くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「世界が終わる前に」山本弘

2016-08-31 23:42:30 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 蘇武健一「六枚のとんかつ」(講談社文庫)、高木敦史「菜々子さんの戯曲(シナリオ) Nの悲劇と縛られた僕」(スニーカー文庫)が読みたいなあ。
 「世界が終わる前に BISビブリオバトル部」(東京創元社)です。
 ひょえー、と思う展開でしたが。
 今回はわたしにとって既読作品が多く、だから紹介もなるほどと思いました。そう考えると、このシリーズは紹介された本を読んでからまた読み直す楽しみもありますよね。
 
 前半は「空の夏休み」。ミーナに誘われてコミケに行く話です。
 空はエレキング、銀はキュアサンシャインのコスプレをする。で、特撮マニアのおじさんたちの飲み会に参加する。
 後半は寿美歌さんたちの学校と合同でビブリオバトルをする話。このクラブでの寿美歌さんの存在の大きさが感じられました。
 山本さんは「ミステリ」を意識して執筆されたそうです。これまで重ねられてきた空と武人の交互視点が効を奏した作品だと思いました。
 空の推理と、銀の読みがツイストになっていておもしろい。
 でも、ちょっとだけ「なんだかなぁ」と思う部分はあります。
 空が山本弘ファンなのはいいんですが……。朝日奈先生がいるとしても、女子高生がおじさんたちと飲み会して特撮ファンの思いに感銘を受けるというのは願望すぎるのではないかな。
 それにしても、銀くんがうちの息子と同じ中二とは思えないのですが……。

「ミナトホテルの裏庭には」寺地はるな

2016-08-29 15:34:30 | 文芸・エンターテイメント
 人生はカードゲームのようなものだ、自分の手札で勝負するしかない。
 それなら手札は、多いほうがいい。それもなるべく、強い札が。
 学力は、強力な札となり得る。

 寺地はるな「ミナトホテルの裏庭には」(ポプラ社)で最も印象的だったの部分です。
 湊篤彦が義父から伝えられたというこのメッセージ、非常によくわかります。
 湊は元学習塾の教師ですが、今は辞めてしまって不動産などで食べていける身分です。ミナトホテルというのは、もともとは普通のホテルでしたが、現在では「眠れない」などと悩みを持つ者たちがよく集まるようです。
 木山芯輔(作中では「芯」と呼ばれます)は、祖父から湊の母・陽子の一周忌を裏庭でやりたいので、その鍵を探し出すように言われます。
 ミナトホテルに来てみたら、湊が階段を転げ落ちてきて骨折。仕方がないのでフロントの手伝いのアルバイトもすることにします。
 ホテルに長期滞在している母子・桐子と葵。芯の会社の派遣社員花岡。芯の祖父と友人たち。
 彼らと付き合ううちに、一人ひとりの内面や悔恨を知ることになります。

 書店で見かけたとき、帯の感じから「ミナトホテルにやってくるわけありのお客さんたちの悩みを解決するオムニバスかな」と予想したのですが、全然違いました。
 あ、でも、じんわりと染み入る話です。
 「咲くのは花だけではない」というメインの話と、陽子が若い頃を回想する「手の中にある」が収録されているのですが、人物たちの優しさが心に残ります。
 裏庭と「秘密の花園」のイメージが重ね合わせられていることがおもしろいと思いました。

