くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「まわしよみ新聞をつくろう!」陸奥賢

2018-09-20 17:43:53 | 総記・図書館学
 この本を読んでいると、実際にまわしよみ新聞を作りたくなってきます。
 陸奥賢「まわしよみ新聞をつくろう!」(創元社)。
 四人くらいで新聞を持ち寄り、気になる記事を各自が選んで切り抜きます。なぜ、この記事を切り取ったのかを一人ひとりプレゼンして、トップ記事や構成を考えながら模造紙に貼っていく。タイトル、日付、場所、記事へのコメントを書き込んで完成です。
 いろいろな立場の人と、わいわいしゃべりながら掲示物を作っていくの、楽しそうですよね。
 活動を通してメディアリテラシーを養うこともできるけど、それ以上に楽しいからやってほしいと陸奥さんはおっしゃいます。
 この活動で、読売教育賞を受賞されたそうですが、教育だとはあまり考えていなかたったとのことでした。
 わたしも商売柄、新聞を使った活動はそれなりにはやっているのですが、新しい切り口でおもしろいと思いました。
 ワールドカフェは話し合い活動の形式として流行していますが、確かにファシリテーター次第なところがあります。
 何か結論づけるわけでもなく、集団としての力をつけるには画期的だと思いました。
 わたしがまず自分で一枚作ってみます。広告や天気予報の記事でもいいんだって!

「すてきな司書の図書館めぐり」

2018-09-10 22:55:35 | 総記・図書館学
「すてきな司書の図書館めぐり しゃっぴいツアーのたまてばこ」(郵研社)は、ライブラリーコーディネーターの高野一枝さんが、仲間の皆さんと全国の図書館を見学した様子を描いた一冊です。
 全国にはいろんな特色のある図書館があるんだなーと思いながらめくっていると、なんとこの本を借りたH図書館にもいらしたというではないですか!
 しかも、司書さんに紹介されておいしいケーキ屋さんに行き、待ちきれなくて車のボンネットをテーブルがわりにロールケーキを食べたというのです。
 えー、どこのケーキ屋? 
 と思っていたら、後半に運転手役の方の寄稿があって、「図書館の近くのケーキ屋さん一押しの抹茶ロール」と書いてありました。行かねば!
 と思って早速本を返しがてら隣市へ。ケーキ屋さんではいちじくのケーキと、ねこのカップケーキを買って食べました! おいしい。わたしは生のいちじくが大好きなので、また行こうと思っています。
 最近、「ケーキ王子の名推理」を読んで、ケーキを食べたかったのです!

「司書のお仕事」大橋崇行

2018-09-08 19:24:53 | 総記・図書館学
 図書館のコーナーで発見しました。大橋崇行「司書のお仕事 お探しの本は何ですか?」(勉誠出版)。監修小曽川真貴。
 大橋さんは東海学園の准教授で、司書過程の学生さんたちや、司書を目指す高校生にこの仕事のイメージを持ってもらいたいと執筆されたそうです。
 舞台は味岡市立図書館。新人司書の稲嶺双葉や、先輩方、幼なじみの院生裕樹が、図書館の仕事を通して成長していきます。
 図書館のお仕事として、レファレンスをテーマにしたりイベントをテーマにしたりしつつ、基本的な用語を分かりやすく描いていて、おもしろく読みました。
 イベントとしては、蔵書にまつわるクイズを解いていくスカベンジャー・ハントが行われました。
 クイズは結構マニアックで、優勝すると五万円分の選書権がもらえるんだそうです。
 選書も迷いますよねー。
 作中にはライトノベルを全面禁止した学校にも触れていました。
 学校図書館についても、廃棄とか連携とかが書かれています。
 ベテラン司書の智香さんは、連携してほしいという私立女子高の本を全部廃棄しようといいます。
 また、整備も外部に委託するように提案されます。学校は簡易整備(ラベル貼るくらい)のカード式だから、パソコン管理にすべきだというのですね。
 わたしの近隣校は、ほとんどカード式です。パソコン管理を導入するのにお金がかかるのでしょうね。
 蔵書数は中学校で一万冊が平均ということですが、本校含めてずいぶん古い本も含めて達している学校は結構あるのでは。
 与謝野晶子の短歌をモチーフにした謎解きもよかったですよー。
 

