くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「札幌・小樽 詳細便利地図」

2019-08-13 08:08:59 | 歴史・地理・伝記
 レンタカーで北海道、いいですね。
 移動に二時間とかそういうコースが多いので、電車だと結構待つような気がします。
 昨日は洞爺湖から230号線で札幌へ。
「この景色、家の近くと似てる」などと言いつつ、山道を越えてきました。途中、耳にしたことのある地名がよくあり、楽しかった。
 で、わたしは中学の修学旅行でこの辺に来ているのですが、中山峠で揚げいもを買わなかったことをずっと後悔していたのですね。同級生がほとんど食べていたのに、わたしと友人は買いそびれた。
「次あったら買おう」
 と言って、三十五年経ってしまったのですよ。
 道の駅でのポスターによると、一日四十万個売れるのだそうです。
 朝御飯食べ過ぎてお腹が重いのに、並んで買いました。一串に三つついているので、分けて食べたけど、美味しかったよー。マッシュしたいもを団子状にし、ホットケーキミックスにからめて揚げた感じです。

 札幌に近づくにつれ、コンビニが増えてくる感じがしました。(洞爺湖ではセイコーマート一軒しか見なかった)
 南区藤野では熊の目撃情報が報道されていました。
 しばらく行くと、「東海大学」の看板が! 
 ここを曲がると四高に行けるのねー!(学校名変更してますが、わたしの心にあるのは「東海大四」……)
 その昔、わたしは東海大学バレー部が好き過ぎて、神奈川の地図を持っていたほどですが、今回は「でっか字 札幌・小樽 詳細便利地図」(昭文社)を購入。
 飽きることなく眺めて、地名やら学校名やらをチェックしていました。
 
 この日は、まず円山動物園に。十一時くらいに着きました。シンリンオオカミとマレーグマが見たかったのです。
 入ってすぐにトラがいて、すごい迫力。
 近くで見られる展示が多いです。シマウマとかも。
 続いて、白い恋人パークに。新しい施設をすすめられましたが、一時間待ちなのでやめておきました。お昼まだだったし。
 ソフトクリーム、美味しかったですよー。
 時間があったので、もいわ山展望台に。(いかに南区に行きたいかが分かるチョイス)
 割引券を出し忘れましたが……。ケーブルカーはかなり早く山頂に着くし、プラネタリウムも良かったですよ。リクライニングが籐椅子で、心地よかった。
 夜景がいいと話題ですが、昼間の感じもわたしは素敵だと思います。

 夕食は駅ビルでお寿司。そのあと書店に行きました。

「札幌いいね!」

2019-01-28 20:13:56 | 歴史・地理・伝記
 昔書いた日記を読み始めたらはまってしまって、あれこれと懐かしいです。
 わたしは結構な記録魔でして、いろんなことを日記に書いていました。
 今回、読み返したくなったのは、最後に観戦した教員大会。三島市の東レ体育館を会場に行われたものです。
 そしたら、開始時刻15分前に、北海道教員クラブの会場はここではないと気づき、駅まで走ってタクシー飛ばしてやっと間に合ったのでした。
 会場入ってすぐにOさんが目に入ってきて、感激したものです。四番。ライトでばしばし打ってました。ブロックも三本くらい止めていて、格好よかった。
 翌日も二試合見たようですが、結果とかは書いてなかった。まあ、でも満足しています。
 で、YouTubeでなんと当時の春高決勝戦が見られるのですね!! 藤沢商業対東海大四。17回大会なので、Oさん出ています。(この次の年に彼は網膜剥離で出場できなかったのです)
 やっぱり格好いいのですよー。当時の四高は左利き三枚そろえたコンビバレーが特徴で、この日は彼がよく決めていた。全部見るのもったいなくて、ちょこちょこ見ています。
 ここまで書いたら何も仮名にする必要ないですね……。札幌大谷の監督緒方さんです。

 で、荒井宏明「札幌いいね!」(TOブックス)。
 数年前に流行したご当地あるある本の一冊です。
 緒方さん、今札幌に住んでいるんだなあ、と思ったら借りてしまった。
 いや、直接は関係ないんですけど、わたしは都市の空気感が好きなんです。中学の修学旅行も札幌だったし。
 
 「三浦雄一郎さんもすごいが、父の故・敬三さんは超人レベル」! タイムリーな話題ですね。確かに確かに。
「『虹と雪のバラード』がかかると、会話をやめて聴き入る」。わたし歌えますよ!(妹が音楽で習ってきた)
 「受験生は担任から雪まつり禁止令が出る」。インフルエンザ流行期だからだそうです。

