くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

2023年ベスト

2023-12-31 21:09:06 | 〈企画〉
○「不屈」清水邦広
発売から2ヶ月、10軒近く本屋を巡ってやっと買えたんです……。
欲を言えば東海時代の写真を入れていただきたかったところですが、私が昔応援していた時代の恩師とか有名選手とか、今は県内で教員されている方とか心くすぐるメンバーが続々登場して、ものすごく面白い。
そして、購入後もどこに行っても見つかりません。なぜだ!

○「青瓜不動」宮部みゆき
「三島屋変調百物語」の新刊。異世界というか桃源郷というか。
迷い込むのはホラーなのだなと思わされました。

○「事件は終わった」降田天
今年は降田先生の本を片端から読んだ年! 真相がどんなに残酷でも、救いのあるラストが優しい。
シリーズ展開のある作品が好き。

○「木挽町のあだ討ち」
ジャケット読み。思っていた以上に面白かった。
語りと構成の妙。

○「夜光貝のひかり」
「幽霊」と出会った夏。その瞬間からエンディングは決まってしまうのですが、きらきらと輝く時間が素晴らしくて。

○「レーエンデ国物語」
どの回も! あんなに分厚いのに! あっという間に読んじゃうんです。
歴史が積み重ねられ、次の代に影響を与える。
悲劇は更に悲劇を産むが、秘密を抱えながら続いていく。
レーエンデに自由がくる日を、待ちわびます。

○「教室がひとりになるまで」
どうすれば悪夢を止めることができたのか。異能をもつ高校生たちの葛藤と、この事件を始めた子の苦しみが、切ない。

○「間の悪いスフレ」
ビストロ・パ・マルはやっぱりほっとする。シリーズが続いていてくれて、嬉しい。コロナ対策での苦労とか、新しい試みとか、変わっていくことも大切なんだなと思った。

○「2.43」
大好きな大学バレー。
これでシリーズが終わりなんて信じたくないけど、どの場面もきらきらしていて、どの選手も魅力的なんですよね。SNSのコメントを、帯に載せてもらったのも感激しました。
もったいなくて、ラスト読んでないんです。
終わりたくない……!(いや、連載で読んではいるんですが)

「間の悪いスフレ」

2023-11-12 18:44:20 | ミステリ・サスペンス・ホラー
「ビストロ・パ・マル」シリーズ新刊!
コロナ禍のビストロの苦労が描かれて、この数年のことをいろいろ考えながら読みました。
従業員が居着かない店。タイミングがよくないプロポーズ。料理教室にやってくる不満顔の男性。
三舟シェフは「WHY?」の部分を鮮やかに解くのです。

いつものメンバーで繰り広げられる安定感が、このビストロに足を運びたくなるひとつなのかも。
どれもこれもおいしそうなんですが、チーズが特に!
フランス料理のメインはステーキなんだそうです。
カレーはないけど、ミロントンというハヤシライスみたいな料理はある。
行きたいですねぇ。

「オリンピックの世紀」

2023-11-11 14:37:40 | 芸術・芸能・スポーツ
人どれだけ自分を信じることができるのか。才能があっても能力を発揮できる場をことごとく奪われたら?
世界選手権銀メダルの母(堀江方子)の影響でバレーをはじめた陽子は、長身セッターとして注目され、中村高校を2年で国体優勝、6部だった早稲田を2部で優勝させるチームに導く。
彼女の夢は、オリンピック。
しかし、当時全日本選出は実業団に所属する選手のみというルールがあった。
父の母国の国籍を取れば、アメリカ代表としてプレーできる。ヨーコ・ゼッターランドとして
バルセロナ五輪に出場し銅メダルを取ったが、「ヨーコが出た日本戦で勝っていれば銀メダルだった」「控えの経験がない選手を温存するよりも、ヨーコをピンチで使いたい」といった心ない言葉に傷つく。
セッターはゲームを作るポジション。発想の転換や斬新なアイディアで敵の裏をかくこともできるのが面白い。
アトランタ五輪では逆転の転機となったヨーコ。

第6回Vリーグから、女子は外国人選手枠を撤廃したことに関するコラムもあり。

「近畿地方のある場所について」

2023-11-07 05:43:25 | ミステリ・サスペンス・ホラー
一話一話が重なって大きなムーブメントになっていくホラー。
山からの呼び声、人形、鳥居、お札、祀られる石、呪文、ましら、柿……
少しずつ咀嚼していくと、なお怖いと思います。

女性作家さんが書いた怪談が、被害にあった人物しかしらないことなのに、まことしやかに伝えられるという噂話がいかにも小学校で語られる感じと、出合ってしまったら否応なしに破滅に突き進む展開が怖いですよね。

ある種の怪談を読むと、当てられたように頭痛がするけど、この本にはなかったです。
他の方の感想を読むと、「見つけて」しまったら更に怖いというんですが……
読み直しても、その発見ができずにいる私は、まだ本読みとしては若輩なのでしょうね。
何が見つかるのか、気になって仕方ない。
「ましら」以上のものがあるんですよね?

最後のページが「了」で終わったのが、悪夢から覚めたようだった。(始まりなのか?)

