自分の好きな短歌を探しているうちに、この絵本に出会いました。穂村弘編「納豆の家族ドンブリ」(岩崎書店)。「めくって短歌絵本」シリーズの一冊です。
短歌のアンソロジーなのに、編集によってこんな絵本になっちゃうんだなーと感心。手軽に読めて、しかもおもしろいです。
短歌、イラスト、解説、それだけなんですよ。でも、一ページずつ折り込みになってるの。開くと、世界が広がる感じといいましょうか。そんな構成になっています。
一冊に短歌は十首ほどなので、非常に贅沢な造りなのです。
まず何よりも、短歌をテーマ別に集めるというアイディアが楽しい。
わたしも、いろんな人が選んだ短歌を貼りだしたらおもしろいんじゃないかといろいろ探したのです。でも、「動物の短歌」とか「オノマトペの短歌」とか、思いつきませんでしたー。「恋愛の短歌」はたくさん出版されているんだけどねー。俵万智「あなたと読む恋の歌百首」(朝日新聞社)とか。でも性愛に関するものも多くて……中学校の廊下に貼る気になれませんでした。
「納豆の家族ドンブリ」は、「家族の短歌」がテーマです。表題のもとになっているのは、笹公人「十二人家族のつくる納豆の大ドンブリのねばりを思え」。さ、さすがです……。こんな短歌どうやって思いつくのでしょう。十二人て、うちの倍かぁ~。現実的に考えると、多分納豆は四パックくらいだから、まぜてもそれほどではないと思うのですよ。でも「十二人家族」のインパクトは大きい。 この本の家族は「鬼」なのです。比喩じゃないよ。絵がそうなっているのです。
収録はほかにこんな感じ。
「母さんのふとんも敷け」とおさなごは声しぐれたり妻の居ぬ夜に 吉川宏志
「やさしい鮫」と「こわい鮫」とに区別して子の言うやさしい鮫とはイルカ 松村正直
みちのくの母の命を一目見ん一目みんとぞただに急げる 斎藤茂吉
さて、わたし、「声に出して味わう日本の名短歌100選」(中経出版)という本も読んだのです。これはCDがついていて、壇ふみが朗読してくれます。カーステレオで聞いていて、ふとデータをつけてみたら、「Artist 壇ふみ」と表示されていて驚きました。その中から家族の短歌を二つ。
たはむれに懐中電灯呑まむとぞする父おやを子がみて泣きぬ 小池光
あなたは勝つものとおもつてゐましたかと老いたる妻のさびしげにいふ 土岐善麿
まったくタイプの違う二つですが。
なぜに懐中電灯を呑もうと思ったのか、不思議ですよね。そりゃ泣くよ子供も平安京。
土岐氏の歌は戦後に読まれたものだそうです。たった一言に妻の思考や佇いが見えるような気がして、非常に印象的。
このところ、やたら短歌ばかり読んでいますね。今は山崎方代です。
CDで聞く短歌、結構いいかもしれません。聞きとばしていた歌がどんどん細部まで見えるようになって、新しい発見があるように感じます。詩歌はやはりリズムでできているのです。
短歌のアンソロジーなのに、編集によってこんな絵本になっちゃうんだなーと感心。手軽に読めて、しかもおもしろいです。
短歌、イラスト、解説、それだけなんですよ。でも、一ページずつ折り込みになってるの。開くと、世界が広がる感じといいましょうか。そんな構成になっています。
一冊に短歌は十首ほどなので、非常に贅沢な造りなのです。
まず何よりも、短歌をテーマ別に集めるというアイディアが楽しい。
わたしも、いろんな人が選んだ短歌を貼りだしたらおもしろいんじゃないかといろいろ探したのです。でも、「動物の短歌」とか「オノマトペの短歌」とか、思いつきませんでしたー。「恋愛の短歌」はたくさん出版されているんだけどねー。俵万智「あなたと読む恋の歌百首」(朝日新聞社)とか。でも性愛に関するものも多くて……中学校の廊下に貼る気になれませんでした。
「納豆の家族ドンブリ」は、「家族の短歌」がテーマです。表題のもとになっているのは、笹公人「十二人家族のつくる納豆の大ドンブリのねばりを思え」。さ、さすがです……。こんな短歌どうやって思いつくのでしょう。十二人て、うちの倍かぁ~。現実的に考えると、多分納豆は四パックくらいだから、まぜてもそれほどではないと思うのですよ。でも「十二人家族」のインパクトは大きい。 この本の家族は「鬼」なのです。比喩じゃないよ。絵がそうなっているのです。
収録はほかにこんな感じ。
「母さんのふとんも敷け」とおさなごは声しぐれたり妻の居ぬ夜に 吉川宏志
「やさしい鮫」と「こわい鮫」とに区別して子の言うやさしい鮫とはイルカ 松村正直
みちのくの母の命を一目見ん一目みんとぞただに急げる 斎藤茂吉
さて、わたし、「声に出して味わう日本の名短歌100選」(中経出版)という本も読んだのです。これはCDがついていて、壇ふみが朗読してくれます。カーステレオで聞いていて、ふとデータをつけてみたら、「Artist 壇ふみ」と表示されていて驚きました。その中から家族の短歌を二つ。
たはむれに懐中電灯呑まむとぞする父おやを子がみて泣きぬ 小池光
あなたは勝つものとおもつてゐましたかと老いたる妻のさびしげにいふ 土岐善麿
まったくタイプの違う二つですが。
なぜに懐中電灯を呑もうと思ったのか、不思議ですよね。そりゃ泣くよ子供も平安京。
土岐氏の歌は戦後に読まれたものだそうです。たった一言に妻の思考や佇いが見えるような気がして、非常に印象的。
このところ、やたら短歌ばかり読んでいますね。今は山崎方代です。
CDで聞く短歌、結構いいかもしれません。聞きとばしていた歌がどんどん細部まで見えるようになって、新しい発見があるように感じます。詩歌はやはりリズムでできているのです。