くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「いわゆる天使の文化祭」似鳥鶏

2014-11-30 19:27:48 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 えっ、そういうこと?
 読み終わって、二重の意味でそう思いました。動機はちょっとどうなの? それはなんか不満が残るんですけど。というのがひとつ。で、この構成に隠された真実に驚かされて、それは帳消しにしてもいいかな、というのもひとつ。
 葉山くんのクラスは、文化祭で「ペルー屋台」をすることになります。巨大なアルパカのオブジェを作ったり、スペイン語の練習をしたり、衣装を縫ったり……。スケジュールを管理する委員長がかっこいい!
 ところが、文化部の部室に不思議な「天使」の貼り紙が出現します。ピンク色のペンギンみたいなキャラクターに、翼が生えている。美術部ではベレー帽、パレット、絵筆。落研では和服に扇子。音楽系の部活には、八分音符。
 さらに、野球部とサッカー部にも、それは貼られていました。
 誰が、何のために?
 それを探る葉山くんと柳瀬さんですが、頼みの綱の伊神さんに連絡がつきません。
 また、吹奏楽部の一年生・蜷川奏は、音楽室の「天使」を見て、独自の調査を始めます。
 ときどき「あれ?」と思う部分があったのですが、見事に騙されました! 伊神さんの妹、翠ちゃんも再登場して、嬉しかった。
 文化祭の準備ってわくわくしますよね。その空気感も楽しいですよ。
 ところで、わたしも今日は子どものPTA行事の裏方で、豚汁作りとクイズ大会の手伝い、それから卒業制作のやすりかけをしてきました。疲れたけど、おもしろかった。息子はクイズ大会で最終グループに入って、商品をもらっていましたよ。
 

「カモのものづくりBOOK 」

2014-11-29 01:33:04 | 芸術・芸能・スポーツ
 ずっとほしかった一冊です。イラストレーターのカモさんによる「カモのものづくりBOOK 誰でもできる!かんたんアイディア113」(ワニブックス)。
 カード類、ラッピングを中心にした手作りアイテム。わたしはカラー配色とかちょっとした小物が好きなので、これまでちょこちょこ立ち読みしていました。バレンタインラッピングの真っ赤なハートがかわいいんですよー。2月に図書室の装飾に使いたい! と思って、つい買いました。
 白い紙テープに、青いボールペンでお手紙を書くのも、オシャレだなあ。
 オリジナルの手帳活用方法もなるほどーと思いました。マスキングテープを買いに行こうかな。
 プチイラストの書き方もついていて、これを見ながらカードを書くのは楽しそうです。
 シンプルな素材にちょっとプラスして、オリジナルを作る。そこにはさりげない気遣いがあります。
 丸いシールに書き足しをしてマークを作っておくというのも、おもしろいですね!
 

「学校図書館を子どもたちと楽しもう」若林千鶴

2014-11-28 21:08:22 | 総記・図書館学
 あああああっ、すみませんすみません、返却日過ぎているのに返してません。前回、一冊忘れてしまったんです。わざとじゃ、ありません。
 あんまり言い訳しすぎると、嘘っぽくなってしまうので、ごめんなさい。若林千鶴先生の「学校図書館を子どもたちと楽しもう」(青弓社)、すごくおもしろかった。やっぱり、学校図書館に情熱を傾ける方々の話題が、好きですね。
 読書感想文についての本は以前読んだのですが、今回は読書指導の話題も多く、参考資料もたくさんあります。「子ぎつねヘレン」を読んでみようと思いました! 集団読書に使ったという記入プリントやブックリストの紹介文、図書室の改造計画など、自分でもやってみたい。わくわくします。
 折り紙の講習会やダンボール工作教室なども、今まで考えたことのないアイデアでした。
 自分でも一冊ほしいなあ。でも、品切れなんだそうです。残念……。
 ……と書くと、やっぱり返すのを惜しんでいるようですよね。すみません、来週の娘のグレード試験のときに返却します……。

「まもなく電車が出現します」似鳥鶏

2014-11-26 21:14:45 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 もう二週間くらい前に読んだのですが、なかなか書けないまま時が経ってしまいました。
 似鳥鶏「まもなく電車が出現します」(創元推理文庫)。短編集です。
 「今日から彼氏」がおもしろかった。恋愛に疎い葉山くんが、なんと映像研究部でシナリオを担当する菜々香さんと付き合うことになります。
 その前に柳瀬さんから、映画で共演した七五三木くんと交際するから今までのような関係を続けることはできないとメールがくる。
 いやいや、このメールが柳瀬さんらしくないので、ちょっとあれっ? と思うんですが、その勘は正しかった……。
 なんだかんだいいつつも、結構葉山くんはモテますよね?
 あとは、ミノと調理実習の話とか、頭上に花鉢が落ちる事件とか、プラモデルの値段とかのトリッキーでありながら納得のお話たちでした。
 やっぱり伊神さん、いいなあ。

