くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「おやごころ」

2023-09-30 09:46:30 | 時代小説
「まんまこと」シリーズも9冊目。
新妻の和歌と仲良く暮らす麻之助の、お気楽だけど奮闘する様子が描かれます。
もう何年にもわたって読んでいるので、私もすっかり髙橋家に馴染んだ気持ち。
江戸店でなくなった品物探し。夫婦の揉め事。こじれた縁談。
そして、待望の赤子が誕生。
前妻を産褥で失ったことから、非常に不安を感じていた麻之助。
私自身も、そのあたりには個人的に辛いことがあり、当時「ときぐすり」という言葉に慰めを感じたものでした。
失った日は、帰らない。
だけど、新たな希望は生まれる。
いつの間にか、あの日から十年経っていました……。

「六人の嘘つきな大学生」

2023-09-30 06:50:20 | ミステリ・サスペンス・ホラー
就職のためのグループディスカッションのために集まった大学生六人。
和やかに始まる筈だった会は、お互いの秘密を暴露する封筒が現れたことで一変する。
誰が、選ばれる一人になるのか。
それは「犯人」で間違いないのか。
緊迫感とユーモアのバランスが、とてもよかった。
久しぶりに日付変わっても読んでました。そのあともなかなか寝つけないほど……
袴田くん(187㌢)が石巻出身なのが親近感あって楽しかった(笑)

「夜光貝のひかり」

2023-09-26 05:45:09 | YA・児童書
読み終えて、美しく淡いひかりが胸の奥に瞬いている思いがします。

屈託を抱えた夏休み、彼方は従兄の住む奄美大島に出かけます。
通りががった浜辺で聞こえたシマ唄。出会った少女は、もうこの世にはいない「幽霊」でした……
彼女が巡り会いたいものを探し、彼方は奮闘します。
遠藤由実子先生の物語は、場所がそこに存在していると信じられるんですよね。
足を運べば、「ルリ」がいた浜辺にも、博物館にも大島紬の工場にもきっと行ける。ルリと彼方の物語を追体験できる。
いつの日か、私もその砂浜で夏を過ごしたいと感じた1冊でした。

「勿忘草を探して」

2023-09-25 05:45:07 | ミステリ・サスペンス・ホラー
主人公航大(175㎝)が、見上げるほどの長身(190㎝くらい)の大学生拓海。
植物に関わる事件を解決しながら、「友人」になっていく二人。爽やかで優しい連作です。
ゆっくりとたゆたう庭の四季。おいしいフルーツやお菓子を用意して待ってくれている祖母の菊子さん。
充実した一冊☺️

「三島屋変調百物語」

2023-09-24 09:05:55 | 時代小説
「よって件のごとし」

「三島屋変調百物語」が大好きなので、新刊楽しみにしてました。
宮部さんの死鬼もの!
異界に向けて救いの手を伸ばす人々、故郷を棄てざるを得ない人々の心が胸に迫ります。
賽子の話もよかった。しかし、この呪いなキツイ……
異種婚姻譚がこういう展開になるのもすごい。


「青瓜不動」

怪談というよりも、集団(藩など)の悲劇が語られることが多くなったきたなと考え、怪談は人々の「業」から生まれるものなのだと気づく。
とうに決着のついた物語であるはずなのに、それを聞くのは辛い。受け止めるには力がいる。そう思いました。
懐かしい人も登場する「青瓜不動」、桃源郷の終わりを描く「針雨の里」が好き。
「だんだん人形」は語られていくうちに物語の体裁が整えられていくと感じたし、「自在の筆」の悪魔のようなやり口(?)には創作者の葛藤を感じました。

ところで、182ページのルビ「おかぼ」は、隣の行の「陸稲」につくべきものではないのかと思うのですが…

「2.43」next4years

2023-09-06 22:03:48 | 文芸・エンターテイメント
ああ、連載から読んでいてよかった!
破魔の初登場からしっかり読みました。どういう人物なのか把握してからの読み直しは、何ともいえない満足感。
更に、弓掛とのマッチアップなんかあると、もうざわつきます。二人ともお互いにリスペクトしているのよ。
大学No.1のMB破魔が、弓掛を「大学ナンバーワン・サイド」って言うのよ。これ、Webで読んだときもじわっときたけど、今回も揺さぶられた!

そして、読むうちに壁井先生のとんでもない技術に驚嘆です。
リアルな試合描写の間に挟まれる回想シーン。カットバックの的確さもそうだけど、試合の中には過去のリーグの場面が入り込んだりすることもあって、これがごちゃごちゃにならないのはすごすぎ!
しかも、フェイクセット入るし、アナリストのお仕事入るし、戦術の面白さががんがん伝わってきて、本当に、目前でバレーが展開する。

私の見ていた大学リーグは、もう三十年以上前のものなんだけど、当時のことをありありと思い出すし、今は配信で見ているので今回のリーグも見たくてたまらない。
部旗とかラインズの1年生とか、ギャラリーの応援とか学連の皆さんとかあああ楽しいなあ。

配信的に考えると欅舎のこの展開は、ファンには衝撃ですよね。
だって、それまでも4年生中心に全勝していたんだよ。八重洲とのゲームで劣勢だったところに、三村中心に自主練習していたメンバーと灰島と黒羽投入で、その後も主体になっちゃう。
絶対パンフレット開くよね。名前チェックするよね。(高校選抜から知ってる人もいるはず)
セカンドタッチをつなぐ場面は、必ずスパイクできる球にするって。灰島! かっこよすぎるだろ!

それから、弓掛と浅野のラインはもちろんだけど、三村と川島のラインが結構大きい。
腰を痛めていた2m選手川島を入学させたのは東武大学だけ。これは、唯一自分を取ってくれた欅舎と重なります。表には出さない彼の鬱屈は、三村統にはとてもよく分かる。
だから、彼がアンダーカテゴリのメンバーに選出されたことを思う姿には、内心の投影がある。(三村もその後報われるので!)
川島の選出で場所を奪われた弓掛と憤慨する浅野は、その対角線上にある感じ。Vリーグでは同じチームになってくれないかな、なんて思いました。

世代のトップセッター3人、浅野、山吹、灰島。全員景星で若槻監督の教えを受けているっていうのも、ぞくぞくするなあ。
それぞれ違うタイプですが、八重洲の正セッター早乙女と比較すると、センター中心の戦略的な試合構成を組み立てることが伝わってきます。
早乙女くんさぁ、せっかく破魔という日本代表MBいるのに、何で一定量使ったらオープンバレーに切り替えちゃうの? もったいないって!

〈Ⅰ〉のラストは山吹が飾りましたね。「春高編」からいちばんイメージが変わったのが彼です。
あっ、チカとユニの背番号も24、23なんだ!
これも「2.43」に絡めてあるのかしら。