くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「夢みるレシピ」有間カオル

2018-06-17 22:31:50 | 文芸・エンターテイメント
 作中には、わすれな荘で供されたレシピが紹介されますが、この鍋はないんですよね。じゃがいもを茹でて潰して片栗粉を混ぜて団子にしたものを、だまっこ鍋にする感じで、みりんやしょうゆで味付け。水菜とか冷蔵庫にある野菜を入れる。
 たまらなく食べたくなって、作ってみました。
 野菜は水菜、ねぎ、舞茸、ひらたけ、三葉、だしは鶏肉、干し椎茸、昆布。
 おじいちゃんには「片栗粉より小麦粉の方がいい」と言われたので、次に作るときはそうします。いももち、溶けちゃうんですよ。それとも、一回揚げるべきだった?

 有間カオル「夢みるレシピ」「スープのささやき」(ハルキ文庫)。「ゲストハウスわすれな荘」というシリーズです。
 秋田から上京してきた千花は、頼るつもりだった恋人(?)から宿泊を断られて、安い宿を探しながら山谷にやってきます。
 商店街でホームレスと酒盛りしていた男に声をかけられたショックで荷物をぶちまけ、そこを通りかかった青年翔太に助けられます。
 泊まるところがないなら、自分のいるゲストハウスを紹介すると言われてついていったのが、わすれな荘。外国人旅行者や留学生がメインのこの宿で、千花は自分と向き合っていきます。
 ベトナムからの留学生クオンの作る料理もおいしそうです。なますの入ったサンドイッチ「バインミー」、食べてみたいなあ。
 印象的なのは、ビッグマムですね。北海道を講師をしている外国人(ALTではない?)ですが、旦那さんは佐賀在住? 伝えたいことがあるときは、大きい声よりもささやく方が効果的とか。
 翔太に恋するバネッサが現れたり、オーナー橋島の過去が語られたりしますが、夢に向かって歩きはじめた千花のその後が語られないまま二冊めが終わったので、「あれっ?」っていう感じです。続刊出ているのでしょうか。 

「落ちぬ椿」知野みさき

2018-06-11 20:13:11 | 時代小説
 知野さんは海外でお仕事されているそうですね。
 それなのにこんな時代小説を描かれるとは。才能のある方だなーと思います。
 今回は「上絵師律の似面絵帖」(光文社文庫)を三冊続けて読みました。「落ちぬ椿」「舞う百日紅」「雪華燃ゆ」。
 両親を辻斬りに殺された律は、父の仕事の上絵師を継ぎますが、若い女の腕ではなかなか認められません。
 幼なじみの涼太とは思いを寄せ合う間でありながら、身分違いと諦めています。(お母さんの言動は、どう見ても律寄りなんですが)
 旧知の同心から頼まれて似面絵を描いたところ、よく似ていると評判になり、その後捜査に関わることになります。
 わたしにとって「上絵師」というと、泡坂妻夫さんのイメージですねー。泡坂さんは定紋上絵師なので、律のような絵は書かないと思いますが。
 なかなか認められずにいる律を支えてくれる人々は、涼太や妹の香をはじめ、暖かいです。
 ちょっと厳しい呉服屋の女将さんが印象的です。(図書館に返してしまったので、名前を覚えていません……)
 妹さん(上と同じ)と、雪永さん(こっちはなぜか覚えています)のその後を知りたい!
 弟の慶太郎が菓子屋に奉公するのですが、兄弟子の「吾郎さん」が気になります。
 この本の前に「深川二幸堂菓子ごよみ」も読んだので、どこかでつながるのかな? と思ってしまいました。
 

ビッグコミック系

2018-06-07 20:33:18 | コミック
 コミックス五冊分の応募券でいろいろ当たるそうですね。別段特別版の表紙に入りたいとは思わないのですが、なんだかんだでビッグコミック好きな作品が多いので、もうすぐ五冊たまりそうです。
 今月はちくやまきよし「しっぽの声」の二巻が出るというので楽しみで、発売日に本屋に走りました。
 動物を飼うのは、責任が伴いますね。ペットショップで氷づけにされた犬の描写はたいへんショックでした。
 スコティッシュフォールドの遺伝の件は、以前似鳥さんの本(「モモンガの件はお任せを」だと思います)で読んだのですが、いとこが飼っていることもあり、気になっています。
 
