くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「アネモネ探偵団」近藤史恵

2010-03-31 00:32:53 | ミステリ・サスペンス・ホラー
やっぱりジュブナイルって、団体戦なんですかね。
近藤史恵「アネモネ探偵団 香港式ミルクティーの謎」(メディアファクトリー)を読みました。図書館で借りた本も数冊持っていたのに、目についたら即買っていましたよ……。
普段近藤さんの作品は、とくに集団としての活動を描いたものではないと思うのです。「サクリファイス」は誓の話だし、歌舞伎のシリーズも、語り手と探偵役が中心ですが、個別に活動している。
今回の作品は、サブタイトルがあることからも今後シリーズ化していくものと思われるのですが、中学生の女子三人と、男子二人が中心になっています。智秋、あけび、巴、光紀、時生。
智秋が誘拐されそうになり、なんとかそれを阻止しようとする周囲の様子を描いているのですが。
子供むきの探偵ものって、なんとなくチームとしての組織が話の中心になるような気がします。大崎梢の「少年探偵SEN」にしろ、江戸川乱歩の「少年探偵団」にしろ。気のせい?
で、なぜか舞台は香港……。すごく魅力的な街だということは伝わってくるのですが、何も海外にいかなくとも、ねぇ。男子連はこのために福引までしているし。学校休んでるし。
と、ちょっと不満だったのですが、後半にきてわかりました。張さんですね! この人の登場に必然性がほしかったのだと思います(笑)。
張さん、恰好いいですー。なんかアローンさんと同じ年なのね! 光紀はおじとして頼りがいがないと感じているようだけど、二十五にして美人女優の小沼カオリに気に入られる腕前はすごいんじゃない?
この本、読者カードを送るとポストカードがもらえるそうです。うーん、近藤さんは大好きなんですが、さすがにこの年でジュニアもののカードはいらないなあ。

「好きやねん大阪弁」大原穣子

2010-03-30 00:00:49 | エッセイ・ルポルタージュ
大原穣子さん。方言指導をなさる女優さんです。大阪弁、京都弁、広島弁を守備範囲として、テレビドラマやお芝居の方言指導をされている。台本にはアクセント記号をつけ、台詞を録音してテープを作ってくれるそうです。
そのなかであったエピソードをあれこれと紹介してあるのですが、これがおもしろいのです。
その土地その土地にキィになる音があって、それをつかまないと方言が生きてこないとか、時代もので若手役者が何気なく使った言葉はその時代にはまだなかったとか、なるほどなーと思うことのオンパレード。
学生時代、大阪の大学に行った友人と久しぶりに会ったら言葉が変わっていて、えらく驚いたものです。大阪弁ってインパクトがあるよね。
「好きやねん 大阪弁」(新日本出版社)。当時大原さんが携わったドラマの俳優さんが何人か紹介されていますが、なにしろ時代を感じます。光GENJIの人とか……。
方言って、今はどんどん薄められてきていると思うのですよ。子供たちと一緒にいると、自分がそのくらいの年に使っていた言葉を知らない。祖父母のいうことにはもっとわからない言葉があるらしいです。(でも、転校してきた子に言わせるとみんななまってるそうですが)
人称代名詞について言えば、自分が子供の頃は「わたし」(なまって「あだし」と聞こえますが)か女子でも「おれ」(「おら」「おい」)が主流だったのですが、今は「うち」という子が多い。中学生なのに自分の名前を一人称がわりにしている子が結構います。
大阪弁は日常的に使われているイメージがすごく強いので、最近できた言葉があるというのは意外でした。
「めっちゃ」は大正のころにはなかったのだとか。演じるということを考えると、「ナチュラルとリアルは違う」というお話も納得です。
ドラマを「台詞」、とくに「方言」で捉えるのは新鮮な感じがします。朝の連続テレビ小説だって地方色を出すのは方言だものね。これから、見る目が変わりそうです。