 今日明日は代休です。台風接近中……。

「モップの精は旅に出る」近藤史恵

2016-08-28 05:29:45 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 これでキリコちゃんの話も終了なんですね。寂しい。
 わたしが近藤さんの作品に興味をもったのは、このシリーズが読書紹介の本でプッシュされていたからなんです。(最初に読んだのは「ねむりねずみ」ですが)
 あれから八年。当時三冊既刊があったので、思えば結構長い間キリコちゃんの活躍を読んできたのですね。五冊しかないというのは意外です。もっと出てると思ってました。
 「モップの精は旅に出る」(実業之日本社)。
 このタイトルだし近藤さんはあとがきでシリーズ最終巻だというし、もしやキリコちゃんは大介と別れて旅立つのか? と不安でなりませんでした。
 しかも、最初の話で「ケンカした」なんて言ってるし。
 二人はとてもいいカップルなのでそれはないと思いながらも、三話めの語りが男性だったのでちょっと焦りました。最初の二つが英会話スクールの翔子ちゃんだったのでなおさら。
 ちなみにこの男性は森田くんといって、なかなか書けない作家です。学生時代の友達に誘われて数人でオフィスを借りています。
 表面的には穏やかな毎日なのですが、その中の一人が糖尿病で意識不明に。誰かが、スポーツドリンクの中身をすり替えていたとキリコちゃんから教えられたのですが……。
 男性と女性の見方の違い、がこの話のキーワードですが、確かに自分にとってはたいしたことがなくとも別の相手には大問題ということはあると思います。
 箱崎さんは気の毒すぎます。
 ふと思ったけれど、今回は「もてはやされるのは幸せなことではない」という意識が強いように感じました。
 翔子ちゃんには突然の婚姻届が送られ、その夜スクールの前で相手が待ち伏せているという恐怖。しかも、前回チケットを売ったこと以外つながりがないのです。
 こんなに嫌な思いをするなら、きれいじゃなくていい。
 そして、彼氏とのかかわりをからかってくる友人に、そういうことはやめてほしいと頼んでも聞き入れてもらえない箱崎さん。
 注目されるというのは、傍から見るほど楽しいわけではない。
 
 キリコちゃんの旅は、自分と向き合いリセットするためのものだと感じました。
 箱崎さんの友人のように軽い気持ちで行動する人もいれば、姉妹の間に不安を残す悪意のある人もいる。
 ときどき一人になりたくなっても、大介と一緒ならキリコちゃんは大丈夫だと思います。

「幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部」山本弘

2016-08-27 19:48:23 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 いつの間にか、三冊めまで出ていました。そうですかそうですか。もちろん二冊とも借りてきましたとも。山本弘「BASビブリオバトル部」シリーズ。
 「幽霊なんて怖くない」(東京創元社)です。
 季節は夏。ちょうど少し前くらいでしょうか。ビブリオバトル部の皆さんが挑むテーマは「戦争」。
 夏場は戦争ものの出版点数が増えるそうです。わたしもこの季節には読むようにしていますし、時間があれば夏休みの宿題として戦争にまつわる作品を読んでくるように提示します。
 この本で紹介されたようなスピーチができたらいいでしょうねぇ。六人が選んだ本で読んだことがあるものがなかったのが不甲斐ないんですが。
 山本美香さんの本は前任校に購入したのですが、いつか読むつもりでそのままになっていました。
 「ぼくら」シリーズは息子が好きなので、家に十数冊あります。この本「ぼくらの太平洋戦争」も、確か買ったように思うのですが。(「ぼくらの七日間戦争」のモデルは仙台だと最近聞きました。本当に?)
 宗田さん自身の体験を描いたものは図書館から借りて紹介したはず。これが文中に出てくるもう一作の方かどうかは覚えていません。
 
 今回は、空が書庫でおじいさんに出会う場面がおもしろかった。
 心ゆくまでSFの話が出来て、嬉しかったでしょうね。空は相当にマニアックなので、こんなふうに話せる相手を求めていたと思うのです。
 わたしは海外もの読まないのですが、ウィンダムの「強いものだけ生き残る」が読みたくなり、赤木かん子セレクションを探しましたが、うちの図書室にはなかった……。
 藤野恵美の「七時間目」シリーズも読んでみたいですね。
 次回は「迷宮の女王」との対戦だそうですよー。

