くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「縁結びカツサンド」

2023-10-23 08:31:16 | 文芸・エンターテイメント
えー、コテン、いい! お店に行きたい! 特に食べたいのは、楽描きカレーパン。普段の私はカレーパン買わないんですけど、これは食べてみたい。うずらの卵入ってるやつ。
ドーナツもコルネも、もちろんカツサンドもたいへんおいしそうです。
コーヒー淹れてもらって、お店で食べたい。

うらら商店街を歩いている気分になりますし、常連さんとも仲良くなれそう。
花ちゃん一家が素敵だし、愛ちゃんは応援したくなる。
自信がないまま店に出るようになったパン屋の三代目和久の成長を描く連作。
登場人物たちのその後が出てくるのも嬉しい。

「あなたはここにいなくても」

2023-10-17 19:00:03 | 文芸・エンターテイメント
記録と記憶について考えさせられた。
離職とともに写真を焼いてしまう人。ホスピスに入る前に断捨離を決行する人。
「捨てる」ことだけではない、彼女たちなりの思いのつなぎ方。
渋皮煮を作る人も、旦那さんにリクエストする人も、気持ちは同じ。
物として残すこと、誰かの気持ちを後押しするために動くこと。
その人を喪って、改めて気づくこと……。
どうしてもいつか訪れる、いとしき人との別れを考えると、私たちは時と思いとを大切にしなくてはならないと感じました

「ラブカは静かに弓を持つ」

2023-10-02 07:45:46 | 文芸・エンターテイメント
作品を重低音のように流れる、チェロの調べ。

ある事件のあとに、チェロに触れることができなくなった橘は、著作権をめぐる調査のためにミカサ音楽教室に通うことに。
次第に講師の浅葉や、受講生たちと親しさを増していく。しかし、リミットはどんどん近づいてきて……

「信じる」ことを考えさせる美しい物語。自分に頓着しない橘が、チェロへの思いを高めていく姿に心引かれます。
ヨー・ヨー・マのCDを引っ張り出して、時間をかけてまた読みたいと思わされる一冊でした。
「戦慄きのラブカ」、検索しちゃいましたよ! どんな曲なのか、聞いてみたい。

「2.43」next4years

2023-09-06 22:03:48 | 文芸・エンターテイメント
ああ、連載から読んでいてよかった!
破魔の初登場からしっかり読みました。どういう人物なのか把握してからの読み直しは、何ともいえない満足感。
更に、弓掛とのマッチアップなんかあると、もうざわつきます。二人ともお互いにリスペクトしているのよ。
大学No.1のMB破魔が、弓掛を「大学ナンバーワン・サイド」って言うのよ。これ、Webで読んだときもじわっときたけど、今回も揺さぶられた!

そして、読むうちに壁井先生のとんでもない技術に驚嘆です。
リアルな試合描写の間に挟まれる回想シーン。カットバックの的確さもそうだけど、試合の中には過去のリーグの場面が入り込んだりすることもあって、これがごちゃごちゃにならないのはすごすぎ!
しかも、フェイクセット入るし、アナリストのお仕事入るし、戦術の面白さががんがん伝わってきて、本当に、目前でバレーが展開する。

私の見ていた大学リーグは、もう三十年以上前のものなんだけど、当時のことをありありと思い出すし、今は配信で見ているので今回のリーグも見たくてたまらない。
部旗とかラインズの1年生とか、ギャラリーの応援とか学連の皆さんとかあああ楽しいなあ。

配信的に考えると欅舎のこの展開は、ファンには衝撃ですよね。
だって、それまでも4年生中心に全勝していたんだよ。八重洲とのゲームで劣勢だったところに、三村中心に自主練習していたメンバーと灰島と黒羽投入で、その後も主体になっちゃう。
絶対パンフレット開くよね。名前チェックするよね。(高校選抜から知ってる人もいるはず)
セカンドタッチをつなぐ場面は、必ずスパイクできる球にするって。灰島! かっこよすぎるだろ!