「坊主DAYS」「不育症戦記」ほか

2010-03-29 05:28:11 | コミック
久しぶりの仙台で本を買い込んできました。開店に合わせてホテルを9時40分くらいに出たんだけど、思ったより近くて、コンビニでお茶を買って時間をつぶしたのですが、この本屋、9時開店でした……。
で、まんがを四冊。
まず杜康潤「坊主DAYS」(新書館)。これ、すごいおもしろいです~。
臨済宗の僧侶であるお兄さんの修行の様子を紹介しているのです。当然お坊さんですからみんな剃髪しているので、書き分けが難しい。額に「兄」とか「円」とか名前を指定してありますが、これが不思議なことにやがて見分けがついてくる。表情的にも人格的にも。イメージキャラクターということで、特定の方ではないみたいなのですが。
そういえば、母方の祖父は得度していたなー。(亡くなるとき、既に戒名があってびっくりした)
わたしの同僚に僧侶の方がいて、住職(お父さん)が忙しいときは自分もお経をあげにいくと言ってたっけ。友人はお寺に嫁いでるし。本山から任命書みたいなのが届いたとも聞きました。
薪割りの話題もありましたが、実家もつい十年くらい前まで薪でお風呂を沸かしていたので、すごくよくわかります。そうなのよ。木材なかなか手に入らなくなっているのです。父はあちこちからもらってきていましたが(いや、家の林からも供給はありますよ。そういや、ここにうちの墓があります)、建て替えたわたしの母校の廃材も使われていました。なかなかうまくたきつけるのも難しいのです。杉の葉から始めるのですが、釜が温まらないと薪には燃えうつりません。
そんなことやこんなことを思い出しながら読みました。修行という場の中では、刻々と変化する日常とはかなり違う面があり、それは時代が移るにつれギャップも大きくなるのでしょうね。

そして、楠桂「不育症戦記」(集英社)。「妖魔」だの「鬼切丸」だの、好きで読んでいました。その楠さんがこんな体験をされていたなんて。
不育症というのは、お腹の中で赤ちゃんが育たずに死んでしまうことが続く病気。辛い。楠さんは死産が二回、流産三回。お子さんは二人ですが、大変な苦労をされたのですね……。
わたしも道徳の授業などで、みんなが生まれてきたのは奇跡なんだよーということを繰り返して言うのですが、まさに、一つの命がこの世に誕生するまでどれほどの偶然が重なっているのかと思うと、ため息が出ます。
妊娠の喜びが失意にかわるなかで楠さんが気づいたことはたくさんあるのですが、お医者さんとの信頼関係の大切さとか、周囲からの言葉にどれだけ影響を受けるのかとか、本当にいろいろなことです。双子の薫さんが同時期に妊娠したエピソードなども、印象的でした。

蜜子「猫舌ごころも恋のうち」(ふゅーじょんぷろだくと)は浮世絵師たちをテーマにしたまんが。春信、北斎、広重というメジャーどころに加えて、明治の月岡芳年まで。ある程度彼らの作品や時代背景がわかれば楽しく読めると思います。馬琴との関係とかね。
河鍋暁斎って、北森鴻の「狂乱二甘四孝」の幽霊画の人だっけ? 明治期の新聞に事件記録として載った血みどろの浮世絵を高橋克彦が解説している本を持っていたことを、思い出しました。

最後にまついなつき「まさかわたしがPTA!?」(メディアファクトリー)。
冷静に考えると、PTAとしての活動に関しては結構知っているものと思っていたのですが、こういう活動をしている小学校もあるのだなーと不思議な感じがしました。役員選考とか茶話会とかのシステムって、地方の中学校とは全く違いますね。

「天才たちの値段」門井慶喜

2010-03-28 05:32:19 | ミステリ・サスペンス・ホラー
送別会で仙台に泊まってきました。翌日どうしてもどうしても「彦いち」に行きたかったので、ぎりぎりまでホテルでのんびりして、本屋に行って、少し時間をつぶして、念願を果たしてきました。白玉とあんこが旨い。アイスとのハーモニーはさすがです。
で、直前まで部屋で読みふけったのが、門井慶喜「天才たちの値段」(文春文庫)です。美術ミステリ。門井さんの作品には顕著な「その道のプロ」が、この作品にも登場します。神永美有(男)。贋作を見抜く眼力(というよりこれは味覚?)をもった若きコンサルタントです。
主人公の佐々木昭友は短大の美術の講師。自称アーチストを指導しなくちゃいけなかったり、自分の推測をたびたび神永に覆されたりしていて結構不遇なのですが。
作品でいちばん印象的だったのは、そんな佐々木の家庭環境があらわになる最終話ですね。「遺言の色」。
神永を敵視する清水が再登場し、魅力的な謎が提示され、最後に鮮やかな真相が見つかる。ガラスの美がモチーフなので、涼しげで繊細です。
「論点はフェルメール」もディベートを扱っていておもしろかった。勝敗をウィスキーと水の比率で表示するアイディアが鮮やかです。美術だから、目に見えるような構図にしたのかも。
ところどころに告白や手紙文がそのまま出てくるのもユニークでした。
佐々木さん、能里子さんとの進展は結局なかったのかしら。それよりも、得難い友人である神永とこのまま会えないことを予想しながら、京都に旅立つというラストは、本来、作者が意図しての効果的なエンディングだったかと思うのですが、どうも続編があるらしい。気になる!
大丈夫。抜かりなくこの続きはもう借りてあります。「天才までの距離」。でもなー仙台で一万円円強も本を買ってしまったのでたどり着くのに時間はかかりそうです。

