くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

2013年ベスト

2013-12-31 09:10:32 | 〈企画〉
 ひさしぶりに「ダ・ヴィンチ」を買ったら、今年の一位本は小野不由美「ヒショの鳥」でしたね。この本を買ったあとに市の国語部会で話題にしたけど、誰も読んでいませんでした。がっくり。普通の国語の先生はどんな本を読んでいるのでしょう。
 「残穢」を読んだあとにコミック版の「悪夢の棲む家」を読んだら、共通点がいっぱいありました。ということで、「十二国記」の続編、来年も出ることを信じての年末です。
 今年のベスト。
 1 「みんなでつくろう学校図書館」成田康子
2 「アルビノを生きる」川名紀美
3 「蟲師」漆原友紀
4 「オタクの息子に悩んでいます」岡田斗志夫
5 「林業少年」堀米薫
6 「かなりや」穂高明
7 「気仙沼に消えた姉を追って」生島淳
8 「弟を殺した彼と、僕」原田正治
9 「和菓子のアンソロジー」坂木司
10 「女性アスリートは何を乗り越えてきたのか」読売新聞
番外編「妻はくノ一」風野真知雄

 1。魅力的な図書室目指して、いろいろとチャレンジしたい気持ちが高まります。アイデアを提供していただくのはいいですね。成田さんの新しい単行本も買いました。「お弁当絵本」についても興味があったので、長谷川集平さんの本も借りてみました。出来事カレンダーを作りはじめたのも、この本の影響。どんな蔵書があるのかをチェックする機会にもなりますよ。
 2は、もともと三浦哲郎文学で「アルビノ」への偏見に悩む家族たちの姿を読んでいたので、非常に胸に迫りました。自分ではどうにもならない。そういう苦しみを、誰かと分けあえるということも、大切ですよね。
 3、最近新装版が出ていますよね。新作も収録されるとか。
 わたしは民話的な幻想的な世界が好きなのだと思います。
 4について。この本を読んで、ダイエットに挑戦することができました。これまで太ることへの努力を惜しまなかったのだ、という発想の逆転に、かなりショックを受けまして。
 おかげで、少しですが体重もウェストも減っております。
 堀米さんと穂高さんの作品を知ったことが、今年の大収穫かな。お二人の本はできるだけ探して読みました。どちらも地縁のある方とあって、親近感があります。どの作品にするか迷ったのですが、はじめに読んで印象深かったものにしました。
 生島さんも地元が舞台といえばそうなのですが、震災のあとの気仙沼の状況をリアルに伝えてくれる貴重な一冊だと思います。でも、めったにおいていない。震災関連の本は、結構読みましたが、もう千日過ぎても癒しきれないものはあります。
 犯罪被害について考えさせられる8も、なかなか探しにくい本です。様々なものを失っても自分の信じることを追いかける原田さんの崇高さが胸を打ちます。
 「アンソロジー」シリーズ三冊出たんですけど、「和菓子」がいちばんおもしろかった。あとの二冊もちょっとずつ読んではいるのですが、「書店」や「ペット」は対象の好みの問題なのか、完読しないままです。忘れたころに読み返して、同じものを何度も読んでしまう。
 10は研修を受けた大学の生協で買いました。女子選手の現実を考えさせます。とてもおもしろかったので、同じチームで編集した「箱根駅伝」も借りてみました。まだ車の中にあるけどね。
 「妻はくノ一」が次点なのは、ラストで全部ぶちこわし、と感じたからですね。あれがいい、という方もあるのでしょうが。「姫は三十一」も読んでいますが、正直なところ、なにも時代小説の必要性はない。
 かなり夢中になって読んだのですが、小さい謎を違う視点から解き明かす構造がよかっただけに、キャラクターに走りすぎるとがっかりします。
 今年は何冊読んだのか、ちょっと数えていません。途中で止めてしまった本もあるし。昨日は一日「あまちゃん」の総集編を見てしまいました……。宮藤官九郎は栗原市のアンバサダーに就任したそうですよ。
 それでは、よいお年を。