それから、弓掛と浅野のラインはもちろんだけど、三村と川島のラインが結構大きい。
腰を痛めていた2m選手川島を入学させたのは東武大学だけ。これは、唯一自分を取ってくれた欅舎と重なります。表には出さない彼の鬱屈は、三村統にはとてもよく分かる。
だから、彼がアンダーカテゴリのメンバーに選出されたことを思う姿には、内心の投影がある。(三村もその後報われるので!)
川島の選出で場所を奪われた弓掛と憤慨する浅野は、その対角線上にある感じ。Vリーグでは同じチームになってくれないかな、なんて思いました。

世代のトップセッター3人、浅野、山吹、灰島。全員景星で若槻監督の教えを受けているっていうのも、ぞくぞくするなあ。
それぞれ違うタイプですが、八重洲の正セッター早乙女と比較すると、センター中心の戦略的な試合構成を組み立てることが伝わってきます。
早乙女くんさぁ、せっかく破魔という日本代表MBいるのに、何で一定量使ったらオープンバレーに切り替えちゃうの? もったいないって!

〈Ⅰ〉のラストは山吹が飾りましたね。「春高編」からいちばんイメージが変わったのが彼です。
あっ、チカとユニの背番号も24、23なんだ!
これも「2.43」に絡めてあるのかしら。

「図書室のはこぶね」

2022-10-06 05:54:15 | 文芸・エンターテイメント
「図書室のはこぶね」名取佐和子

これは、今終わったばかりの物語。

百瀬さんは、友達の代理で図書委員の仕事に向かいます。
学校中が体育祭の準備で忙しいのに、バレーの練習中に怪我をして参加することができない。
そこで出会ったのが朔太朗くんと、十年前に貸し出されたはずの「飛ぶ教室」の文庫本。

主人公は、女バレのエース、178cm!
引退直前に骨折して、試合には出られず目前の体育祭も見学。
そんな彼女が訪れた図書室で、十年前に貸し出されたままの文庫本を発見してしまう。
誰が返却したのか?
挟まれたメモの意味は?
体育祭のダンスも絡んで謎は深まり…
バリバリ体育会系で、3年生なのに図書室の場所も知らない百瀬さん。
読むなら選手のエッセイか、バレーの教本かまんが、という彼女が読書に目覚めていくんです。
体育会系の言葉づかいがつい出てしまうのも面白かった。何しろ1ページめから「失礼しゃっす」(笑)
ニヤニヤしちゃいました🏐

謎解き、体育祭のダンス革命、十年前の図書委員たち。
司書の伊吹さんがまたたまりません。
年代的に彼女の立ち位置が分かる私ですが、高校生たちのきらめき(娘世代!)が本当に愛しかった。
「ヤギ」さんのサイドの物語も読みたいな、と思ってしまいました。
和己さんがいてよかった。

「素数とバレーボール」

2022-10-04 19:18:39 | 文芸・エンターテイメント
「素数とバレーボール」平岡陽明

41歳の誕生日を迎えた岸高バレー部員たちに届いた「ガンプ君」からのメッセージ。
5万年後にバレー部再結成の意味とは?

メータージャンパーの素人「ガンプ君」が加入しても、キャップとのトスが合わないってのがリアルで楽しかった。
仲間と再会したくなる小説です。

メンバーたちはそれぞれの人生で、迷い悩み、トラブルを抱えていて。
数学オリンピックで金メダルを取り、SJ1メートルの記録を持つものの、なかなか上達できない彼のエールが響く。

「念のためルールブックも入れておきました」「ルールを忘れているかもしれないのでね」
という会話を読んで。
いや、5万年後にはルールまた大幅に変わってると思う。()
と思ってしまう私だった。

「十の輪をくぐる」辻堂ゆめ

2021-03-07 07:55:26 | 文芸・エンターテイメント
バレーが出てくる小説と聞いて借りてきました。
想像以上にバレーだった!
ちゃんと春高の録画が遅れて放映されるのも、2016年の女子決勝が東京対戦なのも、リアリティある!
バレーはしょっちゅうルール変わるので、オポジットとかミドルブロッカーとか新しい名称になってるんだけど、主人公が五十代のバレー経験者だから昔のルールで見ていても違和感ない。(逆にバレーを知らない読者には現行の用語は難しいと思う)

東京五輪。
苦しい生活を続けてきた万津子は、かつて自分が熱中したバレーボールで「東洋の魔女」たちが優勝したことに感動します。
多動で感情の制限ができない息子が、バレーをするときはひたむきに取り組めると知り、故郷を捨てて東京へ。
その事実を知らない息子。会社では人間関係に悩み、家庭でも軋みを感じています。
だけど、奥さんがいい人なんですよー! 娘の萌も!

