くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「どうして人はキスをしたくなるんだろう?」みうらじゅん・宮藤官九郎

2014-01-29 21:25:37 | エッセイ・ルポルタージュ
 長いタイトルです。「どうして人はキスをしたくなるんだろう?」(集英社)。
 みうらじゅんと宮藤官九郎が、週刊プレイボーイで連載している対談だそうです。うーん、数日前に「対談が好き」と書いたけれど、これはだらだらと気が向いたら読む感じで、思ったより時間がかかりました。
 多分、みうらじゅんのワールドは、わたしには苦痛な世界なのだと思います。下ネタが好きじゃないから、あー、またそういう話なのか……と、嫌気が差して中断したり。
 宮藤は割と相手に話を合わせるタイプの人だと思いました。まあ、彼も嫌いな話題ではないのでしょうが。
 わたしが宮藤の本を読むのは、もうひたすら地元愛のためなのですか、今回はお母さんの話題も割と多かったので、その点ではおもしろかった。
 日舞のお弟子さんの娘さんがAKBの研究生になったというのは、おそらく岩田華令さんですね。(字は合ってますか?)
 お母さん(菅原美話さん)は栗原の方なので。習いに行くには少し距離がある気もしますが、当時日舞をやっていたという人は意外と多いです。
 文房具屋の店先の「宮藤官九郎コーナー」が年々拡大されているというのは、その通りだと思います。
 ただ、商工会で出していたクーポン券に、似顔絵を描いたのは漫画家の二階堂正広さん(字が違うかも)です。「似てないからやめてほしい」といってますが、もう流通していないのではないかと。他の媒体でも同じように言ってましたが。みうらじゅんになら似顔絵を描いてもらってもOKなんでしょうかね。なんだかんだ言って、若柳のPRパンフレットに題字を書いていまので、照れ隠しなのかもしれませんが。
 この本、普通はどのような方が読者なのでしょう。
 雑誌で連載を読んだ人? 宮藤やみうらじゅんのファン? 
 そういえば、宮藤は自分の声は低い方だと言ってますが、テレビで見る限りどちらかといえば高いと思うんです。わたしだけ?

「わたしが正義について語るなら」やなせたかし

2014-01-28 20:40:12 | 哲学・人生相談
 2月のカレンダー、一日だけがどうしても埋まりません。
 それは、やなせたかしさんの誕生日。そこに、どうしてもこの本のことを入れたかった。でも、図書館ではずっと貸出中。
 一応、本校図書室、やなせさんの本はあります。作曲家の伝記シリーズ、「バッハ」を執筆されているのを発見しました。(このシリーズ、池田理代子や、松本零二の本もあります)
 でも、これは別の日に紹介してしまった。
 というより、わたしはこの本が読みたかったのです。「わたしが正義について語るなら」(ポプラ社)。最近新書化しましたが。
 正義って、なんでしょう。わたしの好きなザ・ブームに「信じてきたものは正しかったが、過ちとしてたものも正義だった」という歌詞の歌があって、折に触れて考えてしまうのです。
 立場が異なれば、ものの見方も違う。テレビのヒーローものは一元的だけど、それに留まるわけではないのですよね。
 やなせさんは、アンパンマンをどういう気持ちで描いてきたのか。それを知りたいと思ったのです。 
 やなせさんは、お母さんの再婚のために、叔父さん宅の養子になったそうです。先に養子にいった弟さんは、叔父さんたちと同じ部屋で寝るのに、自分は書生部屋で、というように、つらい思いもあったとか。
 宮城まり子や手塚治虫に声をかけられて、舞台や映画の仕事をするなど、様々な出会いによって仕事の幅が広がっていったのだそう。
 最初、「あんぱんまん」の絵本は、みすぼらしい主人公(マントはぼろぼろだし、なにしろ顔がないまま飛んでいきますからね)に非難の声があがったのですが、やがて子どもたちから圧倒的な人気で受け入れられるようになった。
 わたしや友人も、アニメになる前からもちろん知っていましたよ。
 アンパンマンだけでなく、敵対するキャラクターを、と考えてばいきんまんが登場するのですが、舞台で生の声を聞いたことにより、あの「はひふへほー」なども定着していったそうです。キャラクター作りには「風と共に去りぬ」が底辺にあったともおっしゃる。ちなみに、「フランケンシュタイン」の影響もあるようです。
 正義は、きれいごとだけではない。痛みが伴うものだ、という考えも、納得。おもしろく読みました。
 やなせさんは、舞台の仕事も好きだったそうで、岩手・宮城内陸地震のあとにこちらで公演もされました。抽選で夫だけ当たったため、わたしは行けませんでしたが、子どもたちは喜んでいましたよ。お土産にお菓子もいただきました。
 震災後は、「詩とメルヘン」を被災地の学校に寄贈もしていただきました。亡くなられて、残念です。合掌。