「病魔という悪の物語」金森修

2013-12-30 06:29:06 | 自然科学
 「チフスのメアリー」
 これが、この本の副題です。「病魔という悪の物語 チフスのメアリー」(ちくまプリマー新書)。
 聞いたことはありませんか? チフスが流行した時期に、ある家政婦がキャリアとして病原菌を運んでしまった、と。本人には自覚がなく、自分がチフスを撒き散らしているとは思っていない。そんなメアリーの人生を、金森修さんが紹介しています。
 昨年、プリマー新書を重点的に図書室に入れたいと思って調べたときにも気になっていたのですが、なにしろ予算の都合もあって買うにはいたりませんでした。
 本人はいたって元気なのに、周囲は病に倒れる。当局によって逮捕されたメアリーは、ある島に隔離。恋人や弁護士の協力を得て裁判を起こしますが、期待したような結果にはなりませんでした。
 メアリーは優秀な料理人だったようですが、一時釈放されたあとは調理の仕事をしないように誓約書を書かされます。
 ただ、結局は偽名を名乗って同様の仕事を続けていたそうです。再び島に戻ることになったメアリーは、残る生涯をそこで過ごします。その時期には恋人も弁護士も亡くなっていたのだそうですが、彼女と同じような「キャリア」がほかにも存在することが知られつつあるのに、いわばスケープゴートのように隔絶された人生を送ることになるメアリー。
 友人もおり、島の病院に職を得るなど、よい面もあったようですが、なんとも釈然としないようなやりきれない感じがします。
 誰かに病をうつしてしまう。自分には過失がないと思っていても、やはりつらいことです。病の代名詞のように呼ばれることも。
 ところで、メアリーのサンプルを取りにくる衛生官はジョセフィン・ベーカーというんです。ちょっとびっくり。
 

「めぞん一刻」高橋留美子

2013-12-29 10:18:08 | コミック
 クリスマスツリーを片づけたら、倉庫の本棚に「めぞん一刻」(小学館)全15巻があったので、つい読んでしまいました。
 わたしも同じ単行本を持っていたので、過去に何度となく読んだのですが、もう懐かしくて。
 先日、何かの本で「めぞん一刻」は漱石の「こころ」が下敷きになっていると読んだのです。そう思って読み返したせいもあるでしょうが、昔とは違うことが気になりました。
 惣一郎さん、死因が描かれていませんよね。当時は顔が隠されていることの方が印象深かったんだろうな。
 あとは、いちばん好きだったのは八神いぶきだったのですが、もうこのパワーにはついていけないなー。明日菜さんはやっぱりかわいい。でも「白百合大学卒 二十一歳」はないと思うんですが。三鷹さんとは十歳以上はなれているんですね。
 登場人物が意外と若いのは、当時の掲載誌の読者傾向も若かったということでしょうか。
 五代くんが教員学部で国語の免許を取っているのも、衝撃でした。
 こういう実習生がきたら、どうなのかな。「こころ」の授業をしていますが、登場人物のエゴイズムについてちゃんと言及していてびっくりしました。五代くんにしてはすごいよね。(失礼)
 で、わたしが最も共感したのは、響子さんのお父さん。娘の写真を見てしみじみするあたり。これから、うちの子どもたちも成長していくのだな、と感じました。これから、つらいこともいろいろあるのでしょう。でも、それ以上に喜びもあるものと、考えさせてもらいました。
 
 

