くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「りんごは赤じゃない」山本美芽

2009-06-30 05:32:37 | 社会科学・教育
美術の先生って、大別すると「芸術家タイプ」と「デザイナータイプ」になると思うのです。
この本の太田先生はクリエーターかな。子供のものの見方を育てていく、それは感性を磨くことなのではないでしょうか。
山本美芽「りんごは赤じゃない 正しいプライドの育て方」(新潮社)。美術教師・太田恵美子の教育について描かれたルポルタージュです。
中学に入学した一年生に、太田先生は「先入観がいかに間違ったものであるか」を自覚させます。草、月、太陽、星。誰もが同じ「形」に書いてしまう。つまり、記号を書いているわけです。その中から本当の形、「記号が中に封印されてしまった本質」に気づかせなくてはならない。
本当の草の形をスケッチし、発泡スチロールで野菜のレプリカを作る。生徒たちはその作業を通して、ものの本当の色や形を観察し、再現しようとするのです。そう、「りんごは赤じゃない」。
この学習に続けて、太田先生は「調査研究」という作業を繰り返し行います。テーマは、「環境問題」「全天候型・携帯便利な二十一世紀の夢の自転車」「自分が目標とする偉人」など、発達段階に応じて用意されます。
統一テーマとしては、「ネイチャードリームビジョン」、「ワールドドリームビジョン」、「ヒューマンドリームビジョン」と続きます。
その学習を通して、「私自身の生活・進路・生き方に」その課題を「どう生かすのか」。
図書室で資料を探す時間は5分。あとは自分の「選んだ」テーマについてひたすら調べる。地域の図書館に足を運んだりインターネットで調べてきたり、ときにはインタビューや質問紙による調査をする子も。
スケッチブックに細かく記入された調査結果は、最終的には作品として結実します。

すばらしい。ぐいぐい引き付けられて一気に読みました。ただし……第十章まで。
すみません、わたしの個人的な感想として、十一章と十二章はなくてもいいんじゃないかと思うのですよ。このあたりでせっかくのカリスマ性を壊している気がします。
いや、このカリスマ性も、太田先生が努力して培ったものだということはわかりますよ。でも、職員室内での理解が得られないということをこれほど書く必要はないのではないでしょうか。筆者の山本さんは取材のためにこの中学校に二年も通っているのですよね。その間に、管理職やほかの教員との接点がなかったはずはないと思います。(取材許可も必要ですしね)
それなのに、太田先生に対してほとんどの教員は協力的ではないということが書かれていたら、同僚として嫌な感じがすると思うの。それともそう書かずにはいられないほど、太田先生の立場は悪かったのですか?
評価のことについても。数字だけで評価できるものではない、ということはよくわかります。「いい子ね」という太田先生のことばがけもひとつの「評価」です。
ただ、テスト不要論に関して気になるのです。そりゃ、美術をペーパーテストで評価することは難しいです。でも、評価対象はテストだけではないことを、中学校に勤めたことのある山本さんなら知っているはずだと思うのですが。
「ペーパーテストのかわりに全校生徒五百人以上、全員の作品とスケッチブックを、自分の目で見ていくのだ」
「こうした評価方法をするには、テストをおこなって点数を順番に並べるよりも、数十倍の時間が必要になる」
こういう書き方に、疑問を感じるのです。作品に目を通して評価することを、ほかの教員が怠っているように聞こえるのは気のせいでしょうか。
でも、テストだけで作品を見ることもなく「評価」することはないはずだと思うのです。最近は、美術のテストを行わない学校も増えましたね。

疑問が残る場面をもう一つ。太田先生の息子さんが教師になりたいと考えたとき、「絶対にやめてほしい」と懇願し、教員免許をとることすら許さなかったということなのですが。
もしも生徒が、「太田先生みたいな先生になりたい!」と発表したとしたら、どうなるの? 応援してはくれないのですか?
気になることをちまちま書きましたけど、十章まではほんとうにおもしろく読んだので残念です。
あ、でも一読の価値はありだと思います! 太田先生の生徒に対する真摯な姿勢、学習習慣を身につけさせるための努力、心にしみますよ。
図書室活用のアイディアとしても、楽しめました。

