くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「地縛少年花子くん」あいだいろ

2020-01-13 16:09:21 | コミック
 娘が、本屋に行くときに一冊ずつ購入していたまんがが、アニメ化されました。
 一緒に見てたら気になったので、12巻まで借りて一気に読みましたよ。あいだいろ「地縛少年花子くん」(スクエアエニックス)。

 学園七不思議を友人から聞いた寧々は、思いきってトイレのドアを叩きます。「トイレの花子さん」は、願いを聞いてくれる代わりに代償を求める。しかし、そこに現れたのは、レトロな学生服を着た少年。
 寧々は、最近気になる「源先輩」と両思いになりたいとお願いしますが、やることなすこと失敗ばかり……。
 少年「花子くん」と親しくなった寧々は、七不思議の怪異に飲まれていきます。
 親友の葵が「ミサキ階段」で姿を消し、花子くんと祓い手の「源光」(先輩の弟)と協力して封印を破ります。教員でもある土蜘蛛の「土籠」、光の同級生だったミツバや、花子くんが殺したらしい双子の弟「つかさ」(ちなみに花子くんの本名は「あまね」)、その助手……。
 次々登場する怪異とキャラクターが、絢爛の絵柄で展開。結構伏線も回収されておもしろいです。
 ものを隠す「もっけ」たちが可愛いです。こういうマスコットキャラクターがいると、流行るよね。
 葵ちゃん大好きな幼なじみの青井茜くんがいい味出してます。
 しかし、最初にタイトル聞いたときはこういう話だとは思ってなかったな。
 あと、わたしは「願いを叶える代わりに代償を奪われる」連作を今とても読みたいのですが、何かある? このまんが、あんまり「代償」に重きを置いていない気がして。
 思いつくのは「世界から猫が消えたなら」なんだけど、わたしの求める主旨とは少し違うような。
 「トイレの花子さん」って、そういう話? 

「彼方のゴールド」大崎梢

2020-01-08 20:12:31 | 文芸・エンターテイメント
 またまたまたまた、泣かせられたよ、大崎さん!
 「彼方のゴールド」(文藝春秋)です。「千石社」を舞台にしたシリーズ、今回はスポーツ誌「GOLD」に異動になった目黒明日香の奮闘を描きます。
 スポーツにはほとんど関心がなかった明日香が、選手へのインタビュー、ライターやカメラマンとの交流で成長していく物語。
 ラストは東京オリンピックを間近に控えた春です。
 特に好きなのは、「キセキの一枚」です。
 カメラマンの凡野と訪れたバスケットチーム。バスケット経験者か、仙台出身か、と訊かれて不思議に思っていたら、どうもそのチームのトレーナーと関わりがある様子。
 出張先でトラブルがあった凡野が、海外から試合に間に合うように帰って来られるかどうかはらはらしている明日香に、トレーナーは友達の車に乗せてもらえるように計らってくれます。
 彼を前向きにしたきっかけが、冒頭からクリアにつながって、心震えます!

 それから、水泳をめぐる幼友達とのエピソード「水底の星」「速く、強く、熱く」、取材拒否の背景を推理する「高みを目指す」、ゴシップスクープをめぐるライターと選手の距離を考えさせる「スタート・ライン」。
 どれも、すごく好きです。
 「スクープのたまご」の日向子も登場しますよー。
 スポーツを盛り上げるのは、選手、スタッフ、メディア、ファン、様々な関わりから出発するんだな、と考えました。
 他のスポーツに関するエピソードも読みたい! 是非!