「嘘八百」天野祐吉

2010-03-27 00:05:03 | 総記・図書館学
うわぁーっ、なつかしーっ。つい買っちゃったじゃないですか。天野祐吉「嘘八百」(ちくま文庫)。
「ホラ出た、メリヤス!」(100ページ)なんか鮮明に覚えていますよ。丸善の広告だったんだー。
120ページの福助足袋の広告も、隣のオニタビも、242ページの森永ミルクキャラメルも。とてもとてもよく覚えています。
わたしがこの文庫の元本「嘘八百!」「また嘘八百!!」「またまた嘘八百!!!」「嘘八百これでもか!!!!」(文春文庫)を読んだのは、もう十五年くらい前。友人みえっちさんが、気に入って貸してくれたのです。
もうこれがつぼにはまってしまって。
当時もかなりヒットした本なので、目に留めた方は多いんじゃないかと思うのですが、よくぞこんな図版をこれだけ集めたものだと感心しきりです。
副題が「明治大正昭和変態広告大全」とあるように、昔の雑誌や新聞広告を現代の視点で振り返るといろいろおもしろいことがある……ん? 「変態広告」?!
この広告、変なのでしょうか。いや、そりゃ変には決まってますが、でも、そんなふうに考えたことがなかったので驚きです。
天野さんがなぜこの本に「嘘八百」なるタイトルをつけたのかというと、「嘘広告は人びとの想像力を切りひらき、人間ってバカだなァ、面白いなァ、と実感させる。あるいはその表現のなかに、宙づりにされた真実を、嘘みたいなホントを、それとなく見せてくれるところに、その神髄があるのです」という部分が鍵になっているかと思うのですが。
最後に、これは全国図書館協議会の推薦図書になるべき本だと天野さんはおっしゃいますが。
うーん、これも「嘘」なのか、それとも「嘘みたいなホント」なのか、ちょっと悩んでしまいます。

「おまけの人生」本川達夫

2010-03-26 05:08:10 | エッセイ・ルポルタージュ
本川先生は、どんな事象も自分の研究分野として捉えてらっしゃる。おもしろい。ニュートンも道元も生物の学習につながっていくのです。
「おまけの人生」本川達夫(阪急コミュニケーションズ)。「ゾウの時間、ネズミの時間」で有名な本川先生が、自分の生活周辺のことを描いたエッセイです。
わたしは「歌う生物学必修編」のCDブックも持っているのですが、本川先生の仕事はすごく気になるのです。たまたま「ようこそ先輩」の回も見たし。何より、「ゾウの~」が教科書に載っていたとき、すごくおもしろくて、どうやって授業をするか楽しみにしていたのですが、残念ながらわたしが産休あけて戻ってきたら教科書が改訂していて、もうなかった……。
でも、インタビューがちらっと載っています。
今回、この本を読んでみて、その後後釜として(?)採用された「テクノロジー」についての文章と共通している部分が多いことに驚きました。
時間とお金。どちらかを選ぶとしたら? グループエンカウンターで価値観を巡る話し合いをしたのですが、これが結構別れました。「お金」派は、お金があればなんでもできると主張。「時間」派は、ゆとりはお金では買えないと反論します。
本川先生の主張は、まさに時間。動物の体の大きさに比して、心臓を打つ回数は生涯で十五億回と決まっている。ただ、ネズミがせわしく心臓を動かしているのにたいして、ゾウはゆっくり。で、どちらも仕事量としては、2ジュールかかる、のだそうです。
人間がこの十五億回に達するのは四十代。昔の平均寿命はこのくらいだったのに、現在は医療が発達してかなり長生きできる。だから、それから先は「おまけの人生」、若い頃とは違う生き方をしようじゃないですか、ということなんですよね?
さて、わたしもどうしても自分のフィールドにつなげて考える癖があるのですが、今回は、理科が中学校段階で突然具象から抽象になるという部分にうなずかされました。そうそう、国語も具象と抽象の概念を身につけないと、なかなかステップアップが難しい。目に見えるものと見えないものを扱う学問って、結構多いのかも。
本川先生のお子さんの名前が凝っていて興味深かったのでご紹介しましょう。上から「南海子」(なみこ)さん、「東洋子」(とよこ)さん、「究理」(きゅうり)くんだそうです。

