くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「蜂蜜と遠雷」恩田陸

2017-07-18 04:53:06 | 文芸・エンターテイメント
 話題の一冊。
 直木賞と本屋大賞のダブル受賞にして、ネットでも好評とあって、手にできるのはずっと先だと思っていました。
 図書館で借りてからも一週間くらい車に積んだまま……。
 でも! 読み始めたら一気! なんです。おすすめします。わたしは久しぶりにピアノのアルバムをカーステレオにかけました。読んだあとに、何かしたくなる本の存在は大きいです。
 恩田陸「蜂蜜と遠雷」(幻冬舎)。
 芳ヶ江という地方都市で開催される国際ピアノコンクールの様子を描いた群像劇です。やっぱり恩田さんの青春群像はいいなあ、と。なんとなく、「チョコレートコスモス」を思い出しました。

 コンクールのパリ予選。現れた高校くらいの少年をめぐって審査は紛糾します。二人の審査員が絶賛。もう一人は大反対。
 著名なピアニストの推薦状を持ってやってきた、その少年は風間塵。父は養蜂家であり、本人は自分のピアノを持っていません。
 今は亡くなった師匠が、わざわざ出向いて教えていたらしいと聞いて弟子たちは色めき立ちます。
 彼を「ギフト」と捉えるか「災厄」とするか……。
 型破りな塵と競うことで変化していくのは、元天才少女・栄伝亜夜。さらに彼女と縁があったラテン系のマサル・カルロス・レヴィ・アナトール。
 マサルが亜夜と再会を果たすところ、涙が出ました。わたしは、二人が幼いころに通ったピアノ教室の綿貫先生が好き。
 また、最年長クラスだけどコンクールに挑戦する高島明石の造形もとてもいい。菱沼賞は彼だろうと思ってはいましたが、結構忘れたころに発表があって、ここでも泣かされました。
 どの曲も聞いてみたい。映像化は難しいかもしれませんが、物語に合わせて実際に流れているのを見たいなと思いました。
 ダブル受賞納得です。

「だがしょ屋ペーパーバック物語」竹内真

2017-07-16 22:08:24 | 文芸・エンターテイメント
 書店の新刊棚で発見。わたしにしては珍しくすぐ読みました。
 竹内真「だがしょ屋ペーパーバック物語」(だいわ文庫)。
 駄菓子屋で古書店でもあることから、「だがしょ屋」。文庫専門で、その人に合う本をすすめてくれることもあるし、まだふさわしくないと売ってくれないこともある。
 この店の主がヤマトさん。トラック運転手と喧嘩すれば、地域の人が助けようとしてくれ、その運転手に「赤毛のアン」をすすめ、彼は気に入って顎ヒゲを赤く染めてしまうような人。
 脚本家を目指しているはずなのに、なかなか実作に入らない祥介と、恋人の鈴(舞台女優)は、このだがしょ屋の常連になります。
 部屋に幽霊が出ると怯えた鈴にその謎を解いてみせたり、亡くなった旦那さんとある人との思い出を祥介たちが探ったり、交流が深まっていきます。
 ヤマトさんは「燃えよペン」をサラリーマンに紹介することもある吹っ飛んだ人。ラストにブックリストがついていますが、わたし自身は余り好きなジャンルではないような気がしました。すみません、「男はつらいよ」も「スターウォーズ」も見ていません。「桜の園」は雑誌連載で読んで、単行本も持っていたはずだけど……なぜか思い出すのは「吉祥天女」でした……。
 駄菓子は、幼少期はよく買いましたね。今は「はっか糖」一筋です。ほとんど砂糖だから身体にはよくないのでしょうけどね。

「かつおぶし」

2017-07-14 21:12:14 | 工業・家庭
 小泉健夫先生の「鰹節」を要約してレポートを書くという課題を設定。ラストに伝統的な日本文化や鰹節を使った料理の調査を入れて仕上げることにしたのですが……。
 余りにも盛り込み過ぎて生徒は苦労したようです。要約の時間と調査活動を分ければよかったのかもしれません。
 とりあえず、本文を読む前に絵本を使ってブックトーク。
「かつおぶしができるまで」(岩崎書店)。静岡の工房での製法技術を写真でまとめた一冊です。
 釣ってきたカツオは凍っているので、まず解凍から。いぶす作業では、手でカツオを返していくとあって、あついだろうなあと思いました。仕事場の空気も、作業する手も。
 かつおぶし菌はボトルで売っているのですね。かびづけが必要なのはかつおぶしだけだそうです。
 この本を読んでからだと、図説から本文に入るのが非常にスムーズです。
 生徒は言葉を知らない物質をイメージできないので、写真で見せてしまう。普段、自分の生活には鰹節そのものがないので、実物の鰹節(五年前に同僚が購入)を触ったり、ぬいぐるみ模型「カツオ解体くん」(「にんべん」で販売しています。同じく同僚が購入。今検索したら、五千円くらいしました)を使って立体的に理解するのもいいようです。

 ちなみにカツオ解体くんは「だし生活はじめました」という本でも紹介されていました。