「古典の裏」杉村瞳

2020-01-07 19:03:52 | 古典
 古典の裏話には詳しくなくては。
 でも。考えてなかった着眼がかなりあり、勉強になりました!
 杉村瞳「古典の裏」(笠間書院)。
 「仁和寺にある法師」は、なぜ道を聞かなかったのか。
 偉いお坊さんが、庶民でも当たり前に知っていることを知らなかった。石清水八幡宮を「拝む」より「参詣してきた、と周囲に自慢すること」が目的だったのではないか。山に行くのを我慢したと、わざわざ言うところがあざとい。
 なるほど!
 滑稽の中に潜む人間像が、伝わってきますね。

 「竹取」で繰り返される「三」という字に着目。
 この時代、「三」は神聖で特別とされた数なのだそうです。三寸、三ヶ月、三室戸斎
部の母、三日間。わざと重ねてある!
 また、かぐや姫の驚くべき能力(帝の前で消えてしまう、など)は話題にしていましたが、それは周囲の人が「魔法にかけられていたから」!
 天人がかぐや姫の気持ちを全く理解できずに、不老不死の薬を飲めば気分の悪さ(翁らと別れる悲しさ)が回復すると考えるというのも、納得できます。
 イヤー、楽しい。
 繰り返し読みたい一冊です。

「異人館画廊」6

2020-01-05 19:29:37 | YA・児童書
 谷瑞恵「異人館画廊 透明な絵と堕天使の誘惑」。
 やっと、千景が記憶を取り戻します!
 誘拐されていたとき、何があったのか。自分が図像術を見せたから犯人は自殺したのではないか。
 そういう自分でも、「キューブ」のメンバーは受け入れてくれるのか。そして、透磨は?
 揺れ動く千景に近づいてくるのは、ストリートアーティストの真柴安吾。彼は千景と同じように、絵を写真のように記憶して再現する能力があり、図像術を身に付けたいと考えているようです。
 また、その背後には、千景の誘拐に関わっていたらしい小原という男が……。

 千景と透磨の距離が、ぐっと近づきます。
 ギリシャ神話をモチーフにした作品が、心霊スポットに展示されているのは何故か。千景のチャームと幼い頃の透磨の関わりが、きゅんとします。


 さて、わたくし、本日五十歳の誕生日でございます!
 プレゼントは「春高での科学大高の勝利」を願っていたのですが、残念ながら……。
 でも、すごくいい試合だったのです! 2セット目32対34!! 見応えありでした。

「チームの顔」2003と 2019-20

2020-01-03 20:25:53 | 芸術・芸能・スポーツ
 古いバレー雑誌を捨てられてしまい、実家に一冊だけ残っていた「チームの顔2003」を持ってきました。ちょっと、比べ読みしてみます。
 まずは、2003の所属チーム。
 サントリー・サンバース、東レ・アローズ、堺ブレイザーズ、NEC・ブルーロケッツ、JT・サンダース、松下電器・パナソニックパンサーズ、旭化成・スーパーキッズ、豊田合成・トレフェルサと、Vリーグは8チーム。
 V1リーグはTOYO TIRE、東京ガス(☆)、警視庁、トヨタ自動車、豊田工機(◆)、東京ヴェルディ、NTT神奈川、大同特殊鋼の8チーム。
 そう、この時代はVリーグ(かつての「日本リーグ」。今の「V1」)、V1リーグ(かつての「実業団リーグ」。今の「V2」)という呼び方だったのです。(今の「V3」は? 「地域リーグ」?) 紛らわしいですね……。
 現在V1は10チーム。パナソニックパンサーズ、JTサンダース広島、東レアローズ、サントリーサンバース、ウルフドッグズ名古屋、堺ブレイザーズ、ジェイテクトSTINGS(◆)、FC東京(☆)、大分三好ヴァイセアドラー、VC長野トライデンツ。
 V2は12チーム!
 富士通カワサキレッドスピリッツ、トヨタ自動車サンホークス、警視庁フォートファイターズ、大同特殊鋼レッドスター、埼玉アザレア、つくばユナイテッドSun GAIA、きんでんトリニティーブリッツ、長野GaRons、東京ヴェルディ、ヴォレアス北海道、ヴィアティン三重、兵庫デルフィーノ。
 そして、V3はなんと4チーム……。なにこのバランスの悪さ……。近畿クラブスフィーダ、奈良ドリーマーズ、トヨタモビリティ東京スパークル、サフィルヴァ北海道。
 この十六年で残ったチームも、新しく参入したチームもありますね。残念ながら廃部になったところも……。(チーム名変更は同じ記号つけておきました。他にもあるかも)

