くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「カーテンコール!」加納朋子

2018-04-07 21:57:07 | 文芸・エンターテイメント
 閉校する女子大で、留年することになった学生たちを集めて半年間の合宿生活。
 かなりハードルを下げても卒業できなかった彼女たちは、それぞれが訳ありの強者揃い。
 すぐ居眠りをしてしまう理由は? 朝起きられないのは? 過食症、リストカット等々事情のある中で、遺言の優等生にもある秘密が。
 さらに、理事長とその家族の支援が温かいのです。
 終了を迎える女子大。そして語られる理事長の若き日の後悔。
 終焉とはいうものの、そこには間違いなく歴史の流れがあったことを感じさせられました。
 彼らの人生には、ここに描かれただけでも二つの悲しみがある。
 それでも、誰かを献身的に支えようという気持ちが胸に迫ります。

「ママの押しは教祖様」しまだ

2018-04-05 22:01:30 | コミック
 先日本屋で目に飛び込んできた一冊。「ママの押しは教祖様 家族が新興宗教にハマってハチャメチャになったお話」(角川書店)。
 強烈でした……。
 作者の「しまだ」さんは、両親と兄、弟、母方の祖父母と暮らしていましたが、母の宗教フリークに振り回されて苦労します。
 やがて父と離婚。親権は父にあるものの、不安定な母を高齢な祖父母に支えられるわけがないので同居は続きます。
 休日は集会に連れていかれ、宗教について歌って踊る若者たちの姿に圧倒され、夏休みはいつの間にか勝手に会員にされていて合宿に放り込まれます。
 同年代の参加者と交流するも、彼女たちの真剣さに引いてしまいます。
 母は何でも宗教中心に考えており、子どもたちを「天使」と呼び、「己を見つめ直す帳」という記録をつけています。
 さらに子どもの同級生のお母さんを勧誘。
 それがもとで、兄と喧嘩をします。
 しまださんは、母がのめり込んだ宗教が何かをはっきりとは描きません。実際に⚪⚪教を貶めるのは本意ではないから。
 ご自分が苦労したことを突き放して描けるのは、かなり客観的な見方ができる方だからだと思います。
 さらに、「ちょっとキツめの描き下ろし」が収録されているのですが、読むとこれまでのコメディ色が一気に変化するのです。
 これまでも宗教に関わる本を意識的して読んできましたが、この作品はかなりインパクトのあるものだと思います。
 個人的には、お父さんについてもっとエピソードを知りたいですね。
 自らを「社畜」だったと語り(でも、職業は教員)、実はカトリックだと話し、妻の宗教を「趣味」だと判定してクールに振る舞う様子がおもしろい。
 宗教に限らず、自分の生活も擲ってまで何かにはまるのは、怖いことだなーと実感しました。

「京都西陣なごみ植物店」

2018-04-02 20:43:26 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 多肉植物に心引かれているため、選ぶ本も園芸寄りです。
 仲町六絵「京都西陣なごみ植物店 『紫式部の白いバラ』の謎」(PHP文庫)。
 京都府立植物園に勤めはじめた神苗は、「植物の探偵」を名乗る実菜と出会います。
 「逆さまに咲いたチューリップの謎」「信長公をモチーフにしたスイーツ」「祖父が隠した金庫の鍵」「短歌に詠まれた花の色の矛盾」などを、実菜が解き明かしていきます。
 「桜に秘める」という作品、どうしてもあらすじを一言にまとめられなかったので、ちょっと長くなります。
 父が亡くなったので、工房を継ぐことになった紫乃からの依頼は、桜染めで茜色を出すことのできる桜を探すこと。
 以前父が染めた色の中にある茜色。しかし、紫乃は染め方を教わっていないのです。さらに、箱には「信じている。大畑のミツコ」などという文字があり、母はショックを受けている。
 志村ふくみのエピソードも紹介されいました。
 植物園に行きたくなりますね。学生時代に友人のゼミの先生と野草園に行ったことを思い出します。
 「源氏物語」の植物に関する資料も、おもしろそうですね!

「四月は君の嘘」ほか

2018-04-01 08:28:56 | コミック
 紙の上で音を描くには、たいへんな力量が必要だと思うのです。
 新川直司「四月は君の嘘」(講談社)を七巻まで読みました。(図書館にそこまでしかなかったから)

 ピアノの天才と呼ばれた有馬公生。母の死をきっかけに弾けなくなった彼を、支えてきたのは友人の椿と渡。
 渡に紹介したい女の子がいるから、と椿に連れていかれた公園で、有馬が出会ったのは宮園かをりというヴァイオリニストでした。 
 かをりの存在は、有馬の世界に色をつけていきます。
 圧倒的な表現力、楽譜にはないアレンジで観客の心をつかむかをりの演奏に、有馬は表現者としての自分に気づかされていくのです。
 実は、病気を隠しているかをり。
 伴奏としてステージに上がるはずだった有馬は、時間に間に合わないかをりに代わって、ピアノを弾き始めます。
 美しい。
 そして、悲しい。
 途中でやめられず、一気に読みました。続きが、読みたいけど、読みたくない気もします。
 未来を見つめ始めた有馬が、自分から離れていくかもしれないと感じた椿の葛藤も切ない。

 その他にも、結構まんがは読みました。「同性婚で親子になりました」(ぶんか社)は、文字通り養子縁組の制度を使って同性婚する八木と京太のエッセイまんが。
 とはいえ、二人は同い年。ちょっとだけ誕生日の早い方が「父」になるんだそうです。
 家族に理解してもらうためにどう伝えるか。カミングアウトはどうするか。二人が考えて行動したことがわかりました。

 「働きマン」も四巻まで。あとは、結婚相談所の所長さんが原作のまんがとか。(予約入ったとのことだったので、すぐ返しました)
 
 それから、水谷さるころ「結婚さえできればいいと思ってたけど」。
 最初の結婚で改姓や家事に関する自分の考え方に懲りた 水谷さんは、再婚にあたって「事実婚」を選択します。
 わたし、実は名字変わっていないので、全くそういう手間はなかった。今思えばラッキー?

 「風都探偵」は、「仮面ライダーW」の続編です。
 翔太郎が出会った少女「ときめ」は、ドーパントなのか。風都でおきる怪事件。追いかけているうちに踏み込んでしまう異次元の町。
 わたしは照井竜が好きなので、なんか髪型がかっこよくないのが不満です。
 細かい部分でテレビの内容を思い出させるシーンがあり、懐かしかった。
 「ライダー」は「響」から「フォーゼ」まで見ていましたが、「W」がいちばん好きかも。