くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「三人寄れば、物語のことを」上橋・荻原・佐藤

2015-01-28 05:28:21 | 書評・ブックガイド
 すごくおもしろかった。この本で三人の文学研究がずいぶん進むんじゃないかと思いました。
 上橋菜穂子・荻原規子・佐藤多佳子「三人寄れば、物語のことを」(青土社)。
 三人とも人気作家で、しかもものすごく親しい。会えばおしゃべりが止まらないという関係。それはこの鼎談からもすごく伝わってきます。
 
 上橋さんの「守り人」シリーズ文庫企画で行われたものと、荻原さんの「レッドデータガール」完結を記念したもの、さらに佐藤さんの新作を語り下ろして一冊にするという豪華な本です。
 ちょうど「シロガラス」を読んだあとだったので、上橋さんと荻原さんはそういうシーンが好きなのかー、とか、ハットリ(猫)が受けてる! とか、佐藤さんにとってはそういう感じなのかーと思いながら読みました。
 美音と有沙のシーンが「最初はまったく考えてなかった」というのも驚き。
 
 三人の話でちょっとおかしかったのは、男女が出てくると「みんなくっついてほしがる」と上橋さんが話すところですね。
 バルサとタンダ、新二と若菜ちゃん、泉水子と深行(これ読んでないけど)。
 あ、ネーミングの話も。「バルサがキャロラインだと絶対だめでしょ?」というところ、笑っちゃいますね。

 時期を変えて行われた鼎談ですが、同じようなことを言っていることもあるし、話しているうちに新しい発見も。
 三人の関係性も話しぶりから感じられます。
 とにかく上橋さんがよく喋る。
 ちょっとしたところに笑いを含むのは、やはり学生の前で話すことに慣れているからでしょう。
 そして、本の細かいところまでしっかり読んでいるのがわかります。
 佐藤さんはちょっとクール。荻原さんは穏やかな感じがします。
 物語に対しての思いや、自分の愛読した本、それぞれの作品を語るスタンスが、非常におもしろかったのです。