「はつみみ植物園」西畠清順

2016-08-26 06:55:27 | 自然科学
 プラントハンター西畠清順の「はつみみ植物園」(東京書籍)が面白そうだったので借りました。
 「はじめに」によると、六回ほど発売延期になったそうです。というのも、西畠さんがお忙しいから……。ワールドワイドに活躍されているのだから、原稿を書く時間も限られますよね。
 ただ、そのせいか後半は西畠さんの関わったお仕事の紹介やプロフィールとかで、植物のよもやま話が読みたかったわたしには物足りない感じでした。ファンブックみたいというか。
 サボテンのトゲは葉が変化したものだとか、こんにゃくの花が咲いたら異臭騒ぎになったとか、帰化植物は日本在来植物の六分の一にあたる1200種くらいとか、そういうのがおもしろかった。(漢字が渡来する以前のものは記録にないので「あったことにしよう」ということなんだって)
 ちなみに野菜のほとんどは外来種。
 果実に比べて野菜がおいしくないのは、植物の体本体(葉、根、茎など)だから。果実はタネなので遠くに運んでもらう必要がある。
 中でも興味深いのは、オンブーという植物。すごい成長の早さで、五年後には八メートルにもなるそうですが、分類上は「草」だそう。
 確かもう一冊、同じシリーズがありましたよね? 「そらみみ植物園」でしたか? そちらも読んでみたいと思います。

「しゅるしゅるぱん」おおやなぎちか

2016-08-25 05:08:47 | YA・児童書
 東北ゆかりの本として紹介された一冊。おおやなぎちか「しゅるしゅるぱん」(福音館書店)です。
 花巻の近くにあるらしい「しゅる」という町に、東京から引っ越してきた開人。お風呂あがりにパジャマが見当たらないとき、おばあちゃんに「しゅるしゅるぱん」と言われます。
 このあたりでは、山の神さまのいたずらでものが見当たらないことがある。そういうときなこの呪文のような言葉を言って紛らわせるのだとか。
 なんとなく腑に落ちない思いの開人ですが、自分を「しゅるしゅるぱん」だと名乗る男の子に会います。
 「きら」を助けなくてはならないというこの男の子、果たして?

 また、過去を描くパートもあり、こちらは「道子」や「妙」の視点です。道子は貧しいながらもあたたかい両親と暮らしており、仲良しの友達もいます。しかし、道子をからかう男子から「道子の母親はふられた」のだと告げられます。
 友達の父親である三枝面妖。地元の怪奇作家である面妖が蔵にいる姿を見て、道子は複雑な思いに。
 妙は道子の母親であり、開人からみれば「おひこさん」(曾祖母)にあたります。
 年頃になった妙が落とした櫛のために、呪いを受けて病床に伏した彼女を助けたのが面妖でした。
 二人は恋に落ちます。でも、「しゅるしゅるぱん」は結局何者? とか、なぜ面妖は別の女と結婚したのかとか、謎は残り続けるのです。
 
 現代の少年である開人は、リレーのバトンがうまくパスできないことで、仲良くできそうな友達とぎくしゃくしています。その子の一家が現在借りているのが、あの蔵のある家なのです。
 続いていく血脈。消えてしまう昔の記憶。蔵のある家がなくなっても、時は流れていくのだと感じました。
 でも、どこかに思いは残っていく。そんな気がします。

「坂の上の図書館」池田ゆみる

2016-08-24 21:09:53 | YA・児童書
 とりあえず図書館のことを描いた物語は読んでみることにしています。
 池田ゆみる「坂の上の図書館」(さ・え・ら書房)。
 春菜、小学五年生。自立支援センター「あけぼの住宅」に母と二人、暮らすことになります。
 なかなか自分の想いを伝えることができない春菜。
 彼女が出会ったのは、住宅の隣にある市立図書館でした。
 読み聞かせで聞いた絵本を借りたことがきっかけで、次々に本に触れるようになります。
 「エルマーのぼうけん」「ちいさいおうち」「長くつ下のピッピ」……。
 新しい学校で知り合った佐久間さんは教師を目指していて、誰にでも平等に声をかけてくれます。
 席替えの日、彼女に誘われて春菜は教卓の真ん前の席に座ることになりました。ここなら勉強に集中できるというのです。
 春菜はこれまで学習が苦手でしたが、佐久間さんや先生のおかげで「わかる」ことが楽しくなってきました。
 もちろん、図書館から借りる本を読むことも、そのベースになっています。
 これまで春菜は、母と二人かつかつの生活をしてきたのです。
 そして、この町には、母が幼い頃に過ごした施設もある。貧困の連鎖が感じられました。
 しかし、娘の成長を感じた母は、自分も夢をもち勉強することに。
 春菜を支えてくれた佐久間さんとの別れはさみしいですが、つながり続ける希望があります。
 出会いで変わるということが感じられる一冊です。

