、東京に持っていく荷物に一冊入れました。
 待ち時間のあるディズニーランドで読もうと、一時間半待ちの「プーさんのハニーハント」で読み始めたのですが……。
 愕然としました。正直にいえば、これから読ませても星作品を愛読はできないのではないかと思ったからです。
 わたしが星新一を読んだのは中学生のころ。「未来いそっぷ」が最初だと思います。寓話をアレンジしていて、ちょっと毒があるのに思想はまっすぐなところがおもしろくて、「悪魔のいる天国」とか「午後の恐竜」とか読みました。
 「進化した猿たち」も良かった。星さんのおもしろがり方のような感じが好きで、学校図書館にもショートショートセレクションは入れるようにしてきました。
 朝読書で星さんの本を勧められた男子生徒が、「おもしろい」と言っていたのも印象的でした。(あんまり勉強好きな子ではなかったのですが、作品に魅力を感じたのがよくわかりました)
 ところが。
 「天国からの道」(新潮文庫)は、星さんの切れ味がなんだか物足りないのです……。冒頭作品がショートショートではないから? 天国に迎える魂をめぐって天使たちが競争する話なんですが、次々エスカレートしていく様子にうんざりしてきてしまうというか……。
 あれ? なんだか、わたしが星さんに求めているものとは違う……。
 ショートショートになればまた印象が変わるかもしれないと思ったのですが、どうもスカッとしないまま次を読んでしまうのです。
 ディテールはおもしろい。ただ、全体的にクローズアップされているものがわたしの好みではないのでしょう。
 同人誌に発表されたというデビュー前の作品「狐のためいき」まで読んで、いったん本をしまいました。自分の経歴からは大学院まで学んだことは削っているというあたりがなんだか、よくつかめないんですが、これはジェンダー的にどうなの? と思わされてしまって。

 ディズニーランド、そのあとは「スターツアーズ」に初めて入ったのですが、視覚的仕掛けが効いていて素晴らしいです。もうちょっと長かったら酔いそうなので手頃でしたね。
 あとは「モンスターズインク」のと、「カリブの海賊」「ジャングルクルーズ」「マークトゥエイン号」、「ダンボ」「」回転木馬とコーヒーカップにも乗りました。
 星さんの本を読んだからか、「未来のテクノロジー」の印象を強く感じます。
 作品世界で珍しく年代が書いてあるものがあり(2060年です)、テレビ電話、惑星の所有、物質分解薬、メーキャップ技術の高度化などが描かれていました。
 わたしが中学生の頃にSFがイメージしていた未来は、二十一世紀を迎えて実現したものもあり、そうでないものもあります。道路のかわりに透明なチューブの中を行き来したりはしないし、服装もメタリックじゃないですもんね(笑)
 ただ、こういうイマジネーションは天才的ですよね。後半、単行本未収録作品「おでん」が非常におもしろかったのですが、食事は蛇口から液体が出てくる世界。料理研究をテーマにしている博士から留守中にロボットを預かります。でも、決して命令をしてはいけない。どういうこと?
 鮮やかなオチでした。
 「ジャングルクルーズ」、リニューアルしたのですが、先住民への偏見が影を落としているように思いました。
 同じように、星作品も、中心になるのは常に男性のような気になってしまう。
 他の作品も、読み直してみます。