「台所育児 一歳から包丁を」坂本廣子

2009-06-29 05:12:54 | 工業・家庭
子供が二歳くらいのとき、友人が貸してくれた本。坂本廣子「台所育児 一歳から包丁を」。
坂本さんは子供むけの料理本をたくさん書いているよね。友人はこの主張に共感して、娘さんに台所仕事をやらせているそう。人参を削ってサラダにしたり、卵を割ったりするんだって。
でも確かに! これを読んだら卵を割らせたくなるわー。
「まわりの人に非常にいやな思いをさせるようなわがままを聞いてやったり、その子だけを特別扱いして当然のようにしているのは、いますぐやめなければならない『手』なのです。(略) 昨日はいったけど今日はいわない、では子どもになめられてしまいます」
というあたりに感心。
後半は、一緒に作れるレシピブック。書き写しましたとも。
わたしもこれに感化されて、卵を割るのとガスの点火・消火、フライの衣つけ、レタスの水きりくらいはさせておるのですが、包丁まではなかなか。子供用のものも買ったんですけどね。
そういえば、よく一緒にホットケーキを焼いたものなのに、最近していません。心を入れ替えて、もう少し頑張ります。

「田宮模型の仕事」田宮俊作

2009-06-28 05:40:33 | 工業・家庭
育児日記を大量に発見しました。ルーズリーフ四五百枚。育児といいつつ、読書日記と化しているので、そのなかから何点か書いてみます。

ではまず、田宮俊作「田宮模型の仕事」(文春文庫)です。
当時読んだいしいひさいちや川原泉のブックガイドに取り上げられていたのですね。
プラモデル好きの人が読んだらさらに楽しいんじゃないかと。何しろ社長の行動力、半端じゃない!
戦車の資料がほしい、ポルシェの構造を知りたい、そう思うとやもたてもたまらず、当時ソ連では非公開だった戦車が終戦の地テルアビブに残っていると聞けば飛んで行く、自分でポルシェを買い、社員一同で分解する。……す、すごい。
早速夫の本棚の上を眺めてみると、タミヤのニスやボンドがあり、押入にはタミヤのレーシングカーキットの箱が。
わたしは毛筋ほどもプラモデルに興味ないのですが、たいへんおもしろく読みました。
巻末には、海外代理店社長が見た著者の人となりが紹介されていて、別の角度から見られるのもおもしろいです。
でもこの項、誰が訳したのからわかりませんが、「たまげました」という表現があってそれこそたまげたわたしです。

続編は、「伝説のプラモ屋 田宮模型をつくった人々」(文春文庫)。……まだ読んでいません。買ってはあるのですが……。なんとか今年中には。

「上野動物園サル山物語」川口幸男

2009-06-27 06:09:02 | 自然科学
「インディラとともに」の川口幸男さんの本をまた見つけました。「上野動物園サル山物語」(大日本図書)です。
川口さんはゾウの他にサルの飼育係もしていたそうで、サル山の様々な生活が紹介されています。
サルの世界もいろいろあるんですねー。
ボスとメスガシラという役割について紹介してありましたが、こういう優位に立つサルは、自然界にはいないんですって。
えぇっ! と思っていると、伊澤紘生先生がニホンザルの観察をした結果、野性のサルには「食べ物を優先して得られる」「山の高いところから集団を見ている」というような行動は見られなかったそうです。
食べ物は見つけたサルのもの。強いサルが力づくで奪おうとしても、山の中なら逃げきることができるのです。
さらに、サル山のてっぺんは彼らにとって、お客さんの目を引くにはよいポジションというなのであって、べつに集団の安定を見守っている訳ではないんですって。
だから、現在動物園では「ボス」という呼称をやめて、「第一位のオス」と呼んでいるそうです。メスガシラについても同じ。
サルの世界は母系が強いという話がおもしろかったです。代々メスガシラに君臨している家系があって、気の強い娘が後押ししている。世代交代のときにはこの娘が後継者になるのです。中には、メスながらボスの位置にあったサルもいたそうです。
その一匹、モモコのことが印象に残ります。ボスだった彼女が体調を崩したために入院すると、サル山では新しいボスがたつことになります。モモコが帰ってきたときには、もう集団のバランスがすっかりかわっていて、彼女ははじかれてしまったそうです。