「トップスケーターの流儀」中野友加里

2014-01-27 21:07:28 | 芸術・芸能・スポーツ
 対談を読むのが好きです。
 ソチ五輪も近いので、図書館の新刊コーナーから借りてきました。中野友加里「トップスケーターの流儀」(双葉社)。
 スケーター引退後、フジテレビ社員として働く中野さんが、旧知のトップスケーターたちにインタビューしています。サブタイトル「中野友加里が聞く9人のリアルストーリー」。
 村上佳菜子、織田信成、鈴木明子、無良崇人、羽生結弦、小塚崇彦、浅田真央、安藤美姫、高橋大輔。この錚々たるメンバー。素晴らしいですね。全員予約変換機能で出てきますよ(笑)
 まずは、羽生結弦くんから読みはじめました。宮城のスイーツといわれて、真っ先に出てきたのは「ずんだ」です! 萩の月とか喜久福もあげてました。中野さんは、仙台というと牛タンのイメージらしいですか、「僕、牛タン屋さんで食べたこと、人生で3、4回ですよ。家の近くにも駅にもあるのに」と言ってました。多分「利休」のことでしょう。わたしも人生で一度しかお店で食べたことはないですが。
 去年の東北高校のパンフレットには羽生くんのコメントが載ってたんですよ。学校では普通の高校生ですって。遠征で優勝して帰ったら、友達が駅まで迎えにきてくれて嬉しかったと話していました。妹が学校の近くに住んでいますが、見かけたことはなかったみたいです。(ダルビッシュは何回見かけたそうです)
 だから、織田さんとの会話で、中野さんが「羽生くんのインタビューをして、強気な子だなって思った」というのが、なんだか意外。
 中野さんにとって、ここに取り上げた選手のみなさんはごくごく身近な人たち。そのなかで羽生くんは確かにアウェイかもね。(早稲田の後輩とは言ってました)
 こうやってみると、名古屋近辺で活躍していたスケーターは多いですね。仙台近辺の方も多いような気がしていたんですが。(荒川さんとか。鈴木明子さんも学生時代は仙台です)
 振り付けとか音楽とかの話からも、スケートはチームが支えていると感じました。
 今シーズンで引退を考えている方も結構いらっしゃる……。
 高橋さんが、中野さんからインタビューを受けると、思わず普段のような受け答えをしそうになると言ってましたが、この本は全体がそう。中野さんと皆さんの距離感が近いために、いろんな話題が飛び出します。安藤さんが出産前、誰にも会わないようにほとんど家にいたとか、無良さんの奥さんのこととか。小塚に彼女がいるとはっきり言ってますが、それはいいの?
 近すぎて、自分のことを名前呼びする方が多いのにびっくり。鈴木明子さん以外女性は全員です。二十代ですよね?(村上さんは十九だけど)
 ソチ五輪開幕、楽しみにしています。