 旭化成は実業団リーグからVリーグに上がるまでずっと応援していたので、このあと廃部になるのがすごくつらいです。監督久保さん!(今はJTのGM)
 JTはスタッフに結構残ってますね。平野くんとか。このときもコーチは原さんです。あと日体大監督の山本健之さんが現役です。
 サントリー監督荻野さん、東レGM小林さん現役。東海女子部監督藤井さんがヴェルディのコーチ。 
 わたしがいちばん懐かしい名前を感じるのはFC東京で、今年のスタッフをみると、副部長金沢さん、マネジメントスタッフの九冨さん(2003年では監督)、岡野さん(同選手)、大塚さん(同コーチ)、柳井さん(同マネージャー)、それから齊藤福富美さんもいらっしゃる。(安藤さんはどうされているのでしょう……)
 ブランクあるので、どうしてもコーチ陣に目がいってしまう。
 ヴォレアスのアドバイザーは家近さんだし! 今、校長先生なんですよね。息子さんがエースですよね。それから、2003年版でJTの伊勢くんが「(バレーを始めたきっかけ)高校の先生に誘われて」と答えていて、確かこのときの顧問は家近さんだな……と思いました。
 そして、今年度版でわたしが最も熟読しているのは、サフィルヴァ北海道さんなのです。すごい魅力的なチーム! 試合見てないのですが……雰囲気とかツイッターの展開とか。何しろ同職の方が多い! 応援したくなるではないですか!
 後藤コーチが、無名なんだから知ってもらうところから始めないと、と書いてらっしゃるのに感銘を受けました。(言葉感覚のいい方だと思います。原文通りに書けなくてすみません)
 神園、森元、十良澤の同い年トリオがいい味出てますよ。
 
 バレーから遠ざかっていた二十年ですが、県内の高校とか中学とかはそれなりに触れてはいるので、そういう方々が活躍しているのは嬉しいですね。

「黒武御神火御殿」宮部みゆき

2020-01-01 14:54:54 | 時代小説
あけましておめでとうございます

 「黒武御神火御殿」(毎日新聞出版)。「三島屋変調百物語」の六冊目です。
 聞き手を「小旦那」の富次郎に替えての幕が開きます。
 「泣きぼくろ」は、富次郎の幼なじみだった豆腐屋の一家に起きた惨劇。
 わたしも、あります。泣きぼくろ。複雑。
 次の「姑の墓」は、禁忌を破る悲劇が描かれています。なぜ、この家の女たちは花見に行けないのか。
 近づいてくる展開が想像できるだけに、不安が高まります。
 姑になるのは怖い気がします。
 「同行二人」は、病で妻子を失った飛脚についてくる幽霊。のっぺらぼうです。でも、嘆き悲しんでいるのは分かる。
 何故彼は泣くのか。雷で焼け落ちた茶店との関係はあるのか。
 そして、表題作「黒武御神火御殿」です。
 ご禁制の耶蘇教に関わるらしき半纏が持ち込まれ、大金を払ってでも聞いてほしいとやってきた札差しの息子。
 神隠しにあった女中とその男とは、見知らぬ屋敷に捕らわれていたことがあるというのです。
 重くて、怖い物語でした。彼らの背負う過去と、座敷で燃え続ける火山。逆恨みに近い執念。
 そこに捕らわれた六人のうち、助かって現世に帰れるのはたった一人。意地の悪い嫌がらせをしてくる屋敷と、陰に隠れているらしき甲冑姿の主人。
 恐ろしい家のモチーフ、宮部さんよく描かれますよね。「おそろし」も、そうだった。
 怖い中にも軽妙な短編を差し込むようにしている、と以前おっしゃってましたが、今回は今までと毛色が違う気がしました。
 やはり聞き手が変わったからか。おちかのところでは話さないような内容でしたね。