くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「間の悪いスフレ」

2023-11-12 18:44:20 | ミステリ・サスペンス・ホラー
「ビストロ・パ・マル」シリーズ新刊!
コロナ禍のビストロの苦労が描かれて、この数年のことをいろいろ考えながら読みました。
従業員が居着かない店。タイミングがよくないプロポーズ。料理教室にやってくる不満顔の男性。
三舟シェフは「WHY?」の部分を鮮やかに解くのです。

いつものメンバーで繰り広げられる安定感が、このビストロに足を運びたくなるひとつなのかも。
どれもこれもおいしそうなんですが、チーズが特に!
フランス料理のメインはステーキなんだそうです。
カレーはないけど、ミロントンというハヤシライスみたいな料理はある。
行きたいですねぇ。

「近畿地方のある場所について」

2023-11-07 05:43:25 | ミステリ・サスペンス・ホラー
一話一話が重なって大きなムーブメントになっていくホラー。
山からの呼び声、人形、鳥居、お札、祀られる石、呪文、ましら、柿……
少しずつ咀嚼していくと、なお怖いと思います。

女性作家さんが書いた怪談が、被害にあった人物しかしらないことなのに、まことしやかに伝えられるという噂話がいかにも小学校で語られる感じと、出合ってしまったら否応なしに破滅に突き進む展開が怖いですよね。

ある種の怪談を読むと、当てられたように頭痛がするけど、この本にはなかったです。
他の方の感想を読むと、「見つけて」しまったら更に怖いというんですが……
読み直しても、その発見ができずにいる私は、まだ本読みとしては若輩なのでしょうね。
何が見つかるのか、気になって仕方ない。
「ましら」以上のものがあるんですよね?

最後のページが「了」で終わったのが、悪夢から覚めたようだった。(始まりなのか?)

「俺ではない炎上」

2023-10-21 21:19:08 | ミステリ・サスペンス・ホラー
二度読み必至です!
いつもいいところでカメラワークが切り替わるんですよ。
泰介にピンチが迫ったり、サクラが睨みつけたり。
ラストまで途切れることのないハラハラ。
「自分のせいじゃない」と自己擁護すること。ネットの情報を鵜呑みにすること。
考え直してみたくなります。
冤罪についての本を何冊か読んだことがありますが、ミステリ性という点でも面白い。
どの人も怪しいし、手のひらを返したように見方も入れ換わる。
主人公の心も。
逃げ続けるうちに今まで信じていたことが歪む。偶然と必然が絡み合い、登場人物たちはある地点へと導かれていきます。
面白かった!

「27000冊ガーデン」

2023-10-15 10:13:31 | ミステリ・サスペンス・ホラー
学校司書の駒子と書店員針谷が解決する本の謎。
殺人事件から祖母の読んだ本まで、多様な事件を、本を手がかりに追っていく。
理不尽な前任校の担当者、本当に嫌な奴ですね! 受験生が本を読むの、何が悪いんだ! 新しい司書さん、素敵だわ。
「罪の声」読みたくなりました。

教え子の羽多くんがかっこいい。これは惚れるよね。
そして、ラストの話を読んで、自分が高校のときの図書館には栗本薫が多数あったことを懐かしく思い出しました。
あのころは、JUNE小説の第一人者で、部活の先輩がよく借りていたな。
作中の女の子の、母親世代に該当する年代ですからね……

「偽りの春」

2023-10-10 17:39:26 | ミステリ・サスペンス・ホラー
元捜査一課の敏腕刑事ながら、現在は交番勤務の狩野雷太。
彼が捜査する事件を、加害者側から描く連作。倒叙ものです。
ランドセル、薔薇の花、蔵、彫刻等、今回も小道具に引かれました。
特に「見知らぬ親友」が好き。美容室で泣きそうになりました💧
「サロメの遺言」とセットです。