栗駒山関連書籍 その2

2016-08-23 04:58:50 | 歴史・地理・伝記
 義経の首塚は平泉にあるそうです。
 いやいや、鎌倉で首をあらためているので、藤沢の白旗神社との説が有力のようです。
 まあ、義経伝説にはさらっと触れるくらいで、あとは「平家物語」について書くのもいいのでは。金売り吉次と炭焼藤太に言及すれば、郷土の伝説として記事になりますよね。
 
 文化的な側面も、派生できると思います。
 「平家」以外にも、「おくのほそ道」がありますよ。芭蕉は平泉を訪れたあと、栗原を通過しています。あっ、でもそれでは「栗駒山」のテーマからずれちゃうか。
 うーん、栗駒山を詠んだ歌を探してみるというのはどうかな?
 「夫木集」にある古歌とか、結構ありそうです。白鳥省吾も「生まれ故郷の栗駒山は富士の山よりなつかしや」と詠んでいるし。

 ちなみに息子はというと、「耕英の開拓にした」といってました。
 わたしも図書館で「」を立ち読みしましたが、ネットにはダイジェストで紹介してあるようです。 
 イワナの養殖に成功したのは、耕英が初めてだったとの話も耳にしました。
 ここで思い出すのが、熊谷達也「光降る丘」ですね。角川文庫を買って息子に渡しました。フィクションだから歴史新聞とは差異があるのですが、こういう形で文学化していることを記事にしてもおもしろいかと。
 まあ、その時点で用紙の八割は埋まった状態だったので、利用されないとは思います。

 そのほか、郷土の歴史ときいてわたしが購入したのは「宮城県の歴史散歩」(山川出版社)です。高校の社会の先生方を編者として2007年に発行されています。「栗駒山」という項がありますが、山についてではなく栗原の歴史的建造物などについてです。伊治城跡とか有壁本陣とかですね。
 でも、歴史新聞づくりのアイデアになると思いますよ。
 それから、「岩手あるある」(TOブックス)も一緒に買ったのですが、共通する話題が多くて楽しめました。
 主に言葉の面ですね。
  ○「いずい」の意味を他県民に説明するのはムズい?
  ○「だからさー」と言ったあと「だからの続きは?」と聞かれてしまう。
  ○他県民に「これ投げて」と言うと本当に投げられてしまう。
  ○傘は「かぶる」もの?
 など。
 あー、でも言わない言葉もありますよ。「うそまげる」とか「かかさらない」とかは使いません。わたしは。(ちょっと不安になってつけ加えてみました)

栗駒山関連書籍を読む 1

2016-08-22 04:25:39 | 歴史・地理・伝記
 息子が、夏休みの宿題のために栗駒山に行きたいと言い出しました。
 宿題で登山? なんの宿題よ? と聞いたところ、社会で「地域の歴史新聞」を作るように言われたそうです。
 栗駒山にまつわる歴史って……。
 例えば、駒形根神社の嶽宮があるんだっけ? と言ったら、おばあちゃんに「御沢コース(結構本格的な登山になる)でないと行けない」と言われました。
 だいたい地域の歴史を調べるのに実地踏査は必要なのでしょうか。
 わたしなら文献で調べるよなー、と郷土資料を探してみました。