「ビブリア古書店の事件手帖5」三上延

2014-01-26 09:07:12 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 待ってました。で、読み終わったら、また最初の巻から読み返したくなってしまう。三上延「ビブリア古書店の事件手帖5 栞子さんと繋がりの時」(メディアワークス文庫)。
 このラスト、不穏ですねぇ。その前がドラマチックだっただけに。
 大輔は、この前のデートで告白した返事がほしいのですが、栞子さんはしておかなければならないことがあるから、五月の末まで待ってとのこと。それはつらそうですね……。ぎこちない二人の話のきっかけになれば、と滝野ブックスさんが最近耳にした噂を教えてくれます。
 「彷書月刊」のバックナンバーを、古書店に持ち込んではしばらくして買い戻す女性がいる。
 その話題の女性が、直後、店を訪れます。彼女の夫が読んだもので、書き込みも多い。どうやら、事情がありそうですが……。
 「ブラックジャック」の単行本差し替えや未収録、寺山修司の稀覯本についての推理と、栞子さんと大輔の距離の進展が、楽しい。でも、智恵子さんのダークな世界に巻き込まれそうで心配です。
 ただ、今回思ったのは、智恵子さんは周囲の人々(主に男性陣)に慕われていますが、栞子さんは人との関係を作るのが苦手ですよね。根本的なところで違うと思うんですが。(それにも増して、大輔の受け答えが秀逸です)
 参考文献三ページもありますね。わたしも「黒いハンカチ」持ってます。寺山修司の「五月の詩」が載っている詩集が図書室にあったので、今度読んでみますね。
 六巻が待ち遠しい……。

「子育てはもう卒業します」垣谷美雨

2014-01-24 21:19:37 | 文芸・エンターテイメント
 病院の待合室で二時間。読み終わってしまいましたよ、垣谷美雨「子育てはもう卒業します」(祥伝社)。
 大学の同級生だった淳子、紫、明美。就職に悩み、家庭生活に悩み、そして、子育てで悩む三人の姿を、様々な時代のカットバックによって綴ります。
 淳子は学生のとき、から付き合っていた男と結婚。息子を二人育てていますが、兄は期待よりも勉強ができない。弟はとことんマイペースで自分の興味を満たしてしまえば、飽きてすぐ他のことをはじめてしまう。多分、コミュニケーション不全なんでしょう。
 二人を大学附属の中学校に入れるために、淳子は家賃を浮かせようと夫の実家に同居します。休日ごとに押しかけてくる義両親や二人の義姉に辟易したからでもありますが。
 リフォームされた離れは、思ったよりもいい環境でしたが、義家族はさらにうるさく、近所の目があるからと格好にも口を出してくる。パートに出たいといえば反対され、PTAでは同居は下町ママより格下と判断され。そんな中で奮闘していく姿が、非常に共感できるのです。
 紫はフランス語教室で講師をしていた外国人と結婚したため、実家から勘当されています。娘は幼いころから芸能界で活躍し、そのおかげで一等地に家を建てられるまでに。しかし、マンガを読みフィギュアを集めるのを至上の喜びとする夫が不甲斐なく、毎日ぴりぴりしています。
 明美は一人娘が(自分のように)就職で困らないようにと、看護学校への進学をすすめますが、言うことを聞こうとしないのでがっかり。バブル崩壊直前に買ったマンションは使い勝手が悪いし……。
 彼女たちの学生時代も描かれますが、就職の条件は「実家」に住んでいること。地方から上京した女子は、選考対象ですらないことに愕然とします。
 その後、「23歳以下」なんてのもあったそうです。わたしは教員採用試験しか受けていないのですが、確かに似たような条件を聞いたことはありました。主人公たちとはだいたいひとまわり違う年代ですが、なんだか隔世の感がありますね。現実年齢を考えると、彼女たちは五十代でもう、子どもは二十代なんです。子どもたちがビデオを見て、親は自分たちの歳には子育てをしていたと気づく場面がありますが。
 今、晩婚化がすすんでいるんだなーと思いました。わたしの世代は三十くらいで結婚するのは遅い方でしたが、教え子たちは三十ではまだまだという人も結構いますよね。もちろん個人差はありますが。
 うちの子がこの作品の子どもたちと同じ歳になるとき、わたしは定年を迎えていますね。変な感じ。
 女性であることを会社で(社会で)強要されることに憤りとやるせなさを感じている人物も結構出てきました。
 わたしも学生時代の友人のことを、しみじみと考えてしまいました。懐かしい。ついこの間のような気がするのに。
 巻き戻せるなら、あの時代にはちょっと戻ってみたいようにも思います。
 でも、若い頃には「女子会」という言葉はなかったと思うんですが。