続編は「朝と夕の犯罪」
兄弟として育ったアサヒとユウヒ。
父の死が二人の道を分ける。
再会したユウヒから誘われたのは、ある偽装誘拐だった。
一見成功したかに思われたが…
第二部は、子どもを置き去りにして餓死させた23歳の女性を尋問する烏丸を視点に展開。
生き残った長男夕夜。彼は誰の子どもなのか。なぜ母親は、アパートに戻ることができなかったのか。

美織の絶望がひしひしと伝わってくる後半。つらい。
ラスト、平穏な生活が垣間見れてよかった。

「私たちはどこで間違えてしまったんだろう」

2023-10-08 15:47:30 | ミステリ・サスペンス・ホラー
のどかな田舎町に暮らす仁美は、秋祭りの日に何者かが投入した毒で、母を失う。幼なじみの涼音、修一郎も弟妹が亡くなり、今までの暮らしが崩れ落ちていく。
親しみを感じていた近所の人々は、犯人と疑われる人を次々と糾弾する。

疑いが疑いを呼び、誰を信じられるのか。
大人になっても事件に縛られ続ける仁美たちだけれど、誰かを守ろうとする思いや葛藤が切なかったです。
しかし、和菓子屋の親父は腹が立ちますな。
久しぶりに急き立てられるように読みました(笑)
後半の、ペンダントの形のエピソードが素晴らしいです。

「事件は終わった」

2023-10-07 19:44:10 | ミステリ・サスペンス・ホラー
すごく、すごく優しい話だった。
想像していた展開とは違いました。
地下鉄でおきた悲惨な事件。死傷者もあり、PTSDに苦しむ人もいる。
拡散された事件の映像。階段から落ちて怪我をしたテニスの選手。彼を取材する報道部員。
「未来ドア」が印象的でした。尾辻さんの傷が辛い。

だけど、どの話にも救いがある。
苦しみは、見方が変われば解放につながっていく。
本編を貫くある謎が解決されたとき、「事件は終わった」のだと実感しました。
ただそれに費やされる時間は、マスコミが思うよりも長いかもしれません。

「教室が、ひとりになるまで」

2023-10-03 20:04:17 | ミステリ・サスペンス・ホラー
とてもよかった!

少しずつ嘘をついている登場人物たち。
「最高のクラス」「友達になれたと思ってた」「誰も殺してない」

金曜日の放課後は、全員参加でレク大会の話し合い。
でも、BBQの肉は回ってこないし、道化として笑われる姿が「最高」?
その歪みが違和感で。

そして、それが作者の企みであることが、後半で暴かれる。

読み終えて、檀が書いた「友達:いない」がつらかった。1年の間に燈花とのすれ違いがあったのでは。
だからこそ彼女も、「調律」を考えたのでしょう。

ラストが優しく美しい。
八重樫は青く見える人が嫌いなんだろうな、と思いました。

「六人の嘘つきな大学生」

2023-09-30 06:50:20 | ミステリ・サスペンス・ホラー
就職のためのグループディスカッションのために集まった大学生六人。
和やかに始まる筈だった会は、お互いの秘密を暴露する封筒が現れたことで一変する。
誰が、選ばれる一人になるのか。
それは「犯人」で間違いないのか。
緊迫感とユーモアのバランスが、とてもよかった。
久しぶりに日付変わっても読んでました。そのあともなかなか寝つけないほど……
袴田くん(187㌢)が石巻出身なのが親近感あって楽しかった(笑)

「勿忘草を探して」

2023-09-25 05:45:07 | ミステリ・サスペンス・ホラー
主人公航大(175㎝)が、見上げるほどの長身(190㎝くらい)の大学生拓海。
植物に関わる事件を解決しながら、「友人」になっていく二人。爽やかで優しい連作です。
ゆっくりとたゆたう庭の四季。おいしいフルーツやお菓子を用意して待ってくれている祖母の菊子さん。
充実した一冊☺️