 「実は『なまら』はほとんど使わない」。「意味すら使わない若者も出てきた」とあり、18回春高で優勝したとき、二年生の何人かが「なんまら嬉しい!」とバレー雑誌のインタビューに答えていたことを思い出しました。
 言葉の面ではわたしの住む東北と共通している部分も多いですね。
「『いずい』の標準語に相当するものが思い浮かばない」。わかるわかる!
「『あめる』『ねっぱる』を使えてこそ北国育ち」。使いますー。ただ、「ねっぱる」は岩手では使わないみたいです。「『動詞+さる、さらない』を会話に混ぜる。例:このペン書かさらない」は岩手では普通。宮城と数キロしか違わないのに。
「本州からの転校生は放課後の『したっけ』で返答に詰まる」「『バイバイ』の意味もあるのよ」と書いてありました。本文には「『そうしたら』という接続詞としても使われる」とあります。
 昔、南由紀夫さんが対談で使ってたよ「したっけ」!
 由紀夫さん、今盛岡誠桜で指導されているとのことなので、岩手の図書館で地元スポーツ雑誌「standard」のバックナンバー見てきました。名前しかなかったけど、満足です。月刊バレーの春高特集も見てきました。緒方さんの指導歴「24年」にしみじみ……。
 
 「元スキーモーグルの里谷多英。ふたつ目のメダルも感激だった」には、ちょっと複雑な思いが……。
 里谷さんの四高時代の担任は、バレー部監督の桜田先生なのですが、今回いろいろ検索していたらお亡くなりになったと知って……。

 今回余計なことばかり書いていてごめんなさい。実家から雑誌持ってこようと思ったら、本棚ふたつ分ごっそり捨てられていて大ショックでした。

「秘島図鑑」清水浩史

2019-01-09 05:51:04 | 歴史・地理・伝記
 杏さんおすすめ「秘島図鑑」(河出書房新社)、図書館で見つけました。
 日本には、大小様々な島があり(本州も島ですもんね)、中には無人島も数多くあります。
 わたしは「鉄腕ダッシュ」が好きで毎回見ていますが、ダッシュ島のように、かつて人が住んでいたことがある無人島もあれば、これまでほとんど足を踏み入れたことがないよかいな島もあります。
 この本で取り上げられているのは、「日本人が行けない日本の島」。

 例えばラサ島(沖大東島)は、リン鉱石の採掘のために政府からラサ工業に譲渡。その後戦争の激化で民間人が引き上げ、在日米軍が射爆撃場に使用しているそうです。
 その他にも、南硫黄島、西ノ島、北方四島、沖ノ島といった島々が紹介されています。

 わたしが「島」と聞いて思い浮かべるのは「鳥島」です。アホウドリの研究のため長谷川博さんが逗留して、過酷な生活の中繁殖に人力された島です。現在は聟島に拠点を移そうというプロジェクトがすすんでいるわけですが、やはり一度減った生物を通常数に戻すのは難しいと思います。
 この島だけでなく、アホウドリの乱獲が行われた南鳥島や、炭鉱の採掘の衰退によって島民が去ったのち岩礁が沈下してしまった横島、38年間地図上に記録されてはいたものの実際には存在していない中ノ鳥島といったところが気になります。
 杏さんが話していた、「史上初の登頂成功」を目指した登山隊が、頂上で錆びたハーケンを見つけたエピソードも読めて良かった。
 

「旧石器遺跡『捏造事件』」岡村道雄

2018-12-02 10:23:31 | 歴史・地理・伝記
 捏造発覚した上高森遺跡が近隣であることから、旧石器遺跡捏造事件のことは記憶に残っています。
 とはいえ、いまだにどの辺りなのか、場所もわからないのですが。

 「旧石器遺跡『捏造事件』」 (山川出版)は、当時発掘チームの統括役だった岡村道雄さんが、事件のことを振り返ったものです。
 岡村さんは、藤村の「共犯」「張本人」とまで言われて苦渋をなめた方であり、その発見から記した著作を回収、絶版とされました。
 彼にとってこの事件は、まさに寝耳に水の出来事であり、その後の後始末に奔走することになります。
 その一方で、片棒を担いだとばかりに検証チームから外されたり中傷されたり。
 全てが顕になってから振り返ると、様々な疑問や矛盾があったことに気づくのですが、そのときは発見に夢中になる余り見過ごしていた。まさか、あの朴訥な男が捏造しているとは考えてもみなかった。後悔の念が繰り返し出てきます。