サルの名前のつけかたも、おもしろいですよ。母親の名前から一文字もらう、そして同じ年に生まれたサルには特定の共通事項を設けるそうです。
例えばクララというサルの子供は、ライトブルーと名づけられました。この年の共通事項は「色」です。「お菓子」(バームクーヘン)「植物」(クララ)「川」(イワラジ)、「果物」(イヨカン)「薬」(チンクユ)などなど、おもしろい名前がいっぱいでした。
サルの観察の仕方など、今度動物園に行ったらサル山の見方が変わるかも、と思うようなエピソードもいっぱいです。

「幸福ロケット」山本幸久

2009-06-26 05:49:47 | YA・児童書
どうしてふたりは小学生なのだろう。でもそれが初恋なのだよね……。
五年生の香な子は、隣の席の小森(通称コーモリ)と仲良し。様々な事件があり、ライバルも登場して、二人は結びつきを強くしていきます。
「幸福ロケット」山本幸久(ポプラ社)です。
 山本さんの文章は自然で心地よいので、単行本でほとんど持っています。まだ読んでない本もあるけど……。
中でもこの作品はイチ押し。小中学生にはケータイ小説の破天荒な設定ではなく、こういう地に足のついた恋に憧れてほしい訳です。
先日、図書委員会で購入希望アンケートをとったところ、「ケータイ小説は買わないから」と事前に言い渡したのに、書いてきた子が何人かいて、「こういう恋がしてみたいから」なんて書いてあったので、呆れ返るわたしです。
噂によると、ふたまたかけられたりレイプされたり流産したり男が病気で無菌室にいるのにキスしたりするんでしょ? 無菌室に入るの大変だよね。キスなんてもってのほか。絶対そういうことはしてはいかんと思うんだけど、そういう恋を本当にしたいの?
問い詰めたいけど無言で却下。

「幸福ロケット」はあちこちでひそかにオススメしているのですが、発売から三年経ってそろそろ文庫化しないかなーと期待しています。ポプラ文庫ができたことだし。
でも山本さん、文庫化するたびにボーナストラック入れるけど、単行本で買っている身としては辛いのです。今のところ我慢してますが、皆さん両方買ってらっしゃるのかしら。
この本だったら、文庫も買ってしまうかもしれません。

「レディ・ガンナーと虹色の羽」茅田砂胡

2009-06-25 05:47:06 | ファンタジー
「無色」と「白い羽」は違うのです。キャサリンが《南天極楽鳥》のミリアムにむかって言った言葉が、この物語を象徴していると思います。
《南天極楽鳥》は、異種人類の一種で、鳥族でありながら他の種族とは交わりを持たない人々です。きらびやかな翼をもち、羽の色が多彩で光沢があるほど美しいと考える。
で、どうもベラフォードの母親はこの種族の一員だったらしいのですね。しかも純血種。ベラフォードが幼いころに両親が亡くなったため、彼は自分の出自について知りません。
しかし、二十年に一度の降臨飛翔祭で「神代」の役を務める若者を探していた《南天極楽鳥》の村の男たちに連れていかれ、このしきたりを知ったことで、ベラフォードは自分と彼らとの価値観の違いを知ることになります。

茅田砂胡「レディ・ガンナーと虹色の羽」(角川スニーカー文庫)。やっと読みました。発売を知ったのが遅くて、急いで本屋に向かったのにそこにはなかった……。
「レディ・ガンナー」のシリーズは、差別とか価値観について考えさせてくれる、希有なシリーズです。今回も、異文化での考え方の相違が随所に描かれていました。
《南天極楽鳥》の世界では、十色の羽のいろが至高とされます。白や暗い羽は労働者階級として差別され、「雪雲」という蔑称もあります。住む場所すら異なるのです。
白い羽の親から多色の羽の子供が生まれると、引き離されて生活することになります。逆も然り。
ベラフォードの羽は誰よりも美麗だったようで、十の里の代表として神代に選ばれるのです。
彼としては、しぶしぶながらいつもの用心棒稼業の一環としてその役割を果たすことにします。でも、この飛翔祭、何やら胡散臭いというか、秘密がありそうなのですよ。
そしていつもの仲間たちが集い、様々のことがあきらかになっていくのですが……。

この話は、ライガスさんの物語だと思います。親友を失い、自分たちの文化に疑問を持った彼は、無形種の名門大学に学び、級友からある伝説を語られました。それこそが自分たちのルーツであることを悟ったとき、飛翔祭になんらかのからくりがあることに気づきます。
卒業後、法律家として生きることもできたはずなのに、ライガスさんは《南天極楽鳥》の世界に戻ります。そこでは自分が「無色の羽」として差別されるのを知っていながら。
それからの十数年で、彼は地盤を固めたのだと思うのです。紫雲の里でも特別の存在になり、自分の生まれた東の村に少しずつ意識改革をはかり。
そんな彼の人生が、浮かび上がるのです。