「仕事がない!」増田明利

2013-12-27 18:51:45 | 社会科学・教育
 図書館で、年末に十冊借りられるとのことで、おすすめコーナーにあったこの本を手にとりました。増田明利「仕事がない! 求職中36人の叫び」(平凡社)。
 人生相談は、わたしの読書カテゴリーで結構大きな位置にあるので、そのジャンルに近いように感じました。
 うーん、公務員でよかった……と思ってしまうわたし。教員は公務員のブラック企業とも呼ばれているそうですが、仕事がないことはそれ以上につらいと思います。
 前半は二三十代の若い世代、後半は五十代の求職中の方々からの聞き書き。ラストに対策などがまとめてある。
 衝撃的だったのは、フリーターとして働いていたけれど、そろそろ就職しようと思ったという二十五歳の男性。なんとなく「億劫になって」高校も中退したそうです。
 卒業証明書と成績証明書を添付するように言われて、その存在を初めて知る。中退した高校をあたかも卒業したように履歴書を書いていこうと考えていたそうです。
「学歴社会ならそうだと最初からはっきり教えてほしかった。そしたらもうちょっと勉強していい高校に行き、いい大学に行っていい仕事に就けるよう考えていた。学歴で人間の価値は計れないとか、正社員も非正社員も区別ない社会になるって言ってたけど、嘘じゃん」
 き、強烈……。
 そんなおめでたいことを言う人がいるんですかね。学歴社会なんて、今始まったことじゃないでしょう。
 こういう台詞を聞くと、人間って自分の都合のいいことを選んでしまうんだなと感じます。しっかり勉強しないと! と学校生活で言われないはずがない。それを聞き流してきたツケが出てくるのですね。
 さらに、底辺高で就職しようという気にならず「進学」と言っておいて、早稲田を記念受験し、そのままフリーターになった人も。
 まあ、そういう事例だけではないんですけどね。子どもを産んだり旦那さんがリストラされたり、早期退職を選択したりといったことから仕事に就けない人もいます。
 でも、昔よりもぎすぎすしているような感じはします。働いている人はかなり時間的に切迫しているようですし。
 若い世代の入らない職場は、組織としてかなりひずんでくると思うのです。経験が伝わらないし、風穴をあけるのも難しい。
 これからの子どもたちが、社会でどう生きていくのか、考えてしまいました。

「いきる」和合亮一編

2013-12-25 21:01:12 | 詩歌
 「15歳の詩② いきる」(ゆまに書房)です。編者は和合亮一。
 今回も詩人の誕生日や命日が気になるわたしなのでした。1月4日と31日に紹介する本が決まらず焦っているなか、関根弘の誕生日がちょうどいい! と思ったのですが、さすがにこの詩では怒られそうなのでやめておきます。わたしは好みなんですが。「死んだネズミ」という作品です。
「生まれたての赤ん坊は/目があかない/それでも/赤ん坊は赤ん坊」
「死んだネズミは/目をさまさない/それでも/ネズミはまだネズミ」
 どうですか、このシュールさ! アナーキズムとかマルキシズムに感化されて詩作をはじめたとのことです。
 山村暮鳥の生没が、もうカレンダーが完成してしまった日で残念……。ここに紹介された「蔓」という詩がいいですね。
 それから、最近ずっと気になっていた岸田衿子さん。なんと、わたしと誕生日が同じなのでした。嬉しい。「ハイジ」の歌も作詞されていたのですね。今年、斎藤美奈子「名作うしろよみ」で「アランブラ宮の壁の」に巡り会ってから、「詩のこころを読む」や詩集二冊、そしてこの本と、とにかく頻繁に目に入ってきます。もう少し読み込みたいな。
 ところで、この本には生徒が紹介していた三井ふたばこ「みち」もありました。サブタイトル「紘子に」だったのですね。選んだもののどういう意味かわからない(……)というので、子どもの髪をとかしているお母さんだと思うよ、といったのですが、合っているようでよかった。
 そういえば、「石」(草野心平)を読んで「作者は石をかわいそうに思って心配している」と書いてきた子もいました。わたしは石の孤高さも大切にしていると思うんですが。
 まあ、それはいいや。
 「奈良少年刑務所詩集」からも三編入っています。「一恵」「二人のお母さん」「一直線」。どれもいい。
 そして、いちばん驚いたのが、菊田心くんの「ありがとう」です。わたしも大好きな詩なのですが、なにしろ地元の本(河北新報社「ありがとうの詩」)。いや、たしかに和合さんはこのコンクールでも選者でしたが。
 この詩が、たくさんの方々の目にとまると嬉しいですね。
 三好達治の「Enfance finie」や谷川俊太郎の「生きる」、新川和江「名づけられた葉」等々、思い入れのある詩もたくさん選ばれています。
 わたしも詩のアンソロジーを作りたくなりました(笑)。

