くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「弁当屋さんのおもてなし」喜多みどり

2019-05-27 22:49:13 | 文芸・エンターテイメント
 料理もののシリーズ、好きなのです。この本も、二冊目が出たあたりで一度手に取ったのですが、あまりにも同じ傾向のものを読みすぎかと思って自粛したのでした。
 わたし、好き嫌いはほとんどないのですが、ギンザケはどちらかといえば苦手。一冊目のサブタイトルが「ほかほかごはんと北海鮭かま」だったため、やめてしまったのですよ。
 今回、図書館で二冊目の「海薫るホッケフライと思い出ソース」が返却棚にあるのを見つけて借りてみました。
 シリーズ途中なのに、思った以上にすんなり読める。登場人物の人間関係がつかめない部分はありましたが、これは最初から読みたいぞ、と。
 最近、札幌のことばかり考えていたせいでしょうか。

 同僚の妊娠のため、代わりに転勤することになった小鹿千春。さらに、その同僚と結婚したのは恋人だと思っていた男。
 札幌の生活に慣れずに苦しんでいた千春が出会ったのは、路地裏にある小さなお弁当屋さん「くま弁」。ハンサムな店員のユウさん、店長の熊野、常連客の黒川と知り合います。
 ザンギ弁当を頼んだものの、脂っこいものは駄目かも……と思っていたら、ユウさんが作ってくれたのは鮭かま弁当。夢中で食べるうちに、何かが変化していきます。
 ユウさんとの仲も少しずつ 深まり、ほのぼのします。
 なんといっても、お弁当がおいしそう。カレー弁当とか八種の野菜の酢豚弁当を食べたいわあ。
 わたしも毎朝弁当は作っていますが、いつものパターンから抜けないのですよね。今日はアスパラと玉ねぎの肉巻き、スナックえんどう、ミニトマト、玉こんにゃく、かまぼこ、シラス入り卵焼きでした。
 あと二冊あるので、ゆっくり読みます。

「みかんとひよどり」近藤史恵

2019-05-19 19:08:44 | 文芸・エンターテイメント
 ジビエです。
 近藤さんは、そんなに世間で話題になっている訳ではない素材を、うまく料理してくださいますね。
 「みかんとひよどり」(角川書店)。料理と犬は、近藤さんの得意なモチーフなので、安心して読めました。
 料理人の「ぼく」(潮田亮二、三十五歳)は、愛犬のピリカ(ポインター)と出かけた山で遭難しかけたところを、猟師の大高に助けられます。大高の愛犬マタベー(北海道犬)が、見つけてくれたのです。
 ジビエを求めるオーナーの依頼もあって、猟を始めた亮二は、大高からひよどりや鴨を収めてもらう契約をします。
 最初は渋っていた大高が了承したのは、山小屋を火事で失ったから。どうも放火だったらしいのですが、猟師たちの間にも不審な事件が続き……。
 親しくなるにつれて、彼のこだわりを理解していく亮二。
 解体施設問題とか、焼け跡に佇む女とか、気になることもたくさんあります。
 わたしはジビエはほとんど経験ないのですが、熊肉ラーメンの店が近所にあったり、鹿肉をよく食べるという同僚がいたりはします。
 表題作は、みかんを満腹になるまで食べたひよどりをどう調理するかについて、余計な小細工はせずにスタンダードな食べ方をするべきではないかという結論が描かれています。
 装丁もおしゃれですよー。

「ヲタクに恋は難しい」ふじた

2019-05-10 21:22:59 | コミック
 五月一日、突然七巻だけを購入したわたしに、娘が目を丸くしまして。
 いやいや、わたしネットで読んでいたのですよ。そしたら、最新のストーリーが七巻のネタバレ含む作品で、「ををっ! これは読みたい!」
 と思った訳です。
 わたし、樺倉好きなんですよー。四巻のバレー部シーン格好いいよね!
 ということで、翌日一巻と四巻を買いに行きました。
 小柳とのエピソードはいいっすね! 頬がにやけます。特に前述の高校時代編。樺倉にジャンプサーブを教えてほしいとねだる場面を見て、
「今どきは、女子もジャンサーなのか」
 と、衝撃を受けました。わたしにとっておなじみなのはフローターサーブなのです。男子もそっちの方が多かった。
 で、高校女子の試合(春高予選)を見てみたら、本当にみんなジャンプサーブ打ってた!
 その後、続きを少しずつ購入し(一気に読むのがもったいない)、娘に「ヲタク用語分かるの?」と訊かれたりしながら、楽しく読んでおります。
 ええ、わたくし、それなりに詳しいです。BLはどうしても受け付けませんけどね。コミケ行ってた先輩いたし(同人誌買わされた)、小説の同人誌作ってたし(コミケは行ってません)、二次創作してたし(バレーの。BLではない)。娘、ごめん、本当はそっち寄りです。
 今日、五巻を買って全巻揃いました。光くんのコースターもらったよ。ああ、前の三冊、ここで買えばよかった!
 とりあえず、娘がアニメ版のビデオを録画している(未視聴)そうなので、今度見てみます。

「殺人鬼がもう一人」若竹七海

2019-05-05 22:26:05 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 十連休も終わりますね。山形立石寺(体力なくて上がり切れなかった……)と、岩手の遠野に行きました。
 久しぶりにさくさく読んだ「殺人鬼がもう一人」(光文社)。若竹さん、好きなんで、読みごたえ充分でした。

 辛夷ヶ丘を舞台にした連作ミステリ。悪徳警官の吹き溜まりのような警察署で、生活安全課に所属する砂井三琴。身長一七八センチに高い(値段も)ハイヒールを履く彼女は、「素敵な不労所得」を求めて生きる女。ついでに相棒はピッキングもできる小男、田中盛。
 地域の名家の最後の一人簑作ハツエのひったくり事件に関わる「ゴブリンシャークの目」。
 市長選挙と幽霊騒動の「丘の上の死神」。

 警察ばかりの結婚式をしきることになった花嫁の姉竹緒のもとに持ち込まれるトラブル「黒い袖」が、わたしはいちばん好きですね。
 すぐ控え室に閉じ籠る花嫁の梅乃や、犯人逮捕のために式を中座するかもしれないと言い出す花婿の父など、キャラクターもおもしろいです。

 ハウスキーピングの会社と、殺人が絡む「きれいごとじゃない」も、ラストが印象的でした。

 「葬儀の裏で」もおもしろかった。
 一族をとりまとめる本家の党首サクラ。姉の六花の葬儀にやってきたろくでなしの孫。林檎の木のエピソードとか、「後年、父は施設に入り、親戚のだれにも看取られずにそこで死んだ」の意味が分かるとぞくりとします。

 表題作では、二十年前に辛夷ヶ丘で起きた「ハッピーデー・キラー」事件の影響で家族が被害にあったマリが、殺し屋として動くストーリーです。

 どの作品にも三琴が登場しますが、関わりが薄い話の方が短編としては好きです。
 コージーなのに、ものすごくブラックな一面がある若竹ミステリ。やっぱり読んでしまいますねぇ。