「学校図書館で役立つレファレンス・テクニック」

2018-08-19 07:21:16 | 総記・図書館学
 少年写真新聞社の、シリーズ学校図書館。
 「学校図書館で役立つレファレンス・テクニック 調べる面白さ・楽しさを伝えるために」。著者の齊藤誠一さんは、公民館勤務から千葉経済大学に移られて司書課程を担当されているそうです。
 レファレンスは、普段から棚をどのくらい見ているか、調査依頼からどんな分野(NDC)を思い浮かべることができるか。
 本を差し出すよりも、一緒に調べ方を教えてその人に活用できる力をつけるようにするというのは、大切ですよね。
 しっかりレポートとして記録を残すことも大事だと考えさせられました。いざ自分の事例を思い出そうとしても、なんだか曖昧になってしまうのですよね。
 「三尺のヴィーナス」には、笑っちゃいました。

「ふしぎな110番」

2018-03-20 22:22:01 | 総記・図書館学
 何年前だったか、ある書店で「ふしぎな110番」(彩図社)という本を見かけたのです。
 「県警本部の通常指令課に『本当に』寄せられた110番通報」というサブタイトルから、内容は察知されますよね。
 ぱらぱらめくると、ひったくりにあったとか無銭飲酒があったとかの通報に、なんとも言えない味わいがある。 
 だけど、さすがに買いすぎだよなと反省したため、当時は諦めました。
 その後、しばらくして再来店したものの、本はもうありませんでした。

 ところが、授業でビブリオバトルをすることになり、生徒の紹介したい本を教えてもらっていたら、Eくんが担任の先生の本を借りて行いたいというのです。
 見せてもらったら、あの本ではないの!
 授業終了後、さっそくわたしも借りました。

 夫婦喧嘩中の酔っ払った男性からの入電。
「警官がいつまで経っても来ないじゃないか!」
 警「確認したところ、すでに警官は着いているようですが……」
「俺の味方の警官が来ないんだ!」
 →それは、いつまで待っても来ないでしょう。

 暗い声の少女からの少女。
「お父さんとお母さんが喧嘩をしています」
警「大丈夫ですか?」
「お父さんは、警察官なのに……」
 
 今回読めて満足です。I先生ありがとう!

「ミステリ国の人々」有栖川有栖

2017-11-14 05:44:53 | 総記・図書館学
 こういうの好きなんです。
 有栖川有栖「ミステリ国の人々」(日本経済新聞出版社)。
 登場人物をあげながらミステリを紹介してくれます。
 わたしは基本的に翻訳ものは読まないのですが、幼少のみぎりには児童ものをずいぶん読みました。ミステリも手当たり次第に。(学校図書室にあったものに限りますが)
 さらに、学生の頃、ウールリッチにはまって、これも手に取れる分は読みました。
 懐かしい作品がたくさんあります。
 ウールリッチで取り上げられるのは、

 ……と、書いていてふと気づきました。
 ここで取り上げられるのは、アイリッシュ名義であることに。
 あれだけはまっていたのに、どれがウールリッチでどれがアイリッシュ名義なのかよくわからない。すみません。
 紹介されているのは、「幻の女」のヘンダーソンと、「消えた花嫁」のアリスです。
 どちらも、女性が消えてしまう物語です。前者は殺人のアリバイを証明してくれるはずの女、後者はタイトル通り花嫁が新婚旅行中に。
 なぜ、女は消えたのか。三十年経っていますがなんとなく覚えています。だけど、アリスの方の記憶は曖昧。
 いろいろ考えたら、短編集の二巻だけどうしても見つからなくて、何年か経ってから立ち読みしたのでした……。
 有栖川さんは、アリスが自分のペンネームの由来の一つだと語ります。(「不思議の国のアリス」もその一つです)

 紹介される人物は五十人余り。
 うち、読んだことのあるものは、半分くらいでしょうか。
 ホームズ、金田一、蓮丈那智、ルパン、半七、仁木兄妹、砂絵のセンセー、クイーン、ポアロ&ミス・マープルといった著名人から、五十円玉両替男(わたしもこの文庫本持っていました)、三角形の顔をした老婦人(もちろん亜愛一郎も項があります)、明智文代(明智探偵の妻。知り合った作品は「魔術師」ですね)、ブロンクスのママ(懐かしい!)、おしの……。
 おしの、知ってます?
 山本周五郎「五瓣の椿」の主人公です。母親と関わりのあった男たちを復讐のために殺していくんです。
 高校生の頃にあらすじに引かれて読んだのですが、余りの情念についていけなくて……。
 その後ずいぶん経ってから周五郎作品を読み漁りましたが、これが肌に合っていたらもっと早く読んだのになあ。(きっかけになったのは「内蔵助留守」です)