「大学スポーツ図鑑」

2023-11-05 13:14:55 | 芸術・芸能・スポーツ
40種目のスポーツ強豪大学を「強さ」と「偏差値」の座標軸で示している。
バレーの右上は早稲田。「圧倒的強さを誇る! インカレ4連覇中!!!」
強さで並ぶのは東海と日体(男女とも)。
筑波、順天、日女体なども上位です。
21年出版で22年の動向を占っているのです。
だから、過ぎ去った今読むと勢力図は変化していることが分かる。
日体のエースとして藍くんがあげられているけど、前年度からイタリア行ってますし。
この年は、東海が春季と東日本、筑波が国体とインカレを制しました。秋は中央。 
更に1年経って、今年は早稲田が四冠を狙える位置にあります。
勢力図は入れ替わる。だから、こういう形で記録が残るのは面白いですね。

ちなみに座標化されているのは24校。(平成国際が入ってる!)
バレーは関東メインですが、スキー、新体操、ボート等の強豪は結構全国に分布してます。

「筆のみが知る」

2023-10-24 20:10:32 | 時代小説
近藤先生の時代もの、とっても好きなので、これ新シリーズですよね? 続刊ありますよね? 
病を理由に引きこもる料亭の娘、真阿。居候としてやってきた絵師の火狂と関わるうちに、怖いと思っていた夢の真相を知り……
どの話も切ないですが、「犬の絵」がつらかった……🐕‍🦺
漫画だったら、おそらくイケメンに描写されるであろう火狂。
四十過ぎでしかも相撲取りのような男なんです。でも、そこに安心感がある。
そして、相当に美少女であろう真阿の今後も気になります。

「縁結びカツサンド」

2023-10-23 08:31:16 | 文芸・エンターテイメント
えー、コテン、いい! お店に行きたい! 特に食べたいのは、楽描きカレーパン。普段の私はカレーパン買わないんですけど、これは食べてみたい。うずらの卵入ってるやつ。
ドーナツもコルネも、もちろんカツサンドもたいへんおいしそうです。
コーヒー淹れてもらって、お店で食べたい。

うらら商店街を歩いている気分になりますし、常連さんとも仲良くなれそう。
花ちゃん一家が素敵だし、愛ちゃんは応援したくなる。
自信がないまま店に出るようになったパン屋の三代目和久の成長を描く連作。
登場人物たちのその後が出てくるのも嬉しい。

「怖い女」「怖い家」

2023-10-22 15:42:08 | 社会科学・教育
母なる存在の恐ろしさを、多数の文献から紹介している「怖い女」。
「妖鬼妃伝」「黒い家」「ギリシャ神話」「マハーバーラダ」など、怖い本の紹介としても楽しめるのでは?
私は「古事記」が好きなのでイハナガヒメやトヨタマビメのエピソードが興味深かった🍀
都市伝説もいろいろありますねぇ。

対をなすのが「怖い家」。
生まれ直しと成長のメタファでもある家の情景が、神話から現代小説まで事例をあげながら語られる。
「ラーマ・ヤナー」懐かしい!
「古事記」にも見られる禁忌の伝承は、家のあり方にダイレクトに関わってくるのですね。
私もずっと小野不由美、宮部みゆき作品には家を描くものが多いと思ってたので、実に興味深かったです。
「ゴーストハント」「残穢」「営繕かるかや」以外にも思い浮かぶ作品たくさんあるなあ。「三島屋変調百物語」にも多いと思うんですよ。
こういうスタイルの論文、もっと読みたい。

「俺ではない炎上」

2023-10-21 21:19:08 | ミステリ・サスペンス・ホラー
二度読み必至です!
いつもいいところでカメラワークが切り替わるんですよ。
泰介にピンチが迫ったり、サクラが睨みつけたり。
ラストまで途切れることのないハラハラ。
「自分のせいじゃない」と自己擁護すること。ネットの情報を鵜呑みにすること。
考え直してみたくなります。
冤罪についての本を何冊か読んだことがありますが、ミステリ性という点でも面白い。
どの人も怪しいし、手のひらを返したように見方も入れ換わる。
主人公の心も。
逃げ続けるうちに今まで信じていたことが歪む。偶然と必然が絡み合い、登場人物たちはある地点へと導かれていきます。
面白かった!

「みちのく妖怪ツアー」謎解き編

2023-10-18 06:54:31 | YA・児童書
た、玉……🐱💧
ラスト、まっすぐでやさしい優くんにじんわり。
怖い妖怪ばかりでもないんですよね。
もちろん、問答無用の怪異はたくさんあるのですが。
イベント系と自由研究系の「謎解き」、そして今回も外さないグルメ。
近隣の地名が出てくると、嬉しい😆
やさしかったガイドさんが豹変したり、ちょっとした選択が悲劇につながったり……
夏休み、いつもとは違う町で出合ってしまう異界への扉。
今年のような猛暑には、ぞっとするような怪談、印象的です。

この本は、「みちのく妖怪ツアー展」(登米市横山不動尊)で買ってきましたー。
妖怪チズガヨメヌが出たらしく、曲がるところを間違って遠回りしちゃいましたが、無事にたどり着けました。
木札はなまはげです👹
横山不動尊に来たのは30年ぶりくらいかも?!
先生方の妖怪推しポイントがとても楽しかったのです。
中でも佐々木先生が語る座敷わらし、三浦哲郎先生の話題があってすごく嬉しいです!(三浦文学で卒論書きました)