万津子は、不屈の努力に立ち向かう人になるべく、自分も「東洋の魔女」の一人だと思い定めます。「七人目」の魔女だと。
いや、東洋の魔女は登録メンバー十二人いるから、「十三人目」の方がよくない? と思わないでもないけど。
このあたりのことがちょっとした謎になっていて、面白く読みました。
「十の輪をくぐる」(小学館)。二回の東京五輪をたとえたタイトルなんですね。
オリンピック延期で、結構実施を見越した作品が「パラレルワールド」化してしまいましたが……。この作品は2020年の一月で終わっているので影響ないところも、成功していると思います。
春高優勝は東龍ですね。準優勝は古川学園。
オリンピック代表に選ばれる女子高生選手、登場してほしいなー。

1月中に読んだ本

2021-01-30 23:30:13 | 文芸・エンターテイメント
ちゃんと記録しておこうと決意したはずなのに、1月は一度も書かないでしまった……。
それなりに読んだのですよ?

集英社文庫「短編少女」
バレーボールという単語で検索したら、図書館にあったので。
三浦しをん、荻原浩、中島京子といったラインナップで、女の子たちの鋭角さとか脆さとか詰め込まれていました。
なんか、罪悪感みたいなものを抱えている主人公が多い印象。返却したので自信ないのですが。
バレーは、主人公の友人が長身のために部活に誘われていたという一行のために採用されたワードらしいです。よく登録されていたね……。
連作があるみたいなので、探してみます。

相沢沙呼「雨の降る日は学校に行かない」(集英社文庫)
保健室登校のナツとサエ。ある日、サエが教室に戻ると宣言したため、ナツはぎくしゃくしてしまい……。
ラストで、サエが教室でどれだけ我慢してきたかが明かされます。昼に牛乳を拭いた臭い雑巾を押し付けられ、そのバケツの水をかけられたり。
雨のベランダに机を動かされて、「ちょっと男子ー」とか同級生にわざとらしく言われたり。
他にも学校という空間で自分らしさを失っていく少女たちが描かれていて、どうにかならないものなのかと悔しくなってしまう。
サエの担任は「何こいつ……」と思うような嫌な奴ですが、自分にもこういう傾向があるのではないかと不安になってしまいますね……。
どうしても一面しか見えないこと、あると思うので。
でも、サエの支えになってくれた保健の長谷川先生ですら、解説のはるかぜちゃんにとってはまだ足りないらしい……。
難しいな。いじめた側を教室から出すべきという主張はわかるけど、うまく言えません。
相沢さんの本、もっと読みたくて、借りてきました。

大崎梢「もしかしてひょっとして」(光文社)
アンソロジーに収録された短編を集めたもの。巻頭は読んだことがありました。
次のは体育館部活のトラブルを解決しようとする生徒会役員の話。シリーズものにしても面白いと思います。
急に辞めてしまったお手伝いさんと都忘れの花を重ね合わせた作品もよかった。

あとはクイズの本とか。
まだあるような気がするので、一日考えてみます。

「教室に並んだ背表紙」相沢沙呼

2020-12-30 15:57:02 | 文芸・エンターテイメント
相沢沙呼さんだから、これはミステリかもです。でも、作中でも言われているような、血生臭くないミステリ。
「教室に並んだ背表紙」(集英社)、この「背表紙」は、生徒一人ひとりを一冊の本に見立てているのだと思います。
何か特別な能力や魅力があるわけではない、平凡な女の子たち。自分に対して自信が持てない彼女たちをの持つ繊細さとかきらめきとか、そういう美しさをすくいとってくれる物語です。
図書室の司書、しおり先生が、生徒に寄り添う姿にじんわりと胸があつくなりました。涙のあたたかさや、自分を肯定していいのだというメッセージに、読者も一緒に癒されていくと思います。

それぞれの物語をつなぐパーツとして、三崎衿子への集団によるいじめが語られます。
ふとした言葉がもとになって、クラスから浮いてしまった彼女を救おうとする級友はおらず、いじめはどんどんエスカレートしていくのです。

それでも、集団の意志に逆らい、三崎を助けようとする少女たちは現れます。
彼女たちは悩んでいます。自分が「主人公」だとはとても思えないタイプだから。
だけど、本を読むこととか、涙を流すこと、大人になることの意義を、彼女たちは実感していきます。
そして、おそらく、ハム子先生が言うように「あの頃の自分からすれば、考えもしなかった自分になっている」ことにやがて気づくのでしょう。
この学校の図書室は、シェルターみたいだなと思いました。
大人として女生徒たちと過ごすしおり先生は、彼女たちの中に過去の自分と共通しているものを持っているように感じます。
本を通じて、彼女たちが安息を得られるのは、ホッとしますね。