「探偵部への挑戦状」東川篤哉

2014-01-22 05:52:21 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 霧ヶ峰涼ふたたび。
 東川篤哉「探偵部への挑戦状 放課後はミステリーとともに2」(実業之日本社)です。思ったより早く借りられたんですが、うーん、前巻の方が好みでした。
 理由として考えられるのは。
 まず、石崎先生の活躍が少ない。涼がすぐ先生を頼りにしてしまうのもどうかとは思うんですが、なんか謎解きのためだけの出番なんですよ。ドラマ見てはいなかったんですが、こういう登場の仕方では役者さんの見せ場が作りにくいのではないかな。
 挑戦状、というシチュエーションですから、ライバルが登場します。「うるるとさらら」です。
 展開が読めてしまいます。それに今回似たようなパターンが多いのは、なんか演出ですか? 事件は密室の状態で起こっていて、ほぼ毎回足跡がないと騒いでいます。連載は十年にわたるようですが、作中では一年しか経っていません。そして、毎月騒ぎがあるのです。
 あ、今回「探偵部」がひとつになりました。多摩川部長も八橋さんも赤坂通も登場します! 文化祭でお好み焼きを焼いています。ミスコンを楽しみにしています。自虐的なツッコミありです。
 カスヤナガトさんの表紙が秀逸。みんな左向きですね。

「珍獣図鑑」中川志郎

2014-01-21 01:53:09 | 自然科学

 ズーラシアの予習にと、本棚から引っ張り出してきました。中川志郎「珍獣図鑑」(新潮文庫)。
 昨年古本屋で二百円で購入した掘り出し物です!
 わたしは中川さんの文章が大好きなのですが、これは動物園のエピソードというよりも本当に「図鑑」なので、さらっと読むのもしにくく、たまに思い出してちょこちょこ目を通す感じでした。
 で、今回はホテルにあったズーラシアのパンフレットと相対して、載っている動物を優先して読んでみました。
 まず、オカピ。これは以前にも読んでいるのですが、中川さんから改めて「森の貴婦人」への印象を伝えられると、実際にものすごく優美に見えてくるのです。
 ズーラシアは希少動物の展示にも力を入れており、これまでそれほど気にせずにいた名前も目につきました。まずはターキンです。ギリシャ神話に黄金の羊伝説があるために、この動物はなかなかリアリティをもって受け入れられなかったようです。まあ、羊ではなく牛ですが。
 トラ、ラクダ(家畜として扱われるものは多いけれど、野生種はかなり減っているのだとか)、マレーバク、テングザル(冬場は展示中止でした)、カワウソ、ホッキョクグマ、メガネグマ……。
 そのほか、現在動物園で展示されている動物が、当時は育成を模索中な場合もありました。コアラはユーカリがないと生きられない。しかし、コアラを生かすためには結構な広さの林がないと。
 東京にその地域を確保して(農家に依頼だったかな)、コアラは実際にその後展示可能な動物園が増えましたよね。
 単行本が出たのは昭和五十一年です。三十年以上を経て、絶滅が心配された動物たちはどうなっているでしょう。
 本には標本しか残っていないフクロオオカミを、絶滅したかもしれないと書かれています。でも、それ以前に絶滅したと断言する資料もありました。
 何種類か検索してみると、レッドリストに入っているものもあれば、だいぶ状態が改善された例もあるようです。
 この本の表紙を見た同僚からは、
「ウーパールーパーとか? エリマキトカゲ?」
 と言われましたが、それ「獣」じゃないですから。
「コアラとかパンダとかですねー」
 と言ったら、「珍獣」というイメージではないのではと。
 確かに、現在ならそういうタイトルにはなりませんよね。「絶滅危惧動物図鑑」あたりですかね。
 新潮文庫で440円だったそうです。
 最後に、最近気に入っている動物園まんがを。山浦サク「けものみち」です。小さな動物園の新米飼育係晴子の奮闘ぶりがとてもおもしろい。今回は獣医になりたいと思う女の子と反対する母親の話がよかった。おすすめです。