「奇跡の料理教室」村田歩+村田ナホ

2013-12-23 15:21:34 | 工業・家庭
 結構本を買いだめしたので、先日夫と本屋に行ってもほしいものがありませんでした。あちこちの棚を見て歩いて、ふとこの本を発見。「奇跡の料理教室」(東邦出版)。
 著者の村田先生ご夫妻は、もともと中学校で社会科を、高校で家庭科をそれぞれ教えてらしたそうで、退職後に子供が対象のお料理教室をはじめられたのです。
 奥さんが調理を、そして旦那さんがその食材の背景を教える。おもしろい!
 わたし自身、なんとか子供に自分の食事は賄えるよいになってほしいと思っています。簡単なおやつなどから作らせてきたのですが、どこまでできるのかちょっと悩んでしまう。
 味噌汁なら具材のアドバイスくらいで作れます。餃子を好きなように包んだりフライの粉つけをしたり。
 ただその先にどう展開するかは、まだ混沌としている。包丁で切ることはできるけど、皮はピーラー頼りなんです。
 でも、この本では幼稚園から挑戦する子供たちが紹介されています。もちろんナホ先生の下準備のおかげなんですけど。
 上級生がさり気なくサポートするようになったり、お家でも助けてくれるようになったりという話には感心します。
 それから、歩先生がビートについて話されているときふと思ったのですが、食品の来歴を知りにくい世の中になっていますよね。だいずからもやしや枝豆、豆腐、きなこと加工されることに気づかない人もいるのだそうです。畑の野菜について、もしかするとテレビでの情報しか知らない子もいっぱいいる?
 とはいえ、うちでも子供たちが畑に行く機会は減っています。農家なのに、です。自分が小学生のときは労働力として駆り出されたものですが。
 毎日の出来事カレンダーに、誕生花のカットをつけているのですが、色鉛筆で彩色するときに、大半の花はイメージできます。学生のころ、「サフラン」がわからないと言った同級生がいてびっくりしたけど、見たことのない植物は色合いや雰囲気がわからないかもしれませんね。
 家庭菜園の野菜は食べられないという人もいると聞きます。
 食べることは生きること。もっとしっかり考えないと。
 といいながら、久しぶりに食べたカラムーチョがおいしくて、食べすぎてしまいましたが……。

「テレビの伝説」文藝春秋編

2013-12-22 14:05:43 | 芸術・芸能・スポーツ
 そうしたら、なんとのど自慢に関わる本を見つけました。
 「テレビの伝説 長寿番組の秘密」です。文藝春秋で特集したものを再構成したものだそう。
 先日仙台で本を買ったときの一冊。大河ドラマをテーマに石坂浩二と松坂慶子とプロデューサーの屋敷陽太郎の鼎談とか、「龍馬伝」を福山雅治が、「八重の桜」を綾瀬はるかが語ったりとか。「おしん」を小林綾子、「相棒」を水谷豊、「水戸黄門」を里見浩太朗というようなラインナップ。そのなかに、「『のど自慢』は台湾でも大人気」という項があったのです。
 放送開始から七十年近く。歴史を紐解きながら、この番組がどれほど予選会を重視し、出場者たちが結束していくかを描きます。
 地方収録のために、司会の徳田アナは、木曜日に資料を読み、金曜日に現地入り。土曜日は取材と予選会とインタビューで夜9時過ぎまでかかるそうです。日曜日はリハーサルと本放送。毎週大変ですね。
 わたしの知人でこの番組に出た人というと……高校時代の先輩(現在地元の市会議員)、後輩(同僚の奥さん)、恩師が思い浮かびます。みんな違う会場ですが。あ、グランドチャンピオン大会まで出た人も地元にいますね。同僚の教え子でした。
 さて、この本には他にも様々な話題が紹介されていますので、自分で読んでおもしろかったものを。
 まず、「皇室アルバム」について。カメラマンはどの位置にいるのかで情報がずいぶん変わってくる。なかなか「お言葉」を拾うのは難しいので、ほのぼのとしたエピソードが収録できる機会も限られている。また、制約も多い。時代の流れなのかカメラワークや題材も変わってきている。例えば、御用邸等での地元のみなさんとの関わりは撮影できないそうです。
 わたしはこの番組何年も見ていないのですが(これに限らずあんまりテレビも見ないのです)、非常におもしろかった。やっぱり奥野修司さんが書いているからかな?
 あと「探偵ナイトスクープ」もわくわくしました。上岡龍太郎が引退してどうなるかというあたりとか。
 草野仁が黒柳徹子について語るのもよかった。
 それから、林真理子が桂三枝(当時)に「新婚さんいらっしゃい」のことをインタビューするのも楽しく読みました。
 こうやってみると、わたしは「情報・バラエティ番組」が好きみたいですね。
 ところで、2月にはビートたけしの日もあるんですよ。ツービートだから、2月10日なんだって。「たけしくん、ハイ」でも紹介しようかと思っていましたが、この本で企画されていた好きな芸能人ランキング一位でしたので、もうこれでいいのではないかと、
 テレビは見ないけど、テレビの話題は好きみたいですね、わたし。 