 それから、「黒後家蜘蛛の会」! すごい好きでした。
 でも、今の今まで「ウィドワーズ」が「男やもめ」の意味だとは知らなかった……。
 「ロレーヌの十字架」はしっかり覚えていますよ。

 ロバート・ファン・ヒューリックの「ディー判事」を読みたい! ポケミスで「沙蘭の迷路」が出ているそうです。
 作者はオランダ生まれの外交官。舞台は中国! 気になる!
 それから、岡田鯱彦の「薫大将と匂の宮」(図書刊行会)は、紫式部が探偵役なんだって。
 高木彬光や鮎川哲也作品も、現在手に入りにくいですよね。
 有栖川さんの本も、読んでみようと思います。

「ぐるぐる博物館」三浦しをん

2017-11-05 16:18:17 | 総記・図書館学
 三浦さん、今度ぜひ石ノ森章太郎ふるさと記念館にいらしてください!
 わたしはこの地域が初任地だったので、石ノ森さんの原画を当時目にする機会がたくさんありました。
 とはいえ、わたしも石巻の記念館の方が来場回数多いんですけどね。
 で、本書141ページに「石森章太郎先生(当時は「ノ」はついてなかった)」とあり、「石森」には「いしもり」とふりがながついていますが、違うんです!
 石ノ森さんの故郷は「石森」と書いて「いしのもり」と読みます。でも、知らない人は読んでくれない。「いしのもり」と呼ばれたい。「いしもり」ではないという思いから「ノ」を入れたという話でした。

 前置き長すぎましたが、三浦しをん「ぐるぐる博物館」(実業之日本社)。茅野市尖石縄文考古館、国立科学博物館、龍谷ミュージアム、奇石博物館、大牟田市石炭産業科学館、雲仙岳災害記念館、石ノ森萬画館、風俗資料館、めがねミュージアム、ボタンの博物館を訪れたエッセイです。
 三浦さんはこういうの強いですよね。(「広辞苑」の予約特典も描かれるんですよね)
 学芸員の方とのやりとりがおかしくて。
 奇石博物館の職員さんにはそれぞれ「石ネーム」があり、対応してくださった石上さんの本名は井上さんだとか。(読み方も変わるんですね……)
 所蔵品に対する愛を感じる場面も多かったです。ボタンコレクターの方とか……。わたしも何か集めてみようかとも思いましたが、ただでさえ本で溢れている現況。あ、北斎の浪富士グッズは集めていますが。
 
 わたしも、博物館は大好きです。さらっと見てまわることが多いですが。牛の博物館とかどうですかね。北上の鬼の館もおもしろいし。塩竈の長井まんが美術館も良かった。
 割と近すぎると行かないようにも思います。近くにも記念館がいくつかあるのですが、なかなか機会がないと。

 一緒に図書館から借りたのは、近藤雅樹「霊感少女論」。二十年近く前の本ですが、他と比べて特別でありたい少年少女、怪談話を通じての学校という社会構造の考察がおもしろいと思いました。
 時代的に「ゴーストハント」やオカルトもの、「学校の怪談」なとが流行したあとのものかと思います。
 今でもやっぱり、怖い話好きな子は多いですよねぇ。
 前任者がホラーをやたらと入荷したので愚痴ってしまったわたしですが、なんだかんだ言いながら自分も怖い話が好きだよなと思う今日このごろ。