「365日 今日はこんな日」

2014-01-20 05:56:35 | 歴史・地理・伝記
 この本は二回借りました。
 「365日 今日はこんな日」(講談社)。
 図書室で毎日の出来事を紹介する活動をしている学校が意外と多いので、わたしもやってみよう! と、まずは12月から始めたのです。誕生花、歴史的な出来事、記念日、著名人の生没を紹介し、関連する図書を一冊あげてA4版にまとめる。花はカット集コピー(時々「とげ」とか「わら」とか「野の花」とかあって驚きます)、出来事などはネットを利用するのですが、あまりにもたくさんありすぎて本の紹介ができない日がある一方、「遠山の金さんの日」「阪神タイガースの日」「パチンコの日」のような一体どんな本をすすめればいいのか、戸惑う日もあるのです。
 その日って、他に何かないの? という補足のために借りたのですが、こういうものをいろいろあたって、気がつきました。
 出来事って、旧暦をそのまま採用しているものと、わざわざ新暦に直してある資料が、あるのですよね。ある本には3月に「芭蕉がおくのほそ道の旅に出る」(「弥生も末の七日」と書いてあるから)とあって、他の本には4月に、「芭蕉が旅に出た日にちなんで~の日とした」(すみません、~は、忘れました)とある。
 落合直文の忌日が書けなかったから(12月はもう作ってしまった)、生誕をと思ってたら、実は新暦に直すと全く同じ日なのでした。ああ……。
 図書室にどんな本があるのか、調査してみるいい基準になると思います。「タイタニック沈没」は「世界が驚いた10の出来事」、新渡戸稲蔵は「知ってるつもり?!」シリーズにありました。(稲蔵は「国際結婚の日」で紹介しています)
 でも、抜き出してみると、本校図書室、ラインナップが古い。いや、わかってはいたことですけど。比較的新しくてもカバーがない(整備を外部委託した時期が長い)。テーブルに並べてみると寂しい感じがします。わたしの私物も混ぜて展示していますが、まあ、本棚にさしてあるよりは手にとりやすそうなので、このままがんばろうと思いますが。
 で、昨今の出版事情もなんとなく心配になってきました。
 アンデルセンをはじめとする古典的な名作、古いものしかないような。
 わたしは「パンを踏んだ娘」が非常に好きだったんです。子どもたちはあんまり触れる機会がないみたいですね。授業をしていても、一般的に知られているはずのものを聞いたことがないという子が増えています。「親指姫」知らないと言われて、ショックでした……。
 それから、4月23日はいわゆる「サン・ジョルディの日」ですが、スペインではセルバンテスの忌日だから「本の日」に指定されているらしいのです。
 「ドン・キホーテ」はなかったけど、「セルバンテス」の伝記がありました。どうやら、死因は糖尿病らしい。当時としては原因不明。で、亡くなったのは4月22日。23日は誤りであると書かれていましたよ!
 この本のおかげで、ディズニーランド開園とか上野にパンダが来たとか、杉浦日向子の誕生日とか、いろいろ書き加えることができました。
 でも、やっぱり、トピックのない日はあるものです。「阪神タイガースの日」に、何を書けばいいのでしょう。とりあえず、野球だったら原監督の本や木村選手の奥さんの本があるんですが。このほかにも、プロ野球が始まった日とか、長嶋のデビューの日とか王&野村引退(同じ日です)とか、野球関連たくさんあるんですが。
 「高校野球あるある」を買いましょうか……。