「失くした記憶の物語」ガブリエル・ゼヴィン

2010-03-25 02:36:09 | 外国文学
ナオミ・ポーター。彼女が目覚めたとき、四年間の記憶が消えていることに気づきます。
自分の家はまるで知らない場所に引越しており、両親は離婚している。見知らぬボーイフレンド・エース、親友だという同級生・ウィル。妹も生まれているらしい。
登校しても知らないことばかり。優しい人もいれば意地の悪い人もいる。第一発見者のジェームズが気になってならないナオミは、やがて彼と恋に落ちます。でも、彼にはよくない噂がついてまわるのでした。
ガブリエル・ゼヴィン「失くした記憶の物語」(理論社)、訳は堀川志野舞です。
エース、ジェームズ、ウィルの間で揺れ動くナオミですが、章題のように彼らは「過去」「現在」「未来」の相手でもあるようです。
記憶を失っている間にあったことを求めるうちに、どうも自分の価値観が変わっているのではないかということに気がつくのですが、そのことは記憶を取り戻したあとに見直すと結構不思議な感じがします。
ウィルとの関係がいちばんではありますが、なぜエースの友人たちと仲良くランチが食べられたのか、どうしてアリスとはすれ違いになってしまったのか、おそらく本人にもしっかりとは分かっていないことか、違和感となって浮き上がる。
自分の好きなもの。例えばテニスとかイヤーブックの仕事さえも、どうしてそんなに夢中になったのかわからないのです。だから、ジェームズに熱をあげたともいえるかもしれません。二人ともとても不安定なのです。
着地もよくて、おそらく洋楽の好きな人にはそれならではの楽しみもあります。
なぜナオミが「チーフ」とか「クッキー」と呼ばれるのかよくわかりませんでしたが(前者については説明があったので理屈としては納得です)、それも外国文学っぽいといえなくもない。
はじめは読みづらいなと思ったのですが、結構楽しく読みました。ママの新しい旦那さんが日系だったり、実はラストで明かされる事実があったり、それに、ナオミのブルーな気持ちにどんどん引っ張られてしまうのです。
記憶。まるまる四年、ということはないにしても、わたしたちは様々なことを忘れます。忘れたいことも忘れたくないことも。
船の上でパパが語る言葉に、なんとなく救われるような優しさを感じました。

「人形の家」門井慶喜

2010-03-24 05:27:29 | ミステリ・サスペンス・ホラー
娘のつばめと父の敬典が挑む日常の謎系の物語。門井慶喜「人形の部屋」(東京創元社)。
わたしの頭の中にはバイパスができていて、このタイトルを聞くとつい斉藤由貴の歌が浮かんでくるのです……。(谷山浩子も同じ曲を歌ってます)
ま、それはいいとして。
博覧強記という言葉は、この人のためにあるのでしょうね。何でも知ってる敬典さんなのです。ドールハウス、万年筆、塩の製法、墨、筆、諸橋漢和、花言葉、万国旗……。表紙もそれを反映していて、とてもいいです。
わたしが東京創元社に抱いているイメージが、門井さんとぴったり重なる気がする。連作推理って、すごく好きなのですよ。
特に印象的なのは、「お花当番」です。学生時代、花言葉を通じて交流していた女性のことが描かれるのですが、こんな暗号、解けないです!
「□香連理草天竺牡丹 菖蒲 飛燕草葉鶏頭鬱金香」(□は携帯では出なかったのです。じゃこう連理草はスイートピー)
なによりもその女性、伊村さんの過去が、辛い。気を取り直してオスカー・ワイルドの研究なんてできそうにない。わたしも胸が痛くなります。ペットボトルを締めなかったのは誰なのか、そして、いつもの時間にどうして見に行かなかったのか、自分を責めてしまうでしょう。
うちの息子も、かつて突発性紫斑症で入院していたのですが、あわやということがあったのですよ。何事もなくて、本当によかった。今も、思い出すとぞっとします。
子供って、親にとってかけがえのないものですよね……。つばめちゃんも、事あるごとにそれを確かめている気がする。
後半にやっと顔を出す忙しい母の陽子さんや、結局進展しているのかうやむやになってしまったタクマくんが気になるといえば気になる。
この本を読んだら、結びの言葉は「あやめ」しかないでしょうね。