「検索禁止」長江俊和

2017-11-01 21:12:10 | 総記・図書館学
 クイズの本を探しにいったら、比較的近くにあったので借りてみました。長江俊和「検索禁止」(新潮新書)。
 長江さんといえば、ホラー作品ですよね。「出版禁止」が胸糞悪かったので、以来避けていたのですが、ちょっと読んでみました。
 でも、今回は悪くなかった。
 わたしは意外と怖い話(事件性のある話)嫌いじゃないのかもと思いました。
 というのも、これに取り上げられているエピソード、結構知識があったのですよ。エド・ゲイン、御船千鶴子、横溝正史。特に後半の「禁忌と物語 日本篇」はおもしろかった。
 そういえば、わたしが外国ものを読まなくなったのは、初任のときの友人から「FBI心理捜査官」を勧められて、そのあと関連本を読むうちに他の作品からも「血と暴力」のにおいを感じるようになったからでした。
 外国ものって、グロテスクな表現をしますよね。日本ものは、土着的というか怨みつらみで憑依する感じなので、気持ち悪くはない。
 長江さん自身はたぶん前者寄りの作風だと思います。
 冒頭は、検索してはいけない言葉が具体的にあげられていて、その内容が描かれている。都市伝説や怪談話、次第に、死を匂わせる歌詞の話題になります。
 音読したら凶事がおきると語る歌を紹介し、その後調べると事実とは違うという話もありました。
 怖いなー、夢に見そう……と、読んでいるうちは思うのですが、大概本を閉じると気にならなくなるわたし。あまり現実的には考えていないのかもしれません。それとも無意識のうちに、心にブレーキかけているんですかね。
 印象的だったのは、稲垣吾郎の婚約者を名乗る女性のエピソード。もう十八年経っているのですね。芸能に疎いのでよく覚えていないのですが。
 オカルトに興味のある人には、おもしろいと思います。著者紹介に「初のノンフィクション」と書いてあるけど、これノンフィクションなの?  まあ、フィクションではないでしょうか、調べて書いてある感じが強くて。

「ひと目でわかるブックトーク」

2017-10-22 07:34:28 | 総記・図書館学
 ブックトークの本を借りました。
 「この本読んで」編集部・監修腰高一夫「ひと目でわかるブックトーク」(NPO読書サポート)。
 小学生向けと、中高生向けの部門に分けてあります。
 選書の仕方からテーマ別の例、シナリオつきの例が載っています。
 わたしは大体年一回くらいはブックトークをするのですか、最近は感想文の課題図書を組み合わせて行うくらいしかしていませんでした。
 授業テーマ関連本は学年ホールに並べますが、取り上げて軽く話すくらい。もっとちゃんとしないとダメですねー。

 選書方法として、テーマから広げていくやり方と、一冊の本から連想していくやり方が紹介されています。
 例えば、「図書館」というテーマなら「わたしの特別な場所」「図書館ねこデューイ」「図書館戦争」。ヤングアダルト世代に公立図書館の魅力を伝えるラインナップで、さらに一冊加えるなら「どうしてアフリカ? どうして図書館?」だそうです。
 この「図書館ねこデューイ」を中心に据えた連想ならば、ねこつながりで「ウォーリアーズ」「猫の帰還」「ダヤン、クラヤミの国へ」、もう一冊なら「ウィッティントン」。
 同じ一冊が入るとしても、バリエーションの付け方で変わります。

 ちなみにわたしが読みたくなったのは、中村計「きみは怪物を見たか」、ロイド・アレキサンダー「ウェストマーク戦記」、樋口広芳「わたり鳥の旅」。
 読書の秋、機会を見つけてブックトークしてみますね。

「楽しく進める『学び方の指導』」佐藤敬子

2017-10-17 04:56:25 | 総記・図書館学
 SLAから出ている「楽しく進める『学び方の指導』」がおもしろい!
 札幌で、長らく国語教師・司書教諭として実践を重ねられた佐藤敬子先生が執筆されています。すごーくためになる!

 総合で「情報」を扱うときに、NDCを活用できることは大きな強み。各分野から一冊ずつデータ記入していく「MY FAVORITS」、情報カードの使い方、レポートの書き方、新聞の活用……。
 自分でも取り組んでいるものの、佐藤先生の実践はもっと体系化されていてスマートでした。
 そうかー、レポートは項目を予め入れておくんですね。どうしても参考文献を書き忘れる生徒は多いので、最初から何を書けばいいのかが分かれば取り組みやすくなると感じました。
 あと、調べるためのクイズ!
 わたしはくじ引きでやっていたのですが、自分の誕生日の問題にまず取り組む、情報カードに書き込むって、いいですねぇ。
 図書館クイズって、所蔵状況によって作り替えなければならないので、転勤すると実践するまでに時間がかかるのです。
 わたしも、現在校二年ですが、昨年は図書担当ではなかったので、今年はディスプレイと表示やらコーナー設置やらで手一杯です。材料を提示していただけると、非常に嬉しい。しかも、プリント類は「どんどん使ってください」とは! なんと太っ腹な!
 調べ学習の成果を製本して、図書館に置くというのもなるほどと思いました。
 アイデア豊富な佐藤先生、ぜひ資料活用させていただきます!