 当時「ゴッドハンド」と呼ばれた藤村氏。彼が参加する発掘調査では事前に記者発表の準備がされていたそうです。
 なぜ、二十数年にわたり捏造を繰り返したのか。
 このために全国の旧石器遺跡は信頼を失い、常に捏造の疑念を抱えることになりました。
 中でも中学教師の遠藤さんが、自身が発掘した座散乱木遺跡の成果を悪用されて、失意のまま亡くなったというエピソードには辛いものがあります。

 岡村さんは藤村氏を探して事実を聞きたいと、現在彼が住む町へ赴きます。
 しかし、雑談には鮮明な記憶をみせるのに、話題が捏造に関わりものになると「忘れた」「わからない」となってしまう。
 右手の指を切り落としたという彼に、岡村さんは叱責や憎悪の気持ちは表せなかったといいます。

 ところで、本の中に「藤村告白メモ」が紹介されています。
 A4三枚にわたる前・中期旧石器問題調査研究特別委員会宛ての告白ですが、委員長判断によりかなりの部分が塗り潰されている。
 しかし、この文章、なんだか「共犯者の関与」を匂わせているんです。
 ただ、最後にある「自信を持って捏造が一切なかった遺跡」として答えた「岩出山町宮城平A-1」は他の捏造遺跡と出土の具合がほとんど変わらないので、おそらくここにも捏造があるだろうとのこと。
 
 平成も終盤を迎えます。この三十年、様々な事件がありました。旧石器遺跡捏造事件は、その後の研究にブレーキをかけた嫌いがあります。誰も知らない過去の時代の遺物(石器)を地中から掘り出して見せれば、「発見」に沸くのは仕方のないことかもしれません。
 岡村さんは非難の声を浴びながらも、周囲の人に支えられて職を全うされたそうです。


 ところで、わたし、以前にも関連書籍「捏造発覚」を読んでいるのです。そのときの出版元を「朝日新聞」だと書いていますが、今回「毎日新聞」だと判明しました。すみません😣💦⤵️ 
 ブログもおかげさまで十年。早いものですねー。

「やばい日本史」

2018-11-19 05:33:28 | 歴史・地理・伝記
 児童書コーナーから借りました。本郷和人「東大教授がおしえる やばい日本史」(ダイヤモンド社)。
 表現はかなり受け狙いですが、内容は本格的です。中学生が知識を広げるには手頃だと思います。
 偉人の「すごい」面と「やばい」面を比較して描いてあり、結構参考になります。
 例えば芭蕉。「武将おたくで遺言は『推しメンの隣に埋めて』」。
 そう、彼は「平家物語」が大好き。「おくのほそ道」は「聖地巡礼」だと書かれていてウケてしまいました。確かに確かに。
 そして、最も芭蕉が愛したのは義仲だとして、こんな句が紹介されています。
 「義仲の寝覚めの山か月悲し (義仲も夜中に目を覚まして、この山で月を見ていたかと思うと……!)」
 そして、義仲の隣に墓地があるそうです。最後に書いてあるのは、「ミーハーですがなにか?」 ははは。

 卑弥呼から太宰まで多岐にわたる人選で、おもしろく読みました。
 驚いたのは、近代史のなかで山口淑子が取り上げられていたことです。李香蘭、歴史上の偉人なのね……。
 日本史、好きな分野は詳しいけど、わたしの場合は幕末が苦手なんですよね。なるほどと思わされることが多くて、知識が整理される感じです。エピソードを知るのも楽しい。ここから歴史に興味が持てるならいいと思います。
 文学史分野も多くて、話のネタになりますよ。
 ただ、ちょっとビロウな話題も……。男子は好きかもしれませんが、わたしは好きじゃないなあ。