あとは、個人的に賢者のモーガン様がとても素敵だと思いました。
三年ぶりの新作ということですが、九冊めはいつになるのでしょうね。

「燃えた指」佐野洋 その2

2009-06-24 05:09:20 | ミステリ・サスペンス・ホラー
さて、わたしがいちばんおもしろく読んだのは「誘拐恩人」という話です。でも、ここで再び詩乃に疑問を感じるのです。前の週にあった誘拐事件について全く知らない。新聞を読まなかったからだ、と彼女は主張するのですが。
さらには、この人、「タケウマ」すら知らないというのです! でも「チクバの友」は知っているというの! 佐野さんっ、こんな人が仮にも高校国語教師でいいんですか? わたし、唖然としてしまいます。
「誘拐恩人」に戻します。ゲストのおじいさんがある新聞記者の話をします。中国の農村部に、学校に通いたくとも経済的理由で通えない少女がいる。小学校の校門の前に佇む少女は、同年配のこどもたちが出てくるのをじっと見つめている……。そのことについて、部員のみんなはどう思うか。
「新聞記者だったら、その少女の置かれている状況を、くわしく調べて、それを記事にして社会に訴える。それが、仕事でもあり、義務だと思いますが……」
と答えた三年生の持田さんにたいして、「模範解答」と言うゲスト。で、自分はというと、実力で少女を連れ出して都市部まで連れていくことを考えたというのです。
ふーぅ。ここでわたしが思い出したのは、ケビン・カーターが撮ったエチオピアの飢餓の写真です。痩せ細った少女が力尽きてうずくまる。背後には死肉を狙うハゲワシが……。
この写真がピュリッツァー賞を撮ったとき、「少女を助けるべきだった」という論争が起こり、結局カーターを自殺に追い込んだというものです。
ジャーナリズムが全てに優先するとは思いませんが、やり切れない。
おじいさん、その記者が少女一人を救っても、第二第三の少女はいるのではありませんか。

後半、性的な面が廃除され、昭和を生きた人々のことがクローズアップします。持田さんの卒業付近に、このシリーズの断層があるように感じました。
談話会の内容はコピー印刷されて好評のようです。たくさんのお年寄りが褒めてくれるのを見て、わたし、なんだか不安になりました。
会の話題ってそんなに感心される内容でしたかね。外部の目も意識してそれなりの編集をするのでしょうが。
はっ、わたしがこの会のことを知るのはもっぱら詩乃の目を通してのことです。とすると、会そのものではなく、詩乃に問題があるのでは?
ラスト、またもや驚きです。妊娠した詩乃は、なぜか持田さんに、自分の産休中顧問を誰にしたらよいのか相談するのです! 教え子に依存してはいかん!
「それは在校生に聞いて下さい。あたしは、大学が忙しくなるし、退会するつもりです」
と答える持田さん。
普通は卒業するとき退会しますよね。
そういえば、持田さんについても、「気がつく生徒だった」と書いてあるけど、理由は道の真ん中で立ち話をしていては通行の邪魔になるから。でも、彼女、詩乃の「上着の袖をひっぱ」ってそれを示すのです。人の袖を引っ張るのは無礼ではないかと思うのですが。
そのほかにもツッコミどころ満載。幼稚園の男の先生に肩車された女の子は、「その先生が特別に好きになり、その結果年上の男性にしか興味が持てなくなったら困る」なんて説が披露されたり。それに、表題作「燃えた指」。べつに燃えていないよね……。戦火の比喩なのでしょうか。
「この作品そのものがミステリー」ともいえる、ものすごい本でした……。

