ふるさと加東の歴史再発見

少し気をつけて周囲を見回してみると、身近なところにふるさとの歴史を伝えるものがある。

昭和7年第18回衆議院議員選挙兵庫第三区-多木久米次郎の立候補挨拶状

2022年03月21日 05時37分34秒 | Weblog
 

 昭和7年(1932)2月に行われた第18回衆議院議員選挙の兵庫県第三区に立候補した多木久米次郎を紹介します。多木久米次郎は加古郡別府村(現加古川市)の出身で、わが国初の人造肥料を生産し、多木製肥所、後の多木化学を設立した創業者、実業家です。村会議員や県会議員を経て、明治41年第10回衆議院議員選挙で初当選し、その後、計5回の当選を果たしています。また、昭和14年には貴族院議員になっています。その多木久米次郎の立候補挨拶状を紹介します。

立候補御挨拶
謹啓いよいよ御健勝不相変為国家御精励の段欣慕
の至りに存候
偖今や我国は内憂外患並び起り国歩極めて困難の
秋に際し現内閣成立以来内には秕政百出の後を承
けて大に之を釐革し外は軟弱外交の弊を矯めて不
羈独立の外交を行ひ既に大に失墜せる国威国光を
挽回して東洋の平和を確立し帝国の利権を保全す
ると共に世界の平和に貢献せむことを期し外交に
力め軍事に尽し列国の干渉を斥け毅然たる一大決
心を以て時局に処せんとする時茲に総選挙行はれ
全国津々浦々に至るまで論戦正に酣にして朝野国
を争ふに当り不肖微力を揣らず解散後の選挙とし
て之を避くるは責任を果すの道にあらずと信じ且
つ老友犬養氏は数十年来の知己にして切なる希望
拒むに由なく各位の御諒解を俟たずして立候補し
たるは真に敬意を欠くの点に於て恐縮に堪えざる
も赤心の存する所御諒解を乞ふ
喋々を要せず各位の一票は只だ清き一票にあらず
して国家の盛衰興廃に係はる権威絶大なる一票な
り諸君の名誉大にして責任又重く今日地方の疲弊
困憊は畢竟此一票の行使を誤りたるに職由せずん
ばあらず不肖茲に立候補せし所以のものは老友を
扶け政府を激励して此重大時局に善処せしめんと
するの微衷に外ならずといへども諸君の深甚なる
御同情を得ざれば空しく犬死せんのみ伏して願く
ば七十年の苦節を憐み国家の為深厚なる御同情と
御援助とを賜り度右立候補御挨拶旁々謹んで得貴
意候                  頓首
  昭和七年二月  日
        衆議院議員候補者
         多 木 久 米 次 郎 拜
有権者各位

       兵庫県加古郡別府町別府三四〇番地
           選挙事務長  多木常三郎






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