「うた魂♪」小路幸也

2013-12-21 19:14:24 | 文芸・エンターテイメント
 今日の出来事カレンダー、1月にのど自慢の日というのがあるんですが、本校にはそれにあてはまるような本がない。
 とにかく歌に関するものを、と探したのが「うた魂♪」(朝日文庫)です。一応自分で買ったものの、ずっと読んでなかった。冒頭部分だけ紹介しようかと手に取ったら、つい引き込まれてしまって。
 原作は栗原裕光、文章小路幸也。映画のノベライズです。
 名門合唱部のソプラノリーダーかすみは、一生懸命歌っている姿を「産卵中のシャケみたい」と言われます。写真を撮ったのは憧れの生徒会長なのですが、腹が立って殴ってしまう。そのことを思い出すと、ショックで歌えなくなって。
 そんな彼女の目前に現れたのは、ヤンキーな男子高校生たち。部長の権藤を中心に、異常な結束とハイテンションを見せる彼らは、かすみの悩みに真っ向から意見を伝えるのです。
 権藤くん、ファーストシーンは中三。とあるストリートミュージックを聞いて晴天の霹靂。自分も合唱部を設立してしまいます。もちろん好きな曲は「十五の夜」(笑)
 後ろにキャストが載っていましたが、権藤くんを演じるのはガレッジセールのゴリ。中高生の役? 実年齢を考えるとものすごいキャスティングでは……。
 もともと映画からのリライトとあって、展開は早いです。歌えなくなったかすみは、これが最後かもしれないからと、地元のお祭りのステージには立つように顧問の先生に言われます。彼女のやる気のなさに腹を立てた権藤と仲間(フレンズ)は、自分たちの熱いソウルを伝えます。
 合唱。わたしも毎年文化祭に向けて生徒の練習を見守りますが、最優秀賞に入ったときはひとりひとりの気持ちが違うのです。
 今回、権藤にアドバイスする杏子さんが「合唱の場合は、全員が声を全身で表現して、まるで手を取り合うようにして響いてこないとダメなのよ」という場面がありました。
 全員が響き合う。その魅力を読みながら思い出します。
 