「乙嫁語り」「大原さんちのムスコさん」ほか

2010-03-23 11:32:57 | コミック
森薫「乙嫁語り」①(エンターブレイン)を読みました。かわいいー。二十歳にして八歳年下のカルルクに嫁いだアミル。遊牧民の娘であるアミルにとっては、弓で狩った兎でスープを作ったり毛皮で服を縫ったりするのはおてのもの。とても魅力的なお嫁さんなのです。
でも、どうやら実家の一族の間で、別の男に嫁がせようという気配が出てきて……。
すごく細やかで美しいペンタッチに惚れ惚れします。続きも楽しみ。

大原由軌子「大原さんちのムスコさん 子どもが天使なんて誰が言った!?」(文春文庫)もおもしろいです。神経症のダンナさんが、子供ができたらまたやらかしてくれます。無職であることを心配したユキコさんが仕事をするようにすすめると、知り合いのところに話を聞きに行くのですが、そのビジネスはというと、猛禽類の運び屋! ぎゃーっ。
ニカワマンもおもしろかった。それに、羊水の中のことを語るタケちゃんは、すごくかわいらしいです。
あとがきを読んで気づいたのですが、うちの息子と同じ年なんですね。こいつが生まれたばかりの頃もなかなか寝なくて苦労したものだったな、と懐かしく思いおこしました。

咲香織「スマッシュ!」17(講談社)。今回はバドミントンのシーンが多くてドキドキしました。どうもこのところラブコメ色が強くて、ちょっと辟易していたので。
優飛と翔太の別れはショックでしたが、その思いを振り切ろうと武者修業に出る部分は結構好きです。
スポーツものは「メジャー」(満田拓也・小学館)も読みました。いきなり数年後になっているのはびっくり。夫は「てっきり最終巻かと思った」といってました。
薫が「吾郎」と呼んでいるのも結構驚いた。いつまで「本田」なのかとは思ってたけど。

あとは「心霊探偵八雲」のコミック版②を……。なんか統一性がないですよね。ははは。

「ダーシェニカ」チャペック

2010-03-22 06:00:42 | 外国文学
蔵王に泊まりに行ってきました。露天風呂で川の音を聞きながら、ゆったりしていると、大分気が楽になりました。
で、このホテルにあったこの本が気になったので読んでみたのです。カレル・チャペック「子犬の生活 ダーシェニカ」(ブロンズ新社)。
わたしも犬を飼ったことがあるので、身に覚えがあることがたくさんありました。母犬とレスリングしたりいろいろなものを噛んでめちゃくちゃにしたり、穴を掘ったり。
巻末にはかわいい写真もいっぱいです。
ダーシェニカは、ワイヤー・フォックステリアの女の子。やんちゃで甘えん坊のこの犬に、幼少期をプラハで過ごした小野田若菜さんは夢中になります。戦前に書かれたチェコ語の本であるに関わらず、かわいい挿絵とおてんばなダーシェニカの仕種。小野田さんは、著者がこの子犬を人に譲ってしまったこと(文中では「お勤めに出す」)にも不満を抱くほど好きだったようです。
わたしがおもしろかったのは、チャペックが語るお話で、神様が骨・肉・毛の山からそれぞれパーツを組み立てて犬を創るくだり。まず、フォックステリアとピンシャーを創り、昼休みを取ったのですが、骨の山から兎を追い掛けようとグレイハウンドが出現。肉の山からはブルドックとボクサー、毛の山からはセント・バーナード、プードル、チン、ペキニーズができたところへ神様が戻ってきたら、もうほとんど何も残っていなかった。最後に残ったパーツを使ってできたのがダックスフントなんですって。

さて、「ことりはうす」にも行ったのですが、この日、お昼におしるこが振る舞われることになっていたのです。うちの息子、あんこが大好きなので……午前中ずっとここにいましたよ。
わたしは希少生物に興味があるので、コウノトリやトキ、アホウドリの説明は目を皿のようにして見てきました。
こういう場所に来るとどうしてもチェックしたくなるのは図書コーナー。野鳥を中心に絵本や雑誌が揃っていたのですが、なんとそこに「とりぱん」(とりのなん子・講談社)が!
うわーい。わたし、前の方の巻は読んでいるので、⑧と⑦を読んできました。おかしー、アトリが群れを作ると聞いて慌てたり土手から小学生が転がり落ちてきてびっくりしたり、とりのさん、視点がいいのです。でもって、この人は抒情的な人だと思う。⑦の巻頭まんがが、なんともいえません。読者からのおたよりコーナーもおもしろい。
実はもっと読みたかったけど、おしるこができたというのでやむなく中断。おいしかったですー。
この日、観察コーナーにはリスもきていました。
実家の裏が山なのでそれなりに鳥の声に囲まれて育ったはずなのですが、今回はじめてこれがこまどりの声なんだ、というのを知りました……。(山ではなじみの声です)