しかし、相沢さん、「medium」とはずいぶん世界観が違いますよね。どこかで足元をすくわれたらどうしようかと、心のどこかで思ってました(笑)。

「2.43」Web

2020-12-15 00:03:17 | 文芸・エンターテイメント
こんにちは。千です。
垣花実樹さんのアドベントカレンダー企画に参加します。Twitterだと文字数に制限があるので、このブログに間借りすることにしました。

バレーボールについてなんでも、というテーマなので、今日は大好きな「2.43」の話を。現在集英社レンザブローでWeb連載されている「next 4 years」です。(2020年12月11日更新までを参考にしています。データミスあったらすみません)

既刊「春高編」では高校一年だった黒羽と灰島が、関東一部大学リーグにデビューします!
二人が所属するのは欅舎大学。かの「悪魔のバズーカ」三村統も在籍していて、これからぐんぐん強くなりそう!
現在出ているチームデータは、こんな感じ。

⚪欅舎大学
監督 星名
マネ 久保塚
アナリスト 染谷
(4年セッター)
辻 健司 MB
池端   L
三村 統 WS(福蜂工 福井)
福田大輔 MB
柳楽純哉 OP(芦田学園 埼玉)
江口   L
黒羽祐仁 WS(清陰 福井)
灰島公誓 S(清陰→景星 東京)
*あとは「野間」、「コースケさん」なる人物と、2年に「タケト」がいるようです。ユニフォームはネイビーと白。

そして、高校から注目されてきた日本代表メンバー3人(通称「大魔人」)を含む強豪、唯一の国立が八重洲。ユニフォームは鉄黒。
福蜂工のマネだった越智がアナリストとして加わっています。

⚪八重洲大学
監督 堅持 勲
マネ 裕木
アナリスト 越智光臣(福蜂工 福井)
太明倫也 L(橋田 愛知) 主将
破魔清央 MB(北辰 長野)
大苑  OP(〃)
神馬  WS(〃)
孫   MB
早乙女 S
浅野直澄 WS(景星学園 東京)

それから、弓掛を擁する慧明。名門高からかなりメンバーが入っています。佐々尾広基は卒業して地元福岡のクラブチームに。

⚪慧明大学
弓掛篤志 OP(箕宿 福岡)
山吹誠次郎 S(景星 東京)
荒川亜嵐 WS(〃)
佐藤豊多可 L(〃)
ポロシャツはターコイズブルー。弓掛がコートキャプテンです!

それから、名前が出ている大学とお馴染みのメンバーとしては、

⚪東武大学
川島賢峻 OP(鹿角山 北海道)
⚪秋葉大学
棺野秋人 WS(清陰 福井)
⚪大智大学
大隈俊介 MB(清陰 福井)
⚪臨海国際大学
高野潤五 MB(福蜂工 福井)
⚪横浜体育大学
⚪楠見大学
⚪智修館大学

があげられています。関東一部の所属は12チームなので、あと2校出てくるのでしょうか。

欅舎は三村中心の若いチームとしてリーグで躍動。八重洲のアナリストとして、越智がその経歴を語るあたり、嬉しくてぞくぞくしました。
だって、膝に爆弾を抱えていた三村が、三村統がコートに出ているんですよ! 灰島と黒羽も一緒なんですよーっ。

第二部になって、ライバルの八重洲の四年生が結束を固めたエピソードや、アンダーカテゴリーの代表枠を川島に変更された弓掛の悔しさが描かれています。
様々な大学での群像劇的な展開になってきました。やっぱりチームスポーツは楽しいですね。
最近は、結構浅野がキーマンの気がする。自宅での様子とかファンサービスっぽくない?

今ちょっと「春高編」を見直していて気づいたんですが、川島は「全中とJOCで優勝している」んだそうです。
ってーことは、この年北海道が全国制覇したんですよ! 北海道バレーが好きな私としては、嬉しい限り。

「next 4 years」ですから、高校の次の四年(大学)ということだと解釈しています! ライバルたちと切磋琢磨するユニチカが更に成長していくのが楽しみでなりません。



今日はありがとうございました。