「俺様ティーチャー」椿いづみ

2014-11-25 20:26:34 | コミック
 古本屋で飛び飛びに買ったのですが、似たような人が多くて見分けがつかない。
 ところがあら不思議。欠けたところを買いたして最後まで読んだら、真冬の子分たちの区別もつくようになりました!
 椿いづみ「俺様ティーチャー」(白泉社)。十九巻まで読みました。
 実は、真冬たちが生徒会と争っているところから読んだため(綾部編かな)、なぜこの内容で「ティーチャー」なのかも疑問だったのですが、いやいや、たしかに鷹臣くんの話です。
 ただ、鷹臣くん、二十二歳・新任には見えないよ!
 あっ! 作中のおまけ四コマで「高校一年生」と偽装(?)する場面はありましたが。
 わたしは北条さんが好きですね。忍と張り合って雅の世話を焼く中学時代がかわいい。
 これまで不良まんがは好きではなかったのですが(それなりには読んでます……)、ケンカ以外は健全なこの世界観にノックアウトされてしまいます。「野崎くん」の一巻でも言ってましたよねー。飲酒や喫煙なし。授業サボりもあんまりなし。
 今日は二十年ぶりに花ゆめを立ち読みしてみました。ウサちゃんマンの正体に、早坂くんは気づいたんですかね。彼も、「目をそらす」ことから逃げなくなったのだなと思いました。
 今年は椿さんの作品にどっぷり浸かる一年って感じなので、次のコミックス楽しみです。(「野崎くん」は2月、「俺T」は春だそうで、待ち遠しい~)

宮城県学校図書館研究大会 大崎

2014-11-21 21:38:43 | 〈企画〉
 今年の講演は、図書館アドバイザーの五十嵐絹子先生です!
 もー、ご案内いただいたときから楽しみで楽しみで。とても充実した二時間でしたよ。
 キーワードは「改革」です!
 旧態依然とした学習が続く学校。学習指導要領に図書館の活用が明記されても、一斉指導からの変化が見られないことを憂いて、様々の提言をいただきました。
 学校図書館は、すべての子どもたちに読書体験をさせることができる唯一の場所、という言葉が印象的でした。特定の子だけではなく、また、苦手な子どもの意識を変えることもできる。
 たしかに、「常連」だけがいる図書館ではそこで停滞してしまう。普段は本に親しまない子どもにも読む時間を確保するのは、大切です。
 また、図書館の利用や調べ学習について知らないまま大人になってしまうと、その次の世代にも伝えることはできない。教員養成過程にも、図書館の授業展開に関するカリキュラムはないのが現状と言われてはっとしました。
 わたしは、小学生のころから図書室に入り浸り、調べることも分類もあたりまえのように理解していましたが、そうでない人にはどうやって相手にわかってもらえるか考えることも難しいことですよね。
 同じように、調べるには「読む力」が必要であるというのも、なるほどと思いました。
 読めば、わかる、では、ない、のですね……。
 イメージを思い描くことができない人もいるのだと、妙に納得しました。さらに、読書ができる子は、聞く力にも優れているのだそうです。
 五十嵐先生の実践を、そのまま持ち帰って自校で試した方がいらっしゃるそうですが、同じようにはならなかったとのこと。
 やっぱり、その学校その学校の色が出るのでしょう。
 ただ、新しい赴任先にもスキルを持っていって改良するというのは、興味がありますね。本棚から抜き出して分類を見直し、教職員で整理する。片付けている間に、自分の授業に役立つような本が、なにかしら見つかるものだという話も、納得です。
 午後の分科会も、慌ただしくはありましたが、皆さんが図書館活動に誠意を持って取り組んでいるのがわかりました。それぞれの工夫が参考になります。
 さて、わたしが「学校図書館県大会」に出かけると知った一部生徒、「県大会? 図書館なのに? 何するの?」と謎のようです。
 来年はどんな大会になりますかね!

「狐さんの恋結び」北夏輝

2014-11-17 20:34:04 | 文芸・エンターテイメント
 前作が面白かったので、続編に期待して借りたのですが。
 うーん、わたしには今ひとつ納得いきませんでした。
 狐さんの魅力が、なんだか感じられなかったというか……。
 狐面が必要でなくなった彼ですが、相愛と信じていた女子大生に揚羽さんとの関係を誤解されて振られ、落ち込みます。
 昔なじみの「烏」から同僚を紹介されて付き合ったり、鹿にかこまれた女の子に心惹かれたりします。
 失恋したばかりなのに、節操がないよ!
 この、鹿から助けられた女の子が春菜です。ものすごいお嬢様なので、お手伝いの七瀬さんと住んでいます。悪い虫がつかないようにとやりとりする様子がおもしろいのですが。
 前回は個性的な狐さんがよかったのです。ところが、どうも今回は自分本位すぎるといいますか……。
 とりあえず、ドーナツがおいしそうなので、食べたくなってきました。