「五日市憲法」

2018-08-18 04:51:39 | 歴史・地理・伝記
 栗原市とあきる野市の中学生は、五日市憲法草案の千葉卓三郎の縁で交流しています。夏休みに隔年で行ったり来たりするのですが、それにちなんで「五日市憲法」(岩波新書)を読みました。
 しかも、ずっと読んでみたかった新井勝紘先生の著作!(これが新刊とは意外でした)
 深沢家の閉ざされた蔵から見つかった五日市憲法。それまでのテーマを捨てて卒論に書くように教授(色川武大)にすすめられて、他の憲法草案と比較するなどの作業を行います。
 その中で、草案を書いたと思われる「陸陽仙台 千葉卓三郎」とは何者なのかという謎を解きあかしていく部分がすごくおもしろい。
 わたしにとっては地元のことなので、イメージしやすかったです。
 中でも、新井先生が卓三郎の履歴書を裏付けていくのがおもしろくて。
 彼は大槻磐渓、石川櫻所や鍋島一郎など次々に師についていますし、宗教遍歴もあります。
 ハリストス正教会で卓三郎の伝導の様子をつかむ辺り、特にすごい。自宅の玉串や位牌をまとめて棄て、僧侶や神主に失礼だったので投獄されるんですが、同房の男に伝導して、死刑直前には自ら洗礼を行います。
 そのくらい熱心だったのに、数年後にはあっさり信者をやめてしまう。
 新井先生は卓三郎の自由な気風を肯定的に書いてくださいますが、同棲していた女から姿を隠していたこともあり、な、なんか感情の起伏が激しいタイプ?
 そういえば、ハリストス正教会、金成にあります! ニコライが最初に洗礼を授けたのが、金成の酒井篤礼なんだそうです。
 

「くらべる時代」おかべたかし

2018-08-01 19:10:21 | 歴史・地理・伝記
 おかべたかし・山出高士「くらべる時代」(東京書籍)。今回も、とってもおもしろいです!
 昭和と平成でどのような「変化」があったのかをくらべる34品!
 表紙はオムライス。卵でしっかり巻いたのが昭和、とろとろ卵を載せたのが平成のオムライスとのこと。
 平成の方は伊丹十三監督の映画で作られていたものだそうです。「たいめんけん」さんでは、両方のオムライスが食べられるとか!

 教科書は、弥生時代の農村に柵があるかどうか。(あり、は平成)
 トンネルのライトの色は、昭和がオレンジ、平成は白。
 日傘なら、昭和は白、平成は黒。
 「ガム」も。
 昭和は板ガム、平成は粒ガム。うわー、なつかしーっ、グリーンガムにクールミントだよ! 子どもの頃によく食べました。でも、今はほとんどガムを食べませんねぇ。年に一回くらいかも?
 プリンは、わたしも感じていました。平成は柔らかいですよね。

 カメラについては、フィルムからデジタルに変化したわけですが、逆光の写真、ずいぶん印象が違います。
 
 それから、「似ている英語」も読みました。
 日本語では同じ「贈り物」でも「gift」と「present」は違う。(前者には儀礼的な意味があるそうです)
 「large」と「big」の違いは、比較対象があるかどうか。「center」と「middle」は
円なのか線なのか。
 「猿」は「monkey」(小さくて尻尾が長い)と「ape」(大きくて尻尾が短い)、「蛙」は「frog」と「toad」(ヒキガエル)。

 なかなか書けずにいましたが「くらべる値段」と「似ていることば」も読んだんです。
 「羽」と「羽根」の違いって、分かります?
 抜けると「羽根」になるんだそうです。目から鱗!

「この自伝・評伝がすごい!」成毛眞

2017-08-29 05:21:51 | 歴史・地理・伝記
 成毛眞さんといえば「このノンフィクションがすごい!」の中心人物。その方が「この自伝・評伝がすごい!」(角川書店)ですからね。
 自伝・評伝二十冊。古今東西の二十人を紹介します。あまり学校図書館の偉人伝記シリーズには採用されないラインナップ(笑)。
 では、ご紹介しましょう。イーロン・マスク、小倉昌男、安藤百福、土光敏夫、ビル・ゲイツ、ラマヌジャン、山中伸弥、中村修二、岡崎慎司、桂米朝、十八代目・中村勘三郎、タモリ、田中角栄、安倍晋三、ウィンストン・チャーチル、リチャード・ニクソン、保科正之、徳川綱吉、横井小楠。
 なかでも印象的なのは、クロネコヤマトの社長小倉昌男。他社との差別化のために宅配業に参戦。ライバルは郵便局!
 さらに、岡崎慎司と他のサッカー選手を比較して彼の「ネガティブ力」について書き、中村修二はノーベル賞を取ったこと以上に喧嘩を売り続ける姿勢をほめています。
 チャーチルは政治家である前に文筆家であるとか(ノーベル文学賞を取っていますね)、山中教授はiPS細胞の研究では金策やコーチの立場にいることなど、一般的なイメージを覆していく。
 ただ、一人だけ、どう頑張ってもほめることができなかった人物がいます。それは誰でしょう?
 ちなみに、綱吉の「生類憐れみの令」については、それまでの問題解決方法が「人を殺すこと」だったことを革新した法律であり、決して動物愛護ではないとほめています。