「ハルさん」藤野恵美

2014-01-19 07:06:53 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 「失敗屋ファザー」の次に読んだのは、藤野恵美「ハルさん」(創元文庫)です。
 同じシチュエーションなので、時々ごちゃごちゃになるかも。この本は返却してしまったので、記憶だけで書くけど間違ったらすみません。
 ハルさん、というのは主人公の男性です。四十代の人形作家。ミシンでお人形のドレスを縫ったり、娘にホームズみたいな服を作ってあげたりできます。本来なら西洋的なドールに、日本風なアレンジを加えたり、同じ型で限定のシリーズ作品を作ったり。新聞にインタビューが載るうえ、熱心なコレクターもいます。
 でも、この人が、非常に便りない。
 奥さんを亡くして、男手ひとつで娘を育てなければならないのに、母親たちの会話に混じるのは苦手。実の姉からの電話にも、対応は娘まかせ。さらに、幼稚園児のその娘風里(ふうちゃん)からも「ハルさん」と呼ばれています。
 さすがに中学生になってからは「お父さん」でしたけどね。
 このふうちゃんの成長を思い出していく連作短編です。ふうちゃんは、大学を卒業するやいなや結婚すると言い出し、相手は海外で働いているので、式の当日までハルさんとは会えません。ちょっと不安だけど、ふうちゃんの選んだ人だから、と奥さん(瑠璃子さん)のお墓参りに行きます。
 瑠璃子さんは、ふうちゃんのことでハルさんが悩んでいると、心の中に話しかけてくれるのです。そのおかげで、なくなった卵焼きのことも、はがれたふうちゃんのポスターも、人形を溺愛する婦人のことについても、解決することができました。
 どうしてふうちゃんは、彼を選んだのか。その運命の出会いが微笑ましいですよ。男親にとって、娘は特別なんだな、と思わせられました。ふうちゃんは、かなり行動力のある人です。おじいさんの花壇の花事件、結構考えてしまいました。自分のいるべき場所で、咲く花。そうですよね。
 でも、二冊続けて読むと、「あれ? 瑠璃子さんてクラリネット奏者だっけ?」なんて思うことがちょっとあって、我ながら苦笑してしまいます。

「失敗屋ファザー」樋口卓治

2014-01-18 10:56:52 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 父、細野一郎。職業は「失敗屋」。
 娘、清江。高校生。クラリネット奏者になりたいらしい。亡くなったお母さんの聡美は、やはりプロのクラリネット奏者でした。
 失敗屋って、なに? しかも冒頭はこうですよ。
「俺、お父さん検定を受けることにしたんだ」
 そんな検定あるの? でも、世の中には「お好み焼き検定」や「妖怪検定」「くらげ検定」もあるらしいし……。
 いつも見返しにはその本の帯を貼ってくれるI図書館なのに、今回はそれもなし。ただ新着図書コーナーに置いてあるだけなのです。
 樋口卓治「失敗屋ファザー」(講談社)。筆者はバラエティー番組中心に活動する放送作家の方のようです。
 そのためか、非常にテレビ的です。様々なエピソードを重ねて、一郎の能力を際だたせている。
 どんな能力か。そう、失敗の能力、なのです。
 パートさんと店長が合わない。有名パティシエの支店なのに、売れ行きはさっぱり。敏腕編集長の後任を決めてほしい。
 こんな依頼を鮮やかな失敗(!)で解決してしまうのです。
 もともと一郎は仕事上の失敗が多かったのですが、そのミスの穴を埋めようと社員たちが一致団結することに気づいた社長が、人材派遣の失敗屋を思いついたのだとか。
 敏腕編集長というのは、亡くなった妻の母親なんです。その頃、清江がクラリネットを学ぶために留学したいと言い出し、一緒に海外に行くつもりで仕事を引退するのかと気がかりになる一郎なのでした。
 そして、とうとう「お父さん検定」の当日。
 実はこの検定を思いついたのは……。
 まあ、序盤から想像はついていたので、筋としてはスタンダードですね。この作品がおもしろいのは、「豆知識」です。
 おいしいロールキャベツ。挽き肉だけでなく、煮込んだ肉も混ぜる。鶏がベースのトマトソースで、隠し味に味噌。
 内臓脂肪は夜食べるものが原因。空腹は、内臓脂肪が燃えている証拠。カラダが欲している栄養なら食べても大丈夫。
 こまめな水分補給で血液の流通を。炭水化物と油物を一緒にとると太る。食器洗いで落ちない油は、カラダにも蓄積しやすい。
 バターを、横に三等分、側面を三等分、縦に五等分すると十グラムずつに分けられる。
 インクに粘土が入ると、消しゴムで消せる。
 ホットプレートで餃子の皮を使ったピザが作れる。わたしはオーブントースターでやっていましたが、たしかにこの方が一気に作れますね。
 実はそのあとにもうひとつ、秘密が明らかになります。 
 読者としてはいいお父さんの側面しか見ていないので、それ以前がどうだったのか気になります。