「燃えた指」佐野洋 その1

2009-06-23 05:06:34 | ミステリ・サスペンス・ホラー
ううう……。
佐野洋「燃えた指」(徳間文庫)。「いまどきの若者にとっては『昭和』という時代そのものがミステリー」 という惹句に引かれて買ったのですが、これがまたなんと申しますか……。
佐野さんっ! こんな高校生、本当にいると思ってるんですか?
わたしは「推理日記」(講談社)の大ファンなのですが、佐野さんがこのエッセイで繰り返し書いているような硬派の作品ではないように思いました。
まず納得できないのは発起人の一人、寺井真美です。学年で五指に入るレベルを保ち、数学のテストで満点をとり、国語の成績もよいという設定なのですが、あのー、どうしてセクシャルでショッキングな質問ばかりするのでしょう。
この会は、高校生がお年寄りに昔のことを聞きに行くという部活動なのです。部員には男子もいるのに、聞くなよそんなこと! と、わたしが顧問だったら後で説教したくなるようなことを平気で尋ねるのです。
さらに、顧問である国語教師の詩乃にも苛立ちを感じます。なんか、部活設立の目的からどんどんずれていくのですよ。それを軌道修正できずに(する気がないのでしょうか)、やがてはインタビューの骨子を製本して全校生徒に配布したいと考えているというのです。
でもこれ、配布できる内容じゃないような気が……。軍事教練を教える将校の奥さんと関係していたとか、知り合いの少年を家に呼んで氷水を飲ませたら姦通罪を疑われたとか、そういうのも書くの? 寺井のせいなのかどうなのか、どの話も帰着点までに性的なエピソードがからんでくるのです。勘弁してー。
詩乃だって、校長室を談話会の会場に借りるときに、同席したいと言われることを危惧している訳ですから、余り模範的な内容を語らっているのではないことを自覚しているのですよね。
でも、これまでのゲストにたいして、「何か一つの芯を持っている」と考えているようです。わたしはそうは思えないけど……。

(長くなったので続きます)

「純情闘争」藤田貴美

2009-06-22 05:16:09 | コミック
きゃー、なつかしー。実家で本棚探してみたらありました。藤田貴美「純情闘争」(フラワーコミックス)。デビューから三年の初期ラブストーリーです。全部雑誌掲載時に読みました。
最近、藤田さんの作品が文庫になっているそうで、読みたい話がたくさんあるなーと思い、探してみた訳です。
このコミックスの中では「神様ヘルプ!」と「目で殺せ」が好き。なにしろ学生のときに読んだものなので、印象も強いのです。
巻末のイメージイラストは、のちに「CAPTAIN RED」となる物語の骨子です。麗しい。これも読みたいなー。同時収録の「赤い群集」が藤田作品の最高傑作だとわたしは思っています。
「EXIT」の続きも気になって仕方ないのですが、結局どうなっているのか……。掲載誌なくなったんですよね?
藤田さんのデビューは高校生のときだったので、「衆目が顰蹙の目を向ける中、妊娠六ヶ月で卒業式を迎えるのが夢だった」というようなことを書いていたことが忘れられません。

「西の善き魔女」①② 荻原規子

2009-06-21 05:44:12 | ファンタジー
これも買ったのは四年前です。「薄紅天女」がおもしろかったので、古本屋で三冊買いました。
でもなかなか読む気になれず……。
当時、「樹上のゆりかご」にチャレンジするも、どうも合わなかったせいかと思うのですが。
とりあえず、やがて読む日がくるだろうと、残りの巻も揃えて、学級文庫に突っ込んでおいたのです。
そしたら、女の子たちが結構読むのですね。次の年にもう一度読みたいという子もいて。
転勤したとき倉庫に入れっぱなしだったものを、見つけたので持ってきました。
荻原規子「西の善き魔女」①②(Cノベルズ)。①が突然シンデレラのようになってしまった少女フィリエルが、陰謀渦巻く世界で動く活劇、②はなんでもあり「女子校」の世界でのあれこれ。うーん、③も楽しみです。
わたしとしては、②のほうがおもしろく読めました。途中で夕飯を作りにいくのがつらかった(笑)。①は、世界に入り込むのに時間がかかったからでしょうね。
ルーンの無愛想ながらフィリエルを思う気持ちがいいんです! アデイルのお嬢様ぶりも好きー。あっ、なんとなく「テンペスト」の真美那を思い出します。この破天荒さ!
編入したフィリエルが孤立したとき、解決方法として「水戸黄門」ふうの展開になるのかと思っていました……。
それにしても、わたしの持つ本をあらためて見て、挿絵が変わっていることに気づきました。わたしのは、①②桃川春日子、③④牛島慶子、⑤きがわ琳です。どこかで改版があったのかなー。
伏線がびっちりめぐらせてありますので、続き気になります。