 で、魚戸おさむ「はっぴーえんど」が、もう三巻まで出ていることに気づき、慌てて買いました。
 舞台、函館だったのですね。昨年行ってきたので、坂や景色に見覚えがあり、懐かしいです。
 友人を裏切ったことを、長年悔やんできた男性が、函館山の展望台でその友人を見かける。
 母親が亡くなる直前にやっと現れて、これまで面倒を見ていたきた妹を罵倒する兄。
 様々なエピソードから、生や死について考えさせられます。

 山本おさむ「赤狩り」。
 わたしは映画に関心がないので、細かいところがわかる人にはもっともっと面白く読めるのだろうな、とは思うのですが、山本さんの本は読まずにいられず買ってしまうのです。
 「ローマの休日」の作成エピソード、身分を隠してでもシナリオを書きたかった脚本家と、当局ににらまれてもスタッフを守ろうとイタリアに渡る監督、演技で応えられず苦悩するオードリーなど、読みごたえがあります。
 山本さんは、徹底して「差別に抗う人」を描くので、いつも背筋が伸びる思いですね。


 ビッグコミックでいちばん好きな作品を選んでみようかと思ったのですが、「獣医ドリトル」や「あかぼし俳句帖」、古いところで「シアターアッパレ」とかも浮かんできて、絞れません。
 「龍」や「うごかし屋」もいいなあ。

穂村さんの本

2018-06-06 20:08:32 | 書評・ブックガイド
 書店に行ったら、穂村さんのサイン本が入荷されており、「短歌の友人」(河出文庫)を買いました。まだ途中です。「ぼくの短歌ノート」がすごい好きなので、似たテイストを求めているんですが、
ちょっと重複したところがあるかなー。

 「これから泳ぎにいきませんか」と「きっとあの人は眠っているんだよ」も読みました。
 前者は書評集で、後者は読書日記。わたしは日記の方がおもしろく読めました。力の抜け方がいい。
 で、中にフジモトマサルさんへの追悼があったのです。
 もちろん、フジモトさんが若くしてお亡くなりになったことは知っていました。だけど、穂村さんが「にょっ記」をまだまだ続けたかったと書かれていて、ああ、そうか……。もう、「にょっ記」は読めないんだな……。と、なんだか実感してしまって。
 「今日はなぞなぞの日」も、続きが読みたかった。

 それから、「カルト村で生まれました」を紹介されていたので、つい読み返してしまいました。
 穂村さんのエッセイは癖になりますよねー。
 サイン本コーナー、まだ在庫あるみたいです。二冊めを買うべきか……。

石ノ森章太郎記念館はしご

2018-06-05 19:14:55 | 〈企画〉
 総体の振休、久しぶりにお出かけしました。
 まず、石ノ森章太郎ふるさと記念館。歴代ライダーのパネル写真展をやっていました。
 学生時代の部屋には、本棚にポケミスや山本周五郎の本、ベートーベンのレコードや肖像画、マッチのコレクションなどがありました。
 藤岡さんや倉田てつをさんのサインもあり。
 入口に向かうまでの通路にフィギュアがあったりマスクがあったり、庭園にメダカがいたり、小技が光ります。
 生家前にあったポスト(石ノ森さんが投稿作品を投函したものですね)も、入口の前に移転されていました。
 
 で、石ノ森萬画館に移動。
 すみません、わたせせいぞう展をやっていたのですが、ほとんど見ないまま常設展の入口で映像を延々と見続け、ライター編(変身シーン中心にまとめてあります)に最新作まで入っていることを確認して中に入りました。
 息子に付き合って毎週見ていたのは、「響鬼」「電王」「カブト」「W」「オーズ」「フォーゼ」といったところでしょうか。
 オープニング映像立ち止まって見てしまいます。
 踏むと作品の印象的な音が鳴るシステムがあり、「加速装置!」「ロボコン、0点」やら、ショッカーの声やら「電王」や「オーズ」の音やらが聞けて楽しい。
 
 今回は時間がなくて三階にはいきませんでしたが、まんががいっぱいあって、ここだけで一日過ごせそうなスペースです。でも、石巻は遠いからねぇ。
 マスキングテープ買ってきました。