詩集を読む

2013-12-18 05:45:35 | 詩歌
 もう今週いっぱいで学校は冬休みに入ります。現在授業ではお習字を練習中。
 その前に図書室での学習をと、詩の授業をしました。教科書にある「月夜の浜辺」と「木」をやってから、自分の好きな詩を選んで掲示する作業をします。 
 まずは図書室のどの棚に詩集があるかを提示。911のスペースと、詩歌全集のコーナーを紹介します。とにかく一時間で三編視写して、そのなかからひとつエントリーする。他の人と重複したら話し合ってほかの詩に移ってもらいます。
 人気があるのは谷川俊太郎と金子みすゞ。この二人は作品数も多いためか結局いろんなものが選ばれてきますね。
 今回はわたしの私物や公立図書館からの本も混ぜておいたので、バラエティーに富んだ作品が集まりました。色画用紙(百円ショップで買える小さいやつ)に清書して、詩の形式や感想の票を貼って完成です。
 一人ひとりに行き渡るように本の準備はしますが、誰かが読んでいる本はそのときには読めない。全体掲示して様々な詩と巡り会うのがテーマです。
 それにしても……今回はこんなことがありました。高見順の「冬は」という詩なんですけど、ご存知ですか? 「冬は/手から冷えるときと/足から冷えるときがある」「悲しみは/いつもまっすぐ心にくる」(暗唱なので間違っているかも)というんですが。
 「寒さには二種類あることがわかりました」と書いてきたYくん……。
 そ、それが詩の感想なのですか?
 気を取り直して。
 使った詩集は結構あるんですが、最近出版されたゆまに書房の「15歳の詩 愛する」が興味深かった。編者は青木健さん。熟読したところ、永瀬清子は誕生日と同じ日に亡くなっています。高村智恵子の詩も掲載されていました。宮城県亘理町出身の菅原克己さんという方もはじめて知りました。
 二冊めの「いきる」もおもしろそうですね。
 今回いろいろ読んだなかで、やっぱり岸田衿子さんのセンスが好きだと思いました。あとはタイトル忘れてしまいましたが、あるアンソロジーに紹介されていた門倉訣さんの作品も素敵でした。
 詩と巡り会うことで、わたしたちは新しいドアを開けます。たくさんの言葉に触れてほしい。
 中学時代のわたしは、白秋が「赤い鳥」に発表した作品が好きでしたねー。

「いくつ分かる? 名作のイントロ」中江有里

2013-12-17 21:42:39 | 書評・ブックガイド
 先日、心ゆくまで本屋のはしごができました。
 その中で買った一冊。中江有里さん監修の「いくつ分かる? 名作のイントロ」(学びやぶっく)です。もともと美容院で女性誌読んだときに紹介されていたんですけどね。これが、読んだことのない本のオンパレードでびっくりです。中江さん、これ全部読んだ本ですか? 中学校の国語便覧にはないような、プロレタリアートな作品が多いんですけど!
 例えば、獅子文六「娘と私」、正宗白鳥「何処へ」、山口瞳「江分利満氏の華麗な生活」、徳田秋声「あらくれ」なんて、わたくし本自体見たことがありません。いや、文学全集とか日本文学講読とかで見たことならありますよ。文庫だって岩波くらいですか。
 「名作の冒頭、いくつ分かる? あなたの読書量は?」と帯にありますが、わたしのような「軽読書」タイプにはあてはまらないようです。
 でもね、三島由紀夫や遠藤周作、それに三浦哲郎はなぜないのか。
 大江健三郎や村上春樹、松本清張もない。
 でも、山田詠美や平安寿子はある。中江さんの好みの問題でしょうか。文中に遠藤周作を読んで読書に目覚めたようなことが書いてあったのに。
 「読書は面白い。だけど本が面白いとは限らない」というあたりが、非常に共感できたのですけど。
 ただ、こうやって作品が並べてあると、その本を、どこでどうやって読んだのか、記憶が蘇ります。
 「氷点」は、結婚して最初にお盆にきたときに続編まで一気に読んだな、とか。(今では茶の間で読書が禁じられているのでできませんね)
 「檸檬」や「桜の森の満開の下」は高校の図書室から全集を借りたし、「ひかりごけ」は高校二年の夏休み。「おとうと」は読んでないけど、斉藤由貴主演のドラマを見ました。(あの弟役は木村拓哉だったんですね……今知りました)
 読んでいない「名作」を読もうと思うタイプではないので、冒頭部分を自分なりにチョイスしてみたいと思います。
 ほしいままに買ってきましたが、とりあえず読んだのは、「図書館の主⑦」、「悪魔が本とやってくる」(吉野朔実)、「一日の最後に読みたい本」(奈知未佐子)です。
 高速バスを待つ間に、「ダ・ヴィンチ」の別冊まんがを読んだのですが、室山まゆみさん(「まゆみまりこ」という新しいユニット名で執筆されています)がすごくお若いのです。55歳と57歳ですって! わたしとひと回りしか違わない! 昔「あさりちゃん」がアニメ化した頃は二十代くらいですか? 主題歌覚えてますよ。
 話があちこちになりますが、この日は念願のケーキバイキングにも行きました。でももう、こんなチャンスはないだろうなー。楽しかったです。