くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「昨日まで不思議の校舎」似鳥鶏

2015-01-04 05:08:09 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 こ、これはっ……。
 シリーズ第五弾にして、一作めからの伏線が見事に回収されているではありませんか! もうこれ一冊だからとなかなか読まないままでいたのですが、ああもったいない。(でも、読んでしまうのも、もったいなかったんです)
 葉山くんが、ついにあのことを自覚します。それは、彼がひとまわり成長した証。そして、物語の狂言回し的な位置付けから、さらに主人公として活躍してくれそうな今後が、楽しみでなりません。
 この本が出たのは一年半くらい前ですから、そろそろ新刊が出てもいいのでは?
 なんて、勢いのまま書いてしまいましたが、似鳥鶏「昨日まで不思議の校舎」(創元推理文庫)。
 葉山くんは思います。どうも自分が通う市立高校は、他校に比べてかなり特殊なのではないか。よそではこんなに頻繁に事件がおきたり、「あかずの間」のような部屋があったりはしないはず。それに、うっそうとして暗い雰囲気がある。
 そんなとき、超自然現象研究会が「市立七不思議」を特集した会誌を配布します。先日の「天使」や、葉山くんが発見した「壁男」、そのときに一緒に噂されていた「フルートを吹く幽霊」、正門から学校を見つめている「立ち女」、これに全国的に有名な「トイレの花子さん」「カシマレイコ」「口裂け女」を加えて七つ。
 そして、誰もいない放送室から「カシマレイコ」を呼び出す全校放送が。また、文化部の部室棟では「わたし きれい?」と書かれたマスクと草刈鎌(東急ハンズのシールがついています)が、「口裂け女」を模したシチュエーションで発見され、さらに用務員室からは血まみれの人形が見つかります。しかも、密室状態!
 推理に行き詰まった葉山くんが、伊神さんのアパートを訪ねて手料理を振る舞う場面がたまりません。
 わたしは友人関係で悩む小林くんの話が印象的でした。