 自伝・評伝のブックガイドとしても読めますね。藤原正彦「天才の栄光と挫折 数学者列伝」、明石和康「大統領でたどるアメリカの歴史」、「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」(聞き手・緑慎也)、岡崎慎司「鈍足バンザイ!」、小松成美「勘三郎、荒ぶる」は読んでみたい。

 イラスト(越井隆さん)もポイントつかんでいておかしい! 「ニクソン、今度俺マスターズ出るよ(笑)」の角栄や、「金がなきゃ研究できないじゃん」の山中教授、それから「都会? 一流? かかってこいよ!! 上等だよ」の中村修二。
 いろいろとくすぐられる一冊でした。

「ここで土になる」大西暢夫

2016-10-28 20:52:46 | 歴史・地理・伝記
 熊本県五木村。昭和三十年代からダムの建設計画が持ち上がって、住民は次々に転居し、たった二人で村に残った尾方さん夫妻を撮影しています。
 
 かつての村の日常的な風景を写した写真には、茶畑でかくれんぼをしていたような女の子や、友達と遊ぶ小学生、教室の様子などが写されていて、これが本当に「普通」なんです。服装だって半ズボンやTシャツですから、もう日本中のどこかを訪ねたらそこにいるのではないかと思うくらいです。
 わたしの住んでいる町にもこういう風景は、ある。
 一升瓶に詰まった小豆も、大きなイチョウの木も、畑の小石を拾う様子も、ありふれた光景です。
 でも。
 小豆は夫婦二人では食べきれない。年々瓶が残るのだそうです。
 村の人たちは、他にもう誰もいないのです。みんなが引っ越して、お墓も移転したのに、ダムの計画は中止された。
 そのとき、村のシンボルだったイチョウも移植しようと、枝を切り、周りを柵で囲んだために、銀杏をつけなくなってしまい、尾方さんは根元に肥料を入れて世話をしました。
 尾方さんは、受け継ぐ人がいなくなるであろう畑の石を拾います。誰かではなく、自分たちがこの場所で生きるために働いていく。イチョウは年月を経て、銀杏の実りを取り戻します。

 「ここで土になる」(アリス館)。生徒が紹介してくれた一冊です。
 彼の曾祖父さんはダム建設のために転居したのだそうです。集落の名前から「玉山ダム」と呼ばれていたものが、今は地域全体が水底に沈んだために「栗駒ダム」になったのだとか。
 尾方さんの年齢を見ると、わたしの祖父母と同年代かと思います。(うちの方が多少上ですけど)
 すぐ隣にある現実が、写真全体から伝わってきました。
 あっ、ただシカらしき動物を杭にくくりつけて運ぶ男性たちの写真には驚きました。これはやっぱり食用なんですよね? 近くには猟犬もいますよ。さすが自給自足。
 

「マララ」マララ・ユスフザイ

2016-10-27 21:58:55 | 歴史・地理・伝記
 この本を読もうとして数回挫折してきたのですが、今回は娘の通院の待ち時間に八割読んだので、なんとか完読しました。
 「マララ 教育のために立ち上がり、世界を変えた少女」(岩崎書房)。マララ・ユスフザイ、パトリシア・マコーミック、訳者は道傳愛子。
 なんというか……例えがよくないかもしれませんが、朝ドラみたいでした。身辺にひたひたと迫ってくるテロリズム。禁じられる女子の学問。妨害にも負けずに匿名で現状を訴え続ける少女。
 これが、この二十一世紀に、同じ地平にある現実だというのが、ショックです。
 女性の立場が認められていない国が、まだまだたくさんあるのですね。パキスタンの場合は、タリバンが介入してきたことで、それまでの権利が遮られてしまったように思います。
 女子校は閉鎖するように命令され、通っている子が脅迫される。爆破や銃撃、アジテーション。
 マララさんは、この現実に一貫して否と叫び続けます。
 外国のテレビ番組をみれば、髪や肌に制限を受けず、自分でどこにでも行ける同年代の女の子が映るのです。軽装は許されなくなり、黒一色の長いローブ・ブルカを着るように言われます。外出は男性の付き添いが必要。「自由」を感じられない毎日ではないでしょうか。
 なかでもマララさんが驚いたのは、お父さんが娘のために料理をする場面だといいます。
 習慣は民族や国によって違いますが、抑圧された生活はかなり苦しいことだと思うのです。
 マララさんは銃撃を受けて生死の境をさまよいます。
 目が覚めたときは、見知らぬ場所。バーミンガムの病院に搬送されていたのです。
 もう家には戻れない悲痛さが、文章から感じられました。
 マララさんのお父さんが、家族のために料理を作るようになるというところも素敵だと思いました。