 栗駒山をテーマにするならば、モチーフはそれなりにいろいろあると思うのです。
 まずは地理的アプローチ。
 栗駒山がどのような構成になっているのか、観光の見どころは何かをまとめます。「るるぶ」などの旅行情報誌が便利です。仙台・松島版には二ページくらいしかないけどね!
 地元で作ったパンフレットも役立つのですが、わたしも転勤して間もないので在庫がありません。
 あとは山歩きの本も見つけました。「宮城の名山」(河北新報社)。栗駒と名前がついた理由として、雪解け時期に馬の形に雪が残ることが書かれています。
 一緒に「種まき坊主」と呼ばれる残雪もあるのですが、この唄と踊りは幼稚園で教えられたはず。家にCDもある、はず。歌詞を紹介すれば、それなりのスペースが埋められると思います。
 また、前掲書によれば、菅江真澄が「駒形日記」という記録を残していて、江戸時代から登山が盛んだったことかがわかるそうですよ。
 あとは、栗駒山の噴火の歴史とかに触れればいいのでしょうか? 
 岩手・宮城内陸地震の地滑りとか。これは当時栗原市でまとめた冊子があります。「平成20年岩手・宮城内陸地震 栗原の記録」。「東京ドーム50杯以上にものぼる膨大な土砂が崩れ」と。(東京ドームを、何杯という単位で示すのもものすごい……)

 次に伝承を主体にしたものが考えられますね。
 メジャーなところでは、義経生存伝説。旧栗駒小学校付近に「判官森」という場所があります。平泉で自害した義経を葬った塚があり、息子たちも小学生のときに校外学習に行きました。
 菅原勇喜先生の「栗原の伝説」には、義経のかわりに討ち死にした杉目太郎という家来のことが書かれています。(義経は杉目の想いを受けて北上川を舟で下った)
 杉目太郎の弟(沼倉小次郎)が、遺体を持ち帰って義経の墓として届けたというのです。(沼倉はその付近の地名。小次郎は古館の城主とのこと)
 でもね。
 津久毛には「義経身替杉目太郎行信」と刻まれた墓があるんですってよ?
 そう考えると、義経の墓はフェイクとは言えないように思いますが。
 義経の墓と伝えられる場所はほかにもあるのかな、とネット検索したところ、Mapionのサイトには「宮城県のデートスポット一覧」に「義経の墓(胴塚)」とあってびっくり……。
 デートで行きますかねぇ。

「スクープのたまご」大崎梢

2016-08-21 04:54:57 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 大崎梢「スクープのたまご」(文藝春秋)について書いていませんでした。
 今年はなんだか忙しくて、本を読む暇もなく……。少し落ち着いても感想をまとめる余裕が持てませんでした。しかも、携帯のバッテリーが保たなくなって、途中まで書いたものが全部消えてしまうことがあり……。
 
 主人公は新米雑誌記者の日向子。人事異動で週刊誌の担当になります。
 もともとゴシップ記事の多いこの雑誌を毛嫌いしていたのですが、それはもう仕方がない。異動が決まってからは精読して、カラーをつかもうと努力します。
 日向子の仕事は、事件の下調べ。些末なことかもしれませんが、裏をとるために電話をかけたり近辺で聞き込みをしたりするのです。
 以前編集部にいた同期は、インターフォンが押せなくなったと言います。
 日向子にしても、実際に容疑者が立ち寄った可能性は低い保護司の家を訪ねて、バスを逃したことがあります。
 行方不明の女子高生がアルバイトをしていた店を探したし、カメラマンと同行して偽装行動をすることも。
 各社はスクープ合戦を繰り広げ、出し抜こうともしています。
 最初は嫌で仕方がなかった日向子ですが、先輩方のアドバイスに支えられてどんどんたくましくなっていくのがおもしろい。
 週刊文春のお墨付きだそうですが、編集者としての考え方などもリアルで、日向子の成長ぶりに応援したい気持ちになります。