「メリーランド」畑野智美

2014-11-12 04:41:53 | 文芸・エンターテイメント
 ああっ、そういうタイトルだったんですね! やられたーっ。
 畑野智美「メリーランド」(講談社)。「南部芸能事務所」の続編です。歯医者で読みはじめて、一気に二本読みました。
 溝口と新城はコンビを組み、舞台に立たせてもらえるようになります。はじめてもらったギャラの五百円が使えない。わかるわかる! わたしも、高校時代読書感想文コンクールでもらった図書券、使えませんでした。(一席に入ったTくんはその日のうちに使ったといってました)
 この二人、将来的にはブレイクしそうですよね。
 でもって、わたしは鹿島さんが好きだなーと思いました。溝口のことが好きで、バレンタインに告白してきた女の子なんですが、やがて事務所のバイトに入ります。社長には「ちんちくりん」と呼ばれますが、やがて「鹿島」に変化する。育ちがよくておっとりしているけど、コミュニケーション能力は高いような。やがては溝口とも進展しそうな雰囲気が素敵ですよ。

「グリーン・グリーン」あさのあつこ

2014-11-09 15:56:20 | 文芸・エンターテイメント
 家人が農業高校に勤めております。だから、この本を読みたいと思ったんだけど、国語教師の主人公、高村光太郎のその詩(36ページ)は『ほんとの空』というタイトルじゃないよ! 『あどけない話』だよ!
 それに、「妻智恵子への愛を静かに告げている」と書いてあるけど、わたしはこの詩、二人の感覚のずれを描いている(しかも、作者がそれに気づかない)のだと思う。
 後半で「東海道中膝栗毛」を部分的に扱ったら大受けだったといっているけど、どういう手法? あらすじを話すの? 教科書から離れて? 今、高校では現代文と古典には分かれていないのですか?
 と、まあ、気になることはありましたが、全体的にはおもしろく読みました。あさのあつこ「グリーン・グリーン」(徳間書店)。
 失恋のショックを、おいしいごはんで乗り越えた翠川真緑(みどりかわみどり)。このお米を作っている兎鍋という場所に行ってみたい! と出かけたら、道に迷ってあやうくバスに乗り遅れそうに……。そこを通りがかった高校生に助けられたことをきっかけに、この地にある喜多川農林高校の教員になることにしたのでした。
 隣のクラスの、厳しいけど優しい豊福先生、結婚三回の朝日山先生、個性的な生徒たち、そして、なぜか真緑とコミュニケーションがとれる、豚の二〇一号。
 近隣から大挙して作物を買いにくる人たちをさばかなくてはならない文化祭など、農業高校ならではのエピソードも満載です。
 真緑が、十年後、二十年後も彼らに会いたいと、そのとき幸せでいてほしいと願う気持ち、分かります。
「泣かないなんて、悩まないまま大人になるなんて、もったいない」も。
 そういう小さなきらめきのようなものが、愛しさを感じさせてくれました。
 でも、わたしも、豊福先生と同じくらいの教職年数……。全然頼りになってないよなあ、と苦笑しつつ、厳しさ(多分こっちはあります)の中に優しさをもって生徒たちと過ごしたいなと思いました。

「さよならの次にくる 新学期編」

2014-11-08 13:31:12 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 好みでした〓
 似鳥鶏「さよならの次にくる 新学期編」(創元推理文庫)。卒業した伊神さんが、なぜ捕まらなかったのかも、そういう真実があったのですね。ばらばらのピースが収斂していくのがたまりません。
 二年生になった葉山くんは、「曲がり角でごつん」(柳瀬さん談)して可愛い女の子佐藤さんと知り合います。彼女からストーカー被害にあっていると相談されて、助けることにした葉山くん。演劇部の皆さんがその捜査に協力を申し出てくれます。
 学校の全ての門に見張りを立てても、どこかから見ているストーカーからメールが入る。そして、予言するかのように紙袋に入った「おくりもの」が置いてあるのです。
 この謎解きが、ラストでまたひっくり返るのですよ! おもしろくないわけがない。(ちょっと真実を想像すると引いてしまいますが、このブラックな味わいも似鳥さんのおもしろさ)
 そして、猫のジャックの物語も、渡会千尋も全部絡んで終了するというすごわざです。
 わたしも実のところ、伊神さんが話していた「父」と、登場する伊神進さんのイメージが合致しなくて、違和感があったのですよ。なるほどなーと思いました。
 明日、続編を借りに行ってきますね!