 石巻に来ると必ず買ってしまうロールケーキを食べ、楽しい一日でした。
 なんだか萬画館に年に一度は来ている気がする……。ふるさと記念館は十年ぶりくらいです。息子は石ノ森さんが使ったという木馬に乗せてもらったっけ……。
 平日でしたが、どちらも駐車場に県外ナンバーの車があり、根強い人気を感じました。
 わたしは「透明ドリちゃん」をもう一度見たいわー。

「怪談 双子宿」郷内心瞳

2018-06-02 19:23:25 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 郷内さんの本を三冊未読のままだったので、「怪談 双子宿」(竹書房)を読みました。
 短いホラーが読みやすくて、すぐに読み終えたのですが。

 「ザリガニ神社」おかしくない?

 いや、本筋とは関係ないのはわかっています。
 だけど、納得できないことが多すぎて何を突っ込めばいいのか………。
 とりあえずあらすじですが。
 郷内さんの拝み屋に、母親と二人の少年がやってきます。
 その日午前中、小学校から息子(弟)が登校していないとの連絡があります。
 両親が出勤後に中学生の兄、最後に弟が家を出る習慣なので、何度電話してもつながらなかった母親は、兄の携帯に連絡します(!)。
 兄は、自分が出てくるときに気になるような素振りはなかったというので、母親は息子を探しに自宅に戻ります。
 息子の担任と一緒に通学路を探していると、弟が心配で早退してきたらしい兄と、その担任(!)に出会います。
 探しているうちに、団地の貯水槽の中にランドセルが置いてあるのを発見。でも、それは非常に不自然な状態で……。

 宮城県の小中学校、携帯の持ち込みは禁止です。
 しかも、中学生の携帯を鳴らすって、授業中だったらどうするの?(電話で話しているから、消音してないですよね)
 教員は、早退する生徒についてきたりしないと思うのですが……。授業どうなるの? 
 その後、弟の担任も登場しますが、それは所在確認が必要なことなので、ありだと思います。
 

「笑う書店員の多忙な日々」石黒敦久

2018-06-01 22:54:47 | YA・児童書
 ラノベだなー、という感じ。
 石黒敦久「笑う書店員の多忙な日々」(メディアワークス文庫)。本関連の作品は買うようにしているのですが、おもしろいとは思うのですが、なんでしょうね。先日、額賀さんの本を読んだら「ラノベにはカタルシスが必要だ」というような記述があり、そのことが頭に残っていたので予定調和のように感じてしまったのかもしれません。
 だって、主要人物がゲラを読んでどうしても売りたいとフェアを仕掛けた本が、売れない展開にはならないでしょう?

 四谷書廓堂。個性的な駅前書店で働く奈津は、アルバイトの紗和の教育を任されます。
 お嬢さん大学の新入生だから、そうそう続くまいと思ったのに、紗和はいつの間にか店に馴染んでいくのです。
 万引き犯を抑える手法、サイン会で女子高生に殴られかけた作家、初版六千部の新人作家の本を五百冊買いきりで仕掛けるフェア展開。
 それと、ビブリオバトルです。
 営業の大王との出会いも含め、好きな女の子が転校するので告白の権利を懸けて本を紹介する。
 さらに、ビジュアルが自分の好きな作家に見えるという「神様」。(奈津には星新一、紗和にはドイルに見える)
 なんか、こういうの、若い子は好きなんでしょうか? わたしにはざらざらしたようなものが残りました。
 前述の殴られかけた作家のエピソードは、娘との行き違いと、亡くなった旦那さんとの思い出に縛られる話なんですが、えーと……アダルトチルドレン? と感じてしまうのですが。(でも、アダチル好きな読者って多い気がします)
 
 ところで、星新一を「シンイチ」と呼ぶのってありなんですかね?(奈津はそう呼ぶのです)
 わたしが文学者を名前で呼ぶ場合を考えると、啄木、光太郎、漱石、子規、鴎外、茂吉、 三重吉、安吾、鏡花……。
 苗字なら、芥川、太宰、谷崎、といったところ。星新一はフルネームで呼びます。(菊池寛もここ)
 全体的にはきらいなテイストではないと思うのですが、続編が出ても買わない気がします。