これ、読み聞かせしたら怖いだろうなーと思いながら読みました。特に前半に収録されている話は怖い。「ランドセルの中」とか「たたずむ少女」とか。図書室に引き込まれてしまう「扉の向こうがわ」も、なんか身につまされると言いましょうか。
「黒沼 香月日輪のこわい話」(新潮文庫)。発売してすぐ買ったのですが、朝読書にちまちま読んでやっと終わりました。「黒沼」に出てくる桜太が主人公の「桜太の不思議の森」も半分読んだので、背景が分かりやすい。
森の中にひっそりとある黒沼。辺りの美しい風景をいかしてキャンプ場にしてはどうかとの話が持ち上がります。桜太の父はその計画のリーダーになるのですが、母親(桜太のおばあさん)が大反対。いつもは穏やかで優しいのに、この問題には頑として首を縦に振りません。
黒沼を埋め立てたり森を伐採したりすることはしてはならない。
桜太は病弱ですが、人には見えないものも見えます。このところ、毎晩のようにお囃子が聞こえてくるのですが……。
香月さんって、暮らしの根っこみたいなものを大切にしたい人なのではないかと思います。禁忌のある地には足を踏み入れない。神の宿る場所は崇める。現代文明に感化されてもそのことを忘れてはならないのです。
「鬼車」が怖い。江戸怪談話をそのまま語るような乾いた怖さ。杉浦日向子の「百物語」みたいです。死んだはずの妻が未練を残しているのか幽霊として現れる。念仏も甲斐なく、日に日に家に近づいてくるのです。我が子の誕生とひきかえに命を失った妻は、何を望んでいるのか。自分も母親として、ちょっと寒気がします。
「ねこ屋」のほのぼのとした感じが好き。この町は「師匠」がいるところじゃないかな?
そんな訳で香月さんの世界観がほの見える感じがします。ちょっと怖いもの見たさから入って、他の作品も読んでほしい。
書店で「妖怪アパート」のブックレットをもらったので、ひもをつけて吊しておきました。じわじわと広まるといいんですが。
「黒沼 香月日輪のこわい話」(新潮文庫)。発売してすぐ買ったのですが、朝読書にちまちま読んでやっと終わりました。「黒沼」に出てくる桜太が主人公の「桜太の不思議の森」も半分読んだので、背景が分かりやすい。
森の中にひっそりとある黒沼。辺りの美しい風景をいかしてキャンプ場にしてはどうかとの話が持ち上がります。桜太の父はその計画のリーダーになるのですが、母親(桜太のおばあさん)が大反対。いつもは穏やかで優しいのに、この問題には頑として首を縦に振りません。
黒沼を埋め立てたり森を伐採したりすることはしてはならない。
桜太は病弱ですが、人には見えないものも見えます。このところ、毎晩のようにお囃子が聞こえてくるのですが……。
香月さんって、暮らしの根っこみたいなものを大切にしたい人なのではないかと思います。禁忌のある地には足を踏み入れない。神の宿る場所は崇める。現代文明に感化されてもそのことを忘れてはならないのです。
「鬼車」が怖い。江戸怪談話をそのまま語るような乾いた怖さ。杉浦日向子の「百物語」みたいです。死んだはずの妻が未練を残しているのか幽霊として現れる。念仏も甲斐なく、日に日に家に近づいてくるのです。我が子の誕生とひきかえに命を失った妻は、何を望んでいるのか。自分も母親として、ちょっと寒気がします。
「ねこ屋」のほのぼのとした感じが好き。この町は「師匠」がいるところじゃないかな?
そんな訳で香月さんの世界観がほの見える感じがします。ちょっと怖いもの見たさから入って、他の作品も読んでほしい。
書店で「妖怪アパート」のブックレットをもらったので、ひもをつけて吊しておきました。じわじわと広まるといいんですが。